第34話

「でも、電話かけてきてくださったんですね。嬉しいです」


「でも、会社にいたって、忙しいんじゃないんですか?」


「大丈夫です。もう帰り道ですから」


「家は近いんですか?」


「電車で1時間くらいですかね」


私よりも随分遠い。


あのカフェにいたということは会社自体は近いのだろう。


私は会社には割と近いところに住んでいるので移動には困っていない。


「それなら…」


「でも切りませんよ?」


「え。」


「一駅分歩くつもりですから、その分電話に付き合ってくれませんか?」

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