第28話

「…よし!」


起き上がってテーブルの上の本をとる。


名刺を手に取ってもう一度彼の名を見つめた。


ー前に、進まなきゃ。


ゴクリと息を呑む。


正直全ては信じていない。


だけど、ちょっとは期待してもいいだろうか?


いや、でも。


スマホと名刺を持つ手が震える。


臆病な心は年齢とともに膨れ上がってしまった。


ええい!もう投げやりだ!


彼の電話番号を素早くスマホに打つ。


通知音が部屋に響いた。

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