出会いは突然に

第1話

…あーあの2人、いい感じなのかな?


本を読むためだけにやってきたカフェは相変わらず混んでいて席が取れただけマシだと思う。


なのに、カウンターに近くて店員たちの話し声が耳に入ってしまう。


「俺今度花火見に行きたい」


「彼女とですか?」


「なわけ。いねーし」


「そうですか…」


どう考えても男の子の発言は裏を返すと『一緒に行こう』である。回りくどく言ってはいるのだが、誘っているのだ。


そしてそれを女の子も察しているようだった。


なんて、そんな想像(多分あってるけど)はさておき。


昼間っから楽しそうな会話に25歳の枯れきった私は【羨ましい】という感情すらどこかに行っていた。

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