第58話

「おいまじかよ!」


クラスに戻ると教室は騒ぎになっていた。


「どしたー?」


玲唯が素っ頓狂な声を上げる。


「何やってんだよ玲唯、やばいことになってんぞ!」


「はぁ?」


委員長が泣いている。


まさか…トラブル?


「俺らのクラス、今売上1位なんだって!」


「えぇ!?」


「委員長泣くのはえーよー」

「明日も頑張らないと」

「あそこの装飾壊れたから直そう!」


サボっていた何人かも急にやる気になっている。


こんなにクラス一丸になっているのは見たことがない。


「そういや、一位になるとなんかあるんだっけ?」


「何言ってんだよ玲唯。後夜祭でもらえる花火が大きいのから小さいのまで選び放題!好きな人と楽しむチャンス倍増なんだって!」


そんなに騒ぐ権利じゃないな、とも思う。

冷めてるのだろうか、私。


けれどクラスはもう1位をとったかのような盛り上がり。


「でもさ!」


クラスの女子が声をあげる。


「売上2位のとことそんな大差ないって…どうしよ…」


さっきの盛り上がりは消え、シーンとなる。


確かに越されてしまえばそれで終わり。


ーどうしよう、この空気。


みんな困った顔になっている。


「よっし!」


玲唯がパチンと手を叩く。


「とりあえず1位がとれるようにあと2日全力でやる!やってもダメだったらそん時はそん時!だから頑張ろうぜ!」


「そ、そうだな…」

「そうだよ、玲唯くんの言う通り」

「おっしゃ!好きな人と花火だぁぁぁ!!」


クラスが笑いに包まれる。


「みんな、頼らない委員長だけど…みんなのこと、頼らせてください!」


委員長が頭をさげ、さらに盛り上がる。


玲唯が音頭をとる。


「よっしゃ!じゃあ1位とろうぜ!」


「「おー!」」

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