第57話

「えー!玲唯くん一緒に帰れないの!?」


たっぷり楽しんだ妹弟ズを昇降口まで連れてきた。


やきそばにたこやき、海唯くんにもたせたわたあめ。


妹ながら目につくものをどんどん買っていった妹に感心してしまう。


「わりーな。片付けとか、明日の仕込みとかあるから」


「えー!じゃあ紅羽明日も来る!」


「それは無理でしょ」


「なんでよ!海唯」


「明日塾だろ俺ら…」


「サボる!」


「ダメだって」


やいのやいの言う2人をなんとかなだめ、迎えに来たお母さんに紅羽は回収されていった。


海唯くんもそれについていったが、最後

「楽しかったです」と私に頭を下げて行った。


「海唯くんモテそうだなー」


「え?!」


「え?」


「楓がそんなこと言うの、初めて聞いた」


「そうだっけ?」


「聞いたことない。もしかして海唯のこと好きなの?」


「はあ?」


モテそう🟰好きにどうなったらなるんだ。


「ふ、ふは…」


「なんだよ」


単純な幼馴染に笑えてくる。

そういう疎いところが面白い。


「早く片付けいこ。委員長待ってるよ」


「あ、おい」


夕日が校舎に差し込む。


リミットは後2日もない。


君は私じゃない誰かに告白する。


なら、今この距離を大切にしよう。


大好きな君が隣にいる瞬間を。


そう思って校舎の中に入っていった。


玲唯と並んで。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る