第43話

「ん…」


見知らぬ天井が見える。


無機質な白い天井。


「楓…!」


「おかあ…さん?」


「よかった…!救急車で運ばれたときはどうしようかと…!」


「救急車…?」


「そうよ。玲唯くんが呼んだの。楓が急に倒れてすごい高熱だからって」


「そうなんだ…玲唯は?」


「さっきお医者さんがきて、異常はないって言ったのを聞いて帰っていったわ。もう遅いし、紅羽とお父さんが送っていったわ」


「今何時?」


「もう10時よ。お母さんが来るまで、玲唯くんずっとあんたについててくれたんだから…」


10時ということは、

5時間近く玲唯を拘束したようだ。


「とりあえず楓は明日まで入院。だけど玲唯くんにちゃんとお礼言うのよ」


そう言って先生を呼んでくると言ってお母さんはドアの向こうに消えた。


点滴で熱が下がったのだろう。

頭痛がなくなっている。


起き上がってスマホをとる。


メッセージの上は里奈と他のクラスメイト。


そして1番上は玲唯。


【起きたら連絡して】


「何よ…」


他の子が好きなくせに優しいことばっかして。


嬉しいのに、悲しい。


玲唯と両想いだったらいいのに。

玲唯と付き合えたらいいのに。


玲唯と、【幼馴染】じゃなかったらよかったのに。


スマホに雨が一滴落ちた。


それは雨ではなく私の涙なのは当たり前で。

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