第28話
綺麗だな、と思うと同時に。
あまりにも残酷だと神様を恨んだ。
「ごめん。俺楓に甘えてた。でも、幼馴染だからってなんでも知ってるわけじゃないよな…」
「…」
何も、いえない。
声が、でない。
「俺、去年から隣のクラスの詩織…女子が好きでさ。楓には知っといてほしくて」
知ってるよ。
知らないわけがないでしょ?
みんな知ってるって。
「でも、その子には彼氏がいるんだ。だけど、諦めきれなくて…」
ってか、幼馴染だからって報告する必要ある?
そんな、残酷な真実。
色々な言葉が喉から出そうになって、口の中で溶けた。
何を言っても傷つけてしまいそうな気がして、唇から血が出そうなほど噛み締めた。
「だから、最後に…文化祭終わったら、告白しようと思うんだよね」
私の気持ちとは裏腹に、勝手に言葉は出てきた。
「いいじゃん!応援する!」
「ほんとに?うわー良かった、楓に言って。俺頑張るわ」
「うん、頑張れ」
あ、なんか、
私めっちゃ笑えてる気がする。
名女優ってか助演女優賞もらえそうじゃない?
そう思わないと、心がバラバラになって、砕けてしまいそうだった。
ー応援なんてしない。
ーこっち見てよ。
ー私、ずっと、ずっと前から。
ー玲唯のこと、好きだよ。
それが、言葉にはならなかった紛れもない私の本心だった。
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