泡沫の君へ

第22話

「来週から文化祭の準備に入る。お前らで好きなようにやれよー」


担任の先生がサラッと言って、文化祭の準備が始まった。


高校生にとって教科によって変わる担任なんているようでいないもの。

我関せずな担任でよかったと思うことが多かった。


高校3年生の私たちにとっては最後の文化祭。


そして、文化祭マジックは毎年のように起こる。


様々な思いをのせ、文化祭の準備が始まった。


暑い夏である7月に行われるということで、うちのクラスは模擬店一択。


タピオカを売ることになった。


私と里奈は、看板はTシャツのデザインを担当する係になり、同じ係になったことを喜んだ。


玲唯はというと…


「あれ?玲唯くんいないよ?」


里奈が看板のデザイン中に私に聞く。


「隣のクラスに偵察に行くって言ってた…他の男子と」


「偵察?あいつらも教室のデザイン考える係でしょ?何やって…楓?」


里奈が持っている筆に、私が手を重ねた。


「高校最後だから…アピールしたいんだよ。好きにさせといて」


「…相変わらず楓は優しすぎるんだから」


筆を自力で動かし始めた里奈を見て、自嘲気味に笑う。

私も自分の筆を動かし始めた。


本当は隣のクラスになんて行ってほしくない。


詩織ちゃんのいるクラスなんて。

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