第17話

「…そんな顔、見たことないよ…」


寝起きに私の部屋にくるくせに。


一緒に登校することもあるのに。


今も私があげたタオルを大切にしてるくせに。


笑って、泣いて、怒って、また笑って


幼馴染だからそんなキミの顔をずっと見てきた。


でも知らない。


頬を染めて、目を細めて、愛おしそうに女の子を見つめる顔なんて。


私は、知らない。


何かが、ガラガラと音を立てて崩れる音が耳元でした。


実際は何も壊れていないというのに。


いや違う、私の恋心は、

全て粉々に砕けてしまった。


ーねぇ、玲唯。


ー私、タオル届けたよ。


ー少しくらい…お礼とか、ないの?


そう思って見つめても、玲唯は全く気付くことはなく、挨拶にきた後、私には何も言わずに部室へミーティングをするために行ったのだった。


幸か不幸かー。


「でも詩織ちゃん、3年の先輩の彼女だよね?まだうちらにもチャンスあるはず!」


そんな声が聞こえて、玲唯の想いもまた片想いだということを知った。

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