第59話

急いで倒れた彼女を保健室へ運ぶ。


ー天王寺くんがいる!

ー誰あの子…!?女の子を運んでる!?

ー嫌、天王寺くん!それ誰…!?


誰かが何かを叫んでいるが無我夢中な俺には聞こえなかった。


ガラリと保健室を開けると誰もいなかった。


彼女をベッドに寝かせる。


ポニーテールが邪魔をしていて、申し訳ないと思ったが彼女のゴムを外した。


長く綺麗な黒髪。


目を閉じるとより一層まつ毛の長さが際立つ。


ー誰かに盗られそうだな…。


例え、思い出してくれなくても。


どうかもう一度俺と恋をしてほしい。


彼女の頬に手を当てた。


意識を失った彼女の頬は冷たかった。

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