第23話

まさか本当の王子だなんて…

言えるわけがない。


っていうかそんなわけない。


「で、莉音はその王子サマに惚れたのかよ」


むすっとする翔太。


「なわけないじゃん」


翔太の方が…とは言えなかった。


「ふーん、ならいいけどよ」


あれ?本当に心配だけ?

翔太から妙な雰囲気を感じた。


「もう!翔太ったら!女の子のロマンを奪わないでよね!」


「あはは、翔太は桜が盗られたら気が気じゃないでしょ?」


「そりゃそーだ」


ほら。

翔太のお姫様は桜なんだ。

 

親友として、心配してくれたことに感謝しなきゃね。


「ほら、莉音も起きたことだし、3人で帰るぞ」


「莉音、立てる?」


「大丈夫だよ」


そう言って保健室を後にした。

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