第9話 私の気持ちは‥‥

『ピッピッピッピッ』キャッチが入った。

「ごめんなさい。キャッチが入ったのでちょっとでます」そう香菜に断る。


「もしもし、翔太です。先からかけているんだけど。長電話だなあ」


「‥‥まだ、長いことかかりそうだから、明日私の方からかけるわ」


「今日のこと、俺は別に悪くないと思ってる。でも、あなたとこのまま会えなくなるのは嫌なんだ。その電話終わったら、何時でもいいからかけてくれないか?手短にすませるから」


「気持ちは‥わかったわ。じゃあ、あとでね」そう、こんなところが嬉しい。


「あとで」


◆◇◇◇


 「ごめんなさいお待たせしてしまって。まだ、そんなには会っていないんだけど

私のお見合い相手なの」香菜に正直に話す。


「お見合いって! さっき言ったように私と武ちゃんとは何にもないんだし、よりを戻すんでしょう⁈」


「武人とは社内恋愛で年下だったし、結婚なんてまだ考えられないだろうってずっと思ってた。だから会社の人にばれないようにって常日頃から意識もしていた。でも心のどこかで結婚を望んでいたかもしれない。だから結婚してるって知ってからは、彼を忘れるためにお見合いをしたの」


「でも、武ちゃんとはお互いに障害はないんだから。愛した人と結婚しなくて後悔すると思うのよ」


「あなたは、ずっと支えていてくれた武人がいなくて大丈夫なの⁈」


「わ わたし? 私には、愛している人がいるもの」


「私には、あなたがちっとも幸せそうに思えない。自分を苦しめる愛は、愛とは言わない‥‥と思うの」


「‥‥」


「とにかく私は、今の彼とこの先一緒に歩んで行きたいと思ったの」喧嘩⁈ばっかりだけれど‥うふふ


「よくわかりました。もう、何を言ってもあなたの意志は決まっているのね。今日は長電話になっちゃって、ごめんなさい。それじゃあ失礼します」


「はい。私もうまく自分の気持ちを、伝えられたのかわからないけれど、武人‥さんにもそう伝えてください」そう言って切った。


『ハアー』とても疲れた。

時計を見ると、11時をまわっていた。翔太に電話をすると言ったけれど、もうそんな気力はなく簡単なメールを発信して寝てしまった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る