第2話
主要な登場人物や用語の説明
《登場人物》
佐伯宏虎(さえき ひろとら)
【主人公・刑事(男性)・25歳】
飄々として掴み所のない性格。T京府K田区に務める刑事。階級は巡査。へらへらしていて考えなしに見えるが、実際はとても思慮深く冷静な思考をしている。長い物には巻かれるタイプで事なかれ主義的でもあり、行動力は控えめ。ただ薫子や清孝に関することに対してはこの限りではない。自分以外の家族を全員強盗に殺された過去を持つ。その悲しみと怒りからどん底にいた際、無垢な幼さで寄り添ってくれた薫子を深く愛している。強盗も薫子も同じ人間であることから、人間を憎み切れない。非常にアンビバレントな危うい精神性の持ち主。薫子を犯罪組織「煤天狗」から守るため、煤天狗の情報を優先的に得ることを条件に警保局長直属の特命捜査官として違法捜査に従事することを了承した。女性の扱いも上手くモテるが、薫子に操を立てておりなびくことはない。容姿端麗で痩身の美形。無表情で黙っていると整いすぎていて怖いほどである。髪と瞳は鈍色。短髪で前髪はゆるい七三分けにしている。インバネスに吊りバンド、青色眼鏡を着こなすお洒落な男。着物も嫌いではない。
日下部薫子(くさかべ かおるこ)
【主人公・女学校4年生(女性)・15歳】
正義感にあふれた、気の強い性格。浅海女学校に通う4年生。自分が正しいと信じたことに対してとても真摯で、かつ忖度しない。発言力、行動力ともに旺盛。そのため教師や権力者などから嫌われることもしばしばだが、反対に同輩や下級生からは好かれることが多い。その強硬とも言える姿勢は、本来の繊細で寂しがり屋な自分を隠すためである。厳しくも優しい養父母と兄を尊敬しており、彼らのような強い人間になりたいと願っている。また、少女向け雑誌を愛読しているロマンチストでもある。恋愛に関しては非常に不器用。幼い頃から佐伯のことが大好きだが、素直になれないでいる。佐伯ほどではないが整った顔立ちをしている。吊り目で唇を引き結んでいることが多いのでキツい印象を持たれがち。丁子色の瞳で栗色のロングヘア。ハーフアップで白いリボンを巻いている。浅海女学校の制服である紫袴を気に入っているが、洋装も好き。
日下部清孝(くさかべ きよたか)
【サブキャラ・小説家(男性)・25歳】
穏やかで優しい性格。薫子の兄。佐伯の親友。身体が弱いが、推理力・洞察力に優れた切れ者。平和主義者で争いを好まない。薫子を家族としてとても大切にしている。佐伯とは軽口を叩きあう仲だが、それはひとえに佐伯への信頼故である。薫子には佐伯と一緒になってほしいと思っている。恋愛にはあまり関心がない。髪と瞳は墨色。短髪。流行に疎く、着物でいることが多い。
橘幸子(たちばな さちこ)
【サブキャラ・女学校4年生(女性)・15歳】
いたずらっぽく、あっけらかんとした性格。浅海女学校に通う4年生。薫子の親友。薫子とは衝突もよくするが、その度に仲を深めてきた。薫子の恋を応援している。たれ目で唇も厚く、愛嬌のあるかわいらしい顔立ちと表情をしている。勝色の瞳と髪でロングヘア。一本のみつあみに瑠璃色のリボンを巻いている。動きやすい洋装が好き。
砂川庄太郎(すながわ しょうたろう)
【サブキャラ・芸術家(男性)・享年52歳】
気難しくへそ曲がりな性格。薫子の実父。天才牙彫家。特に透かし彫りを得意としている。厭世家で人間嫌い。例外的に妻と娘、そして幼なじみの忠重には深い愛情を持っている。薫子と同じく栗色の髪に丁子色の瞳を持つ。面倒くさがりのためいつもぼさぼさ頭。
日下部忠重(くさかべ ただしげ)
【サブキャラ・元帝国陸軍中将(男性)・54歳】
度量が大きく、明朗な性格。薫子の養父。鬼の日下部中将閣下と呼ばれた豪傑である。偏屈な砂川が心を許していた数少ない人間でもある。砂川亡き後、薫子を引き取り実の娘のように育てている。視力が落ち続けていることから退官。髪と瞳は墨色。オールバック。洋装よりも和装を好む。
楫鳥(かじとり)
【マスコット・狂言回し(オス)】
粗野で横暴な性格。どこからともなくあらわれる納戸色と栗皮茶色の小鳥。誰にともなく用語の解説をしてはバタバタと去っていく。目つきが悪い。
《特徴的な用語など》
セント
警保局長直属の極秘特命捜査官としての佐伯の名前。薫子の名前から連想し、佐伯が付けた。scent。警保局長から命令を受ける際は、「松雪道具屋」という道具屋の奥の間を使っている。この奥の間に通してもらう合図として、1セント硬貨の表と裏を道具屋の主人に見せることになっている。
珠玉の瓦礫に在るが如し
砂川による最期の牙彫作品の名前。砂川が忠重と薫子のために制作した物で、本人に売るつもりは一切なかった。ハプニングからとある記者に制作途中の作品を見られてしまい、それが元で煤天狗にその存在が知られることとなった。
煤天狗
犯罪組織。窃盗、暴行、詐欺、誘拐、殺人とその犯罪は多岐にわたる。構成員は天狗の面をつけて活動する。頭目は中年の男性で富豪の貿易商。犯罪願望を持て余した者や逃走中の犯罪者を構成員として引き入れ、潤沢な資金と人材で犯罪をさせている。頭目がそんなことをする理由はなんと娯楽のため。そのことを知る構成員はいない。頭目はまた砂川と砂川の作品を偏愛しており、血眼になって最期の作品を探させている。
薫子の根付
死を悟った砂川が彫った小さな虎の根付。「珠玉の瓦礫に在るが如し」の隠し場所を暗号にして彫り込んでいる。
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