同期から見る白金という男
※BSS要素と少しだけ性描写注意。
と言ってもこの頃の男の子なら健全な気もする。
白金と富士本コンビをモブ視点から見た図です
―――――
今年、俺は追憶学園に入学した。
そこに可愛らしい女の子がいた。
富士本司
少し茶髪っぽく見えるショートボブな髪型
他の女の子と比べて小さく、体型も相まってロリっぽく見える。
運動音痴でどんくさい。そんな姿に俺は保護欲を掻き立てられて惚れた。
だが惚れたのは俺だけじゃないらしく、他の男共も彼女の虜になった。
負けたくない。
だが素直に感情を吐き出せないから、ついつい見た目をつついてしまう。
「富士本ってホント妹みてーだな」
「・・・っ。うっさいわね、ほっといてよ」
睨みながら言ってきても下からのぞき込まれる形になるから、その姿を可愛いという感情しか湧かない。
もっとしてほしいとついついからかってしまう。
だがある日、一条という2年の先輩に富士本はハーレムの一人になった。
そんな・・・と、思っていたが、一条先輩はヒモ宣言をした。
そんなのに富士本を巻き込ませたくない。引っ張り出してやる。
そんな思いで、でも素直に感情を出せなかった。
「富士本、一条先輩はヤバい奴だって。離れた方が良いぞ」
「なんでそんな事言うのさ」
「妹みたいに思ってる奴が変なのに着いて行こうとしてるからだよ」
「・・・っ、ほっといて。どうするかは私が決めるの」
そう言って富士本は一条先輩から離れなかった。
なんでだ?あんなヤバい奴に付き従う必要なんて無いとは思うが、意固地になる姿も、これはこれで可愛いなと俺は思ってしまう
「富士本って妹みたいで可愛いよな」
「そうそう、どんくさいところとか特に」
「俺の妹と変わってくんねぇかな。可愛げないんだよ」
「妹いるだけ良いじゃねえか」
男達と富士本の事を妹みたいで可愛いと話は盛り上がる。
だが俺だけが知ってればいい。富士本を女の子として見てて可愛いと、付き合いたいと、一緒に大人の階段を上がって一線超えた関係にもなりたいなんて事はな。
そんなある日、体育祭で二人三脚の競技で富士本は手を上げた。
俺としては面白くない。だって相手は男である白金だからだ
爽やかな見た目をした高身長なイケメンで他の女の子にもモテてる野郎が相手だなんて面白くない。
だが今更覆すわけ事なんて出来る筈も無く、あの二人で二人三脚の競技に出た。
が、はっ、白金の奴は最下位だ。かっこ悪い。
俺だったら最下位なんてさせなかったのにな。これで富士本からの白金への評価はがた落ちだ。挙手の時、先に手を上げてたのは白金だが自滅してくれてありがとうよ。
それから中間テストを過ぎて、男達とファストフード店で談笑してた時だ。
「お、おい・・・あれ見ろよ」
「え、富士本・・・は!?」
「お、おいあれって!?」
「ウソだろ!?」
見たくない物を見た。
白無地のワンピースにカーディガンを羽織り、ウェッジヒールを履いて歩いている、富士本司という一人の女性がいた。
妹のような富士本司はそこにはいなかった。
それ以上にその富士本の隣に歩いている男だ。
白金直人。二人三脚で最下位という情けない事をした男が、富士本と腕を組んで歩いている。
いや、それ以上な事を富士本がしだした。
富士本が白金の腕に抱き着いたのだ。富士本自らが胸に当てにいってると言う方が正しいレベルで抱き着いている。
しかも、むすっとした表情なんか欠片も無く、満面の笑みを白金に向けてる。
俺に向けた事なんか一度も無いのに。
「あ、あいつらが曲がった先って」
「え、い、いや、偶然だろ」
「何かの間違いだ、追いかけるぞ!」
「おい!早く食い終えるぞ!」
急いで食べ終えて店を出て追いかけた。時間的に1分あるかないかだ。
だが絶望を叩きつけられた。
曲がった先を追いかけたが二人はいなかった。この先はラブホしかない。
つまり、二人は入ったのだ。ラブホに。
俺が、俺が欲しかった。富士本に「私の処女、貰って・・・?」なんて言われながら大人の階段を上りたかった。
でも現実は白金が奪っていった。白金に全部奪われた。
白金がヤリチンの屑野郎とか、二股の浮気野郎だと決めつけて男達皆で調べ上げた。だが現実はどこまでも非情だった。
浮気なんてしてない。それどころか言い寄られてもきっぱり断って一途に富士本を想っているのがこれでもかと教え込まれた。
スペックの高い爽やか高身長イケメンが運動もできて体格も良い。更に一途とか勝ち目がない。
教室で二人を見てる時、富士本は白金に対してピースをしてる
白金もそれに応えるようにピースで返してる。
奪おうと思っても白金が立ち塞がる。
言い寄らせない。言わせない。そんな強い意志を見せられた。
入れない。奪えない。ガチガチに固められた関係に入る隙すら無かった。
俺の初恋が散った。
俺が、俺が最初に富士本の事が好きだったのに。
どこで間違えた。
――――――――――――
「これ面白いな・・・」
「でしょ!?」
「司さん、次のおすすめどれ?」
「これ!ダンジョンの奥に進むために魔物を食べる物語!」
俺は恋人である富士本司とデートをしていた。
ただ疲れただろうと思ったので、本人の趣味である漫画やラノベ、小説と言った物が知りたいと思い、ファーストフード店の曲がってすぐにある漫画喫茶に入った。
「この主人公、考えてる事が怖いな・・・」
「でも、他にはない個性があるでしょ?」
「確かに。中々無い個性だな」
あまりこういうのに興味が無かったが、司のこの笑顔を見ると自分も読んでみようと思う。教えてくれた司に感謝だ。
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