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兄さんがあのペンダントを持って帰って来たのは、俺が小学校一年生だったと思う。
制服のまま、兄さんは親父と出掛けていった日…
うっすら覚えてはいる。
帰って来た兄さんは、あのペンダントを持っていたんだ。
子供心に、高価なものだって思っていた。
それが、兄さん一人もらって帰って来たのだから…
あの日何があったのかは、聞いた事がない。
7ヶ月前のある日、兄さんと父親の話声が聞こえて来て、何気なく聞いてしまった事実。
兄の母親が、亡くなっていた事。
その人には別の家族が居る事。
女の子が一人…
俺より一つ下で、当時中学三年生の受験生だと言う事だった。
偶然にも神崎という名前が聞こえて来たんだ。
その後は何の根拠もなかったが、4月新入生の中の神崎と言う名の女の子が居る事がわかった。
確率は半分。
その子が兄の妹にあたるのか…
しかも、兄の存在を知っているのかどうかも…
賭けだったよ。
でも、あの子はあの場所に現れたんだ。
それでも、まだ確実なわけじゃなかった。
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