出撃!ライフセービング部!
鳥丸 飛鳥
中学一年生
第1話
「侑!入学おめでとう!」
「ありがとう、お母さん」
4月某日、____中学 入学式
すきなことはゲーム。好きな食べ物はハンバーグ。
彼は3月まで、ランドセルを背負っていた。
_入学式はもう終了した。
残るは、教室に行き先生とクラスメイトの名前を聞くの
み。
侑は1年4組。そういえば、小学校のときもそうだったなぁと移動中に関心をしていた。
「次は…伊澄侑さん!、自己紹介をしてほしいな。」
「はい」
「伊澄侑、趣味はゲームです。よろしくお願いします。」
自分の自己紹介を手短に済ませ、他の人の自己紹介もまともに聞かず、何人か過ぎたころ、彼は窓の外を見つめ、考え事をしていた。
そう、彼には目標がある。
それは部活を立てること。
小学校のころから憧れていた部活動というもの。彼は心待ちにしていた。
みんなの自己紹介や学校生活等の説明も終わり、解散となった頃、一人の少女が話しかけてきた。
「いずいず!同じクラスになって嬉しい!!ねね!いずいずはこれから何したい?!」
彼女は
「俺は部活を作りたいかな。」
「言ってたね!!私のこと誘ってね?」
侑は親指を立てながら真顔で承諾した。
「勿論。副部長の役割をあげる。」
「やったー!!!」
分かりやすく両手を上げて喜ぶ夜子を裏腹に、侑は悩んでいた。
この中学は部活を作るために4人必要だ。2人だと人が足りない。
「人が足りないや。適当に声かけてくるよ。」
侑は貰ったプリントをしまい、リュックを背負った。
「やこもいく!まっていずいず!」
適当に声をかけよう。彼は部活を作るためには何でもする意気込みだった。
「ねぇ」
侑は教室から出ようとしていた少年に話しかけた。
「ねぇ、君。部活興味無い?ライフセービング部、どう?」
「…なんだそれ、俺は入らないぞ。ライフセービング?なんて知らないし。」
彼が声をかけたのは少し怖そうな顔をした少年。急に話しかけられて困ったのか、険しそうな顔で侑たちを見ている。侑自身、彼の名前を知らなかったが、彼は部活を作るためには何でもするつもりである。
「だめだめ!それについては話すからさぁ!」
夜子が少年の袖を少し強めに引っ張った。少年はさっさと帰りたそうな、迷惑そうな顔をして夜子を振り払う。
「あのな、俺さっき断っただろ?!俺はそんなの入らな」
少年が話終わる前に、侑は彼に口を挟んだ。
「名前なんて言うの?」
侑からの質問を聞いた途端、少年は目を丸くした。
「はぁ?!俺の名前知らないで話しかけてたのか?!というか、自己紹介聞いてなかったのかよ!!……ッアークソ、なんかめんどくさいなお前…」
彼は手を顔に当てて手を焼いていた。
そして口を開いて
「
甘楽は踵を返して教室を出ようとしたとき、また侑がしつこく話しかけた。
「分かった、明日も来るから。そこまでに考えといて」
その言葉に甘楽はまた足を止めて振り返る。
「はぁ?明日も同じ答えだと思わないのか?」
何を言っているんだこいつは?という顔をして侑を見つめた。
「思わないから言ってる」
「いずいずは1度決めたら変えないからね!君は!かんかんはもう確定だからね!」
甘楽をビシッ!と指さして元気に話した。
「え?は?おかしい、お前ら本当におかしい、てか待ってなに?かんかんって?」
「うん?甘楽のあだ名!!」
「あだ名?!初対面だよな?!」
夜子は人にすぐあだ名をつけるクセがある…、初対面すぐにあだ名をつけられた甘楽は混乱に混乱を重ねてもはやイラつきさえ覚えている。
「じゃあね、甘楽。」
そろそろ引き際だな、と判断した侑が甘楽へ挨拶を交わす。
「おう!二度と来んな!!」
色々とイライラしてしまっていた甘楽は強い口調で侑たちへ言い放つ。
するとそれに気づいた侑は夜子へ耳打ちをした。
「あの人酷いね夜子」
「ひどいね!」
「お前ら聞こえてるぞ!!!」
そう言い放ってととくさと甘楽は帰って行った。
侑は持っていた小さいノートに甘楽の名前をひらがなで書いた。
「夜子、また明日人を探そうか。」
「うーん?今日はもうしないの?」
侑は周りを見渡す。教室や廊下にはもうほぼ人はいなく、みんなもう帰宅していた。
「…そっかぁ…みんな帰っちゃったのかぁ…」
「明日も学校の説明とかで午前中で終わっちゃうけど、朝早くこればいいからね」
「うん、そうだねー!夜子起きれるかなぁ…」
侑は少し間を置いて考えた後、夜子に案を提示した。
「俺が明日夜子の家行くよ」
「え?!いずいず来るの?!」
「だって…起きれないんでしょ?」
それはそうだけどぉ…という顔をして悩む夜子の後ろに人影が立った。
「早く帰りなさい、そんなにお勉強が好き?」
話しかけてきたのは担任の
結婚していて子供も2人いる。自己紹介の質問の際に、そう話していた。
「先生の子供って何歳なんですか?」
「話を逸らさない、早く帰ってね。親御さんも心配するから。」
「はぁい」
浅葱先生に急かされ、侑は夜子とさっさと帰路についた。
「じゃあね、夜子」
「また明日ねー!」
2人は手を振り会い、また明日と挨拶を交わし分かれた。
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