第51話
「わっ、馬鹿! そんな状態で剥いだら……」
「ぎゃぁぁぁ!!!」
真一の悲鳴と一緒に血が飛びちり腸が床にボタボタと落ちる。真一の足元は真っ赤に染まり、部屋中は鉄のような生臭さがたちこめる。
「ほら、どう? 柔らかそうよ」
返り血を浴び真っ赤なオセが剥ぎ取った腹の皮をシュトリに見せる。
シュトリは人骨人形をかばう様に抱き込んでいたが、顔にはもちろん大切な人骨人形も血に濡れていた。
――やばい私死んだかも
異常なまでにシュトリが大切にしている人骨人形。それになにかすれば迷わずその者を殺すだろう。
オセの皮を持つ手が震えだし顔を引きつらせると手にしていた腹の皮が真っ二つに割かれる。
「いらん! 汚らわしい。さっさと片付けろ!」
金色の目に牙をむき出しで怒鳴ると人骨人形に着いた血をハンカチで神経質に拭きながらソファーに戻って行く。
――なによ、ちょっと血が飛んだくらい!
反省の色を見せずに悪態をついていると、シュトリが振り返る。
「一度でもそれに悲鳴を上げさせたら、俺がお前に一生悲鳴をあげさせてやるからな」
「……はい」
両手に持っていた腹の皮を暖炉の火に投げ入れ微かに息をしている真一に話しかけた。
「あなたの恋は完全に破けたわ。もう悲鳴あげないでよ」
道連れに叫んでやりたいと思っても真一にそんな力は残っていなかった。
走馬灯のように瑠衣との思い出が頭に浮かんで最後にDerezeの入り口に立つ自分が浮かんだ。
入口に座り見守っている男を見上げている自分の姿に答えを見つける。
――あぁ、そういうことか……地獄の門。
「この門をくぐる者は一切の望みを捨てよ……」
隣にぶら下がっている瑠衣をオセが鉤爪のフックから外して暖炉に投げ入れる。
炎の粉が舞い上がると瑠衣を焼き尽くし灰すら残さない。
続いて真一を鍵爪のフックから外すと仰向けにしてぽっかりと空いたお腹に床に散乱した腸を乱暴に押し入れる。
「片付け終わり!」
真一の髪を掴み暖炉のそばまで引きずって行く。真一の目に燃え盛る炎が迫りぽつりとつぶやいた。
「門をくぐった先は悪魔の望むがまま……」
そのまま暖炉に投げられ真一もすぐに炎に焼かれ形を失った。
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