第40話
「君の病気の事だけど、小原先生から詳しく聞いたよ。
これから先、辛い時もあると思う。
その時、僕に出来る事があったら何でも言って。
出来る限り、優衣ちゃんの希望に応えるから」
「先生は、私の他にも担当してる人はいないの?」
優衣はふと思った。
「私が呼び出した時、他の患者さんの所にいたらどうするの?」
素朴な疑問。
「それなら大丈夫」
海人が笑顔で答える。
「僕はもう、優衣ちゃんの専属のカウンセラーだから」
「専属?」
「うん。僕はこれから優衣ちゃんのカウンセリングしか受けない。
・・・もしかして、その事を気にして、この時間まで呼ばなかったの?」
「ううん。そう言う訳じゃ・・・ないけど」
海人に会う時間が勿体無くて呼べなかった。
そんな事、口が裂けても言えない。
今の優衣には言えなかった。
「それじゃあ、私が呼ぶまでの時間とか、カウンセリングが終わった後の時間は何してるの?」
「優衣ちゃんのカウンセリング以外の時間は、レポートをまとめたり、ここで働いてる医師や他のカウンセリングの先生たちの相談や話を聞いたり、治療方針を一緒に考えたりしてるよ。
ここに勤めている先生やカウンセラーにも精神的なサポートが必要な時があるからね」
優衣は納得し頷くと、「先生たちも・・・辛い時あるよね・・・」と海人を見た。
「そうだね」
そう言ったきり、2人は黙ってしまった。
残された時間が頭を過る。
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