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第8話
クリスマスが過ぎて、次の日から毎日のようにフィンに手紙を書いた。
貰ったペンで手紙を書き終わると、文字がふわふわと浮かんで空に飛んでいくのだ。
そして、朝になるとフィンからの文字が紙に届いてる。
気が向いたらなんて言ってたけど、毎日ちゃんと返事を返してくれた。
「近づいてフィンは私のこと、嫌になったのかな……」
手紙には日常のことばかり書いた。聞きたいことは沢山あったけど、質問ぜめにして嫌われてしまうのは困るし、やっと手に入れた通信手段だ。
でも、フィンの日常を知るには十分な返事だった。
ブリクセンがマフラーを気に入って洗濯させてくれないとか、じいさんのマッサージをさせられて疲れただとか――
彼女がいるだとかそんな内容のことは一切なくて、私も特別にフィンへの気持ちを綴ることはしなかった。
好きだと書いたら、フィンは困って手紙を返さなくなると思ったから。
毎日かかさず書いていた手紙も、体調を崩して書けない時があった。私が手紙を送らないとフィンからは手紙が来なかった。
自分の一方通行な気持ちが露見した気がして落ち込んだ。
だけど、すぐに諦められるような簡単な思いじゃない。
「なんせ4歳のころからずっと思ってる。なにも聞かないまま終われないよ」
私はめげずに手紙を書いた。書けばフィンから返事がある。
クリスマスに会えるまで頑張らなくちゃと、毎日とりとめのない日常を綴る。
そして去年のクリスマスに私はフィンに気持ちを伝えた――
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