第22話
――年甲斐もなく興奮して眠れなかった。
こんな姿でもデートだと絵里に言われ、平静を装いながらも何度となく北木の心は悶え踊っていたのだ。
「何としてもエニシを見つけて自分の姿を取り戻す」
北木は何度も呪文ように呟き起き上がると、会社で見るより年若く可愛らしい雰囲気の絵里が洗面所から戻って来た。
立ち上がったまま、絵里の姿に見惚れて無意識で尻尾を左右に揺らす北木の視線に絵里は顔を赤らめる。
「なにか変ですか?」
「いつもと雰囲気が違って……可愛いと思う……」
「ありがとうございます……少し早いですけど、もう出かけますか?」
「そう、そうだな」
恥ずかしいような甘い空気が流れ、二人はぎこちない動きであらぬ方向に視線を向ける。
絵里が紙袋を取りに行き、袋を北木の前で広げると文句の一つも言わず、自ら紙袋の中に入り「よろしく」と中から絵里を見上げた。
「はい。それじゃ行きますか」
夜に書き出したメモを北木に渡して二人は部屋を出た。
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