第3話

「アキ飲み物買っといて。俺、先に行ってチケット買っとくよ」






強い日差し。アキと呼ばれた女は、もう二度と聞くことのない彼の声を耳にして呆然とする。






「どうしたのアキ?俺、烏龍茶ね。急がないと見れなくなっちゃうぞ」






アキの頭を撫でると横断歩道に歩いて行く。

この場面は見たことがある。




本当にあの8月31日に戻っているなら彼は・・・・・・





「待って!ワタル!」





彼を止めようと名前を呼ぶが気づかない。

猛スピードで走ってくるトラックが道の先に見えている。



アキは持っていたバックを投げ出して、ワタルの背中を追いかけた。



横断歩道の真ん中で、猛スピードで走ってくるトラックに気がついたワタル。



驚いて立ちすくんでいるワタルの背を追いついたアキが思いっきり押した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る