マグネット
第1話
「その眼鏡、似合わないわ。やめなさいよ」
眼鏡を変えるたびに言われた。
「その髪型も最悪、その服のセンスも最低」
事あるごとにダメ出しをしてきた隣のおねえちゃんは、金融屋みたいな眼鏡をかけてセンスのない髪型の観光地の名前が大きく書いてあるようなTシャツでデートに来るような男と結婚をした。
披露宴の席で『本当の弟のようにかわいい男の子』と紹介をされ、一言を求められた。
「オメデトウゴザイマス。末永クオ幸セニ」
と、儀礼的な挨拶をするとリカコちゃんは「はやくいい彼女作りなさいね」と笑った。
この場で服毒自殺でもしたら、どうなるだろうか? と考えながら無駄に高級そうな料理を食った。
うちの母親も父親も運ばれてくるワインを飲んで言った。
「アンタ、ブサイクじゃないのにねぇ、なんで彼女できないのかね」
同じテーブルの近所のおじさんとかおばさんも言った。
「もったいないねぇ」
本当に、舌でも噛み切って死んでやろうか? そんな風に思いながらワインを飲んだ。
彼女いない歴が年齢と同じ。
……だと、わかったのはリカコちゃんが結婚相手を紹介してきた時だった。
まさに青天の霹靂。寝耳に水。
藪から棒。だ。
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