第16話

しばらくして、ヒロキは申し訳なさそうに笑った。


「春日さん、もし……迷惑じゃなければ、メールとか……連絡先交換を」


「え!」


「あ。すみません。チャラいかなぁと思って聞くの躊躇したんですけど……さすがに図書館の本にメモを挟むわけにもいかないので」


「ふふふ、はい! そうてすね!」


リカは慌てて鞄からスマホを取り出す。本が床に落ちた。


ヒロキはその本を拾い微笑んだ。


「はい」


「あ! すみません」


「全部読み終わりましたか?」


「はい、さっき」


「面白かったよね」


「本がお好きなんですか?」


「……ってか、同じ年だよね? 敬語やめない? 」


「あ! はい……うん」


ヒロキはリカを見て頷いた。


「実は、今度このミステリーをやるんで、原作読んでおこうかなっと思って」


「やるって?」

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