第12話

私は、竜宮城のような城が落ちていくなかで見た炎の熱さまで鮮明に覚えていると伝えた。




そして、交わした約束。




そのあとの事がプツリと途切れているのは私がそこで事切れたからだろうと、いつからか漠然と思うようになったと言うこと。




祖母に前世の記憶たと言われたこと……今まで誰にも話したことないものすら溢れ出すように話した。



不意に彼の電話が鳴る。



「……あ、さっきの友達」


「出て?」



彼は頷いてから、電話に出た。



「あ、もう? そんな時間? そっか……悪いけど4人で食って、俺はリナちゃんと食うよ。そっちまで15分以上かかるし、ちょっと、ふたりで話したい……そんなんじゃねえよ……あのなぁ……うん、じゃあ」



ハッキリとした言葉にドキッとする。


さっきの夢の話をという意味だと解っていても、男の子にそんな風に言われることはないからいらない考えが頭をよぎる。



「ごめんね……なんか、もう、集合時間だったみたい。友達と食いたかった?」


「ううん、それは平気、でも、ノゾムくんはお腹大丈夫?」


「うーん、そうだなぁ。腹へったけど……話聞いてからでいいよ」


「そう?」


「うん」



彼は私の話を聞いた後、うーんと首を捻って考えるように目を閉じた。



「……これ、見て?」



そう言い財布の中から小さく畳んだ紙を出すと広げた。



「高校の時、修学旅行で沖縄に行ったんだ、そこで占い師みたいのいてさ、同じ班の奴等がやろうって言い出して」



紙には『宮廷兵士、二十、想い人と宮廷にて火の海に消える』

と書いてあった。



「俺は宮廷の護衛をしていたみたいなんだ、二十歳の時の戦で死ぬんだけど、恋人と一緒に宮廷の火災のなかで死んだんだって言われたって……キモい?」



私は首を大きくふった。



「……鳥肌が止まらない」


「うん」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る