第2話

チアリーダーに冬は関係ない。


元気と100%の笑顔が大事なチアリーダーは寒いからと震えているわけにはいかない、スコートで足をあげながら冷たい風を浴びても笑顔で声を出す。

ベンチの選手がコートを着ていても、寒さや暑さや苦痛に顔を歪めても、笑顔でいる。


チアリーダーは好きだけれど、時々ものすごく疲れる。そう思いながら暗くなった空を見上げた。


「つかれた」


休みの日になにやってんだ。そんなことを思いながら家までの道のりをタラタラ歩いていると後ろから声がかかる


「マイ!」


聞きなれた声に振り替えるとシュウがチアリーダーに負けないぴかぴかの笑顔で手を降った。


「今日はサンキューな!」

「いえ、仕事ですから」

「仕事かよ! あはは!」


シュウと私は同じマンションに住んでいる。

幼稚園から、ずっと一緒。くされ縁というやつだ。


「なんか一緒に帰るの久しぶりだな」

「あ~そうかもね」


シュウはニッと笑った。


「あ、オマエ。明日……来れんの?」

「うん、行くよ」

「……わりぃな、かあちゃんがゴーインで」

「あはは、いーよ。どーせうちの親は仕事だしね。冴子さんのご飯美味しいし」

「そっか……しかし寂しいやつだな」

「は?」

「デートにも誘われねーのかよ」

「悪かったわね。ってかシュウだってデートとかないの?」


シュウはクスっと笑った。


「あったらいいんだけどな」

「あはは。同じじゃんか」


毎年クリスマスはシュウの家のパーティにお邪魔する。


共働きの両親とクリスマスを過ごした記憶がなく、幼稚園の頃からずっとシュウの家でチキンやケーキを食べる。気がつくと自分のベッドに寝ていてサンタクロースからのプレゼントを見つけて、翌朝再びシュウの家に行くと互いに見せあったりするのだ。


高校生になった今もパーティーはそんな当たり前の定例行事になっていた。

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