第23話 値札とかをちゃんと外しておかないと
誘うことには成功した。
さて、何を着て行けばいいんだ?
うーん、みんなヨレてて……普段使いならともかく、デートに使えるとはいえない。
ヨレてないのは、本家のお祖母ちゃんが作ってくれたネクタイだけど、デートに? いや、違う。
う~ん
よし、明日の仕事帰りに買いに行こう。
あんまり美々しい服だとビックリされそうだから、いつもの量販店でいいと思う。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
よし、残業終わり。
今からなら洋服屋さんの営業時間……迷っても大丈夫そうだ。
『
「あ、ああ、いいぞ」
『すいません。案件255改2なんですが、―――』
「あ、あれか。えーっとバックデータは――」
これは手間のかかる件だ。う~ん、こんな日に限って。
『(ヒソヒソ)
『
『(ヒソヒソ)ゆ、坂元さんは急いで帰りたいみたいです。何か用事があるんでしょう。それを、
『(ヒソヒソ)ああ、なるほど』
『嶌君、何か困りごと?』
『曙主任。案件255改2のバックデータなんですが』
『ああ、あの試験データ。そのデータは坂元君も持ってるけど一部だけで私の所には全部あるよ』
『え、じゃあ曙主任相談いいですか?』
『はい、いいよ』
『じゃあ、坂元さん、ありがとうございました』
「う、うん。ゴメンね、力になれなくて」
『いえいえ、大丈夫です』
よーし、洋服屋さんに行こう。
「お先に失礼します」
よかった。嶌君と曙主任には申し訳ないけど……
だけど、どうして曙主任は気づいたんだろう?
…………
『いらっしゃいませ』
えー、いっぱいあって目移りするなー。だいたい、どんな服がいいんだろ。
うーん。
うーん。
うん、店員さんに相談してみるか。
あれは、バイト……大学生かな?
誠実でそうな感じの人だ。
「すいません、服を一式買おうと思いまして、ちょっと迷ってまして」
『はい、どのような服をお求めですか?』
「えーと、実は今週末デートでして、それに着ていくんですが、まだ方向も固まってないというか……それに、服を見てもどんな感じになるかわからなくて」
『はい、それはおめでとうございます。それで提案ですが、こちらのマネキンで大まかな方向性を決めて、それから試着してみるということでいかがでしょうか』
「はい、ありがとうございます。その手順がいいと思います」
相談して正解。誠実な店員さんでよかった。
『では、こちらから見ていきましょうか』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
うん、いい服が買えた。
これで、土曜日の服は確保できた。
値札とかをちゃんと外しておかないと。
お風呂も終えたし、よし、
―――――――――――――――
翌日、僕らは魔宮殿ユーガルドに攻め込み、死闘の末、魔王ウートガルザを倒した。
『ふう、終わったな、だいぶ痛かったけど』
『うん、ブリュンが引っ張ってきてくれたから、魔王が倒せたよ』
「いや、みんなが力を合わせてくれたおかげだよ。それより、ヘルヴォル、レギン、ヒーリングの状況は?」
『大丈夫、傷が深かったゲイラとヒルドルも
「二人とも残りの
『ギリギリだったけど大丈夫よ。まあ、ベッケリエをおごってくれたらいいわ』
「ベッケリエならエイルが得意だから、我が家でパーティーにする?」
『(ヒソヒソ)ブリュンったらどんな時でもエイルさんなのね』
『(ヒソヒソ)ロータ殿、ブリュン殿とエイル殿は幼馴染でしたよね』
『(ヒソヒソ)いや、それ以上だと思うよ』
『?』
『(ヒソヒソ)旅立ちの時のブリュンとエイルさんの視線』
『(ヒソヒソ)……分かってないのは自分のほうでした。確かにそうでした』
「よし、みんな大丈夫か?」
『『おう』』
『『『『はい』』』』
「じゃ、シグルーン頼む」
『諒解、空間転移! 王都トランサルピナへ』
エイル、あんまり長く居られないと思うけど、帰るよ。
―――――――――――――――
このシーン、勇者パーティーが魔王を倒した直後だけど、もっと達成感を描写したほうがいいかな?
いや、この時は全員、名称不詳のラスボスの存在を確信してるからこれでいいか。
待てよ、他のメンバーは、勇者ブリュンがラスボスの存在を知らないと思っててるんだよな。そこはどうかな。
……ブリュンがねぎらいを軽く流してるが、魔王を倒したばっかりで慌ただしいときだから誰も違和感を抱かなかった……うん、これでいいと思う。
よし、続き。
―――――――――――――――
『勇者ブリュン殿とその仲間たちよ、よくぞ魔王ウートガルザを倒してくれた。心から礼を』
ん、この気の流れ?
あ、懐……エイルにもらった短剣が熱くなってる?
“ホ、ホ、ホ……矮小な人間ども。
『な、なんだこれ、音じゃなくて脳に直接入って来るぞ』
『ど、どういうエネルギー波? これは……みんな気を付けて、このエネルギー波はヤバい感じがするよ』
直立不動の姿勢で並んでいた近衛兵がいきなり斬り合いを始めた。
『おい、お前らどうした!』
“ホ、ホ、ホ……ちょっと儂の力を分けてやったら、
あ、近衛兵が一人倒れて、けいれん……あー
『レギン、
『ううん、ヘルヴォルは?』
『使ってない……あのエネルギー波、私たちに最初ちょっと触れたけど届かなくなった……』
『ヘルヴォル殿、レギン殿、Neutralizationとは全く違うシールドが存在したようです』
『私たちが使えるシールドとは次元が違うみたいでおぼろげにしか覚知できないけど、相当強力なシールドみたい』
『『『『でも、いったいどこから』』』』
―――――――――――――――
さて……この王様に大魔王の存在を公表させるか、させないか。
ちょっと、考えるか。
お、
へー、次の作品はラノベ作家と若き俳優のラブコメか。Cherry R先生って主人公たちの幸せそうな様子の描写がとってもいいんだよね。
よし、“いいね”っと。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ご訪問ありがとうございます。
ティラミスはイタリアヴェネト州トレヴィーゾのレストラン、レ・ベッケリエのシェフがバニラアイスクリームを作っているときの手違いから生まれたと言われています。
ということで(?)雄郷君が書いている小説の世界ではティラミスはベッケリエと呼ばれてます。
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