第一章 チーズケーキ
第9話
第一章 チーズケーキ
『月夜のバトンタッチ』P4
観世は泣いていたらしい。なんか左の指が腫れていた。見間違えか、夜はくぐもって見えない。
電車の扉に、満員電車で押し流される肩のストレートの艶の出てきた髪を、気に出来ない位のうっとおしい乱雑さの気配に、うんざりしながら、苛々していた。だらしない靴下を、何とか見ない様にしたい程の柄の悪い女子高生が、ぎゃーぎゃー五月蠅い。あと一駅(ひとえき)が堪えきれない。吐き気がする。
浮かんで消えるざらざらと、女子高生の鞄の安物のハートのアクセント。輸入品のあぶれた色。時々揺れる車内は、とても居心地悪い。
『山越、山越』
扉が不意に開くと、よろめくが、とどまり、砂の臭いのする空気が舞い込む。
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