第3話   まずいな、先攻を取られた。


 「所持金オープン」


 【0カッパー】


 俺は、無一文だな。


 周囲の建物を見る限り、中世ヨーロッパというよりも。

 ナーロッパとか、中世ラノベファンタジーといった世界観だな。


 ギルドなんかがあって、そこでクエストを受注して、金を稼いだりする世界かもしれない。


 ああ、面倒だ。


 「おい、ショタ」


 ん?ショタ?


 目の前の、見るからに野良犬にショタと声をかけられた。


 俺、異世界転生したら、ショタなんですか?


 自分の姿を見るに、確かにショタだ。


 旧スタイルのぴったり短い短パンでも、まったく違和感がない。


 俺、異世界転生したら、ショタになってました。


 「なんだ、野良犬」


 「お前さんが座ってる所から」

 「どいてくれないか」


 ん?そういや、俺は座っているな。


 俺は、ゴミ箱に座っていた。


 「いやだね」


 「!」


 「めんどうくさい」


 「なんで、俺が野良犬にどけと言われてどかなければいけないのか」


 「ほう」


 「やろうってのか」


 「はぁ、やれやれ」


 「仕方がない」


 俺は、デッキを抜いていた。


 「へぇ」


 「抜いたな、ショタ」


 「めんどうだ」


 「お前も早く抜け」


 「デッキも抜けないなら」


 「土でも食ってろ野良犬」

 

 「やってやろう」


 野良犬も、デッキを抜いた。


 「闘技」


 「闘技」


 【闘技が承認されました】


 【闘技開始】


 闘技者が闘技者を相手に目的を成そうとすれば、闘技になるのは異世界であろうと道理。


 「私の先攻だ」


 【プレイヤー:いっぴきの野良犬が手札を5枚ドロー】


 【先攻のため、1ターン目のドローなし】


 【プレイヤー:ショタは手札を5枚ドロー】


 !


 まずいな、先攻を取られた。


 俺は先攻を取った方が良かったんだろう。

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