長尾景虎の『シン・船中八策』~元・全国新聞紙投書有名人の僕が、世界的政治経済書のベストセラー100冊を研究して『最強の政治経済改革本』を作りました。

長尾景虎

第1話 ~これが日本国の未来へのヴィジョンだ!新世紀維新の策謀 2025-2026 みんなのシン・国際情報 第一弾 ~


長尾景虎の『シン・船中八策』~これが日本国の未来へのヴィジョンだ!新世紀維新の策謀

2025-2026 みんなのシン・国際情報 第一弾

~元・全国新聞紙投書有名人の僕が、世界的政治経済書のベストセラー100冊を研究して『最強の政治経済改革本』を作りました。~これがChatGPTには予測できない日本国の未来への処方箋~

                 total-poduced&PRESENTED&written by

              NAGAO  Kagetora長尾 景虎






         this coment is a dramatic interoretation

         of events and characters based on public

         sources and an in complete historical record.

         some scenes and events are presented as

         composites or have been hypothesized or condensed.


     ーwith history the final judge of our deeds,let us go

      forth to lead the land we love asking his blessing and

      his help,but knowing that here on earth god'S work must

      truly be our own.ー   JFK


  〝歴史をわれわれの究極の審判とみなし、神の恵みと助けをもとめながらも、

  この地上では神のみざはわれわれ自身の所業でなければならないことを心に刻みつつ  愛する祖国を導き、前進していこうではないか〝

                     ジョン・F・ケネデイ

                      1917~1963



この作品は引用が多くなりましたが、けして盗用ではないのです。どうかよろしくお願いします。裁判などはどうか勘弁してください。NAGAO KAGETORA長尾 景虎  臥竜

 (この書は一部、古くなった内容が含まれていますが、出版有料化版のときに最新データ及び文章内容に加筆・推敲する予定です。興味を持たれた出版社の方やライターの方、どうかよろしくお願いします)



   長尾 景虎『草莽崛起(そうもうくっき)宣言』上杉奇兵隊隊士へ


歴史は時間が永遠に触れるところに成り立つのであり我々はそれぞれの時代に永遠と触れている。個人は、国家や民間を通して、人類の文化や改革の建設に参加することによって、永遠に繋がることが出来るのである。今日我々の置かれている非常時においては、多くの人々が普段忘れていた死の問題にどうしても現実に直面しなければならない。今日の改革や改革運動において『復興戦略・船中八策』の大改革は、皆さんにも、私にも、死を覚悟しての命がけの大改革であり続ける。ひとの死は好むと好まざるとに関わらず、死は考えざる得ない真剣な問題である。命をかけて改革運動をすることでなければ、国家やすべてのひとびとは、過去も未来も変えられない。死ぬほどの運動と啓蒙と、大改革の成功を信じて命を捨てる覚悟で、大改革を成し遂げよう。死は、ひとが死ぬほどの必死さで運動を仲間達とともに起せば、きっといい方向に世の中は変えられる。例え、ひとりの力は僅かであっても、死ぬほどの意気込みでやれば独裁にも勝つことができるのである。草莽の志士たちよ、上杉奇兵隊隊士のひとたちよ、どうか肉体的な死、精神的な死、を恐れず立ち上がってください。改革をすすめ、よりよい社会構築を成し遂げた時、あなたがたの死は、未来をも築く礎として、燦然と光り輝くであろう。

われわれは肉体的な死、精神的な死、を恐れることなく大改革の成就に邁進しよう。

われわれはあらゆる死も恐れない。何故ならわれわれが未来の国家・国民の礎をなるのだから。今こそ、改革の時期である。この燦然と輝く未来への大改革こそ我々の使命だ。

さあ、始めよう。まずは改革成就のために情報や教養を身につけよう。改革は、情報や教養なくして動かない。学んで、学んで、行動だ。時は今、である。



 長尾景虎『草莽崛起(そうもうくっき)宣言(日本改革案)』国民の皆様へ


 確かに、わたしは専門家でもないし評論家でもない。が、僕は十数年前に、全国新聞紙で何回も投書が掲載されて全国に情報やこの国の危機を発信し有名になり、あの週刊文春までもが僕を取材した実績と経験を持つ。いわば素人ではあるが最強の知性の〝はしくれ〟―――――だが、この著作を一読すれば、どれだけ研究や勉強に長い時間がかかったか、とわかるはずだ。

 まあ、それだけ価値がある、ということ。

 みなさんはこのような国際情報の知識を持っていますか? ただやみくもに情報本を読んでいても国際情報の知識の不足は解決できると思っていたかもしれませんが、それではうまくいかないですよね? 今回、わたしが提示する国際情報の知識の本は、この課題を解決する最適な方法で、100冊のまとめで作った本というという方法です。この方法の画期的な点(斬新さ・メリット)は、100冊の知識が一辺にすべて学べるという点です。なぜ私がこの方法を知っているかというと、私は学問好き・本好きだからです。この方法はすでに数万人の人が試して成功しています。こういう知識を習得すると、人生が劇的に変わります。良いことだらけです。みなさんがこの方法を知らなかったとしても無理はありません。なぜならプロには当たり前でも、素人にはわからない知識だからです。この方法は、時間がなくしかし知識を得たい人達におすすめです。さあ、この本を読みましょう。

 政治は国民のものだ。人と人が寄り添うぬくもりのある社会をつくりたい。保守とは度量の広い中庸な、温かいもの。地域の歴史や伝統、文化を次の世代に受け渡しながら、新しいものを加えていく。

世の中を便利にしたり、新しい価値を生み出したりすることを邪魔する仕組みやシステムと戦おう。為政者の実行力に任せたい。

 22兆円のGDP(国内総生産)ギャップがあり、埋めていかなければならない。未来につながる投資をする。子育て世帯に支えるというメッセージを送っていく。子育ての支援にまずお金を使わなければならない。

 再生可能エネルギーを入れるため必要な投資を政府が率先するべきだ。送電網の整備、洋上風力(発電)や太陽光などだ。再生可能エネルギー100%で日本のエネルギーを回すのも絵空事ではない。(但し、現在は再エネだけでは必要量の電力は賄えない)

 何よりもやらなければと思っているのは年金の改革だ。今の制度で(給付額を抑制する)マクロ経済スライドを発動していったら、将来もらえる年金の金額はいくらになるのか。 

守るべきは年金制度ではない。

 わかりやすい説明で何が問題なのか、どういう選択肢があるのかを示す。生活を守るための年金をつくる。

政府与党に声が届かないと国民が感じており、危機感を持つに至った。俺が俺がと押しつける政治ではなく、多様な声を真摯に受け止める寛容の政治が求められている。

 私自身も含め、我々は欠点の多い不完全な人間ばかりだ。しかしそうした不完全な人間のありようを受け入れ、先人たちの地域の伝統、慣習、秩序を尊重しながら様々な意見に耳を傾け一歩一歩よりよい社会をつくっていく。

原点に立ち返る。

 政権与党役員に中堅・若手を大胆に登用する。党役員の任期を明確化し、総裁を除く党役員の任期を1期1年連続3期までにする。

 次期総裁選でオンライン党員投票の実現を目指す。

感染症危機に備えた法改正や司令塔機能をもつ「健康危機管理庁」の設置に取り組む。

 基本的価値を共有する国、地域と毅然と対応する。

国の使命は国民の生命や財産、(国の)領土、領海、領空、資源や主権と名誉を守り抜くことだ。使命を果たすため全てをかけて働く。

 経済安全保障では個人情報の流出などを防ぐために経済安全保障包括法を制定し、秘密特許や一定の外国人研究者のスクリーニングを可能にする法整備を検討する。新たな戦争の形に対応できる国防体制を構築する。

 未来をひらくための成長投資、分厚い中間層の再構築に資する税制、人材力の強化や全世代の安心感創出に資する政策を力強く実行する。ベビーシッターや家政士の国家資格化を前提とした税額控除を行える仕組みを構築したい。

日本経済強靱(きょうじん)化計画を掲げる。金融緩和と機動的な財政出動、危機管理、成長投資を総動員して「物価安定目標2%」の達成を目指すという考えは違う。この低欲望社会では、金融緩和と財政出動(マネーサプライ)で「お金じゃぶじゃぶ」にしても、景気はよくならない。今の日本人はお金があっても遣わない。なら、個人金融資産2100兆円を動かすことだ。低金利ではなく、金利を高くする。1%上げただけで18兆円が動く。時限的に、基礎的財政収支(の黒字化目標)を凍結する。名目金利を上回る名目成長率を達成すれば財政は改善する。

日本に強みがあるロボット、マテリアル、アニメ、漫画、ゲームなどさまざまな分野を戦略的に支援していきたい。国産の量子コンピューターと小型核融合炉の開発を提案する。

人口減少や、弱者など主役にならない人々へ向けた政策が十分ではない。誰かがこれをやらなくてはならない。日本の伝統的な寛容さ、多様性を体現するのだ。

 約束して実現できていない政策を洗い出し、なぜできていないかを考える。人口減少で議員数も調整するのは当然だが、議員定数は大幅削減できていない。

誰もがわかる政治を示したい。

 (新型コロナウイルス対策では)臨時暫定の病院「サブホスピタル」を作る。診察して重症化を防ぐ。経済活動を控えてもらうことがあれば全ての働く人に現金を一律で給付する。そのように提案する。

 子供の支援の司令塔として「こども庁」女性の活躍や支援の「女性庁」温暖化やカーボンニュートラルへの「環境対策エネルギー庁」サイバー犯罪・ネット誹謗中傷・ネット犯罪対策の「サイバーセキュリティ庁」の設立を提案する。教育、保育や貧困問題の解消など、子供や女性や環境に積極的に投資する。投資は日本の持続可能性を世界に示し、日本への投資意欲も高まる。成長のカギは子供や女性にある。

女性の社会進出が進んでいるが、国際社会に比べてまだまだだ。

社会のパラダイムシフトを一気に加速させる。

歴史は時間が永遠に触れるところに成り立つのであり我々はそれぞれの時代に永遠と触れている。個人は、国家や民間を通して、人類の文化や改革の建設に参加することによって、永遠に繋がることが出来るのである。

今日我々の置かれている非常時においては、多くの人々が普段忘れていた死の問題にどうしても現実に直面しなければならない。

今日の改革や改革運動において『救国の新世紀維新』の大改革は、皆さんにも、私にも、死を覚悟しての命がけの大改革であり続ける。

ひとの死は好むと好まざるとに関わらず、死は考えざる得ない真剣な問題である。命をかけて改革運動をすることでなければ、国家やすべてのひとびとは、過去も未来も変えられない。

死ぬほどの運動と啓蒙と、大改革の成功を信じて命を捨てる覚悟で、大改革を成し遂げよう。

死は、ひとが死ぬほどの必死さで運動を仲間達とともに起せば、きっといい方向に世の中は変えられる。例え、ひとりの力は僅かであっても、死ぬほどの意気込みでやれば独裁にも勝つことができるのである。

草莽の志士たちよ、日本国民の皆様たちよ、どうか肉体的な死、精神的な死、を恐れず立ち上がってください。改革をすすめ、よりよい社会構築を成し遂げた時、あなたがたの死は、未来をも築く礎として、燦然と光り輝くであろう。

われわれは肉体的な死、精神的な死、を恐れることなく大改革の成就に邁進しよう。

われわれはあらゆる死も恐れない。何故ならわれわれが未来の国家・国民の礎をなるのだから。今こそ、改革の時期である。この燦然と輝く未来への大改革こそ我々の使命だ。

さあ、始めよう。まずは改革成就のために情報や教養を身につけよう。

改革は、情報や教養なくして動かない。学んで、学んで、行動だ。時は今、である。

 (参考文献『所見発表演説要旨』参考映像『NHK自民党総裁選挙報道』)



                   おわり


   『長尾景虎談話』「―――戦後80年目前を前に謝罪にかえて―――」


 東南アジア・極東・アジア・日本において1945年8月15日は歴史的意義のある日です。けして忘れてはならない開かれたパンドラの箱です。

 私たち日本人は、歪めず、飾らず、誤魔化さず、真正面から真実を見つめる力を必要とし、またその力を持っているのです。

 私たちは日本人として、他国の皆様や被害者たちや無辜の民・無残な仕打ちをした人々、に対して、改めて謝罪の意を示さなければならない。もちろん、すべての日本人がすべて悪いというのはWGIP(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム・アメリカの洗脳)でもありますが、時代は悲惨な戦争下のことであり、ある程度の虐殺もある程度の侵略もある程度の強姦もあったということを我々日本人は反省しなければなりません。被害を与えた皆様にはお詫びのしようもありません。本当に申し訳ございませんでした。

 歴史の中で戦いと暴力とにまき込まれるという罪——これと無縁だった国が、ほとんどないことは事実であります。しかしながら、アジア人を人種としてことごとく抹殺する、というのは歴史に前例を見ません。慰安婦や徴用工での虐待や暴力、過労、低賃金での違法労働や奴隷労働、他国への侵略に植民地化、属国化……この犯罪に手を下したのは少数です。公けの目にはふれないようになっていたのであります。しかしながら、アジア系の同国民たちは、冷淡に知らぬ顔をされたり、底意のある非寛容な態度をみせつけられたり、さらには公然と憎悪を投げつけられる、といった辛酸を 嘗めねばならなかったのですが、これはどの日本人でも見聞きすることができました。知らないとはいわせません。戦火の泥棒、掠奪、強制労働に連行、法の保護の剥奪、人間の尊厳に対するとどまることを知らない冒涜があったあとで、悪い事態を予想しないでいられた人はいたでありましょうか。

 目を閉じず、耳をふさがずにいた人びと、調べる気のある人たちなら、(アジア人を強制的に)移送することに気づかないはずはありませんでした。人びとの想像力は、アジア人や敵兵の囚われの兵士たちの虐殺や侵略や暴行やコントロール下におく方法と規模には思い及ばなかったかもしれません。しかし現実には、犯罪そのものに 加えて、余りにも多くの人たちが実際に起こっていたことを知らないでおこうと努めていたのであります。当時まだ幼く、ことの計画・実施に加わっていなかったひとの世代も例外ではありません。

 確かに、今の日本人は当時はまだ幼かったか、まだ生まれていなかった人々が大半でしょう。私自身もその当時は生まれていないのです。ですが、だからといって、「生まれていないときのことを謝罪するいわれはない」ということではいけないのです。

 確かに、生まれていない。だが、その先祖のした蛮行を忘れない。いつまでも悔い改める姿勢が大事なのです。その上で和解し、手を取り合って共に前進することが最重要です。

良心を麻痺させ、それは自分の権限外だとし、目を背け、沈黙するには多くの形がありました。戦いが終り、筆舌に尽しがたい大侵略・大虐殺の全貌が明らかになったとき、一切何も知らなかった、気配も感じなかった、と言い張った人は余りにも多かったのであります。

一民族全体に罪がある、もしくは無実である、というようなことはありません。罪といい無実といい、集団的ではなく個人的なものであります。

 人間の罪には、露見したものもあれば隠しおおせたものもあります。告白した罪もあれば 否認し通した罪もあります。充分に自覚してあの時代を生きてきた方がた、その人たちは 今日、一人ひとり自分がどう関わり合っていたかを静かに自問していただきたいのであります。人口の大部分はあの当時子どもだったか、まだ生まれてもいませんでした。この人たちは自分が手を下してはいない行為に対して自らの罪を告白することはできません。

日本人であるというだけの理由で、我々が悔い改めの時に着る荒布の質素な服を身にまとうのを期待することは、感情をもった人間にできることではありません。

しかしながら先人は、我々に容易ならざる遺産を残したのです。

 罪の有無、老幼いずれを問わず、われわれ全員が過去を引き受けねばなりません。全員が過去からの帰結に関り合っており、過去に対する責任を負わされているのであります。

  東京大空襲で数十万人が―――広島長崎の原爆投下で数十万人が―――――沖縄戦で数十万人が――虐殺され――諸外国には国家としての謝罪は済み、韓国には7700億円、中国にはODA(政府開発援助)として4兆円、ASEAN諸国への日本からの戦後賠償は、*フィリピン5億5000億ドル(借款2億5000万ドル)・*ベトナム3900万ドル(借款 1660万ドル・*サンフランシスコ講和条約に基づいて)、さらにインドネシア2億2308万ドル(経済協力 1億7691万ドル・バリ島の五つ星ホテル バリ・ビーチホテルも日本の賠償金で建設)・ビルマ(ミャンマー)2億ドル(経済協力 1億4000万ドル・借款 8000万ドル)、タイ4166万ドル、賠償金を放棄した国・ラオス、カンボジア、マレーシア、シンガポール(経済支援・ODAという形で)四か国には3億8000万ドルの戦後賠償(東南アジア諸国全戦後賠償総額10億1208万ドル)(すべて当時の為替レート)―――しかるに、国家としてはそうでも、日本人としての個人での謝罪や反省や贖罪はどうなっているのだろうか? そのことをよくよく考えなければなりません。まずは他者への寛容と温かみこそが大事なのです。

 心に刻みつづけることがなぜかくも重要であるかを理解するため、老幼たがいに助け合わねばなりません。また助け合えるのであります。問題は過去を克服することではありません。さようなことができるわけはありません。一秒たりとも過去には戻れません。タイムマシーンは存在しないのです。後になって過去を変えたり、起こらなかったことにするわけにはまいりません。しかし、過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となります。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危険に陥りやすいのです。

 アジア民族は今も心に刻み、これからも常に心に刻みつづけるでありましょう。

 我々は人間として心からの和解を求めております。 まさしくこのためにこそ、過去の歴史的な負の遺産を心に刻むことなしに和解はありえない、という一事を理解せねばならないのです。


                               おわり







  シン・船中八策・国際情報part1

第一策『国際情勢への策謀』

第二策『朝鮮・大東亜戦後問題への策謀』

第三策『日本の新世紀維新への策謀』

第四策『ロシアへの策謀』

第五策『中華への策謀』

第六策『インドへの策謀』

第七策『中東への策謀』

第八策『世界国内経済への策謀』

―――――part2での続き

第?策『欧州南北への策謀』

第?策『中南米アメリカへの策謀』他





第一策『国際情勢への策謀』




  新型コロナ論「凄まじい〝恐怖〟によっての『緊急事態宣言』は正しい。「新型コロナはただの風邪」との大嘘で安心したい正常バイアス、「嘘」で経済と患者を殺そうとした一部の専門家とメディアを糾弾する!」(当時の記事をそのまま引用します)


 新型コロナ・ウィルスに関して、「まだこわい」「自粛続行をしない奴は非国民」という空気がまん延しており、大衆がそれでより感染拡大を抑える。その限りは安倍政権(当時)もそうだったが、岸田政権もポピュリズムで動くしかない。

客観的データが大衆の情緒に負けている。

その結果やってくるのは、未曽有の大不況だ。

失業率が1%上昇すると、自殺者は2400人増加するという。

新型コロナ・ウィルスによる失業者の増加で、自殺者は史上最悪となり、その数は最悪の場合年間4万人で、収束に2年かかると試算している。

しかも、その後、連関した死者数が、2019年度の水準に戻るまでには 19~27年掛かり、累計して増加した自殺者は、累計年、14万人~27万人になるという。

今後、約265万人の労働者が失業し、隠れ失業者517万人にも上る。自殺者は今後も年間4万人になるだろう。

「新型インフルエンザと同じようなウィルスが新型コロナ・ウィルスである。いや、インフルエンザには、ワクチンや治療薬がある。が、それでも年間1000万人が感染して 1万人が一年間に死んでいます。インフルエンザの方が怖いんです。

新型コロナは、日本に限定してしまいますが、日本では死者がたったの千人くらい。(今は一日数万人・まあ、これも山を越えれば激減すると期待したい)

新型コロナはインフルエンザより死者が少ない。もちろんこれは日本に限定した話で、海外では何十万人単位で死んでいますが」

ある一部の人間はそう大嘘をつく。日本に限って死者数が異常に少ないことを取って(当時)、「ただの風邪と同じ」「インフルエンザと同じ」「怖がり過ぎ」という。

恐怖がある時に、「それは恐怖ではない」「風邪と同じだ」と自尊することで不安を払しょくしたいのだろう。

よって「(日本に限ってですが)こんな感染力が弱いウイルスなら、秋冬の新型インフルエンザと同様にして、第二波・第三波・第七波以降は、(日本では)「指定感染症」を外して、どこででも診察が受けられるようにすればいいのです」と結論づける。

危うい。これでは憂国で、日本国は道を誤る。新型ウィルスは「たいしたことはない」「ただの風邪」「コロナは世界的な陰謀」……そう信じたいことで安心したいのだろうが浅はかこの上ない。エイズが流行った時も「エイズウィルスなど存在しない」という陰謀説が流布された。SARSやMERSのときもそうだった。エボラでさえだ。今回も同じで、増大する恐怖を軽く考え、とにかく安心したいのだ。

だから、日本だけが異常に死者数が少ない(当時)からと「風邪と同じ」という。

あるフォロワー数100万人のブロガーも、感染するまでは「ただの風邪と同じ」と侮っていた。が、感染後、後悔し、そののち新型コロナ+合併症で病死した。

志村けんさんも岡江久美子さんも死んだ。

日本人の死生観について述べたい。

例えば、スウェーデンでは、医療は、高負担・高福祉の国で、実は寝たきりゼロの国でもある。要は、ぴんぴんころりというのがスウェーデンのやり方なのだ。

認知症をわずらい、自力で起き上がれない患者には、施設に入居した者でも、毎朝必ず介護スタッフが手伝って、車椅子に乗せて、きれいな服を着せ、食堂で食事を楽しむ。

もし事故にあっても、あくまで自己責任で、施設側の責任は問われない。散歩も自由で、「酒を飲みたい」という老人にはよほど健康上の理由がない限り飲ませ、最後まで人生を楽しむよう助けるのが介護職の仕事だという。

ところが日本はどうか? ただ長生きすればいいと思い、寝たきり介護にする。

最終的には、病院のベッドで、チューブでぐるぐる巻きにくくりつけられて寝たきりになって死んでいく。これでは人の死ではない。

寝たきり老人。ボケ老人。徘徊老人。糞尿まみれの老人。スパゲティ状態になってただ生きているだけの老人。これが人の生き方なのか? 人の死に方なのか?

こういってはなんだが、日本が何故、これほどまでに感染者や死者数が少ないのか。

これは一つ、わかっていて言われているのが、「日本人の清潔好き」の衛生環境であろうと思われる。

実際、欧米は汚い。といってしまえば怒られるが。

フランス人は食事の前もトイレに行った後も、手を洗わない。例えば、欧米で家に入るときは、靴のままだが、外の泥や菌やウィルスがまん延してしまい、不潔である。

または、皿の洗い方も適当で、風呂に入っても、泡だらけ。また、その泡を水ですすぐこともなく、タオルで拭いてそれでおしまいである。

日本のような「清潔」という観念がないのだ。

だが、ワイドショーで、悪質なことを言っている人が多い。

日本で、である。「休める我々は、休めるサラリーマンは、それだけで幸福なわけですよ。休まなきゃ。どんどん休まなきゃ。リモートで仕事。スティホーム」(某・民放サラリーマン解説者某氏談)

「人を見たらコロナと思え 」

「とにかくひたすらどんどん検査すべし」

「陽性者は問答無用でつかまえて隔離すべし」

「自分が感染したら家族と別居すべし」

「誰かが感染したら、かかってなくとも一家離散すべし」

「その際の費用は国が何とかして出すべし」

「子供専用の隔離施設をつくるべし」

「宅急便は置き配にすべし」

「中国のように完全管理で食材を配給すべき」

「会話は禁止すべし」

「休むのが仕事と考えるべし。とにかく休んで」

      (某・民放ワイドショーコメンテーター医師+大学教授談)

ハンセン病患者を隔離した恐ろしい歴史から、何も学んでいない。

さらにナチス・ドイツが「ユダヤ人を発見して、収容所に隔離せよ」という人種隔離政策、ホロコーストからも、彼らは何も学んでいない。

命と同じくらい、経済=金も大切で大事なのである。

 何故なら、どんな綺麗事を言ったところで金がなければ一個のおにぎりやパンさえも買えない。飢え死にするしかなくなる。新型コロナで数万人が失業し、路頭に迷っても、それでよしとするのは間違っている。GO TO イートやGO TOトラベルとかいう訳のわからないことは暫くやめたほうがいい。それより、医療従事者の待遇改善や病床数の更なる確保を。国民にマスクを二枚配るとかより医療費・治療費・感染予防策に予算を!

 それと同時に経済もしっかり回していくべき。緩めれば当然、感染者が増えるがそのことだけに一喜一憂してはならない。国民への〝予防策徹底〟を!

 当然、弱いところは(高齢者や幼児・若年層、基礎疾患患者や障碍者や低所得者、ホームレスなど行政がカバーするべきところは多数ある)守ること。これからが智慧が必要になる。



新型コロナウィルス 

日本感染者数  約12万815人

日本死者数  約1900人

回復した人  約10万5697人

世界感染者  約5625万704人

世界死者   約 134万9400人

回復者   約3614万7493人

(2020年11月19日時点 )


新型コロナ世界死者20万人。米国5万3000人。英国2万人。イタリア 23万6000人。スペインフランス2万2000人。インド500万人。


日本の病気の死者数 (年間・2020年初頭当時)

がんなど    約38万人

心臓疾患    約21万人

脳血管疾患   約11万人

肺       約10万人

交通事故    約4万人

インフルエンザス約1万人

新型コロナ    約1913人


現在、「緩和政策」を行っているのはスウェーデンだけです。実はイギリスは世界で最初に「緩和政策」を行ったのですが、多くのデータから、医療崩壊を起こしてしまうことが判明し、開始からわずか五日後に、「抑圧政策」に転換せざるを得なくなった。

いまも続けているスウェーデンの「緩和政策」の柱は、 75歳以上の高齢者だけを対象に自粛を求めるというもの。

新型コロナは、若年層の致死率が低い半面、高齢者は高いことが分かっています。だからです。また五十人以上の集まりも禁止しています。

実はトランプ大統領(当時)は「やり方が、甘すぎる!」と激しく批判したのですが、スウェーデンは国として完全に無視しています。

アメリカは、異人に自分たちの考えを押し付ける国ですから、トランプの発言を無視するのは流石です。

人は、「いやなことから逃げたがる」という習性があります。

当然ですが、誰だって病気にはなりたくはない。たとえ癌でも、なりたくないから早期予防に務めるわけです。

でも、感染はどんなに健康な人でも平等にあって、苦しいが、早期予防などできない。

終息させるには、健康体の皆が感染して「集団免疫」を獲得するか、有望有効なワクチンを接種する以外に道はありません。

「集団免疫」ができるのには、すべての(高齢者や重病者や障碍者など以外)人が感染する必要があり、大勢の人が感染しなくてはならない。嫌でも感染する。そして、ピークを迎え、やがてなだらかに感染者や死亡数は下降していく。つまり相当の人が感染しなければ終息しないのです、ただ、ピークに迎えた既感染者数が坂を上るように急増すると、医療崩壊になる。

そうならないように、ゆっくりと感染者が増えていくようにコントロールしたうえで「集団免疫」を目ざしていくのが、通例での「緩和政策」なのです。

新型コロナの死傷者は、世界規模で700万人、1000万人に達するのは明らかです。

そして、更にこうしたことが顕著になれば、日本でも医療崩壊を引き起こす。

何故なら、日本は医療依存度が異常に高いからです。

ただの風邪でも、病院で面倒みてくれるのは世界でも日本くらいのもの。今もPCR検査を受けてウイルスに感染した軽症者は、外来で、診察することになっています。が、心配だからと、感染者本人が入院を希望して、これに応じれば医療費資源のキャパを超えてしまいます。現に、重症化するのは2割といわれています。が、それでも人工呼吸器の数は少ないのです。

患者に効果的とされるECMO(膜型人工肺)を使うには、一台当たり一人の医師と、実務労働など20人程度のスタッフが、24時間体制で対応する必要がある。

『医療ツーリズム』で訪れる外国人が多いように、日本の医療のレベルは高い。

しかし、それでもECMOは四人に一人が、人工呼吸器は四人に三人が助かる。つまり、ECMOは必ずしも助かる治療法ではないのです。

「自粛を頑張れば感染を収束できる」という見通しは明らかに嘘です。海外に目を向けても、「今は頑張って、感染者が減ってきたら緩めて」と……。多くの国でやっているわけです。でも、緩めたら感染者数は大幅に増える。「先延ばし」を世界各国がこぞっておこなっているのです。ただし、先延ばしの弊害がかなりあることを忘れてはならない。

大多数の人が感染しなければ収束しないのだから、重症化しやすい高齢者や基礎疾患を持った患者さんや障碍者や乳幼児に医療的ケア児などは別として、健康な人による「集団免疫」の獲得を目指すやり方しかありません。

お医者さんには、重症患者の治療だけで働いてもらい、死者数の増加を防ぐ。軽症者や無症状者の人は、経済活動を再開してもいいんではないか(日本国に限り)。

そうしないと、医療従事者の能力が重症者以外でもさかれてしまうわけだが。

中国やアメリカや欧州では、感染者が激減して、すでに『アフターコロナ』の状態だ。

だが、日本はまだ安心できない。ここにきて、一日数万件……と世界と乖離しつつある。

ところで、テレビのコメンテーターは、「みんな、いま集中的に頑張れば、短期間でおわる」「だらだらと長期間自粛するより、一気に集中してやるべきだ」等と、根拠のないことをいうのを国民は観て、すっかり恐怖して、毎日の放送で、恐怖心に拍車がかかっている。

そんな甘いものでありません。二年後、三年後まで、やり続けなければならないのが実情です。ワクチンが開発されても、あれはアメリカのワクチンなので、まずはアメリカ人に……日本人へは2021年の夏ごろから……でしかなかった。

どんな感染症でも、リスクに対策を講じることが重要で、高齢者がソーシャル・ディスタンスを保つように徹底すべきです。

若者の行動をコントロールしても、そもそも危険因子がほとんどないので、意味がない。結局、今の日本の政策は焦点があっていないのです。

ほかの病気の患者がいる病棟に、同じ重傷であっても、コロナ患者を入院させている現状だって、本当は駄目なんです。これは危険です。本当に。

医療の従事者が足りず、医療従事者をかき集めているのが現状です。

現在、「PCR検査を増やせ」と叫ばれています。が、やればやるほど医療現場は圧迫するのは明らか。日本では検査が「犯人探し」の模様を呈しているけれど、介護、PCR検査、の結果が陽性でも、軽症なら働けます。

感染者・医療従事者の濃厚接触者までが同様に自宅待機させられている。

これではただでさえ不足している医療資源を大量に削っているのに等しい。

日本のPCR検査が「犯人捜し」が目的になっているのは、「嫌なことから逃げたい」という「感染者の原則」が強く働いているからで、非常に危険です。今はとにかく、「検査を増やせ」「ドライブスルー方式を導入しろ」と、いった声がどんどん大きくなっている。

新型コロナに日本人の7~8割が感染するとすれば、数千万人単位となる。ただ、検査結果が陽性だから軽傷だからにかかわらず隔離すれば、日本の人口の大多数が働けなくなってしまいます(苦笑)。

政府や自治体が、ホテルなどの隔離施設に隔離させるけど、検査を増やせばあっという間にキャパシティを超えてしまう。

仮にインフルエンザと同程度の感染力だとしても、年間の感染者は 1000万人です。

これだけの数を隔離するのは不可能です。今は、本当にやらなければならないのは、とにかく医療崩壊を回避するため、人工呼吸器とこれを扱える医療スタッフを増やすこと。 

ただ、今後十分な数が足りていない人工呼吸器をどの程度、選別するか? という問題も必ず持ち上がる。医療現場は、人工呼吸器を増すのに多大に疲弊しており、そのうえ患者の命の選別「命のトリアージ」もストレスを増す。

あまりにも深刻だ。なら、国が「命の選別・トリアージ」のマニュアルを作るしかない。

社会には、抽象化しやすい高齢者の「命の選別・トリアージ」の意思を徹底してもらう。

国が呼び掛けることです。これを政策として、徹底しなければ緊急事態宣言は単なる一時しのぎになってしまう。緩めれば、必ず感染のピークがまたやってくる。その時期がインフルエンザが流行する冬に重なれば、目も当てられない状況になってしまう。

マスクを全国に2枚ずつ配ったり、10万円を給付したり……そのことをするよりも、その分の予算を医療機関に、医療対策にあてた方がよかった。

*中でも20~50代の働き盛りの世代が他の地域に感染を広げているということで、これらの人々の行動を抑えることが重要と指摘しました。

激しく移動しているのは働き盛りの世代と若年層なのに、政府はなぜか「GoToトラベル」について、65歳以上の人や基礎疾患がある人に利用の自粛を求めるという、意味不明な提言をしています。

そもそも65歳以上の高齢者や基礎疾患がある人たちの多くは、政府に言われなくても自粛しています。

今さら、敢えて言う必要など全くありません。実際のところアドバイザリーボードから何を言われたとしても、菅首相(当時)を始めとして何が何でも「GoToキャンペーン」を残したい人たちが、アドバイザリーボードの意見も聞こえないふりをして、話を進めているのではないかと私は見ています。

旅行業界から「GoToキャンペーン」をやめないでくれと頼み込まれて、政府は国民よりもそちらに目を向けてしまっているのだと思います。

産業別の就業者数を見ると、宿泊・飲食サービス業は420万人です。

決して小さくはありませんが、大きすぎもしません。国全体の問題を俯瞰してみて、特別扱いしなければならないほどでもない、と私は感じます。

それよりも、医療福祉関係の従事者が新型コロナウイルスへの対応に追われ、仕事が休みなく続き疲労困憊しています。こちらの方がより重要な問題なのに、国として何1つ政策を取れていないのがおかしいと言わざるを得ません。

国が何もしないので、病院ごとに必死に対応していますが、コロナに引っ掻き回されて病院経営も苦しい状況になり、冬のボーナスも出ない病院が多いと聞きます。

本来ならば無条件でサポートすべき医療従事者を、このような状況でほったらかしているのは国の怠慢でしょう。重病者のための施設準備も遅れています。

今の何倍も準備しておかなければ、いざという時の備えにはなりません。

一切まともな対策をせず、国民が動き回る方にお金を捻出するというのは、あきらかにおかしな施策だと思います。* *~*大前研一氏『提言』より一部引用

または、日本の医療の人々の死生観というものを決めることだ。

変えていかなくてはならない。

ただ長く生きればいい、というものではなく、いわゆる〝ピンピンコロリ〟で、あとは死ぬだけ、という生き方である。今後、感染者が多くなればPCR検査で死生観が見えなくなってしまうだろう。患者が増えていけば、それに伴って医療崩壊も起こるかもしれない。 

日本の人工呼吸器の数はイタリアよりも少ない。

儲けが度外視をされる日本では、医師はボランティアに過ぎない。

というのも、日本は「国民皆保険制度」なので、アメリカのようにドクター・フィー(医師に直接払われる診療報酬)はないからだ。皮膚科や泌尿器科や美容整形外科のクリニックや医師が増えても、コロナ感染拡大で明らかになった日本の医療問題は解決しない。

「陰謀論」の直論はカミカゼ特攻や一億総玉砕と同じだ。

このままでは、居酒屋のおっさんおばちゃん、ホステスやホストが次々と失業する。政府は一部の専門家の意見しか聞いていないとしか思えない。

この新型コロナの感染のピークをどう分散させるかがカギだ。

 (病気が重い人や高齢者や基礎疾患患者や障碍者や医療的ケア児などは仕方ないが)感染を悪戯に恐れることはない(患者いじめとか差別とかデマや排除とかはけしからんが)。

 まずは「集団免疫」か「経済を回し続ける」。命も大事。もちろん、新型コロナウィルスは「ただの風邪と同じ」でも「インフルエンザと同じ」でもない。もっと怖いし、安心したいからと陰謀説や軽病説を真に受けて、思考停止に陥ってもいけない。そして、経済=お金=生業も、また大事だ。まさに、「withコロナ時代」だ。知恵を使い、新型コロナに知恵で勝て!

 まさに、これからが日本のそして世界の正念場だ。

    (新型コロナの最盛期の当時の記事)

参考文献『新型コロナ』(ニュース情報+ウィキペディア)

『コロナ論』小林よしのり著作(扶桑社)



「フランスの子育て支援策」参照の政策「子育て戦略(長尾 景虎)案」(支給は年金方式*2か月に一回銀行振り込み)

1、一般扶養手当  子供を持つ家庭全体が受給することができる一般扶養手当は4種類。

①家族手当 もっとも基本的な家族手当は2人以上の子ども(20歳未満)をもつ家庭すべてが受給できる手当。所得制限なし。高所得者でもOK。子ども2人で、124.54ユーロ(1万5500円)3人以降は、1人ごとに157.57ユーロ(2万円)。さらに子どもが11歳以上になると35.03ユーロ(4000円)、16歳以上になると62.27ユーロ(7800円)が加算。加算額は、子ども1人(なし)、2人(1人以上手当支給)、3人以上(2人以上手当支給)と子どもの数によってかわる。1人の子どもだけでは支給が受けられない。

②成人手当 子どもが3人以上いる場合は、各子どもが20歳に到達した時点から1年間、成人手当として、78.75ユーロ(1万円)受給可能。

③低所得家庭手当 3歳から21歳まで子どもがいる家庭で低所得者の世帯には、162.10ユーロ(2万円)を受け取れる。

④孤児手当 片方または両方の親を失った場合に支給される手当で、片方親なしで87.57ユーロ(1万1000円)、両方親なしで116.76ユーロ(1万4千円)もらえる。失うには離婚もふくまれるのでシングルマザー(ファザー)ももらえる。

2、幼児養育手当 幼児養育手当は4種類の手当がある。

①出産一時金 妊娠して、出産することになってもらえる出産一時金は日本にもあるが、フランスにもある(所得制限あり)

 妊娠した場合は、7か月目に894.19ユーロ(11万2千円)もらえる。加えて、自然妊娠だけでなく、20歳未満の養子をもらってもOK。

 養子のときは、1788.37ユーロ(22万4千円)つまり、2倍!

②基礎手当 幼児養育手当の基礎手当として、子どもを出産してから3歳になるまで(養子は養子になった日からの3年間)1178.89ユーロ(2万2千円)支給。

③育児休暇補償 子供のために、仕事を休職した場合の補償として支払われる。1人目は6か月間、2人目以降は3年間支給。完全休職で554.88ユーロ(6万9千円)、フルタイム50%以下の時間でパートするなら421.93ユーロ(5万9千円)、フルタイム50~80%の時間で仕事するなら319.072ユーロ(4万円)。

3人以上の子どもがいて、かつ休職期間が12か月以内なら、789.54ユーロ(9万9千円)に増額される増加案もある。

④保育料手当 子どもを保育園などに預けて働くときにもらえる(育児休暇補償と同時にはもらえない)育休か保育園の二択。料金はケースバイケースで定額料金はない。役所と相談して役所の専門家がその家庭の一番合った支給額を算出し支給。

3、特定目的手当 (障害児など特別な事情のある子どもを育てるときの場合の手当て)4種類。

①障害児手当 障害児の子育てでもらえる手当。金額の最低額が124.54ユーロ(1万6千円)ですが、障害の度合いによって増額され、最高は1000ユーロ(12万5千円)。またシングルマザー(またはファザー)の場合でも最高で416.44ユーロ(5万2千円)が増額。

②学童手当 6歳から18歳までの就学する子どもをもつ家庭で、所得が一定以下の家庭に給付される。金額はだいたい300ユーロ(3万8千円)

③看護手当 子どもが病気になった場合に支給される。金額は1日当たり41.87ユーロ(5千円)。低所得者の家庭の場合、子どもの医療費が一定額を超えたら、差額を(役所・公的機関に)負担してもらえる。

④住宅手当 子どもを持つ家庭が引越しをした場合に、引越し代が援助されます。これは所得制限があり、3人の子どもがいる場合の家庭なら上限額は934.08ユーロ(8万7千円)。

その他。*所得税が子どもが多ければ少なくなり、育児休暇も取りやすい職場も提供されます。子どもが多いほど公共交通など安くなる(減免・減額控除)。


「フランスの介護高齢者対策」(長尾 景虎戦略「介護高齢者対策」フランス版政策参照)

 高齢者介護の給付については、ドイツや日本は社会保障制度を導入して、その補償を行っている一方、フランスでは、収入を要件としない普遍的かつ本格的な保障をめざし、2002年に個別化自律手当(ARA)を導入した。ARAは、保険により補償されている老齢、疾病、労質、家族に続く第5のリスク(「自律の喪失(要介護)」)に対して、主に租税と社会拠出金を財源として給付を行う制度である。近時では、「自律喪失(要介護)」のための給付財源のための自律連帯拠出金(CSA)の創設や高齢者・障害者介護傾向の財源を配分する全国自律連帯金庫(CNSA)の創設など、障碍者施設と高齢者施設が接近する新たな動きもみられる。

①在宅サービス(施設サービスの中心は、掃除、買い物、料理などの家事援助などのホームヘルプサービス。)

②施設サービス(要介護高齢者滞在施設でのサービス(老人アパート)(介護施設)(障碍者施設))

③医療サービス(自律を失った高齢者のための医療施設(生活施設ではない)日本の療養病床に相当する。)

④精神病院施設(うつ、PTSD、ボケ、認知症、脳軟化)

「フランスの高齢者サービスの概要」(長尾 景虎私案)

国  **単純手当*障碍者生活保障*小規模共同住宅*建設保護*個人自立給付基金

県  **社会扶助*ホームヘルプサービス*施設利用料補助*食事サービス*家庭委託補償手当*介護保障給付*個人自立給付

   **無料交通バス*緊急通報装置*配食

市町村**配食*緊急警報装置*高齢者レストラン*住宅改善*高齢者集合住宅*小規模ホーム

老齢年金金庫**ホームヘルプサービス*利用料補助*在宅扶養人利用料補助

*住宅改善助成*障碍者第三者加算手当*高齢者受入施設*建設融資

療病 **住宅介護サービス*中期疾養施設*中期疾養施設*日帰り入院*在宅入院

家族手当金庫**住宅手当

*要介護設定基準・他(日本のシステムの踏襲)老人高齢者自立運動は老人介護自立支援「つるかめ」伊藤順哉施設長さんに助言頂く。

自立支援***進化系リハビリ型デイサービス!!運動によって寝たきりゼロ。老人でも3割負担(1割負担のままだと財政破綻)

    老人みまもりパトロール隊・認知症ケア運動。



   救国の新世紀維新「大日本進化論と脱近代化宣言」

(落合陽一著作『日本進化論』『脱近代宣言』より記事引用および記事参照)


「大日本進化論と脱近代化宣言と戦略」社会で成功するにはいい情報を買え!


 日本のGDP(国内総生産)は今、世界三位。一位はアメリカ、二位は中国。もうすぐドイツに抜かれる。日本人の生産性がこの失われた20年で増えていない。老人に百二十兆円。

若い奴はヒエやあわ食っていろ?ってこと?今の日本は未来に少しも投資していない。

医療費と介護費は年9パーセントアップ。一年に自然増で一兆円。七十五歳以上の国民は七分の一。しかし、社会保障費の三分の二をつかっている。

認知症の老人は精神科閉鎖病棟へ(お金がかかる)→自宅やホームでも介護は楽じゃない。老人は入院を一ヶ月すると歩けなくなり、食べられなくなる。老人へは「野菜中心に青汁や、果物に肉やコレステロール低めで塩分糖分控えめの食事」だとすぐに死んでしまう。

逆に、百五歳まで生きた医師の日野原さんは「毎日ステーキなどの肉料理を食べ、運動をして、社会に参加して認知症を予防。老化を改善できた」という。また、認知症の人にはiPad(タブレット端末)を与えてネットで他人と繋がったほうが認知機能は改善する。

介護人材はこれから五十五万人足りなくなる。郵便局員と警察官全員を足しても足りない。

病気になって治すのではなく、予防や悪化防止こそ大事だ。

また、人口が減っていく、老人ばかりになるというのは危機ではあるが、チャンスでもある。人口が減るとは「自然減でリストラが出来る」ということ。工場やスーパーはロボットを入れればいいし、乗り合いタクシーやバスは自動運転の自動車でいい訳だ。

人件費が一番のネックだから、ロボット化の補助金を行政が補助すればロボット大国だ。

 また、「教育問題」も教員は現在、八十五万人もいる。いすぎるからリストラして、作業の効率化や給料アップで、新産業化するべきだ。尊厳死も安楽死も認めよ。

教育というのは一万人の雑兵をつくることではなく、五人の諸葛亮孔明を生み出すことだ。

英語教育もパソコンでフィリピンとかの人材とskypeで繋げていけばいい。〝学区制〝も廃止すればAI教育の可能性も広がる。東大卒=すごい!ではない教育価値の創成である。

また、討論力や語彙力、読解力も必要である。ぼくはネットで、くだらない「冷やかし文章」しか書けない検索・コピペ男を死ぬほど見てきた。そんなクズはいらないんだよ。

 〝働き方改革〝も必要。今は地方にはろくな仕事もないから地方の子供は都会に行く。何故なら、都会には魅力的な仕事も、便利な交通手段もあるから。地方のマシな仕事……というとだいたい役所仕事しかない。今だからこそ高齢者にもテクノロジーであり、IT技術である。〝IT革命〝というと「何時の時代だよ?」と若者は思うかも知れないが、現在、今こそ、それを高齢者にも広げないといけない。これは急務である。

確かに地方では高齢者でも自動車=脚、がないとやっていけない。

もちろん、老人になるほど高齢者ほど交通事故は多い。だが、自動ブレーキや自動運転技術などアシストするテクノロジーがある筈だ。

多様性をいかに受け入れるか?高齢者は自動車運転から離れるとすぐに認知症や寝たきりになったりする。定期的な運動習慣を行政が提供しなければどうしようもない。

小学校・中学校・高校で、老人ホームや障害者ホーム、独居老人などで経験授業で、ボランティアさせるのはどうか?また〝病気を治す〝医者だけでなく、世間話や悩みを聞いてくれる医者や看護師・ヘルパー、ボランティアも必要である。早急に準備しよう。

「困ったときに助けてくれるひと」「さみしさを解消してくれるひと」を育成しよう。eスポーツ(テレビゲーム)でもいいではないか。

また、児童虐待も深刻だが、児相はどこも忙しく、職員も足りない。「行政的な質問をネットで解決する『AI(人工知能)・チャット・Bot(ボット)』」を開発して提供しよう。

「コミュニティのつながりを創成する」。大事なのはコミュニティチャージというか、地域通貨という制度で、ボランティア活動をしたら課金とか、いいことをしたら課金、老人が〝子育てボランティア〝に参加したら課金、ラジオ体操運動に参加したら課金……と、生活でつかえる形での「地域通貨カード」のポイントが貯まる制度が必要だ。

〝行政などの契約書〝も同じ『ひな型』をつかえばいい。

 財政で考えれば歳入を増やす……税金を上げるか社会保障を減らす……とか。

だが、就労者は昔から変わらない。女性の社会進出や老人の活用、ニート&引き籠りの活用……ダイバーシティやシルバー人材活用。テクノロジーは若い人だけでなく老人も使ったらいい。AIもインターネットも仮想通貨もプロトコル(同一言語)。

ニーズ(欲求)とヒューマンリソース(人的要素)とのミスマッチが原因なのだ。

政治家がばらまくのもカネじゃなく〝クーポン券(現金だと貯金に廻るから。地域通貨でもいい)〝また、〝病気の早期発見〝に200億円でも300億円でもつっこめば10兆円分の社会保障の削減に繋がる。日本人の賃金は安すぎる。安い賃金で雇いすぎている。

年金は60歳で貰うより、70歳でもらうほうが特である。

どうせ100歳まで生きるのだ。人口減少社会が危機ではなく、むしろ、その時こそ日本の変革の大チャンスだ! 今こそ新世紀維新の時代なのだ!




   救国の新世紀維新「大日本復興計画と戦略」

(落合陽一著作『日本復興戦略』幻冬舎より記事引用および記事参照)


「日本復興計画と戦略」


 今の日本は自虐的な自国批判か、天動説的な自己中の「日本はすごい」という感じの自画自賛コンテンツばかりになっている。「過去の日本は何がすごくなくて何がすごくなかったのか?」これを考える情報を知り、自分の頭で考えられる様にならねば如何ともし難い。

ここで、世界を影で操っている『彼ら(世界一部の為政者・権力者やCIAやMI6やモサド中国や北朝鮮の情報部などの諜報機関)』の意見を載せよう。但し、彼らにもプライバシーがあり、生活も、守秘義務もある。ある国際ジャーナリストみたいな「CIAやモサドの俺の友人がこう言っている」みたいなことは真似出来ないが(笑)、文章もかえてニュアンスだけで伝えればこういうことだ。「今はコンピュータのインターネットやSNSやらで情報は溢れて、誰でも世界の情報が得られるかのように思う。はたしてそうだろうか?確かに情報が得られるがそれはフェイクニュースだったり、我々が意図して流した〝情報〝だ。スノーデンで有名になったように、我々は、特殊な電脳システムで、〝世界の情報〝を得ている。そして、その〝情報〝によって世界を影で操っているのだ」「でも、例えば『JFKの暗殺』とか『スノーデン事件』とかそれこそ『ロッキード事件』や『カルロス・ゴーン事件』でも、〝すべての情報〝のようなものがネットでも簡単に〝その情報〝が検索すれば出るが……?」「それらの〝情報〝も、我々が意図して流したものだ。ほんとうの〝情報〝はあんなものじゃない。本当の〝情報〝は簡単には集められない。だからこそ、本当は〝情報〝は〝カネ〝になるんだ」

世界は謀略や陰謀で満ちている。すべては情報次第。今こそ情報、そして自分の頭で考えて、決断するのが、時代の趨勢でもある。

それこそ決断であり、英断であるべきだ。

過去のマイホーム制度もアイディアは最高だった。頭金を払い、後のローンは毎月銀行口座から引かれていく。人口ボーナスや高度成長戦略が垣間見える。

また、田中角栄首相の『日本列島改造論』も素晴らしい。日本のような島国で、移動に不便な国を、高速道路や地元空港や新幹線で、一日で日本全国を行き来できるようにした。

田中角栄が「天才」といわれるのはそうしたビジョンがあったから。大金をばらまいたとかじゃないんですよね(笑)。今の日本は日本でつくらなくてもいいものまでつくってしまっている。デジタルネイティブ世代では当たり前のイノベーションがないと、隠蔽体質、炎上体質、いじめ、パワハラ、セクハラ、モラハラ、残業など問題は山積する一方です。

AI、AR・VR、5G(第五世代の移動通信システム)やブロックチェーンは間違いなく世界を変えていきます。新しいテクノロジーをどう生かしていくか?これは賢い天才とかイノベーターが必要ですが、天才じゃなければ駄目な訳でもない。

これからの自己流の勉強次第だと思いますよ。

パソコンのプログラム研究や政治経済の勉強、心理学や兵法やプロパガンダ(大衆操作)やマーケティングの勉強……まだまだ間に合います。

おじさんやおばさんでもまだ間に合うんです。

 また「欧米」という価値観も改める必要があります。

我々日本人がよく使う「欧米」……しかし、アメリカには法の見本があったり、フランスには自由経済の見本、ドイツの法律を日本は参考にして導入しましたが、過去の「いいところどり」だけでは日本のシステムはよくはなりません。

フランス型の『男女平等』は真似しない方がベストです。何故なら日本とは文化が違うからです。フランスでは男女が飲みに行ったとき男女とも平等に勘定を折半します。

ですが、日本では女性より男性のほうが多くの勘定を払うでしょう?これを外国でやると、女性が「差別だ!」と怒るんです。

でも日本人の女性はそんなことはいわない。「男が勘定を払うのは当たり前」「(デートで)男性が女性におごるのはマナー」とかになっています。

この感覚の違いを無視してフランス版『男女平等』をやるとカオス(混沌)になる。『年金制度』『老人介護職業訓練制度』は違いますが。

また、『働き方改革』も「ワークバランス」の範疇です。ストレスで死んだり、過労や残業で死んだら元も子もありませんから必要な規制です。いじめや児童虐待も。

今後は少子高齢化で、老人ばかりになって子供がいなくなる……というのが悲惨に考えられます。が、老人が多くなるのも人口が減少するのもチャンスではないですか?

人口が減るというのは〝自然減でリストラが出来る〝ということです。日本はさらなるIT化・AI化・ロボット化すればいいし、単純作業の外国人派遣労働などもあるでしょうが、工場や警備とかレジ係とかタクシーバス(自動運転)とか、どんどんロボット化すればいいんです。老人にしてもボケたり寝たきりにならなければ〝シルバー人材〝〝シルバー需要〝として生かせるんです。これが経済戦略というものです。

また、〝ホワイトカラーのおじさん〝も、いろいろな職業を兼業させればつかえます。

いままでの学区教育制度は、まさに工場での「単純作業タイプの労働者」も築くためのものでした。その地区その地区に学区をもうけて、その地域の学生を入学させる。

基本的に習わせる教育は同じ。何故なら「この学校では音楽を重点的に教える」「この学校では英語を重点的に教える」というと、一部の音楽好きや英語好きの子供はよろこぶだろうが大半の学生は反対する。そこで同一化が図られる訳だ。

また、学問はつまらなく、我慢を強いるものになっている。

何故なら、働くことは我慢とつまらないことを続けることだからだ。

だが、これからの教育はそれではいけない。

IT・PC・SNS・コンピュータプログラム教育(ネット注文・販売・配達「コンビニにいかなくなる?」)、5G(テレプレゼンテーション、自動運転、バーチャル体験、リアルタイム体験、感覚伝達、世界語自動翻訳・通話、アンドロイド、障害者補助)、ビジネススキル・文章や絵やデザイン・プレゼンテーション、討論・コミュニケーション・読解力、自分の頭で考える創造力想像力強化、社会道徳教育(他人を偏見の目で見ない。人の悪口を言わない。〝自己中〝を辞める。拝金主義じゃなくノブレス・オブリージュと仮想通貨、キャッシュレス化、オークション、フリマ、レンタル、シェア、ウェアラブ端末、AI、VR、クラウドファンディング、クラウド化、介護・転職勉強)、英会話教科教育など今後は必要になってくる。道州制度(10~20万人都市ごと*廃県置藩)、大阪都構想なども絶対に必要です。

よく「英会話をマスターしたい」という学生が居るが、「英語で何を外国人に訴えたいの?」ときくと答えがない。いいたいことがないのに英会話をマスターしても「通訳」以外の道はない。誰でも「自分の頭」で考え、「自分の意見」をいい、「討論」するスキルがいる。

ITも勉強不足だから中国に負けた。日本で中国のようなアリババやテンセントやバイドゥは生まれなかった。日本はメルカリやソフトバンクと楽天とLINEやZOZOだけだ。

今の日本ではGAFA(Google、Apple、Facebook(Meta)、Amazon)の強大企業には勝てない。

これからのリーダーは3タイプにわかれる。

部下もそれらに附属する。

①旧型リーダー(オールマイティ型)

②新型リーダー(タレント型)

③AI型リーダー(AI・スマホ・5G&PC型)

とにかくすべての叡智を使い、勉強するべきは勉強し、将来に備えることだ。

今の時代、一流大学を出れば安泰じゃないし、一流企業に入社すれば安泰じゃない。

これからこそサバイブの時代だ。

そしてだからこそ「自分の頭で考える」能力が問われる。他人からの盗作で褒められても少しもうれしくないのは当たり前だ。

誰も他人の考えなんか聞いていない。あなたの「意見」をきいているのだ。

そこで答えられなければ「人間」なんかやめてしまえ。

そんな人間は絶対に社会で成功出来ないのだから。だが、勉強次第で変われる。

この書を、バイブルとして、努力勉強するのだ。まさに、その時は今、だ!






第二策『朝鮮・大東亜戦後問題への策謀』




激動する北朝鮮情勢

「人権問題拉致問題は解決済み」と北は言う。拉致問題は、日本と北朝鮮との間で解決するしかない。拉致問題について、北朝鮮側は「解決済み」という姿勢をとって、一向に具体的なことを発表しないままになっています。おそらく、すでに存命ではない人や、墓もなく生死が定かではない人もいて、満足できる説明ができない、というのが本音でしょう。

また、存命であれば日本に帰した後に何を言われるのかわからないので公表したくない、という意図もあると思います。いずれにせよ、1年以内に解決すると言っておきながら、急に「日本の態度が悪いから」と難癖をつけてくる国ですから、この問題を日本が望むような形で解決することは、かなり難しいと思います。

「経済支援」「経済制裁の解除」…これを北朝鮮の金正恩委員長は望んでいる。

「平和条約を締結する」と。

南北統一の可能性は ?北は「南北朝鮮統一」というが、それには大金がいる。それを、日本から引きだそうということである。また、北朝鮮の「完全なる検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID Complete, Verifiable and Irreversible Denuclearization.)」を実行する、ということになると、少なくとも、6年から10年~15年という、とても長い時間が必要になる。また費用も10年で200兆円かかるのではないか、といわれている。非核化するのには、何年もかかるということだ。北の非核化の金は、中国韓国と日本。お金がとにかくたくさんかかる。

北朝鮮との歴史は「裏切り」との歴史であった。①金日成 1992年朝鮮半島の非核化に関する共同宣言。やっと、査察で核兵器を放棄すると約束したが、秘密裏にソ連の原子力関係の技術を移植し、核兵器開発を続行していた。②金日成金正日カーター元大統領。1990年米朝共同交渉。核施設の凍結と解体。北朝鮮の要求。原子力発電のための原子炉と重油の提供。③2003年6カ国協議(中国、アメリカ、ロシア、日本、韓国、北朝鮮)。核兵器開発の放棄を表明。アメリカが朝鮮半島に核を持ち込まず攻撃もしないということ。初めての核実験。④2012年米朝合意。ウラン濃縮で核実験やミサイル発射などの中止。アメリカから240万トンの食糧援助。北朝鮮は2カ月後、長距離ミサイル発射。ミサイル発射を偽って人工衛星の発射とした。

北の目標は、アメリカまで届くICBM(大陸間弾道ミサイル)、核ミサイルを保有して、アメリカに攻撃されたくないということだ。ICBMはあと一歩ってところである。北は ICBMは成功したというが。ICBMはワシントンDC 、1300万キロメートルを射程にしている。日朝首脳会談で、国交正常化をして、戦後賠償の大金を得たい。それが、北朝鮮の金正恩委員長の狙いである。

世界の求めているのは「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)」である。

核開発をやめて、元に戻すのではなく、絶対的に核を持つことがないようにする、そういう状態にすること、である。もとに絶対に戻れない非核化。これが、CVIDである。

*核施設・核計画の申告(嘘はないか?)*核施設の停止解体*核施設機関査察・核機関の施設の非核化*査察による検証。これは国際原子力機関(IAEA)が検証する。

今まで非核化した国は、1993年の南アフリカ。ウクライナ(旧ソ連の核ミサイル廃棄)。ブラジル・アルゼンチン(1990年冷戦終結のため)

とにかく、CVIDにはそれなりの時間とそれなりの大金がかかる。

(池上彰「学べるニュース」テレビ朝日番組参照)

日本周辺の国際環境は大きく変化してきています。国内で意味のない議論をしている暇などなく、中国、韓国・北朝鮮、ロシアの動向に注目すべきです。

戦後賠償問題 「謝罪」と「賠償金」の問題(池上彰著作本参照引用)


古くから経済的にも深いつながりのある日本と中国、そして、韓国。その一方で、政治的には冷めた関係が続いています。戦争賠償金の問題が発端となっています。

最近「徴用工問題」、「慰安婦(従軍慰安婦)」である「戦後賠償」に関して、戦争被害国と日本との間で、国際的な問題となっている。確かに謝罪の問題は「心の問題」で、足を踏んだ側が「謝罪」をし、足を踏まれた側が「賠償を求める」のは当然の心理である。

しかし、たしかに私も、昔、「日本は侵略戦争を起した被害国に謝罪をし、賠償金を払うべきだ」と煽ったのは反省をしています。しかし、1972年、日本と中国が国交正常化したとき、戦争賠償金の問題が早期提起された。その後、1978年になって「日中平和友好条約」が結ばれました。このとき、中国は日本に対して「戦後の賠償金を請求しない」ということで合意しました。なぜなら日本が中華民国(中国国民党・現在の台湾)と「平和条約(日華条約)」を結んだとき、中華民国が、日本に対する戦争賠償金を放棄したからです。つまり、中国共産党政権になる前の、中国を支配していた中国国民党の中華民国が、そのトップの蒋介石氏が、戦争賠償金を放棄したからです。これによって国共内戦で勝利した中国共産党の中華人民共和国が、その当時、当事者が「賠償を戦争賠償金を請求しない」といったので現在の中国が請求するわけにはいかなくなったという背景があります。日本としては、中国から、「賠償金を請求しない」と言われたから、その代わりとして何らかの形で罪を償わなければならないと思いました。そこで、日本は 1978年から ODA(政府開発援助)という形で、 1978年から 2018年までの40年間で、中国に無償給与という形でODA総額 3兆6500億円ものカネを、中国に渡しました。これが、日本からの戦後賠償金と同じことになります。しかし、日本としては中国が賠償しなくていいといったから賠償はしていないが、代わりに援助金を渡してきたという思いがあり、一方で、中国の若者は「日本は戦争の責任を取っていない! 賠償金を払え! 謝罪しろ!」という、経緯を知らない中国人の若者が、反日活動にいそしむようになりました。

これは、歴史を知らないことへの教訓なんだと思います。日本としては、戦後賠償という形でODAを3兆6500億円も払ってきたわけですが、その経緯を知らない中国の若者が、「日本は謝罪しろ!賠償金を払え!」と言っているわけです。つまり、日本の戦後賠償ということを提起するならば、賠償金は、中国政府に払った ODA 3兆6500億円の中から、中国政府府が肩代わりとして払えばいいだけの話なんです。

しかし、中国とは「戦略的互恵関係」で繋がっています。友好関係であり大事なパートナーといっても過言ではありません。ただし戦略的互恵関係といっても、要は、「嫌いだけれども、ビジネスで重要な関係にあるから、仲良くやっていこう」と云うような話しです。

また、尖閣問題で日中関係が冷ややかになったこともありましたが、今は落ち着いていると言いえます。

また、日韓関係もあまりうまくいっていません。「戦後賠償」の問題。「徴用工問題」「慰安婦(従軍慰安婦)問題」。これに関しても、中国の若い人たちと同じように、韓国の若い人たちも「日本は謝罪をしろ! 賠償金を払え!」というふうに主張しています。

つまり反日活動です。

しかし、日本と韓国は 1965年六月に「日韓基本条約」を締結。同時に「日韓請求権並びに経済協力協定」そして「日韓国交正常化協定」を結んでいます。これは、日本が韓国に経済援助することで、「両国間では請求権の問題が解決された」ことを確認したというものです。

「韓国が「戦後賠償」を個人的にも政府的にも請求しない」ということに伴って、日本は賠償しない代わりに 1965年にまず無償給与という形で 3億ドル(1080億円・当時)と、低金利での貸し出しという形で 2億ドル(780億円・当時)を韓国政府に供給しました。また、日本の民間企業が、韓国政府・韓国企業に 3億ドルの資金融通もしました。

この資金援助によって韓国は『ハンガン(漢江)の奇蹟』ともよばれる経済発展を遂げたのです。しかし、そうしたことを知らない韓国の若い人たちは「日本は謝罪をしろ!賠償金を払え!」と、何度も何度も蒸し返し、ゴールポストをそのたびに移動してきたのです。

政治的には、1965年の「協定」において、日本は「完全かつ不可逆的に請求権問題を解決した」という立場です。

だが、韓国大統領府は強引に『慰安婦財団(2015年末の日韓慰安婦合意に基づいて、日本政府が10億円を拠出し、韓国政府が設立した「和解・癒やし財団」を解散するというのだ)』の解散を実行してしまいました。これは日韓首脳会談で合意して、(韓国国内の)慰安婦への賠償と謝罪という意味ですでに10億円も拠出していました。だが、また韓国が一方的にゴールポストを動かした、という事です。

また、韓国国民内でも、「請求権問題」「賠償金問題」というものが何度も何度も蒸し返されていますが、日本政府が韓国政府に渡した5億ドルのうちから、韓国政府が日本政府に代わって賠償金を 5億ドル渡したうちの中から、肩代わりして払えばいいだけの話しだと思います。また、竹島(韓国名・ドクト)領有権をめぐって対立しています。が、これは国と国との問題です。しかし、国際的には竹島は「韓国が実効支配」をしているのですから、外野から何を言っても「負け犬の遠吠え」と同じことです。また難しい「慰安婦問題」ですが、確かに、風俗業としての慰安婦、というのは存在したのでしょう。しかし従軍慰安婦と呼ばれる、まるで「ナチスのユダヤ人狩り」のような、当時の日本軍人が、トラックで街に何度も繰り出して、美女や若い女性をトラックに詰め込み「従軍慰安婦」と呼ばれる「性奴隷」にした、というような事実はありません。

もし、そのようなことを行ったのであれば「証拠の資料」があるわけで。もちろん、すべて焼き払った、みたいな反論もあるでしょうが、「ナチスのユダヤ人迫害」のような「資料」が、「従軍慰安婦としての資料」がゼロであることは、おかしいとしか思えません。

確かに慰安婦・従軍慰安婦問題が本当におこったことであるならば、きちんと謝罪をし、賠償金を払うのは当然です。が、これもまた難しい問題です。確かに風俗業としての慰安婦は存在しましたが、「強制連行」という形の「従軍慰安婦」は信ぴょう性が低いのではないか?と。またこの問題について「日韓基本条約などで解決」というのが日本の認識です。一方、韓国では、日本政府に謝罪と賠償を求める声が何度も何度も上がっています。

2015年「慰安婦問題に関する合意」がなされ、慰安婦支援の財団を設立することが決まりました。しかし、2018年になって韓国側が「2015年の合意は、真の解決にはならない」と表明するなど、問題はくすぶり続けているというわけです。また、北朝鮮の問題では「拉致問題」というのも大きな問題です。もちろん、北朝鮮の「核ミサイルの問題」「軍事独裁」そういったものも問題なのですが、日本人が「人さらい」にあって被害を受けた「拉致問題」というものの問題解決が、まずは第一でしょう。今から40年前、中学生の少女であった横田めぐみさんが、新潟県で拉致された事件なども、悲惨な、シンボリックな事件でありました。

この拉致問題解決も、日本政府にとって非常に重要な問題であることは間違いありません。



「27歳の独裁者が誕生した」


2011年12月19日、朝鮮中央テレビが、17日に金正日総書記が急性心筋梗塞でなくなったと伝えます。後継者に指定されたのは、弱冠27歳の、三男・金正恩です。金日成主席が死亡した時には、息子の、金正日が、後継者としての地位を確立していました。ところが、金正日は急逝したため、金正恩への権力継承の準備は、できていませんでした。

金正恩とはどんな人物なのか?金正恩は金正日の三男です。朝鮮半島は、伝統的に、儒教社会です。家督は長男が継ぎます。金正恩には、二人の兄がいました。長男は、異母兄の金正男(キム・ジョンナム)。二男は、金正恩と同じ母親から生まれた、金正哲(キム・ジョンチョル)です。

なぜ長男の金正男ではなかったのか?金正男は、偽造パスポートで日本に入国したことで逮捕され、国外退去処分になりました。そういう過去があります。「東京ディズニーランドに行きたかった」取り調べに対し、そう答え、日本のメディアにその姿を撮影されてしまいます。父の金正日は、この無謀な行動に関して、激怒。金正男の後継者の芽は、なくなったといわれています。さらに、二男の金正哲は、病弱で、政治に興味がなかった、といわれています。対して、金正恩は気の荒い性格などが、父親似であり、金正日が、後継者として気に入ったといわれています。かくして謎のベールに包まれた 27歳の独裁者が誕生します。

金正恩は、2011年4月に開かれた朝鮮労働党の党大会で、総書記のポストを「永久欠番」にします。金正日を「永遠の総書記」として祭り上げたのです。

そして自らの肩書きを、「第一書記」と。第一書記のポストを新設し、就任します。続いて、朝鮮人民軍の最高司令官。さらに、国家の最高機関である国家安全委員長の「委員長ポスト」を永久欠番にし、国防委員会に、2016年、国防委員会に改善、第一委員長を新設し就任します。

偉大な父や祖父が付いていた最高権力者のポストを、「永久欠番」にすることで、先人に敬意を払う若いリーダー、というイメージを作り、党幹部たちや国民の支持を得ようと考えたのでしょう。金日成は「偉大な首領」金正日は「偉大な将軍」。そして、金正恩は「敬愛なる元帥」と呼ばれるようになります。

さらに、金正恩は、髪形を、金日成に似せようとしました。金正恩には、経験が、何もありません。伝説の将軍であり、北朝鮮の建国者であり、偉大なる首領でもある祖父をまねることで、偉大なる首領・金日成の血を引き継いでいることをアピールします。

北朝鮮はソ連によってつくられた社会主義国です。ソ連も、中国も、トップの座にいるときは独裁に近い形になることがあります。が、世襲制ではありません。権力の座が世襲になるということは王国くらいなものです。

なぜ、北朝鮮だけが、このような異形な国家になったのか?建国時の指導者だった、金日成の晩年の心配は、「後継者」のことでした。

ソ連のスターリンは、死後、独裁者として、厳しい批判にさらされました。中国の毛沢東も独裁者として、後継者に、一度は、指名した林彪(リン・ピョウ)が、クーデターを企てたとして、逃走中に、飛行機が墜落(撃墜)してしまいます。

金日成は、死後に、自分の名誉が失われたり、批判を浴びたりすることを恐れたはずです。結局、自分の子供しか信用できなかったということです。

父親から息子へ権力を継承するきっかけは、1970年2月に開かれた、朝鮮労働党中央委員会総会にありました。この大会で、金正日の処遇が話題になった時、金日成は「息子はまだ若いから、政治局員にするのはやめておこう」といったところ、金一(キム・イル)政務院総理(金日成とは無関係)がこう言ったといいます。「金正日同志を党中央委員に迎えることは、革命のあかしであり、革命の全人民の熱望するところです。若すぎるとはおっしゃいますが、主席も金正日同志と同じ年ごろに、朝鮮革命をそして北朝鮮の建国に、祖国を導いたではありませんか。革命は運命にかかわる問題であるので、首領の考えを改めていただきたい」(重村智計『最新北朝鮮データブック』)

首席に反対しているように見えて、実は、子供を後継者にしたい金日成への、ゴマすりでした。

金日成は「青年たちは革命を引き継ぎ、代を築いて、指導者にならなくてはならない」と言いだします。

金正日への権力の継承を進めました。また、金日成にしか使われてこなかったかつての「指導者」という言葉が、金正日にも使われ出します。1990年7月、金日成がなくなると、金正日が北朝鮮という「王朝」を、父から譲り受けたのです。そして、2代目の金正日が死去すると、「王朝」は「3代目」の金正恩が、急ピッチで権力をにぎり、「権力の座」に就いた。金正恩は金正日時代の幹部たちを、次々と、粛清していきます。

2011年12月28日に行われた、金正日の国葬では、金正恩と7人の幹部が、霊柩車を囲んで行進しました。その、7人のうちなんと5人が、2年後には、粛清もしくは更迭されてしまいました。驚くべき速さです。とりわけ驚愕的だったのは、金正恩の後見人、と、みられていた張成沢(チャン・ソンテク)の処刑でした。張成沢は、金正日の妹と結婚していて、金正恩は甥(おい)です。金正恩政権の実質的なナンバーツーとみられていました。ナンバーツーはいかにしてつまずいたか?かつて、張成沢は金日成死後に、金正日体制になった時、秘密警察を指揮して、 1万人を処刑し強制収容所に 25000人を送ったといわれています。その張成沢が、粛清され、処刑されたのです。金正恩が、トップの座に就いてから、5年間で粛清された数は340人に上ったそうです。自分の周りをイエスマンで固める。独裁者の常道手段です。2017年2月18日に、またも衝撃的な映像が、世界を駆け巡ります。

マレーシアのクアラルンプール国際空港で、金正恩の兄・金正男が、二人の女性によってVXガスによって、殺害されたのです。VXガスは、皮膚についただけで死んでしまうという猛毒です。北朝鮮は否定しますが、金正恩が命令して、北朝鮮工作部隊が、金正男を暗殺したことは間違いありません。マレーシアは、北と仲のいい国でしたが、事件後は国交断絶するような悪化の関係になっています。金正恩は、国際社会に対し、挑発行為を開始。2012年四月と十二月に、〝人工衛星〝と嘘をいって、ミサイルを発射してしまいます。

2013年二月には「地下核実験」を強行。朝鮮戦争の休戦協定の白紙を通達。オバマ大統領(当時)を、非難しはじめます。北朝鮮は、核ミサイル、ICBMなどで、世界を恫喝していました。「北朝鮮」ではなく、「朝鮮半島の非核化」「北朝鮮の体制の保証 」「ICBM核ミサイルの廃棄」「CVID非核化へのロードマップ」「朝鮮戦争の終結」「戦後賠償」……そういったことがこれからの課題となります。

(池上彰『北朝鮮情勢』より参照)



NHKスペシャル 「金正恩の野望 第一章」


そこに、記されていたのは、金正恩の野望だった。机の上の書類。ある北朝鮮元幹部が残した極秘メモ。金正恩の野望。「金正恩は、戦争も辞さない〝狂気を持った人間〝だと思わせておいて、突然、百八十度方向を変えて、「平和を追求したい」と、一歩出てきたとしたら、いったいどうなるのか ?世界はその深刻な戦略の渦に、巻き込まれていくだろう」

数年前に書かれた、この書類は、まるで今の現状を予告するかのような内容だった。

2018年「米朝首脳会談」が行われる前に、金正恩委員長は、中国を訪問して、習近平国家主席と、何度も会談した。中国は〝北朝鮮の後ろ盾〝だ、ということを示した形である。

突然、外交に動いた金正恩。北朝鮮から動くことなかった6年間。何をしていたのか?金正恩の野望とは ?独裁国家の誕生から70年。北朝鮮の動向が、再び、世界の注目を浴びてきている。金正日の死。金正恩の登場。サイバー攻撃。金正男、暗殺。金正恩は、人民を救う改革者か?狂気の独裁者か?

北朝鮮元高官「金正恩は、クレージーだとか、理性がない、とか言われますね。しかし、密な戦略を立て、すべて「計算通り」に進めています」

さらに金正恩が 、6年間で発した膨大な命令を、AI人工知能で分析しました。これまでの政権とは、全く違う戦略が、見えてきた。

日本の心理学者「〝直感型〝ではなく〝思考型〝」北朝鮮研究者「〝実務的〝というか〝現実主義〝」ベールに包まれた、若きリーダー知られざる実像に迫る。

北朝鮮のトップ、金正恩氏。政権発足から6年がたったが、その主張は、謎に包まれている。詳しい経歴や、正しい年齢さえわかっていない。実績がない若者が、どうやって国家を支配したのか?金正恩の、当時8歳の写真がある。太った顔や体に軍服で、鉛筆を持って何かを書いている。極秘にされていた幼少期がみられる。宮廷で、英才教育を受けていたとされる写真である。母親は、大阪生まれのコ・ヨンヒ氏。(母親・コ氏 父親・金正日)。コ氏が、大阪出身、ということは伏せられている。今も多くの人民はそのことを知らない。

金正恩の母親が日本人であることは、限られた幹部しか知らない。8才の子供を〝大将〝と呼んでいたという。叔母たちは、のちにこう言った。「周りの人間が権力者のように接するのを見て、彼が、普通に成長するのは不可能だと思った」ベールに包まれた金正恩の研究を、いち早くしたのは、韓国政府だった。

2012年当時。李明博(イ・ミョンバク)韓国大統領(当時)。国家安保戦略研究所ナム・サンウク所長(当時)。ナム氏は「金正恩の性格や、経歴や、思考を探る密命を受けていた」ナム氏「彼に会ったことがあるという意見で、多かったのは、普通の人間であった、とのことである。では、狂人ではないのか ?正常な人間かどうか、一番の興味分野でした。韓国の将来にかかわる大問題だったからです」

突破口は、金一族が、世界を学ばせるために、舞台にした、スイス・ベルンだった。金正男15歳。 1986年当時。金正男は流ちょうなフランス語を話していた。金正恩も、12歳のとき、スイスに留学していた。スイス留学時の金正恩の写真。やせている少年。

最高指導者の子供だという出自を隠し、パク・ウンと名乗っていた金正恩。

元学友「彼は、バスケットボールが得意でした。でも、うまくいかなかった時は、急に、不機嫌になって、大声を出すこともありました。覚えているのは、金正恩の負けん気の強さと、失敗を繰り返さない周到さだった」「学習能力の高さは抜きんでていた。遊びだったバスケットボールでも、一つ一つのプレーを真剣に考え、取り組んでいた。その姿が印象に残っています」

当時の担任は、金正恩の適応能力の高さを口にした。スマホで、金正恩の、当時の顔写真を見せる。クラスの生徒全員の名前を覚えるために撮影した写真です。「彼は、長く、スイスにいたわけではありませんでしたが、本当に、流暢なドイツ語を話していました。かなり努力しなければ、あれほどの成績を収めることありませんでした。流暢なドイツ語をいつも話しました」

こうした情報をもとに、韓国政府は、若きリーダーの資料を作り、報告書にまとめました。ナム氏「国家を指導していく知的能力をもっていることがわかりました。性格面では、特に、主観が強く、頑固で、自分の興味分野に没頭するという面が強く見られました。相手の意見をききだしながら、何らかの意見を述べながら、自分の主張をとおすことができる人物だという判断でした。しかし、スイスでの経験が、のちにどう影響したのか?ということは明らかにはならなかった。社会主義国家でありながら、〝金王朝〝の三代世襲がなされている。社会主義国家北朝鮮。金日成主席(1912年~1990年)金正日総書記(20年の世襲。1942年~20 11年)。金正日は核ミサイル開発など、先軍政治をおしすすめた。権力基盤を固めた。しかし、60代で、脳こうそくで倒れる、と、後継者問題が浮上。金正日の急死で、金正恩が、突如、出てきた。実績もなく、幹部たちよりはるかに若い三男の世襲。長男・金正男。二男・金正哲。どうやって党や軍。2500万人の人民を支配していたのか ?

金正恩の6年間を、独自に調べ上げた北朝鮮の元幹部。金正日の元部下で、指導者とあおがれたエリートが、金正恩の 6年間に迫った。

ソン・ミンテ氏(2000年脱北)(2017年死去。生前に秘書に遺品のすべてを託していた)「海外の北朝鮮外交官に、金正恩は、トラブルになって困る国と、トラブルになってもいい国とに分けている。北は、ベトナムでマネーロンダリング(資金洗浄)をしている。金正男を、2017年VXガスで暗殺。(マレーシアクアラルンプール国際空港で。)6年間の独裁支配の足固め。金正恩は思考戦が得意。外交で戦争をちらつかせ、平和を、という対話のエサに、だまされることだろう。体制の不満者はすべて暗殺する。」

秘書「先生が使っていたものです。北朝鮮ついて誤った憶測ばかりがあふれ、だれも真実を知らないと話しているのを思い出します」

ソン氏が残した内部資料や分析書は2000点余り。地下核実験。不安で怖い。金正恩の映像や、北朝鮮の核実験や、テロなどの軍の動きとか、北朝鮮の内幕が記されていた。その多くは、韓国政府に提出された。北朝鮮戦略の貴重な資料とされた。

金正恩は、どうして北朝鮮を統治しているのか?それを読み解くカギは、北朝鮮の経済成長だった。

ソン氏のメモを読む。「金正恩の弱点は、自らを神格化させる時期と、条件が、あまりに不足していたことだ。祖父・金日成や、父親・金正日は、数10年かけて、血統を継承の正当性を主張し、権力基盤を固めることができた。そこで、金正恩が目をつけたのが、父親・金正日の時代に衰退していた経済の立て直しであった。

北朝鮮の90年代。配給停止。飢餓。自然災害。冷戦終結で社会主義国家からの支援などが滞り、食糧難など大変な経験をした。北朝鮮は経済破たんをし、配給がストップ。ワイロや犯罪が横行した。経済は崩壊し、絶望が北を襲った。さらに、自然災害が追い打ちをかけた。

一説では、2000万人を超える人が餓死したという。人民の不満が、危機的な数にあった。

しかし、金正恩時代に「経済」が建てなおる。人工衛星で見ても 2011年~2017年で、市場が大きく増えた。経済も(もっとも平壌付近だけだが)たて直った。経済成長率も、食糧生産状況も向上した。

そして。金正恩が現れてから、市場は以前よりも拡大し、住民の生活が改善されている様子が見られる。その方法をつぶさに見てゆくと、金正恩独自の「統治戦略」が見て取れるのだ。重要なのは、住民たちの中に、民政の力を根付かせ、それを強化している点にある」

私たちは、経済制裁が厳しくなる前の、北朝鮮の映像を入手した。そこには、資本主義経済のような「競争原理」が記憶されていた。タクシーのノルマは、1日に125ドル。ノルマ以上の儲けは、自分たちのものになるという。競争原理の導入で、みんな、よく働くようになったという。金正恩は〝自強力〝という言葉で「豊かさとは与えられるものではなく、自ら勝ち取るもの」と。市場では〝値切り〝合戦が繰り広げられる。

北からの脱北者で金正恩時代を知る(2010年脱北女性。いわゆる瀬取りの漁民。子供の将来を考え、脱北した。)女性「父親の金正日のころには、国の仕組みがいい加減で、商売をするには、世のすべてが賄賂でした。でも、金正恩に変わると、わいろが禁止されました。途中で、お金を奪う人を取り締まって、国にもっとお金が入るようにしたわけです。私が働いていた港でも、昔は、地元の警察が、突然、「許さない」とか「非社会主義だ」とか因縁をつけたくさんお金を取られました。金正恩時代になると、私たちの組合では、何年間500ドルという決まった額を国に納めれば、手元に残ったお金は、すべて利益になりました。私たちに堂々と商売をさせることで、金正恩は「国の収益」を上げるということを考えたのだと思います。脱北してからわかったんですが、あれはまるで、資本主義のような仕組みでした」

経済を刺激する一方で、規制が厳しくなった、という脱北者。

(2015年脱北)女性「一言で言うと、規制が増えました。例えば、以前は許されていたところでの商売は、禁止され、市場でも、決まった場所でしかものが売れなくなり、ほかのところで品物を広げていたら、即没収です。許されるスペースは、一人たった40センチで、時間も限られ、10人が交代で使うようになりました。それでも、前みたいに飢え死にする人はいなくなったので、国や警察に抵抗する人も減り、みんな従順になったように思います」

東京渋谷。6年の政権での命令をAIで読み解く。AI分析。父・金正日と息子・金正恩。AI分析で、金正恩は、金日成・金正日のような支配。〝首領様〝〝将軍〝〝イルクン(幹部)〝〝大会〝〝社会主義強国建設〝〝戦闘準備〝(「同盟」「同盟員」「青年同盟」)

〝同盟〝が多い。金正恩は組織が好き ?個人主義ではなく団体主義。人民を団体につけさせコントロール下に置く。心理学者「非常に能動的。背景的な言葉で鼓舞する。国民に主体性を持たせる。自助の精神を植え付けるときに使う言葉が巧みである。これまでの政府による、上からの経済の体制ではなく、ボトムアップを狙っているのかもしれない。(人心を動かす?)」

金正恩の言葉のうち、30 %は現地の視察でであった。思考やイデオロギーの時代ではない、と。実利主義。他国に譲らない。自強力。

ソン氏「金正恩の経済政策は、集団主義であり、祖父や父を超えるために、経済発展を使っている。自強力である。自分に従う人間の創造。「金正恩は自由経済の人間ではない。」

「金正恩の核実験と拘束米国人の釈放。金正恩は恐るべき人。彼は自由世界の弱点を知っている。自分のために」

金正恩は、資本主義経済の「競争原理」や「働く気分」や「自助の精神」は知っている。

しかし、所詮は、搾取経済である。統制経済や社会主義経済はうまくいかない。経済がうまくいき、望んでいるような「経済成長」を達成するためには、「経済制裁の解除」が必要になる。それと、西側諸国からの「経済支援」である。確かに馬鹿ではない。恐怖先行統治。核開発ミサイル開発などの、先軍政策。反対者を次々と処刑する残忍性。だが、独裁者であり、狂人であるということにかわりはない。

(「NHKスペシャル」より参照)


金正恩の野望 第二章



秋田県沖男鹿半島。2018年、数多く見つかった北朝鮮からの漂流難民。しかし、月14人は初めてのことだった。寺で葬式。家族のもとに帰れない自死北朝鮮人。

北朝鮮の事情通「北朝鮮の漁民は、海に出て、漁を取り、沖で、中国船に魚を売る。魚が取れないと、次回海に出られない」

大規模な経済制裁の中で、なぜ、核開発やミサイル開発などの、〝金王朝〝のぜいたくな、潤沢な、資金が尽きないのか?北朝鮮権力の財源に迫る。

私たちはその像に迫った。「North Korea inc. 〝Office39〝」朝鮮労働党39号室。金正恩は、自ら、39号室という外貨獲得の秘密機関を組織して、外貨を集めていた。その39号室の真実に迫る。39号室にかかわった、元・39号室の幹部に迫った。

元39号室幹部「これは、堂々と表に出せる組織ではないのです。ですから39と名前をつけて、部屋番号で呼ぶのです。

三世代の世襲ができたのは、 39号室のおかげだと思います。39号室は、制裁逃れの手立てを必死に探すだろう。39号室は金正恩の金庫を満たして、カネを生み続ける任務を狙っているからだ」(元労働党幹部)

アフリカ大陸南部に存在するナミビアのウィントフックに、 39 号室が管理しているとされる工場を訪ねた。しかし、誰もいない。数カ月前にいなくなったという。マンスデ創作社。アフリカで銅像を作っていたという。しかし、世界的な経済制裁で逃げていった。そのマンスデ創作社は〝クラトン〝という麻薬を売っていた。39号室の活動は、〝金一族〝の金のパイプラインであった。世界中にひろがる、元39号室の幹部の6人に聞いた。

元・幹部同党最高幹部A「北朝鮮では、多くの国家機関が運営会社を持っている。民主主義国家のように、各機関に、予算がついて活動がなされているのではなく、北では、貿易会社が稼いだ金で、各組織を運営するのだ。金正恩は、各組織拡販の外貨を稼ぐように要求している。世界に点在する貿易組織。各国に贈り物。労働者・建設作業員…こうした人たちが稼ぐ奴隷賃金。そして、北朝鮮レストランの従業員や、観光会社の職員も動員される。

外貨を稼ぐのは内閣の国家機関だけではなく、機関の強力な組織も外貨を稼ぐ。

それが39号室という組織である。最高指導者・金正恩がトップを務める、朝鮮労働党の秘密機関である。

正確には、39号室は、党の内部にある部署の一つだ。ここは党の外貨稼ぎを継承している。北朝鮮にたくさんある貿易機関の中で、最も「隠し資産」があるとされている。つまり、貿易の関連する名義の機関の正面に立って、活動しているわけだ。北朝鮮の数ある輸出品の中でも大きな稼ぎになっているものは、どれもこれもすべて管理し扱っている。それが党の秘密外貨獲得組織39号室だ」

この組織の詳細を知る人物が、アメリカの首都・ワシントンDCで見つかった。

元・39号室主席代表・リ・ジュンホ氏。長年39号室の秘密貿易会社で代表を務めてきた人物だ。39 号室は、強力な北朝鮮の海外貿易と、恫喝の執行部であるという。その傘下では数十万人が働いています。

(39号室。年間300億円~ 600億円。あらゆる外貨稼ぎの機関。あらゆる資源を輸出。+偽札+武器輸出+麻薬+サイバー攻撃+北女性売春+瀬取り+サイや象牙の密輸+密輸ブランド品偽物+北朝鮮の労働者奴隷+偽たばこ)たくさん稼げば、党の覚えがめでたく、稼げなければ無能。そして、核開発、ICBMミサイル開発、ということである。

「39 号室組織図」

   「39号室」(革命資金)金正恩個人資金(年間300億円~600億円)

  ……金剛(クガン)総局〝金の生産〝

……大興(テクン)総局〝松竹海産物〝

  ……大聖(テソン)総局〝貿易指導・朝鮮人参・宝石〝……

  ……大聖(テソン)銀行〝貿易資金管理〝

  ……牡丹(モラン)指導総局〝食料品・酒・タバコ〝

  ……先鉾(ソンポン)指導総局〝原油〝

  ……楽園(ラグオン)指導局〝百貨店〝

  ……大径(テギョン)指導局〝日本向け海産物〝


*外交官で、麻薬で、2年で、2億円稼いだ人もいた。非合法でも、片足を刑務所に入れて外貨稼ぎをしているといわれている。

*金正日は「革命資金」をばらまいたりして求心力を強めた。1970年代に39号室がつくられた。金日成から息子金正日への世襲協力の金のためにつくられた。

社会主義化の北朝鮮では、カネを部下が管理するシステムである。そこに、秘密資金の作る意味があることはあった。そこで、39号室は「革命資金」を作ることに成功した。独裁権力をかためるために作ったのである。当時、金正日は、ライバル金平一(キム・ピョンイル)がいたが、革命資金を使って、幹部に、ベンツや大金をばらまいた。国内に、銅像をいくつも作り 、プロパガンダにも努めた。結果、金正日はライバルに勝利した。

国民数万人が餓死しても、金正日は革命資金を使わなかった。成果としては得られず消えるだけだったからである。金正日は「2400万人の国民より、自分に忠誠を尽くす、60万人の労働党員がいればいい」といったという。党幹部になれば、何でも支給される。

南北からの手紙。欧州のブランド品。高級たばこ。高級自動車…すべてである。

2012年、金正恩政権発足。だれも金王朝の王さまに文句が言えない。いえる人はとっくに処刑されている。相続した革命資金は3000億円。使うのは50億円。総資産6000億円。革命資金で、「三代世襲」に成功した。

金正恩が金正日死後、指導者として登場してきたとき、革命資金の資金力は絶大だった。

金正恩は、特に、経済問題も政治も門外漢であったから、金正恩は叔父の張成沢に、権限のすべてを渡していた。しかし、張成沢は、39号室の金を狙った。そのため、金正恩は張成沢が邪魔になり、政権発足二年で、処刑した。金正恩は、自分の地位が安泰なら、どうでもいい事であった。しかし、国民は、改革開放経済には熱狂的に切望していたため、部分的な導入を指示した。金正恩にとって、39号室は、権力の源泉であった。体制維持のために39号室は必要であった。

金正恩は、「国民の支持を得るのは経済を豊かにすること」という。しかし、39号室という「世襲をうまく動かす錬金術の資金」には手を触れずにいた。それは可能なのか?

北のサイバー攻撃で、バングラデシュ中央銀行から6000億円が搾取された。サイバー攻撃によって、北朝鮮は、公に、資金を得ているということである。北朝鮮はサイバー攻撃を否定するが、バングラデシュ中央銀行からサイバーテロで 6000億円が引き出されたことは間違いがない。それを、マネーロンダリングして費用として核開発やミサイル開発にいそしんできたのである。

(「NHKスペシャル」より参照)


金正恩の野望  第3章


金正恩が、「すべての核実験や核ミサイルの実験を停止する」と北朝鮮が発表した。

しかし、衛星写真では、核実験場がまだ稼働していることが分かった。

元・労働党幹部「金正恩は核ミサイルを持ち続けるという野望を捨ててはいません。」

ウクライナのロケットミサイルの設計図を盗作。北朝鮮はどうやって短期間で核開発やミサイル開発ができたのか ?そこには、ウクライナの技術者をリクルートして、また、パキスタンや中東での技術者のリクルート、そして、闇市場で技術を大金で買ったり、サイバー攻撃によって情報を得たり、していたことが分かった。ウクライナの旧ソ連の核ミサイル実験場。その取材が許された。冷戦時代、ここにはソ連の 100発のICBM核ミサイルがあった。このウクライナの機密が、北朝鮮に流れたのか?

ミサイルに詳しい元技術者「ウクライナの技術者を北に引き抜いていました。難解な設計図を読み解くためには必要であったのです。」

ウクライナに北朝鮮が入ったのは、2016年ころ。ロシアが、ウクライナのクリミアに侵攻して、内戦になった。その時期に、技術を大金でかったか盗んだりしたのだ。

インターネットを通じて、必要な高度技術を吸収した。そして収集した。サイバー攻撃で韓国にアクセスして、原子力発電所の機密情報などを盗んだ。これによって、ウランやプルトニウムの量産化、原子炉の建設設計、メンテナンスなどを行えるようになった。

2017年の核実験の規模は、広島長崎の原爆の 10倍の威力をもっている。

金正恩「 20世紀までのスパイ活動には限界がある。そこでサイバー攻撃ネット諜報ということになったのだ。」

核爆弾を作る原子炉や研究所も稼働中の北朝鮮。非核化などウソである。

2018年6月12日の米朝首脳会談での行為など全く具体性がなく、成果はゼロであった。しかし、トランプ米国大統領と金正恩北朝鮮委員長の首脳会談には、一定の意味、は、あった。北朝鮮を止めることができるのか?我々は、北が核をいくつもっているのか、わからない。すべての核を廃棄した、ということは確認できないし、すべての核兵器の廃棄を確認するのは不可能だ。当時の首脳会談でも、CVIDに関してはロードマップ(工程表)を含め、何の成果も得られなかった。対話がストップして「戦争しかない」ということでは駄目である。金正恩の謀略にだまされては、何もならない。北朝鮮に条件を付けていきながらも、まともに金正恩を信じるべきではない。

今こそ、新しいアプローチ、というものが必要であろう。

北朝鮮の核廃棄。そして、核開発核ミサイル開発の廃棄。無効化。拉致問題の解決。すべては戦略次第だ。米朝首脳会談後、また北が裏切れば、今度は「トランプのしっぺ返し」「米軍の鉄の鉄拳」が、そして戦争勃発の火種になり得る。もう、金正恩も馬鹿は出来ない。

戦略を持って、北朝鮮の金正恩と対峙し、より良い成果を探っていこう。

(「NHKスペシャル」より参照)




核・制裁 危機の繰り返し(『毎日新聞記事』参照)


朝鮮戦争から冷戦後までの米朝関係 *肩書きは当時

1945年8月  日本の敗戦と朝鮮半島の開放

1948年8月~9月  韓国(八月)北朝鮮(九月)の樹立

1950年6月 朝鮮戦争勃発

1953年7月    朝鮮戦争休戦

1960年2月    北朝鮮が寧辺原子力研究所設立

1968年1月 米情報収集艦「プエブロ号」が拿捕

1969年4月 北朝鮮機が米海軍偵察機を撃墜

1970年9月 北朝鮮がIAEA加盟

1976年8月    板門店で北朝鮮軍が米軍士官を殺害

1985年12月 北朝鮮がNPT署名

1990年9月   ソ連・韓国の国交正常化

1992年8月 中韓国交正常化

1993年3月   北朝鮮がNPT脱退を表明

1994年6月 カーター元米国大統領が訪朝

1994年10月 米朝枠組み合意が成立

2000年10月  北朝鮮の趙明録・国防委員会第一副委員長が訪米

2002年1月 ブッシュ米大統領が北朝鮮を「悪の枢軸」と非難

2002年12月 ケリー米国務次官補が訪朝 

2003年8月   6か国協議スタート

2005年9月 6カ国協議が核計画放棄を含む共同声明を採択

2006年10月  北朝鮮が最初の核実験

2007年2月 共同声明履行の「初期段階の措置」採択

2007年10月 第二段階の措置で合意

2008年12月  6か国協議首席代表会合(以降を開かれず )

2009年1月   オバマ米大統領就任

2009年4月 長距離弾道ミサイル発射実験

2009年5月 2度目の核実験

2011年7月  ニューヨークで米朝高官協議

2011年12月 北朝鮮の金正日総書記死去

2012年2月 核施設運転とミサイル実験中止で米朝合意

2012年4月 長距離弾道ミサイル発射実験(失敗 )

2013年2月 3度目の核実験

2017年1月 トランプ米政権発足

2018年6月 米朝首脳会談


薄氷の南北休戦協定(『毎日新聞記事』参照)


第二次世界大戦で 1945年8月15日、日本が敗北し、 35年間に及ぶ朝鮮半島の日本植民地統治がおわった。朝鮮半島は 38度線を境に、北側をソ連(現・ロシア)、南側を米国が、それぞれ軍事統治することになった。

当初は、国連監視下で、総選挙を実施して、半島全体に政権を樹立することがきめられた。が、北側を統治していたソ連が、国連の立ち入りを拒否。南側地域だけで、選挙がすすめられた。その結果、李承晩(イ・スンマン)が初代大統領にえらばれ、 48年8月15日には、韓国・大韓民国の樹立が宣言された。9月9日に、北側でも朝鮮民主主義人民共和国・北朝鮮の樹立が宣言された。

それぞれソ連が、北朝鮮から12月に、 49年6月に米国が、韓国から、撤退している。

38度線全線で、北朝鮮軍が韓国に攻めこんだのが、 1950年6月25日未明のことであった。朝鮮戦争が勃発したのである。北朝鮮の金日成朝鮮人民軍最高司令官は、祖国統一をしようという野望もって、韓国に攻め入った。朝鮮半島を統合しよう、しかも武力で、と考えたのである。最初のうちは、北朝鮮が有利に展開した。

トルーマン米大統領は、国連安全保障理事会の開催を要求するとともに、陸海空軍の派遣を命令。アメリカは「国連軍」として、韓国支援に乗り出した。イギリスやアメリカ、オーストラリアなどが参加する国連軍が結成された。

韓国の90パーセント以上がその時点で、北朝鮮軍支配下に置かれていたのである。マッカーサー氏指揮下の国連軍の韓国派遣により、北朝鮮軍の優位性は崩れ、 9月15日に国連軍が上陸作戦線を執行する。と、形勢は逆転。同28日には、首都ソウルを奪還した。

李承晩大統領は韓国有利となった後、北朝鮮政権の崩壊が必要との立場をとった。同調した米国が、安保理に語った。「ソ連軍が拒否権を行使しているが、米国は、国連総会での採択を提案して、38度線を突破することが肝要である」。

北朝鮮軍をアメリカ軍は中国国境まで追い詰めた。そのころ、北朝鮮の金日成主席と仲の良かった毛沢東は、中国共産党大会において、中国共産党軍ではなく中国義勇軍という軍を組織。北朝鮮軍を支援し、それによって韓国軍・国連軍と、北朝鮮軍・義勇軍の兵力は、38路線で一進一退の状態となった。

国連軍のリッジウェー総司令官が休戦交渉の開催を呼び掛けて、戦争が長期化する中で、中朝が応じて、51年7月10日、交渉が始まった。交渉は難航したものの、 53年7月27日に双方は休戦ラインを想定しで、合意した。

休戦協定が板門店で締結された。中朝代表して朝鮮人民軍の代表の南日(ナムイル)氏が、国連軍を代表。米国のハリソン氏が、それぞれ署名した。お互いの顔も見ず、握手もせず退席した。署名に参加しなかった金日成最高司令官と、彭徳懐・中国人民義勇軍、クラーク国連軍総司令官は、それぞれ後方の司令部で署名。韓国軍は署名を拒否し、義勇軍撤退、北朝鮮軍の武力解除、国連下での半島全体での選挙実施、を求めたが、協定は、同日中に発行し、休戦状態に移行し朝鮮戦争は休戦した。


1968年1月23日に起きた「プエブロ号」事件。休戦協定終結から約15年後、米朝は再び軍事衝突の瀬戸際に陥る。長崎佐世保から出航し、ソ連の潜水艦探知や、北朝鮮の通信傍受にあたっていた米情報収集艦プエブロ号は、北朝鮮の元山(ウォンサン)沖の洋上で、北朝鮮軍に領海侵犯を理由に、拿捕されたのだ。82人が身柄拘束をされ一人が死亡した。

空軍に戦闘準備を命令、航空機 200基を乗せた空母部隊が、日本海に展開して、米政府は北朝鮮に圧力をかけた。が、北朝鮮軍は、乗組員解放要求をはねつけ、謝罪を求めた。

ベトナム戦争拡大中の時期でもあり、謝罪することを選んだ米国。事件発生から11カ月後の十二月、乗組員は解放された。乗員解放の翌年には、さらに米朝関係の緊張が高まった。

69年4月15日、厚木基地飛行場を飛び立った米軍米海軍偵察機が、ソ連の国境に近い北朝鮮沖で撃墜された。ニクソン米大統領は激怒する。これによって、「全面戦争に発展する可能性がある」と米国大統領ニクソンは発言して、北朝鮮の攻撃を含めた作戦実行を計画したという。しかし、ニクソン大統領は攻撃作戦をあきらめた。

キッシンジャー氏はこう言った。「同じことが起きたら北朝鮮は対価を支払うべきだ」

報復攻撃の必要性を書きしめしている。


冷戦終結  深まる孤立(『毎日新聞記事』参照)


北朝鮮の核開発は、ソ連、ロシアのドゥブナ核研究所を創設参加のための協定を1956年三月締結し、科学技術者の研究を始めたのが発端である。

64年二月に、寧辺(ニョンビョン)原子力研究所が設立され、 74年九月に、国際原子力機関 IA EAに加盟。 85年十二月に、核拡散防止条約NPTに署名した。

80年代、ソ連などの社会主義諸国の経済停滞が深刻になる。社会主義体制の存続さえ脅かされる事態となり、89年、東欧の社会主義国の崩壊が始まると、北朝鮮も深刻な打撃を受けた。 92年八月には、中国が韓国と国交を結び、北朝鮮の国際的安全保障的な孤立は、決定的となった。冷戦終結後の北朝鮮は、孤立の一方だった。

日朝国交正常化交渉や南北対話を中断。北朝鮮は交渉相手を「アメリカ」に絞ることになった。カードに使ったのが核開発である。

86年十月、金日成主席が、ソ連共産党のゴルバチョフ書記長と会談した。金主席は、「あの男(ゴルバチョフ)では、ソ連も悲惨な末路になるかもしれない」と漏らした。

北朝鮮は秘密裏に核開発計画を持っていた。ソ連に駐在し、北朝鮮の研究者たちは、非軍事の研究機関で学んでいた。北朝鮮は、米国との取引きのために、核開発ICBMミサイル開発に拘泥した。

「アメリカとの交渉には核兵器を持っていた方が有利に働く」と思ったからである。

北朝鮮はNPTからの脱退を表明し、「第一次核危機」が始まった。アメリカでは、クリントン政権が誕生したばかりだった。


北朝鮮の核施設を攻撃する計画を米国が浮上させた。それが1994年六月であった。

「国防長官に就任した時、大げさではなく、第二次朝鮮戦争がはじまるかもしれない状況にあった」クリントン政権二人目の国防長官ウィリアム・ペリー氏はこう当時を振り返る。

だが、訪朝して、金主席とカーター元米国大統領が会談したことで、危機は、交渉面で転換された。「北朝鮮が核廃棄・開発計画凍結の用意があるならば新たに交渉に臨むことがある」と米国は表明した。合意が達成されたのは94年十月だった。

米朝枠組み合意とは、北朝鮮がプルトニウムの抽出が容易な原子炉の建設運転を凍結する代わりに、米国が、軽水炉建設を支援し、完成までの代価エネルギーとして年間50万トンの重油を供給する、というものだ。2003年を目標に、米国は、北朝鮮の核施設および関連施設を軽水炉に転換することを約束。北朝鮮には、軽水炉が完成するまでの間、発電用として、重量が提供された。

ブッシュ政権が発足する直前の 00年まで、クリントン政権は、北朝鮮との平和条約構築に向けた秘密交渉を詰めていた。その大役を担ったのが、ペリー氏だった。

しかし、北朝鮮はまたも裏切りというか、秘密裏に、核開発をしていて、しかもICBMミサイル開発をも秘密裏に行っていた。交渉は決裂した。そして、クリントン政権は幕を閉じ 、01年には W・ブッシュ政権が誕生した


裏切られた国際合意(『毎日新聞記事』参照)


W・ブッシュ(子)米国大統領は、就任2年目に、北朝鮮をイランイラクとともに「悪の枢軸」と呼んだ。2002年一月のことであった。米朝関係は、1990年代前半に続く「第二次核危機」を迎えていた。まず浮上したのは、新たなウラン濃縮技術取得疑惑であった。

パキスタンから技術を導入した、またもの核開発だった。北朝鮮の脅威は明らかであった。

当時、米国務副長官だったアーミテージ氏は、「パキスタンのC130輸送機が平壌空港に着陸している衛星写真を、パキスタンのムシャラフ大統領に突き付けた」と振り返る。

核濃縮技術を伝授したのはパキスタンだった。パキスタンは 80年代後半に、核開発にこぎつけたものの、ミサイル開発では、ライバルのインドに負けていた。北朝鮮のミサイル技術を導入し、そこで、そのため、北朝鮮から中距離ミサイルの「ノドン」の調達を決めたのである。この年の六ヶ国協議では、「北朝鮮のすべての核兵器や、既存の核計画を廃棄する。米国は、核兵器や通常兵器で北朝鮮を攻撃侵略することがないようにすること」を、確認。「米朝協議の上、国交正常化。北朝鮮にエネルギーを支援する」。

六ヶ国協議の合意文書には、それらの項目が盛り込まれた。

数日後、ところが、共同声明採択に向け大詰めの作業を進めていた北京に、ワシントンから衝撃的なニュースが飛び込んできた。北朝鮮が、秘密裏に核開発ミサイル開発を進めているというのである。ことの重大性を把握したアメリカや6カ国協議の参加国は、またしても北朝鮮にだまされた。反対意見や不満が爆発した。

2006年10月9日。北朝鮮は地下核実験に乗り出した。六カ国協議の共同声明の条件を全く無視した、約束違反の行動であった。

その後も、北朝鮮は、核ミサイル開発核兵器開発 ICBMミサイル開発を進めた。

ブッシュ大統領は、これを受けて、北朝鮮に対する「テロ支援国家指定解除」を解除し、「北朝鮮への経済制裁」を強めた。しかし、任期残りわずかなブッシュ大統領は、それ以上の北朝鮮への「経済制裁」に踏み切ることはなかった。核開発疑惑には一歩も立ち入れず、プルトニウムによる核兵器開発の現象さえ宙に浮かせたまま、その後、ブッシュ政権は終わった。

2009年、オバマ大統領の政権時代。北朝鮮は、 6カ国協議から離脱宣言し、「すべての行為に拘束されない」とした。

オバマ大統領は批難した。が、北朝鮮の暴走は止まらなかった。そして、2011年、北朝鮮の金正日総書記が急死する。と、突如、金正恩委員長が、北朝鮮のトップとして、あらわれ核開発やミサイル開発・ミサイル発射などへ、唐突に、舵をきり始めた。

そして、突然の対話路線へ転換したのである。そして、その成果として、米国のトランプ大統領との「米朝首脳会談」(シンガポール2018年6月12日)が当時、行われたのである。

その会談前に、トランプ氏は、「金正恩氏と会談する用意がある」と語り、北朝鮮側も、トランプ氏を「賢明な政治家であり、先見の明のある大統領である」と評価し、双方が対話への期待感をにじませていた。だが、その後、対話に向けた雰囲気醸成はすすまなかった。北朝鮮側・トランプ政権側も強硬姿勢に危機感を抱いた。が、北は、 16年から17年には核開発のスピードをさらに加速させた。トランプ政権も、国際社会を巻き込んで「経済制裁」を強化した。ところが、2018年一月、金正恩が、新年の辞で「宥和姿勢」に転じると、対話ムードが一気に広がり、そして、シンガポールでの米朝首脳会談開催にこぎつけたのである。確かに、成果はなかった。が、会談をしたことついては歴史的なことであり、意義はあった、と、いうことである。




北朝鮮ICBM発射(『毎日新聞記事』参照)


ソ連製スカッドミサイルを改良して北朝鮮は、 1980年代から弾道ミサイル開発に乗り出し、90年代に中距離「ノドン」(射程約1300キロ)等の発射実験を実施。2011年末に指導者となった金正恩氏は開発を加速し、12年に長距離「テポドン2」改良型。16年に中距離「ムスダン」を発射。2018年一月には ICBMの発射実験準備が「最終段階」にあると表明し 2月と五月に新型中距離ミサイルを相次いで発射した。

いつまでも米国が、軍事行動を起こさないということはありえない。ミサイル実験は、とうの北朝鮮だけでなく、日本や韓国にとっても極めて危険な行為だ。いったん軍事行動が始めれば、当然のことながら、北東アジアが戦乱に巻き込まれる。だから、国際社会が北朝鮮の行動をどこかで止めるということに尽きる。

北朝鮮の核開発問題をめぐる6カ国協議に参加している、米国、日本、韓国、中国、ロシアについても、「違う思惑」で動いているふしがある。だが、北朝鮮を除く5カ国が「強い連携」を保たない限り、絶対にうまくいかない。各国は、本気になって「北朝鮮の核問題」に真剣に向き合わないといけない。必要なのは、国際社会の連携だ。連携して、北朝鮮に対して「ミサイル実験は許されない」という意思表明をすべきだ。5カ国が「共通のシナリオ」を持つことだ。当然、軍事的な解決は避けなければならない。6か国でちゃんとしたシナリオや戦略を持って、北朝鮮にあたることを望みたい。枠組み作りに努力してきた日本が、北朝鮮問題の出口へのシナリオを提示することを期待したい。

北朝鮮の目標は、一貫して、「米国に届く核ミサイルの開発」という、明確な目標であった。核ミサイル開発が完了した、といえる一方、実戦配備されていないことなどから、国際社会は「まだそこまでは言ってない」と考えている。クリントン政権も、ブッシュ政権も、オバマ政権も、いずれも北朝鮮の体制覚悟を、外交上のしぶとさを、過小評価したもので、そのあいだに北朝鮮は着々と目標へ近づきICBM発射という結果を生んだ。

北朝鮮がこのレベルに達すると、本気で圧力を加えるためには、米国や国際社会が相当の覚悟をしなければならない。軍事行動をとれば、北朝鮮はかなりの確率で反撃してくるだろうから、その覚悟を決めることは容易ではないだろう。当時、ICBM発射などがトランプ政権にとっての「レッドライン」と思われていた。が、レッドライン(赤信号)を超えた場合の準備ができていなかったし、覚悟もできていなかった。一方、中国は北朝鮮という国をコントロールする難しさを理解している。圧力をかけて追い込めばすべていうことを聞く、とは思っていないし、米国のような力ずくで短期的な結果を求める国とは異なる。そこに、朝鮮半島の非核化を目指す中期長期的な戦略が見え隠れする。

国際社会に反発して強気の行動を続けるのは、弱気な面を隠すため、という北朝鮮の解釈があるが、全く違うと思う。おそらく米国は、ミサイルや核開発の比率を客観的に認め「放棄要求」から「管理する戦略」に移行するとみているのではないか。

日本政府の反応も鈍かった。ICBMであることを認めると国内に混乱を招きかねない、というプレッシャーがあったからだろう。当時のトランプ政権や安倍政権は、中国に過度の期待を寄せていたが、効果が薄いことが分かっていたはずだ。やはり、米朝会談や日朝協議を再開させて、安保理対話で進めていくしかない。

脱北者がみる北朝鮮の今は、情報がアキレス腱である。国連が覚醒し、不満が高まれば、北朝鮮の金正恩体制は「崩壊」へと向かう。電力不足も北朝鮮にとっては問題だ。

北朝鮮は「核抑止力」を手にしたうえで核実験場を廃棄している。米国に追い込まれているわけではない。

北朝鮮は、トップ会談で求めてきても、すべて手に入れた状態では、現時点で、大幅な譲歩をする必要に迫られていない。トランプ氏の最大の失敗は、米朝首脳会談に先立ち「最大限の圧力という言葉を使わない」と明言したことだ。

世界で唯一いまだ冷戦構造が終結していない北東アジア。

日本は拉致問題という個別の問題を抱えている。北朝鮮に拘束された3人の米国人は解放されたが、日本の拉致問題とは状況が全く違う。アメリカ本土には届かないが、日本には射程距離内の北朝鮮保有の短・中距離ミサイルの問題もある。日本との和解がないまま防衛力を簡単に放棄することはできないというのが北朝鮮の立場だろう。

日本は原則を変えたり、あわてたりする必要はないが、取り組むべきことはたくさんある。非核化というゴールがぶれないように米国に働きかけることも必要だ。

結局のところ、そのうえで拉致問題というのは、日本と北朝鮮との問題であるのだから、日本独自で戦略を練って対話を重ねるしかない。

最終的に目指すのは、北朝鮮が独立した核保有国であり、核保有を宣言してはいないが「事実上の核保有国」とみられているイスラエルのような「イスラエル方式」を狙っている可能性がある。北朝鮮が一番嫌っているのが「リビア方式」である。リビアでは、大量破壊兵器の放棄をして一度は国際社会に迎えられたカダフィ大佐が、アラブの春後、悲惨な最期を遂げた。

敵対関係が解消されるに合わせ、その分だけ、非核化するということだから北朝鮮は、いけるところまでそれでいこうと考えているのではないか。北朝鮮が非核化を進めていくとしても、核廃棄にしても、「核による自衛」を目指している以上、最後には小規模の核が残る。これは彼ら自身に廃棄してもらうしかない。経済改革が成功し、さらに南北が長期にわたって安定的に共存していける体制になったならば、核廃棄も考えられるとしても、少数の核が残る可能性はぬぐえない。

北朝鮮に対する抑止力をすぐに取り払うと、むしろ不安が増すことになるから徐々に平和体制の構築へと米国はかじを切っていくことになるだろう。

また、米国で政権が変われば政策も変化するのではないか?という不安を北朝鮮は持っている。日本の最優先課題は「拉致問題」だが、北朝鮮にとっては「国交正常化」「戦後賠償」という主張である。日本が交渉のために優先順位を再考するぐらいの覚悟が必要ではないか。

当時と比べて、日本には巨額の資金を出す余裕がなくなった。また、中国や韓国・ロシアの存在感が北朝鮮にとってずいぶんと大きくなっており、日本からの支援がなければ先が見込めないという状態ではない。米中のバランスの中で、経済的に中国との関係を新しく設定し、そこに北朝鮮も関与させるという仕組みの中で、日本の戦略は、北・韓国経済の活路を見いだし、日本の経済発展を遂げ、南北対応もすすめていこうという戦略・考え方があると思う。当時、米朝会談開催という例しかなかった気もする。よかった悪かったということは別として、今になってみれば、これは歴史の流れだったのかもしれない。

*「キーワード」**  *CVID「完全(Complete)かつ検証可能(Verifinable)で不可逆的(Irreversible)な非核化(Denuclearization)」

*米朝枠組み合意……1994年十月に米朝間で合意された核開発凍結と引き替えに、北朝鮮に軽水炉2基と、年間50万トンの重油を提供する合意である。北朝鮮はNPT(核拡散禁止条約)にも加盟した。が、その合意が破棄されたことで事実上崩壊した。

*「リビア方式」……核廃棄を制裁解除に先行させる方式。リビアのカダフィ政権は、2000年十二月、米英の圧力を受け、核兵器を含む大量破壊兵器開発計画の一括廃棄を表明。国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れた。しかし、「アラブの春」ごろ、リビアが内戦となり、カダフィ大佐が反体制勢力に暗殺されて終わった。

*「日朝平壌宣言」…… 2002年9月12日、北朝鮮に訪問した小泉純一郎首相と金正日総書記が署名した文書。「日本による植民地支配に対するおわび」や「国交正常化後の経済協力」「拉致問題の解決」などを合意した。その結果、拉致被害者5人が日本に帰国したことがあったが、その後、低迷した。


今後のカギは、北朝鮮が完全な核関連施設のリストを提出するかどうかだ。過去の交渉では、不完全なリストを提出し、それが問題となり決裂している。米国側は、人工衛星で監視しているが、山や洞窟もありすべてを把握できない。北朝鮮の今後の出方を見ない限りは、判断は難しい。完全な非核化に希望を持っているが、状況は深刻さを増している」(専門家談)

米朝首脳会談からだいぶ時間が過ぎた。だが、非核化の入り口すら遠いっていう状態だ。遺骨返還協議も北朝鮮が欠席し、全く進んでいない。また、アメリカの雑誌は 2003年から平壌郊外にウラン施設があり、それが稼働しているという情報を流した。つまり、「米朝首脳会談の成果はまるでなかった」ってことだ。

もし、北朝鮮の金王朝が崩壊するなら、韓国・ロシア・中国も虎視眈々とその機会を狙っている。韓国はすぐの「南北朝鮮統一」を望んではいない。統一すれば韓国の財政負担が大きいからだ。一人当たりのGDPが 1千ドルくらいで国と(北朝鮮)、2万ドル近い国(韓国)では、差がありすぎる。この差がある程度縮まるのであれば「植民地」のような「安い労働力」で活用し、韓国が自国の力をつけてからの「統一」となるだろう。

中国も北朝鮮より人件費が高くなってきた。北が倒れたら「安い労働力」を活用したいというのが中国の本音だ。もちろん中国として、アメリカとの間に「緩衝地帯」をおくことも忘れてはならない。ロシアも「極東ロシアの開発」で人手が足りないから、「北の安い労働力」を利用するであろう。隣国はすでに、「北朝鮮の崩壊」を絶好の好機と狙っており、邪魔なのは金王朝だけである。金王朝が崩壊しても、北の国民には職もあり、恐怖から解放されて安心して過ごせる。その後、北朝鮮の生活レベルが上がって、「統一ドイツ」のように「統一」するということがあればそれはいいことだ。そのとき誰かが、「統一ドイツ」時のコール首相のような立場で、動かなくてはならない。それは誰かわからないが、歴史的な活動として、そのような立場をとる人間がいなければならない。

(『毎日新聞記事』参照『大前研一ニュースの視点』参照)


消費税はまだまだ上がるのか?衰退しつつある日本


 急速に少子高齢化が進行し、日本はいま衰退しつつある、といわれています。合計特殊出生率(一人の女性が一生に産む子どもの平均値)は一.四四。人口を維持するために必要とされる二.一を大きく下回っています。高齢化は世界一で、四人に一人は後期高齢者(六十五歳以上)です。

高齢者が増えれば当然、医療費や介護費などの社会保障費も増加します。社会保障費は毎年一兆円ずつ自然増となり、国の借金はそうこうしているうちに一○八○兆円というとんでもない莫大な金額に達してしまいました。

そこでひとつの手段として活用されるのが「消費税増税」な訳です。社会保障費を何故「消費税増税」という「間接税」で賄う必要があるのか?それは所得税や法人税は、景気に左右されますが、「消費税」のような「間接税」は景気に左右されないからですよね。食品や飲料などを買わないなんてことはない。景気が悪くなったからといって、買い物をやめるわけではないので、消費税の税収はあまり落ち込まず、安定した税収が見込まれる。だからこそ、社会保障を維持するうえで、財源として消費税が選ばれるのです。

消費税はまだまだ上がるでしょう。イギリスやフランスやイタリアでは二十%。高負担高福祉のスウェーデンやノルウェーでは消費税は二十五%です。日本はやっと2019年に八%から十%に消費税を増税する予定です。ですが、十六~二十%ぐらいでないと社会保障費や高福祉には全然足りないのは火を見るより明らかです。もちろん、消費税増税は所得の低いひとには「死活問題」というか。

そこで「消費増税」のときに「軽減税率」の導入も検討されています。これは食料品などを安くするという「低所得者対策」な訳です。

何はともあれ衰退しつつある日本の「社会保障費」には十%では全然足りないのですけどね。


年金制度は本当に破たんするのか?


 日本の年金制度は「三階建て」、といわれています。まず、一階部分にあるのが「国民年金」で、日本国民の二十歳から六十歳未満のすべての国民に加入納付義務があります。そして二階部分にあたるのが、会社員と公務員が加入する「厚生(こうせい)年金」にあたります。会社員や公務員は、自動的に国民年金にも同時に加入していることになります。そして三階部分にあたるのが、大企業が独自に設定している「企業年金」と、公務員のために設けられている「職域年金」です。つまり、大企業の社員と公務員は同時に「厚生年金」と「国民年金」にも加入していることになります。

公務員の年金は「共済(きょうさい)年金」がありましたが、二○一五年に「厚生年金」に一元化されました。ですがこれは、「共済年金」が破たん寸前だったために一元化したといわれています。「職域年金」の特権は維持されていますから、公務員の優遇状態は変わりません。

ですが、ほんとうに年金制度を公平化するにはこの「三階建て」をすべて一元化すべきとの声もあるのです。

年金は「賦課(ふか)方式」といって、いま働いている若者が、いまのお年寄りの年金を払うシステムです。若者が払った年金納付額を貯めて、老人になったら受け取る、というような「積立方式」ではありません。賦課方式のメリットは、インフレや物価高や景気悪化の影響を受けないことです。保険料の調整で、対応できるのです。年金額は五四兆円で、受給者は七千万人(二○一六年時)。今後、年金を貰う世代が増えるのは明らかです。

いまの若者が歳をとったとき、さらに若い年代が年金を払う訳ですが、本当に維持できるのか?といわれています。現在のお年寄りは「勝ち逃げ世代」ではるかに少ない年金を払い、払った額の数倍の年金を受け取れますが、五十代くらいから下の世代は払った分より少ない年金だけです。

年金の納付率は六五%(国民年金。低所得などで免除・減額されているひとがいるので実際は四○.五%)。若者の非正規労働や貧困などで納付率が下がっているともいいます。年金制度への悲観的な見方がさらに納付率を下げる悪循環に陥っています。現在、高齢者が受給している年金は、国庫から税金でも負担されています(二○○四年の制度改革により二分の一まで)。財源の確保が課題であることはいうまでもありません。

このままでは、年金はいずれ維持できなくなり、破たんするのではないか?という不安は当然です。

ですが「年金制度は本当に破たんするのか?」といえば「破たんはしません」です。何故なら日本国が運用しているから。日本国が運用しているのなら、破たんしたとすれば日本が滅んだときだからです。だが、それでも「危機的な状況」であることには変わりありません。





第三策『日本の新世紀維新への策謀』






    安倍晋三元首相の国葬はそれに相応しい人物・実績であったか?


 日本の安倍晋三元首相は2022年7月8日に、参議院選挙の選挙演説中に銃撃されて死亡した。その後に、安倍氏の国葬義(国葬)が全額国費で、同年9月27日に日本武道館で行われることが閣議決定され、行われた。国葬は戦後になってからは吉田茂元首相と皇族を除けばそれだけである。

 だが、果たして、「国葬に相応しい人物であったのか?」という疑問は残る。

 反対の声も多く、世論は真っ二つに割れて、反対デモまで行われた。

 岸田文雄首相は「歴代最長政権だった」「外交が国際的に高評価だった」という理由で決めた、というが理由になっていない。銃弾のテロで斃れた……というのが国民の同情を買ったようだ。が、死に様の悲劇と政治的な評価はわけて考えた方がよい。

 戦後の首相の中で、最も国民の為になった政策を推し進めたのは安倍氏なんかじゃなく、中曾根康弘元首相であろう。安倍氏などは憲法改正に熱心であったが、改正採択の法案(「国民投票法案」)をつくったぐらいが功績で、その他は何もない。

 中曾根さんは「三公社五現業(日本国有鉄道、日本電信電話公社、郵政、国有林、紙幣等印刷、造幣、アルコール専売)の民営化」という難事業を見事に成し遂げた。

 日本郵政の民営化は、その後の、小泉内閣が成し遂げたが……。

 外交でも、日米関係を対等な「イコール・パートナー」にすることを目標とし、実際に、当時のロナルド・レーガン米大統領とは「ロン」「ヤス」と呼び合うほど、日本のプレゼンスを確実に引き上げた。中曽根さんこそ国葬にするべきであった。

 だが、そんな中曽根さんは自民党葬でしかない。

 何故、そんな中曽根さんよりも小者で、頭も悪かった〝バカ息子〟の安倍さんを、銃撃テロで志半ばで斃れたから……、と、国葬にしたのか? お金がもったいない。

 森友学園・加計学園・桜を見る会などの疑惑―――――それらは、安倍さんが暗殺されて死んだことでうやむやになった。彼は疑惑の犯罪以外になにもなしていない。

『戦後レジームからの脱却』だのいうが、それでアメリカ政府から顰蹙を買うと、すぐに態度を軟化し、〝アメリカのポチ〟のようになる。

『アベノミクス』とかいう経済政策も、少子高齢化と低欲望社会の日本ではなにもうまくいかなかった。安倍さんは旧統一教会への協力や影響力もすごかった。

 安倍派のほとんどは統一教会の息のかかった政治家ばかり……そのボスが安倍さんだった。自民党と旧統一教会の癒着は岸信介時代からだが。それで安倍さんがボスだったのだ。

 外交はうまくやったというのも嘘で、米国のトランプ大統領(当時)と「イコール・パートナー」で「ドナルド」「シンゾー」と呼び合う仲、というのも嘘である。その証拠に、安倍氏の国葬にトランプ氏の顔はなかった。

 挙句の果てに、旧統一教会へ熱烈なビデオメッセージを寄せて、それで犯人に逆恨みされ、銃撃で殺された。それまでは、〝キングメーカー〟として多大な影響力を示して、日本の闇の部分の深さを絶望とさせる存在までになっていた。

 ――安倍氏が殺された。つまり、――――妖怪の孫が死んだ、ということである。

 旧統一教会については、『解散請求』が出された。だが、それで、日本人の信者を〝献金奴隷〟として日本だけで数兆円を集めていた朝鮮宗教カルト団体が滅ぶ訳がない。

 殺されてよかった、とまではいわないが、(「国葬」をするほどの)重要人物であったとはわたしは安倍氏をそんな風にはどうも思えないのである。

 (大前研一著作からの参照・引用)


  日本の外交力の欠如は『小選挙区制度(衆議院選挙)』



 日本の外交力というものがこれほど悲惨と言うか、国際情勢など何も把握していない政治家ばかりになったのは、1996年からの衆議院選挙の『小選挙区制度』である。

 それまでの中選挙区制度のひとつの選挙区から複数の議員を選出していたのが、ひとつの選挙区からひとりが当選するだけになった。

 狙いとしては政権交代が起きやすい選挙制度にすることだった。だが、弊害の方がおおきい。ひとつの選挙区の20~40万人くらいの地方に、「おらが町に利権を!」とばかりに選挙区に中央政府から〝利権〟を誘導する政治家ばかりになったのだ。

 そんな選挙では、国際情勢も外交も財政も意味がない。語っても、選挙の当選に結びつかないのである。よって、政治家は「利益誘導」の話ばかり演説する。

 だから、故・安倍晋三のような、萩生田某や杉田某みたいな政治家ばかりになる。ひたすら小粒で、何も見えていない。利益誘導と、立派な(中身のない)演説術だけ……。なら、大選挙区制にすればいい。そうすれば少しはマシな政治家も増えるだろう。

 中選挙区に戻したら、また自民党の派閥形成選挙になるだけ、だ。

 同じ選挙区に、派閥ごとに複数人擁立するという派閥抗争が復活するだけ、だ。

 道州制でなくともよいが、衆議院で、全員で百人程度とし、存在意味がない参議院議員制度は廃止にし、一院制にする。または、百人+女性百人の二百人で、一選挙区に男女一人ずつの当選とする。クオーター制である。

 天下国家の運営に、今のような四百人など多すぎて、いらないのだ。

 地方のことは地方の知事や都道府県市長村長・市議会議員・村議会議員などいっぱいいるではないか?

 (大前研一著作からの参照・引用)


  AIが仕事を奪っていく! 『チャットGPT』でますます馬鹿に



 今のIT技術において、我々は様々な技術で便利になっていったが、そのAIによるインパクトの大きさにおいては『チャットGPT(生成AI)』の比ではない。

 今まで我々は、例えば、『古代ローマ帝国の滅亡』を調べる時、検索サイトにその文字を打ち込んで、検索、結果のURLをクリックして文章をいくつも読み、頭で組み立てて、理解していた。

 だが、生成AIならそれすら必要がない。「じゃあ、説明して」とリクエストすれば、説明文が出る。調べるだけではなく、文章はもとより、絵や音楽や画像・動画など何でもありである。

 今でこそ、生成AIの信用度・正確性があまりよくなく、「また嘘をついて……」というような状態だが。それも今の内だけで、もっとすぐに信用度も正確性もアップしていく。

 ビジネスの企画書や図形やグラフ図などもすぐに作成可能になるだろう。

 だからこそ、リスキリング(学び直し)が必要で、AIに勝つには人間の創造力・想像力しかない。リスキリングといっても、デジタル言語やプログラミングだけではなく、もっとAIには出来ないことでないとすぐに仕事を奪われてしまう。

 今の若者は小説どころか、スマホのWikipediaの文章でさえ読めず、「冗長だ」と嘯くという。もう、「本を読め」どころではなく、旧ツイッターの文章でも限界なのだとか。

 小説も読まず、テレビも観ず、当たり前だそうだが新聞も読まない。

 なんと、漫画でさえ、一気に読めず、数日間で、少しずつ、読むんだとか……。

 ただでさえ頭を使わず、馬鹿なのに、これで生成AIが普及したらますますもっともっと馬鹿になる。何も知的なことを考えられず、〝便所の落書き〟のような誹謗中傷だけを書き込み、悪態をついて、他人をいじめ、新聞も読まず、毎日、働きもせず、生活保護生活で、惰眠や惰食を貪る。これでは日本国の終わりだ。

 「今の若者を叱るのはお門違いだ」という物わかりのいい中年もいるが、そこは叱ってでも、新聞や小説や哲学書を読ませないと。ニュースを観させないと。

 将来、困るのはその子供だ、ということなんだよ。読書や発想を創造を習慣化させないと。

 背に腹は代えられないんだよ。

こういう社会になったのを「大変な時代になった」と捉えるか、「チャンスが多い時代になった」と捉えるのか? それはすべてあなた次第である。

 さらに言えば、この世界を生き残れるか、負け組のままか、それもあなた次第、で、ある。

(大前研一著作からの参照・引用)




政治刷新改革「繰り返される「政治とカネ」」

    『小石河連合』で奇跡を起こせ!


政治資金パーティー制度が出来たのは1975年であり、その当時は企業献金から政治家個人への献金への転換を目指すものだった。だが、リクルート事件(1988年)の時に、社員数よりも多い枚数のパーティー券を購入するなどの悪用もみられた。これを受けて92年に100万円超(94年の改正で20万円超)の購入者は名前を公表するなどの改正で、落ち着いた。だが、99年の改正で政治家個人への献金が全面的に禁止になるとパーティーが増加した。政治家や献金したい企業には、パーティーは双方に都合がいい。赤字企業や外国人などの規制と違い、制限がない。公開基準も5万円超の寄付より甘い。政治家にとっても、パーティーの対価としてのパーティー券は売りやすい。

 94年に政党助成金制度が出来てから、献金も集まらなくなったが、パーティー券は献金の枠外ということで、便利だし、企業は献金と思っているが対価だが献金ではないという建前だ。

(『振出しに戻った自民党 政治刷新改革の主な流れ』「国民感覚とのズレをふかく反省」(1989)『自民党政治改革大綱決定』→(1992)『政治資金パーティーの規制強化』→(1994)『政党助成金導入』→(1998)『政治家個人への企業・団体献金禁止』→(2007)『国会議員が問われる政治団体の領収書原則公開』→(2009)『自民党下野』『党再生会議 自民党再生の提言』(敗因の分析)「国民感覚とのズレをふかく反省」→(2012)『政権復帰 長期政権(安倍独裁)』→(2019)『(森友・加計)「桜を見る会」問題』→(2023)『パーティー券裏金問題』→(2024)『政治刷新本部初会合』(池田議員・安倍派議員逮捕)(1月26日)『通常国会』→(3月)『予算成立』→(4月)『衆議院島根選挙区補選』→(9月)『政治刷新本部全体取りまとめ』『自民党総裁選挙』→(2025)(夏)『参議院選挙』(10月)『衆議院議員任期終了』……)

チェックする仕組みがないことが最大の問題だ。政治献金やパー券規制制度も、「泥棒に泥棒を捕まえさせるようなもの」であり、規制はすすまない。

 強制力を持ったチェック機関をつくるべきだ、というが実際につくるのは簡単ではない。

 政治献金の透明性の為に、収支報告書の原本を電子化し、ネット上に公開し、誰でも閲覧・チェックできるように――――――というが個人情報とかで〝のり弁状態〟になるだろう。

 政治とカネの問題は深刻で、リクルート事件以前から、「田中角栄が……云々」と口が酸っぱくなるほど言われてきた。その政治家は「政治にはカネがかかる」「後援会の維持費」「事務所の維持費」「選挙の費用」云々、なんたらかんたら――――言い訳ばかりだ。

(飲み会に政治資金は必要ない。ポケットマネーでやれ。政党助成金だけで間に合わせろ。助成金の上に裏金や献金では「泥棒に追い銭」だ)

(パーティー券の問題は、参加人数とは別に全員参加ではなく、参加以上の数の献金が集まること。企業は政党(本部、支部)、政治資金団体以外には寄付できない。派閥のような政治団体にはそのために寄付できない。だから、パーティー券を買い、それが事実上の派閥への企業献金になっているのだ)

2024年1月23日のことだが、自民党による政治刷新会議での『中間とりまとめ案』が発表された。【政治資金の透明性徹底】*政策集団の政治資金パーティー全面禁止*政策集団の収支報告に外部監査を義務づけ など。【派閥の解消と党のガバナンス強化】*「派閥」から脱却し、本来の政策集団に生まれ変わる。→お金と人事から完全に決別。*法令違反の場合、党が活動休止や解散を要求 など。(岸田派・安倍派・二階派・森山派の派閥は解散(麻生派・茂木派(平成研究会)(派閥は解散し、政策集団として存続)は協議中))

(【清和政策研究会(安倍派)98人】【派閥側】「在宅起訴」(会計責任者)

  【議員側】「逮捕」池田佳隆+秘書(衆議院)「在宅起訴」大野泰正+秘書(衆)

   「略式起訴」谷川弥一+秘書(元・衆議院議員・議員辞職)

【志師会(二階派)38人】【派閥側】「在宅起訴」(会計責任者)

   【議員側】「略式起訴」二階元・幹事長事務所(秘書)

【宏池政策研究会(岸田派)46人】【派閥側】「略式起訴」(元・会計責任者)

【麻生派56人】【茂木派53人】【森山派8人】【無派閥(菅氏・小泉氏・石破氏)79人】 

*派閥幹部は立件されず。

 個人献金は申告が5万円以上だが、パーティー券は20万円以上。しかも、記名は14%で、匿名が86%。これがブラックボックス化していた。

【改革案】*企業・団体献金の禁止*政治資金・パーティーの透明化*「連座制」の導入(議員も処分の党則改正)*政策交付金の廃止*政策活動費の廃止*第三者監査の導入)

(選挙制度の在り方・国会運営の在り方・官僚との距離感の在り方まで今後も改革努力を継続)(【政治家には3つの財布がある】『政党交付金(国民一人当たり250円の負担)』『献金(企業・団体・個人)』『パーティー収入』→(*政党支部*資金管理団体*後援会))

政治資金規正法自体が、いわゆる『ザル法』で、抜け道が大量にある。

まさに「泥棒を泥棒に捕まえさせるようなもの」であり、このままではまた第二第三の政治家不祥事・逮捕、が繰り返されるだけである。

 政治家も身を引き締める時期だ。

 自民党などによる『政治資金規正法改正案』が2024年6月19日に成立した。

 改正政治資金規正法でどうかわる?

『政治資金規正法』

〇「報告書の不記載」

(現状)議員の共謀がなければ会計責任者のみ記載

(改正)議員に監督責任(「確認書」の提出義務化など)

〇「パーティー券の購入」

(現状)「20万円超」で購入者氏名などを収支報告書に記載

(改正)公開基準を「5万円超」に

〇「政治活動費」

(現在)使い道の公開義務なし

(改正)政党や年月や項目で使途を報告。10年後に領収書や調査費を公開

『主な政治日程』

(2024年)

〇2024年6月20日 都知事選挙告示/23日 国会会期末/7月7日 都知事選投開票/9月末 自民党の総裁の任期満了/(2025年)/1月 通常国会召集/夏 参院選/10月30日 衆院議員の任期満了

「自民党総裁を上川陽子外相で」という声もあるが、自民党議員たちからは、「〝表紙〟を変えただけでは選挙に勝てない」とも。なら「岸田総裁・首相の続投」で泥をかぶってもらい、一年後に自民党人気の復活を! というのがとりあえずの自民党の戦略だ。

 派閥をなくすよりも、党議拘束をなくしたらいい。自由に議論させるのだ。

 若手だけでなく自民政治家がおとなしいのは何故だったのか? 逆らうと党の公認を得られなくなるからか?長い物には巻かれよ、と。雉も鳴かずば撃たれまい、と。出る杭は打たれる、と。

 昔の若手はバックに後藤田正晴さんがいて、「若手は自由にものを言え」と守ってくれた。

 自民党は2009年の下野後、民主党の大失敗で、2012年に政権復帰。安倍独裁長期政権を許してしまった。だが、それでも、今は、自由意見表明の壁、癌、である安倍晋三元首相が殺されていないのだ。暗黒の時代は去った。時代は変わったのである。

 それでも口を噤むのか?

 安倍さんが殺されたことはいいことだとは思わないが、もう『独裁後』である。

 ここで、立たなくて、いつ立つのか?

 

ーー日本国内では自民党の政治資金パーティーのキックバック問題で大騒ぎになっていますが。

池上 岸田総理にしてみれば、安倍派を一掃できるわけですから、絶好のチャンスでしょうね。例えば、逮捕までいかずとも略式起訴をして、罰金100万円という形で処理する可能性はあるわけです。すると過去の例で言うと、3年間から5年間の公民権停止。つまりこれから3年間は安倍派の幹部が選挙に出られず、国会から追放できるというわけですよ。もちろんその反面、岸田内閣の支持率は落ちるし、自民党全体の支持率も落ちます。でも、安倍派が力を失えば、やりたいようにできるわけです。

ーー諸刃の剣ですね。今後さらに内閣支持率は下がりそうです。

池上 はい、何しろ増税メガネですからね。元総理大臣の竹下登が政権を放り出す直前の支持率は5%ぐらいになりました。その時は消費税並みの支持率になったと言われました。

 (中訳)

池上 お金といえば、日銀の植田総裁が、2023年は3%ぐらい給料が上がったので、2024年の春の給料の上がり方を見て、金融緩和をやめるというか、マイナス金利、ゼロ金利をやめたわけです。昨年の12月19日には「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言したことでも注目を浴びました。植田総裁にとって「チャレンジング」と言えば、金融緩和をやめるということしかないわけですよ。投資家からすれば金利を上げようとしているとみたわけです。これまで日米の金利差によって、日本が円安になってきたけれど、この発言により「日米の金利差がこれから縮まるんじゃないか」と期待されて、いきなり円高になりました。今後も少しずつ、円安が解消されていくということになると思います。

ーーそうなると、少し景気がよくなりますか?

池上 景気はよくなる可能性がありますし、円安で物価高になっている部分には歯止めがかかる可能性もあります。今、スーパーマーケットに買い物に行くと、あれもこれも値上げでしょ。皆諦めの境地ですよ。今は全般に物の値上げがしやすくなっていますが、連動して社員の給料を上げるという好循環が起きつつあります。これで3月の春闘で大企業の給料が大幅に上がり、中小企業まで行き渡れば、これはかなり明るい話になります。為替も、春先には1ドル=130円くらいまで円高に進む可能性もある。そうなればゴールデンウイークの海外旅行も行きやすくなるかもしれませんよ。

ーー期待したいところです。ちょっとだけ明るい希望が持てました。

    (池上彰著作から引用)


最近、政治家の質が落ちまくっている。その結句、誕生したようなのが今の岸田政権であるとも言える。

「こいつ、馬鹿じゃないのか?」口の悪い弁護士が岸田政権や岸田首相のことをそうくさした。一方、去年、安倍晋三元首相を暗殺で失った自民党最大派閥の安倍派(清和研)と二階派は、〝寄らば大樹の陰〟の大樹を失ったために、『政治とカネ』の「醜聞」に襲われている。

 政治資金で裏金やキックバックを繰り返し、何億も脱税・申告漏れした、というのだ。

 岸田首相は財務省のいいなりになって、社会保障費や防衛費やあらゆるものの増税に次ぐ増税をするだけ。

 まるで、小泉フィーバー前の森喜朗政権にも似ている。それだけ岸田政権は酷い。

まあ、故・安倍晋三元首相の政権よりはまだマシであるが、安倍氏は本当に酷かった。安倍独裁というほどは、独裁色は強くはなかった。だが、それがいいとは思わないが暗殺されたというのはそれだけ憎んでいた相手が多すぎたのだ。

 ここで、日本の政界に期待があるとすれば、『シン・YKK(山崎拓・加藤紘一・小泉純一郎)』ともいうような『小石河連合(小泉進次郎・石破茂・河野太郎)』である。僕が、進次郎氏を所詮は『人寄せパンダ』と呼んだのは、浅はかで、謝罪するしかない。

進次郎さん。ごめんなさい。浅はかでした。どうか許してください。ご一緒に、『新世紀維新』をやりましょう!

でも、進次郎さんは〝これからの政治家〟だ。だが、しくじると、この連合の行動は第二の『加藤の乱』にしかならない。行動は慎重に。

 だが、石破茂(1957-)氏はどこまでも謙虚だ。

「自分が言うのも何だけど、俺は知名度がある。さらに政府の中枢にいるわけでもないから政権に対して批判的なことも言いやすい。そういう人に対しては結果的に人気は集まるよね」「いつまでも俺が目立つのはどうなんだろう。俺の新人時代の熱気を今の若手には感じない。いつの時代も世の中を変えるのは若い人なのに。こんなことを言うと『またカッコつけて』と言われるけどさ」「私に寄せられる意見は大きく二つ。『そんなに文句があるなら、自民党から出ていけ』『いっそ新党を作ればいい』。でもね、誰も内部で批判をしなくなった組織はいつか潰れるよ(ビッグモーターやジャニーズのように)」(石破茂氏談)

天王山は次期自民党総裁選挙である。ここで、最後の砦『小石河連合』が出派ってこなければ、石破氏か河野氏が新総裁にならねば(大した派閥も人脈もないのだから小泉純一郎パターンしか勝機はない)日本はおわってしまう。夢よもう一度、ではないが、よくよく戦略を練ることだ。進次郎氏の応援演説(真紀子さんのような。でもただの悪口でもないし、真紀子さんがまた外相とか……日本がおわってしまう)や、河野氏や石破氏のパフォーマンス。

それに、皆が知っている大物旗頭と、キャッチ―な大義名分と、有力なスポンサー……戦わずして勝つのが兵法の上策だが、政治で戦わないなどあり得ない。とにかく、『小石河連合』で、新世紀維新を起こせ!

次の自民党総裁選挙こそ、天王山、いや、関ケ原だ。今こそ、根性を、意地を、底力を、未来を、見せてくれ!






第四策『ロシアへの策謀』







ここでは、簡単にロシア(と旧ソ連)の歴史(過去の歴史)を説明いたします。

プーチンの主張はこうです。「ロシアは世界の大国だ。ロシア帝国はかつてヨーロッパからアジアまでの広大な領土を擁していた。ソビエト連邦という世界で最初の社会主義国を建設したのは我らだ。第二次世界大戦で、我がソ連軍はナチス・ドイツ軍と戦い、2600万人を超える犠牲者を出しながらも東欧諸国を解放したのだ。それなのに、欧米西側諸国は東欧諸国をNATOに加盟させてロシアの国境に迫っている。もっとロシアに敬意を払うべきだ」

ロシアの歴史は、古代ルーシ帝国から始まります。古代ルーシ帝国は、9世紀にヴァリャーグの戦士が東スラヴ人を統合して建国した国家です。首都はノヴゴロドでしたが、11世紀にキエフに遷都しました。キエフ大公国は、13世紀にモンゴルの侵攻を受けて、タタールのくびき(タタールはモンゴル人のこと。くびきは牛や馬をつないでおく御する時に首に付ける道具。つまり、タタールのくびきとは『モンゴル人帝国の支配』のこと)と呼ばれる支配下に置かれました。

「当時、ロシア平原には都市ができつつありました。その代表的な都市であるモスクワはモンゴル人によって破壊しつくされ、ひとびとは虐殺されつくしました。他の都市も同様でした。キエフも瓦礫(がれき)の山になりました」(司馬遼太郎著作『ロシアについて』より)

16世紀にイヴァン4世がロシアを統一して、ツァーリ(皇帝)を称しました。イヴァン4世は、ロシアの軍事力を強化し、大帝と呼ばれました。17世紀には、ロシアはバルト海に進出し、ヨーロッパの列強の仲間入りを果たしました。

 18世紀には、ピョートル大帝がロシアを近代化しました。ピョートル大帝は、西欧諸国に留学して、ヨーロッパの技術や文化を取り入れました。また、ロシア海軍を創設し、バルト海への進出をさらに進めました。

 

2022年6月、プーチン大統領は、生誕350年を迎えたピョートル大帝の展示会を視察した後、「ピョートル大帝は偉大な北方戦争を21年間も展開した。スウェーデンから何かを奪ったと思えるが、何も奪ってはおらず、取り返しただけだ」と主張しました。プーチン大統領がピョートル大帝を尊敬していることを堂々と披瀝(ひれき)したのです。

 彼に言わせれば、スウェーデンが支配していた地域にはスラブ人が住んでいた。それを「取り返した」という論理なのです。プーチン大統領がウクライナに軍事侵攻したのも「ロシア人を保護するため」という理屈をつけています。彼がピョートル大帝を手本にしていることがわかります。(池上彰著作『世界情勢のきほん』99~100ページ引用)


19世紀には、ロシアはナポレオン戦争に参戦し、ナポレオンを撃退しました。また、アレクサンドル2世の時代には、農奴解放令を発布し、社会改革を進めました。

 20世紀には、ロシアは2つの世界大戦に参戦しました。第一次世界大戦では、ロシアはドイツに敗北し、ロシア革命が勃発しました。ロシア革命は、ロシア帝国を倒し、ソビエト連邦を成立させました。

 ソビエト連邦は、レーニン、スターリン、フルシチョフ、ブレジネフなど、強力な指導者のもとで、急速な発展を遂げました。しかし、スターリン時代の恐怖政治や、ブレジネフ時代の停滞など、さまざまな問題を抱えていました。

 1991年、ソビエト連邦は崩壊しました。ソビエト連邦の崩壊は、冷戦の終結を象徴する出来事となりました。

 以上が、ロシアや旧ソ連崩壊までの歴史の概要です。以下に、それぞれの時代の特徴を簡単にまとめます。

   古代ルーシ帝国

 9世紀にヴァリャーグの戦士が東スラヴ人を統合して建国

11世紀にキエフに遷都

13世紀にモンゴルの侵攻を受けて、タタールのくびきと呼ばれる支配下に置かれる

タタールのくびき

 13世紀から15世紀にかけて、モンゴル帝国の支配下に置かれる

ロシアの政治や経済の発展が停滞

モスクワ大公国

 15世紀にイヴァン3世がモスクワ大公国を統一

16世紀にイヴァン4世がロシアを統一して、ツァーリ(皇帝)を称する

帝政ロシア

 17世紀にロシアがバルト海に進出

18世紀にピョートル大帝がロシアを近代化

19世紀にロシアはナポレオン戦争に参戦

19世紀後半から20世紀前半にかけて、社会主義革命運動が活発化

ロシア革命

 1917年にロシア革命が勃発

ロシア帝国が倒され、ソビエト連邦が成立

ソビエト連邦

 1922年にソビエト連邦が成立

レーニン、スターリン、フルシチョフ、ブレジネフなど、強力な指導者のもとで、急速な発展を遂げる

スターリン時代の恐怖政治や、ブレジネフ時代の停滞など、さまざまな問題を抱える

ソビエト連邦の崩壊

1991年にソビエト連邦が崩壊

冷戦の終結を象徴する出来事となる



 ウクライナ戦争において、ロシアの味方になってウクライナのゼレンスキー大統領を非難している日本人がいる。また、陰謀論まで持ち出して、ゼレンスキー氏をくさす連中までいる。それらは本当に『日本人』なのだろうか? 『ロシアのスパイ』ではないのか?

 当たり前に知っていることだろうが、日本とロシアは平和条約(国交正常化条約・講和条約)を結んでいない。今も、ロシアと日本は北方領土問題で睨みあっている状態だ。

 ロシアが日本の領土である北方領土(国後・択捉・色丹・歯舞の四島)を不法に占領している状態だからだ。かつては日本の北方の領土は樺太(サハリン島)全土とクリル諸島全島であった。だが、日本と『日ソ不可侵条約』を結んでいたソ連が、日本のポツダム宣言受諾と敗戦(1945年(昭和二十年)8月15日)以降に、樺太やクリル諸島や満州(中国東北部)や朝鮮半島に電撃的に攻め込んできた。

そうして、条約を一方的に破り、樺太や北方領土などを不法占拠したのだ。

その際に、ロシア軍兵士たちは日本人などの女性たちを大規模強姦し、または大虐殺と、その情景は悲惨の極みであったという。『シベリア抑留』も悲惨だ。

この電撃攻撃は、かつて、日露戦争で負けたことへの私怨であったらしい。

ロシア人は条約も約束も糞ほどにしか思っていない。

約束や条約をやぶっても平気の平左だから、それを知っているウクライナは簡単にロシアと話し合いや外交交渉が出来ないのだ。

 戦争でも、何度も集団大規模強姦や、大規模虐殺、集団略奪……と蛮行を繰り返す。

 まさに、国軍というよりロシア軍は『山賊』『テロ集団』である。



また、ここからはウクライナの歴史を簡単に説明いたします。

  ウクライナの歴史

ウクライナの歴史は、古代スラブ人の居住地から始まります。古代スラブ人は、9世紀にキエフ・ルーシという国家を建国しました。キエフ・ルーシは、東欧の中心的な国家として繁栄しましたが、13世紀にモンゴルの侵攻を受けて、衰退しました。

14世紀から17世紀にかけて、ウクライナはポーランド・リトアニア共和国の支配下に入りました。この時代には、ウクライナの文化や言語が大きく発展しました。

18世紀には、ロシア帝国がウクライナを併合しました。ロシア帝国は、ウクライナの農奴制を強化し、ウクライナ人の民族意識を抑圧しました。

20世紀初頭、ロシア革命によってロシア帝国が崩壊すると、ウクライナは独立を宣言しました。しかし、ソビエト連邦が成立すると、ウクライナはソ連の構成共和国となりました。

ソビエト連邦時代、ウクライナは工業化と農業集団化が進みました。しかし、スターリン時代の恐怖政治によって、多くのウクライナ人が犠牲になりました。

1980年代末、ソビエト連邦の崩壊に伴い、ウクライナは再び独立を宣言しました。独立後、ウクライナは民主化と市場経済化を進めました。

   ホロドモール

1932年から1933年にかけて、ソビエト政府は、ウクライナの農民を強制収容所に収容し、食糧を奪いました。この結果、数百万人のウクライナ人が餓死しました。ホロドモールは、スターリンによるジェノサイドの1つとされています。

  オレンジ革命

2004年、ウクライナで大統領選挙が行われました。選挙では、親ロシア派のヴィクトル・ヤヌコビッチ候補が当選しましたが、選挙結果の不正が疑われ、大規模な抗議デモが起こりました。この抗議デモは、オレンジ革命と呼ばれ、最終的にヤヌコビッチ候補の当選は無効となり(ヤヌコヴィッチはロシアに亡命した)、親欧米派のヴィクトル・ユシチェンコ候補が当選しました。

  ゼレンスキー大統領とプーチンロシアのウクライナ戦争

2014年、ウクライナ東部で親ロシア派の分離主義者が蜂起しました。ロシアは、親ロシア派を支援して、ウクライナ東部で戦争を継続しました。

2022年2月24日、ロシアはウクライナ全土に侵攻しました。この侵攻は、欧州安全保障秩序を根底から覆すものであり、国際社会から非難されました。

ウクライナ戦争は、現在も続いています。ウクライナ軍は、ロシア軍の侵攻を必死に防戦しています。

   まとめ

ウクライナの歴史は、ロシアとの複雑な関係に彩られています。ロシアは、ウクライナの歴史において、常に大きな影響力を持っていました。

ホロドモールは、ロシアによるウクライナへの抑圧の象徴的な出来事です。オレンジ革命は、ウクライナが欧州への近づくことを示した出来事でした。

ゼレンスキー大統領とプーチンロシアのウクライナ戦争は、ウクライナの歴史において、新たな転換点となる可能性があります。





和平には国民を裏切る勇気が必要だ

 シュロモ・ベンアミ(歴史家、イスラエル元外相)



 外交を通じて平和を実現するか、さもなければ「茫漠たる人類の埋葬地」のみが残される「殲滅の戦争」に陥るか――――1795年に発表した『永遠平和のために』でカントは当時の人々にそんな選択を迫った。

 残念なことに歴史を振り返れば、人類は往々にして後者を選んできた。少なくとも、目を覆うばかりの惨禍が戦争当事国を交渉のテーブルに着かせるまでは………。

 そして、その時点でさえ、戦いを終わらせたければ指導者には胆力が求められる。

 ウクライナのゼレンスキー大統領が豪胆な戦時の指導者であることは誰もが認める。一方、今の彼が政治的ムードの人質になっていることも否めない。隣国の領土にずかずかと侵入し破壊の限りを尽くすロシア。その残虐非道な敵に1ミリたりとも譲歩せず、完全な勝利を目指さなければ、ゼレンスキーは政治的な生命ばかりか、文字どおり命を失うことになりかねない。(文中訳)

 ウクライナが望む形での戦争終結、つまりロシアの完全な敗北はそう簡単には実現しそうにない。激戦が続くなかのロシアの残虐なやり口はウクライナ人の怒りをかき立て、和平のための妥協を一切許さないムードが醸成されている。この状況で停戦交渉を進めるには相当の覚悟がいる。

 結果的にウクライナ戦争は、長引く持久戦で膨大な死者を出した第一次大戦の哀れなレプリカの様相を呈しつつある。ロシアが劣勢に追い込まれるにつれ、プーチンが核の使用に踏み切り、NATOが直接的に戦争に介入する危険性が高まる。(文中訳)

 ウクライナの指導者たちはイラン・イラク戦争の教訓に学ぶべきだ。(文中訳)

 この一年余りでゼレンスキーは戦争の英雄となった。だが今、彼は耐え難いジレンマに直面している。戦争を終わらせるには完全な勝利ではなく、不完全な和平に甘んじざるを得ない。遅かれ早かれゼレンスキーか、望むらくはプーチンが究極の政治的裏切りをせざるを得ないだろう。

        (ニューズウィーク2023/4/4 P16ページ引用)



 この、ロシアによるウクライナ侵攻での戦争はこれから十年くらい長引いて、のちに『ウクライナ10年戦争』とでも呼ばれる戦争となるのではないか? と私は思うのだ。

  経済的に結びつき、国境を越えてビジネスで繋ぎ合っていればいずれ国境もなくなり、「世界市民」になれるというグローバリズムなどあろう訳もないのだ。

 国家がある限り戦争は必ず起こるし、その際に、何億回、反戦平和の空念仏を唱えても無駄だ。戦争は止められない。国家がなくなることなどないのだから、戦争は絶対に起こる。

 プーチンや習近平に「反戦平和」など通用しない。

 ロシア人で、反戦活動をして拘束や殺害された国内のロシア人の数は、開戦から2023年10月までで、約二万人……まあ、氷山の一角だ。が、人口が一億人近いロシア連邦でその程度の人数なのは、大人はもとより子供にも〝ヒトラーユーゲント〟よろしく洗脳をしているからだ。プーチン・ロシアは正義で、ウクライナはネオナチ――――――「ロシア軍は(ウクライナ人に)弾圧されているロシア系住民の解放のために、正義の軍事行動(戦争)をしている」。そんな洗脳である。騙されている限り、ロシア側からの政権転覆も難しい。

 だからこそこのウクライナ戦争は、後、十年続く『ウクライナ十年戦争』になる、と知識人は断罪するのだ。モスクワにミサイルが飛んでこない限り、ロシア人の洗脳は解けない。

第二次世界大戦でアメリカは日本の都市を無差別空襲して40万人を殺害しまくり、広島長崎の原爆投下で50万人を虐殺した。

 アメリカはベトナム戦争までは絨毯爆撃を続けていたが、湾岸戦争やイラク戦争では「国際法」を意識して、軍事施設をピンポイント爆撃するという戦略にした。

 むろん、軍事施設だけではなく、誤爆もあり、その爆撃のたびに一般市民まで犠牲者が出ていたのだが……。

 だが、今回のウクライナ侵攻のロシア軍はその配慮すらない。

 まさに「山賊」か「テロ組織」「ギャング集団」か? と思うような大虐殺や集団レイプや大規模略奪など――――ロシア軍は酷いことをウクライナ国内で繰り広げている。

「ウクライナは正義でプーチンのロシアは悪という二元論は幼稚だ」というような〝どっちもどっち論〟があるが浅はかとしか思えない。

 ロシアのウクライナ侵攻は悪いが、アメリカやNATOが追い詰めたからだ、とか。ウクライナがNATOに加盟するのをやめる、といえば戦争は止められた、とか。

 戦争はどんな策を繰り出しても、戦争をやりたい国はどんなことをしてもやるのだ。

イラク戦争でのアメリカは「イラクのサダム・フセインは大量破壊兵器をもっている」と戦争を始めた。ベトナムでは〝トンキン湾事件〟というでっち上げからの戦争であり、プーチンは「ウクライナはネオナチに支配されていて、ロシア系の住人をウクライナ政府からの虐殺から守る」とありもしない理由をでっちあげた。

 戦争をしたのはプーチンであり、悪以外になんといえばいいのか?

それと、ロシアのウクライナ侵攻がうまくいったら、それを見た中国が、軍勢を率いて台湾に侵攻するのではないか? という見識がある。むろん、その可能性もゼロではない。

 だが、その国家にはバーゲニングパワー(国家の売り)というものがある。

 ウクライナのように、ロシアが戦車やロケット砲撃で火の海にして侵攻し、焼け野原にして占領してもいい国と、そうではない国があると思うのだ。

 例えば、台湾や日本は〝世界的な経済力〟がバーゲニングパワーである。

 そんな台湾や日本を、ミサイルをしこたま撃ち込んだり、砲撃したりして、焼け野原にしたら、果たしてそれで占領して得だろうか。

 頭のいい国なら、軍事力で占領するより、外交手段で武力を使わず、外交的に占領したほうが〝経済力〟を生かせるし、搾取のリターンも大きい。砲撃で火の海にするよりも、台湾も、香港のように統治したほうが中国にとってはプラスのはずである。

 なんでもかんでも、武力侵攻するばかりが声高に叫ばれる。「ウクライナの次は台湾だ」と。だが、戦略の兵法では、〝戦わずして勝つ〟が最上策な筈。もっと頭のいい侵略の仕方を中国はとるに違いないのだ。

 習近平のような人間なら、猶更、その可能性の方が高い。

 武力行使で焼け野原にしたら、台湾も日本も〝使えない国〟になってしまう。

 習近平ならそんなことはわかっている筈だ。

 だが、武力行使の可能性もない訳ではないが。

 台湾に武力侵攻するほど、習近平国家主席は馬鹿であろうか? 私には到底、そうは思えないのだ。




 ここで、『独裁者たちの病気と死因』というトリビアで、少し書いてみたい。

まずは、ウラジーミル・レーニンである。共産主義革命で、帝政ロシアを崩壊させ、世界初の社会主義国・ソ連(ソビエト連邦)を起こした革命家のレーニン。彼は、晩年、梅毒に起因すると思われるさまざまな精神疾患問題を経験したという。意識不明、右手のしびれ、激しい頭痛、不眠、幻覚、食欲不振、てんかん発作などあったという。死亡診断書には脳動脈硬化症が原因と書かれているが……実際は梅毒であった。

 また、ヨシフ・スターリンである。ソ連邦の二代目の代表(総書記)で、大虐殺と独裁政治の元凶の彼は、1945年以降、相次ぐ脳卒中や心臓発作が原因と思われる健康状態の悪化を起こし、身体だけでなく、精神状態にも影響を及ばし、被害妄想が高まった。

 死亡診断書には脳の動脈が硬化するアテローム性動脈硬化症とある。

(インターネット上の記事より参照引用)

*アレクセイ・ナワリヌイ氏(プーチン大統領のライバルの政治家)……(ナワリヌイ氏2024年2月死去・実際は不明だが、氏を邪魔に思ったプーチン政権側が暗殺したとの見方が最有力)



日本からウクライナへ取材に訪れていた、人気フリージャーナリストの池沼彰浩氏(池上彰氏がモデル)は、日本の〝お花畑〟思想を訥々と愚痴のように語った。

日本の民放テレビ局・帝都テレビの番組『池沼彰浩のニュース、そういうことか!』で、馬鹿の松花愛衣奈が馬鹿なコメントをしたのだ。

元・帝都テレビの女子アナで、現在・フリーのアナウンサーでもある松花――――

外見と英会話と高学歴なだけのうつけのひょうげものピエロの松花は、国際感覚などない日本人の典型のような若いだけの(といってもアラフォー)女性だった。

なんと、愛称・マーハナは、

「でも、プーチン大統領だってもう七十歳でしょう? もう三十年も生きられないですよね。なら、ウクライナ人は命を守ってどんどん外国に逃げて、プーチンが死んだらウクライナに戻ればいいのではないでしょうか? 命が一番大事です。アイムラィト?」

「でも、それで数年後に戻ったら、ウクライナはロシアの完全な支配地になってしまいますよ? プーチン大統領のあとに穏健な人物が就くとも限らないし……」

「オー。イエスイエス。ザッツライト! でも命が大事なんですから、ウクライナはロシアにはやく降参したらいいんですよ」

「侵略されている国に降参を求めるの? 降参したって、軍事行動や虐殺や強姦などの残虐行為がおわる可能性は低い。ウクライナ人が戦わなければウクライナはロシアの属国かロシアの領土になるだけですよ。そんなこともわからないんですか? 松花さん?」

「オー・ミステイク! わかっていますよ。そりゃあ、ええ。でも、命は大切でしょう? 人間、死んでしまったらおわりですからね」

「――――もういいです。松花さん」

「何がですか?」

「………」

 まさにひょうげもの。

 松花、無双で、ある。


   『偉大なソ連を崩壊させた戦犯・ゴルバチョフ』ソ連崩壊とゴルバチョフの不人気


 我々、日本人や西側のひとにとっては旧ソ連の元大統領のミハエル・ゴロチョフ氏(故人)は英雄のようなイメージだ。だがしかし、ソ連邦やロシアなどの関係国からしたら、ゴルバチョフは売国奴のように嫌われている。

 冷戦を終結させたことの偉大さは認めるものの、巨大な帝国・ソビエト連邦を崩壊させた元凶――――これが旧ソ連・ロシア人の『ゴルバチョフの位置づけ』である。

 共産主義自体が馬鹿げた『悪平等』であり、社会主義・共産主義は、国が何でも決める国家で、働いても働かなくても給料は同じ。なら誰もまじめに働かない。それがコミュニズム(共産主義)の失敗の原因であった。

 そこにとどめを刺したのがゴルバチョフで、1991年にソ連が崩壊したのも、ゴルバチョフのすすめたペレストロイカ(改革)とグラスノスチ(情報公開)や新自由主義など、すべてが裏目に出た。有名なのが『ソ連のクーデター』(1991年)で、そこで、ソ連の保守派のクーデターで、ゴルバチョフは別荘に軟禁され、クーデターが実行された。

 結果的に、クーデターは失敗し、そのソ連共産党の幹部の一部は自殺し、多くが逮捕された。その革命のようなもので戦車の上に立って、英雄のように振る舞ったのがプーチンの師匠のボリス・エリツィンである。

 その馬鹿げたクーデターで、当時、ロシア共産党員だったエリツィンが、わずかな仲間と相談してソ連邦を解体し、よって、ソ連も共産主義も崩壊した。

 ゴルバチョフはそうして祖国を失った。

 そののち、ソ連は、ロシア共和国となり、衛星国なども独立、ロシアは資本主義・民主主義の国になった。だけど、誰も資本主義など知らない。

 国民には『バウチャー(民主化小切手)』が配られたが、誰も民主主義も株式会社も資本主義も知らない。一部のインテリの元・共産党のエリート官僚や資本家が、バウチャーを二束三文で国民から買い集めて、貧富の差は拡大していった。

 エリツィンは経済など何も知らない。だから、ロシアの経済はドン底になった。

 国民には食べ物さえあまりない。年金生活の老人は一番苦労した。金がないので、遠くまで歩いていき、食べ物代もないからあまりに食べられず、いつも腹ペコだったという。

そんな中で、チェチェン紛争への武力対応で、頭角を現したのが元・KGBのスパイの政治家のウラジミール・プーチンであった。

 プーチンはラッキーだった。師匠のエリツィンから政権を引き継ぎ、大統領に就任すると、石油や天然ガスの値段が急騰した。ロシアは石油や天然ガスの宝庫で、欧州や東欧や北欧にパイプラインを敷いて、輸出していた。そこで、値段が急騰したから、国家が豊かになる。

 それで、その儲け分をプーチンは国民に還元した。

 石油などの値段が偶然、上がっただけだが、何も知らない国民は「プーチンがロシア経済を立て直した」「プーチンは経済をよくした」と感謝した。

 特に、割を食っていた老人や何も知らない地方の人は、一気に親プーチン派になった。

 むろん、都会の人や政権内の官僚や学者など、エリート層は「プーチン」の正体を知っていた。だが、もうプーチンの独裁体制・権威主義により、報道は抑制され、反プーチン派のひとびとが次々と暗殺されたり、抑圧された。

 報道機関の『ノーバヤ・ガゼータ』や反体制派のアレクセイ・ナワリヌイ氏など、次々とプーチンの毒牙にやられていった。

 そうして、ロシアのウクライナ侵攻、である。



   長期化するロシアのウクライナ侵攻


 ロシア・ウクライナ両軍、すでに50万人が死傷している。

 (中訳)常任理事国は、自身に不利な決議案が提出されると、拒否権を使います。したがって、常任理事国に利害関係が及ぶ国際紛争については、国連では解決できないことがあります。そのため、後にオランダのハーグに「国際司法裁判所(ICJ)」と「国際刑事裁判所(ICC)」という二つの国際的な裁判所が設立されました。

 国際司法裁判所の役割は、国と国との争いを国際法に基づき審理し、平和的に解決することです。

 ウクライナの提訴を受けた国際司法裁判所は、2022年3月16日、ロシアに対し軍事行動を直ちに中止するように命じました。しかし、ロシアは裁判所に出てこず、判決を無視しました。

 国際司法裁判所の決定は拘束力を持ちますが、それを行使する直接的な手段がないため、この判決は今も無視され続けています。(中訳)

 ロシアはウクライナに軍事侵攻し、占領したウクライナの子どもたち少なくとも1万6000人をロシア国内に連れ去ったとされています。親がロシア軍に殺されて孤児となった子どもには、ロシア国籍を与えてロシア人の養子にしました。また、親がウクライナにいる子どもに対しても「ロシアのキャンプに参加しよう」と言って連れ去り、ロシアで愛国教育を施しているとされています。(中訳)

  経済制裁で戦争をやめさせることはできるのか

 (中訳)ロシアの物資・戦費調達を困難にして、ロシアを経済的に困った状態に追い込み、戦争継続を難しくさせようというのです。

 ただ、経済制裁はロシアに甚大な経済的被害を与える一方で、経済制裁に参加する国にも、大きな影響を及ぼします。(中訳)

 ロシア産のエネルギー資源を購入するのをやめたところで、結局は、代わりに中東からそれらを買わなければなりません。中東の石油や天然ガスを欲しがる国が増えれば、それだけ石油や天然ガスの値段も上がります。

 火力発電では石油や天然ガスを燃料にしていますから、火力発電を使っている国では電気代が値上がりしています。

 ロシアもウクライナ同様に小麦が多く採れる国ですから、以前は世界中にロシア産の小麦が輸出されていました。ウクライナとロシアの2カ国で、世界に輸出される小麦の約3割をまかなっていましたから、ロシア産の小麦を買わないとなると、その分をほかの国から買うしかありません。したがって、世界中で小麦の値段も上がっています。

 ウクライナではトウモロコシを大量に輸出(家畜のエサ・牛肉・豚肉の値上がり)していました。また、食糧不足は肥料の面でも影響がある。肥料の三大要素は、窒素、リン酸、カリウム。ロシアはカリウムの産地でもある。農作物でも大打撃である。

   戦争を終わらせるのはなぜ難しいのか

 人類の歴史を見る限り、戦争を始めるのは簡単だが、終わらせるのは非常に難しい。

(中訳)同じように、ロシアとウクライナの戦争も、そう簡単には終わらないでしょう。両軍で甚大な被害が出ていますが、大国ロシアの戦争継続能力はまだ失われていません。主要産油国の一つであるロシアが戦争の当事者であることで原油価格は高騰し、西側諸国による経済制裁の効力を弱めています。

 (中訳)結局、この戦争の落としどころが見えていません。今、停戦すると、どちらも戦争に負けたことになるからですね。ウクライナは国土の約18パーセントを奪われた状態ですし(2023年6月時点)、ロシアは自国領と宣言した東・南部の4州(ルハンスク州、ドネツク州、ヘルソン州、ザポリージャ州)を制圧できておらず、国土を守れなかったことになります。両国とも引くに引けないのです。

 それでもこの戦争が終わるとすれば、戦闘が3年、4年と続いた末に、国力に劣るウクライナが兵士や武器の枯渇で力尽きるときでしょう。

 ロシアより損耗は少ないとしても、戦場では兵士が死に続けていますので、やがて補充しきれなくなります。戦場に行けば高い確率で死ぬわけですから、「死にたくない」と思う人々の兵役逃れも起きているといいます。

 砲弾もすでに不足し始めています。今はアメリカなどが支援していますが、ここまで武器を供与してきたNATO諸国、特にハンガリーやポーランドの支援疲れも見え始めています。

 戦争での燃料価格高騰や物価高騰に耐えられなくなっている国も出てきています。そういう国は支援を減らしてしまうかもしれません。

 つまり、ウクライナが「弓折れ矢尽きる」という状態になったら、戦争は終わるかも知れません。(後訳)

 『池上彰の世界情勢2024』池上彰著作(毎日新聞出版)p52~79引用参照

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池上彰が「世界の危機」をズバリ解説!(2)犠牲者の多いロシアがそれでも勝つ理由とは

池上彰23.2.9号


ーーもう1つの戦争も長引いています。ウクライナは6月から領地奪回の攻勢に出ました。

池上 これが失敗でした。反転攻勢が全然できず、ひたすら犠牲が増え続けていますね。おまけに武器弾薬もそろそろ尽き始めています。ロシアが攻めてきても、防戦できなくなってきているわけです。

ーー今、盛んにウクライナへの支援疲れが囁かれています。

池上 ウクライナは武器兵器すべてアメリカ頼みですが、共和党のトランプ派がウクライナへの追加予算に反対しています。つまり、今のままだと、年明けウクライナに対して、アメリカから軍事物資やお金が届かなくなります。つまり、ロシアと戦えなくなるということです。

ーー戦争が終わるっていうことでしょうか?

池上 ええ、終わるというよりも、ウクライナが負けるということですね。

ーーええっ! ゼレンスキー大統領はバイデン大統領とも面会していますが。

池上 バイデンとしてはなんとしても予算を確保したい。でも、下院は共和党の方が多いから、予算が通らない。共和党の中でも、いわゆる昔ながらの主流派は、やっぱりウクライナの民主主義が負けてしまったら大変だって思うわけですね。だけど、今や共和党はトランプ派に乗っ取られてしまった。トランプ派の議員は、ウクライナなどどうでもいいんです。「なんでヨーロッパのことに我々のお金を使うんだ」「メキシコ沿いの国境から不法移民が大勢入ってくる。そのための壁に金を使うべきだ」と主張するわけです。

ーーということは、意外にプーチン大統領が勝ってしまう?

池上 いやいや、予想通りの展開ですよ。プーチンにすれば、どうせアメリカは共和党が多ければ、ウクライナの資金援助がなくなるとわかっていたわけです。実際、24年の大統領選挙で、トランプが当選すれば、ロシアの勝利は確実でしょう。だけど今、ウクライナは米大統領選の結果を待たずして力尽きるかもしれない。ウクライナはそもそも人数が少なくて、もうすでに兵士8万人が死んでいますが、負傷者まで含めれば20万人の犠牲を出し、兵力が不足しています。一方、ロシアは人口が多く、今回さらに17万人の兵隊を追加しましたけど、人海戦術でまだまだいくらでも兵隊は送れるわけです。もちろん、死者の数だけ見れば、ロシアの方がウクライナよりはるかに多いんですが。

ーー日本は3月に岸田総理が必勝しゃもじを持って現地入りしましたが。

池上 しゃもじでどうやって戦争するんだって話ですよ。それに日本はウクライナを支援しているようで実際にはほとんどしていません。反対に、ロシアから大量に天然ガスを買っています。サケもエビもカニもいっぱい入ってくる。日本はロシアに対し、実質的な経済制裁はしていないのですよ。

ーーそうだったんですね。では24年、ウクライナ問題はあまり注目されなくなる?

池上 いやいや、大変注目されますよ。だって、ウクライナが負けるっていうことは、もうヨーロッパが、ロシアの大変な脅威に晒されるということです。先日ウクライナのお隣、モルドバに行ってきたのですが、もう本当にあっという間に、ロシアに飲み込まれてしまうかもしれないという危機感がありましたね。

 そのモルドバの東側に、未承認国家の沿ドニエストル共和国というのがありますが、ここにはロシア系住民が大勢住んでいるので、その沿ドニエストル共和国が、1992年にモルドバから独立するって言った時に、モルドバがそれを認めないぞと軍事弾圧をし、内戦になるんです。その時、ロシアは、「ロシア系の住民を助けるため」と言い、軍隊を送り込みました。結果的にモルドバは停戦しましたが、それ以降、今もロシア軍1500人が駐留しています。どうです? ウクライナと似ていませんか?

ーー確かに、そっくりです。


池上彰が「世界の危機」をズバリ解説!(3)トランプ再選でウクライナ戦争は終わる


ーー2024年は問題の米大統領選が控えています。

池上 ここにも、イスラエルとハマスの問題が絡んできます。というのも、イスラエルとハマスの戦闘の前までは、バイデンとトランプの支持率は、ほぼ拮抗していたんです。ところが、ガザであれだけ大勢の民間人が殺される映像が出てくると、バイデンを支持した民主党のリベラルな人たちも、「あまりにイスラエルはひどい、やりすぎだ」となり、さらに「そのイスラエルを支援するバイデンにはがっかりした」となる。特に前回の選挙では、Z世代と言われる若者たちが大勢バイデンに投票したのですが、今や、このZ世代がバイデンに幻滅している状態です。とはいえ、トランプには絶対投票しませんが。11月の選挙ではトランプは岩盤支持によって前回と同じだけの票を取るわけですね。これに対し、バイデン支持者は大量に棄権となり、得票数が激減しそうです。結果的にトランプが再選されると。

ーーまさか、トランプがカムバックする事態になるなんて!

池上 つまりイスラエルとハマスのことがなければ、11月までギリギリどっちになるかわからないという状態でしたけど、今選挙をやればトランプ圧勝ですよ。

ーートランプは裁判をいくつも抱えていますが?

池上 裁判になればなるほど、トランプ支持者は、全面的にトランプを支持します。おまけに、起訴されるたびに政治献金が大量に集まっている。だからトランプは、これはバイデンの陰謀だ、民主党の陰謀だと言っていればいいのです。

ーーもしトランプが再選されたらどうなるのでしょう?

池上 トランプは自分が大統領だったらウクライナの戦争は1日で止めさせてみせるって言っています。なにしろ支援を全部やめろと言っているわけですからね。ロシアに降伏しろと言うでしょ。あるいはNATOから脱退だってあるかもしれません。なんでヨーロッパのためにアメリカが金出すんだっていう考えですから。

ーー昔のモンロー主義に戻るってことでしょうか。

池上 その通りです。昔というより、元々アメリカはモンロー主義の国なんですよ。だから第一次世界大戦でも、ウィルソン大統領が国際連盟を作ろうって言ったのに、議会は反対。アメリカは国際連盟に入らなかったわけです。第二次世界大戦だって、ヨーロッパでいくら戦争が起きても、アメリカは参戦しようとしなかった。日本が真珠湾攻撃をしたことによってようやく参戦したわけです。だから、英チャーチル首相は、真珠湾の一報を聞いて「これで我々は勝った」と大喜びしたわけです。

ーーアメリカは「世界の警察」というわけではなかったわけなんですね。

池上 本来はモンロー主義なんだけど、第二次世界大戦後、東西冷戦と言って、ソ連というアメリカにとって大変な脅威の国家ができたため自分の国を守るべく、ソ連包囲網で周りの国を支援していたというのがその実態です。だから、トランプは、本来のアメリカファーストに戻っているということですね。

ーーアメリカ第一主義に戻るとどうなりますか?

池上 トランプの1期目の終わりに、在韓米軍を撤退させるって言ってたことを覚えているでしょうか。当時は文在寅大統領でしたが、「あんな態度を取ってる韓国をなんでアメリカが守らなければいけないんだ」と怒り、在韓米軍を撤退させると言い出した。さすがに当時の側近が必死に止めました。その時、「では2期目にやったらどうですか」と言うと、トランプがニヤッと笑ったという。

ーー次は在日米軍に対しても、日本にもっと軍事費を払えと迫りそうです。

池上 例えば、アメリカは台湾を守るって言っています。台湾を守るための軍隊は、在韓米軍と在日米軍です。その在韓米軍がいなくなったら、果たして台湾を守れるのかどうか。それだけじゃありませんよ。トランプなら「なんであんな小さな島を守るためにアメリカが金出すんだ」って言い出しかねない。これを「もしドラ」ならぬ「もしトラ」問題と言います。

ーープーチン、ハマスの次はトランプで怯える年にならないことを願うばかりです。


池上彰:1950年、長野生まれ。73年NHK入局。94年より「週刊こどもニュース」を担当。05年に退局後は、フリージャーナリストとしてテレビ出演・執筆活動を続けるほか、名城大教授など複数の大学で学生を指導。





第五策『中華への策謀』




    嘘つき中国共産党政権



 ここで、中国の正体の基礎の基礎、に迫ってみたい。

 今現在は、中国は世界第二位の経済大国になった。だが、ほんの二十年前までは日本がアメリカに次ぐ世界第二位の経済大国であったのだ。(資産10億ドル(約1091億円)以上の人*日本人44人*米国人690人*中国人1058人)

 貧しい国・中国から、鄧小平氏の『改革開放政策』によって(経済は自由にやってよい。ただし、中共に逆らうな、と)中国は『世界の工場』へ。パクリ製品でも儲けに繋がった。欧米の製品や日本製品をパクることでスキルアップし、大企業へと育ったのだ。かつては、日本企業もそうだった。(『世界の工場』から『世界の市場』へ)

「日本の製品の方がまだまだ高品質でしょ?」は時代遅れ。中国の技術は、AIによるCGのアナウンサーや自動運転タクシー、大量のドローンの一斉飛行プログラム、ライトショー、……すでに日本を抜いている。今後は宇宙を支配して、経済発展だともいう。火星探査の着陸や探索を一回で成功させた。日本とアメリカは一度失敗している。宇宙技術は軍事でも使える。2020年6月、中国版GPS「北斗」完成。日本と言えばマンガやアニメだが、今後は中国になるかも知れない。(中国人アニメーター月収52万円。日本人アニメーター月収12万円)今後は中国の下請けや中国への出稼ぎ日本人アニメーターが増加するかも。

 一人っ子政策は2015年に終了し、二人っ子政策は2015年から2021年まで。現在は三人っ子政策だ。食糧不足対策だった。だが、一人っ子政策で、中国は超少子高齢化社会になってしまった。昔は、日本は世界第二位の経済大国(一位米国二位日本三位ドイツ)だったが、2010年に中国に抜かれ、(一位米国二位中国三位日本)2028年には中国がアメリカを抜いて世界一の豊かな国になる予定だとか。(2023年くらいまでは中国がいずれアメリカ合衆国を抜いて、世界一の経済大国になるのではないか、と思われていた。だが、最近、中国の『不動産・マンションブーム・バブル経済』が崩壊し(中国のGDPの三割は不動産であるが、中国の土地はすべて国有地、売り買いは〝所有権〟)(中国恒大集団(「エバーグランデ」が48兆円の負債。碧桂園(「カントリー・ガーデン」)が27兆円の負債))、『日本化』『日本病』で、三十年前の日本の『バブル崩壊』に近い状態になった。異常な土地価格の高騰により、政府が金融引き締めをして土地が大幅下落……しかも、『一人っ子政策』等で日本以上の少子高齢化。失業率も高くて、五人に一人が失業者という惨状。これを受けて世界の経済の専門家たちは「中国がアメリカを抜いて世界一の経済大国になる可能性は完全になくなった」と結論づけた。世界はアメリカと中国の経済に大々的に依存しており、その悪影響は必至だ)

(*(中国)の恒大集団グループのような膨れ上がる債務の『融資平台』(会社・日本でいう第三セクター会社)【地方政府(省・市)】→【融資平台】→【銀行で融資や返済受ける】→【インフラ投資(高速道路や地下鉄など)】。(100兆元→2000兆円の債務)*中国の債務を支えていたのは『中国の土地使用権の価格』その価値が下がり〝土地バブル〟崩壊。中国株がネガティヴに。→リスク回避で日本株が人気になっている。*新型NISAは高配当*『中国の習近平政権の死守ライン①台湾問題②政治体制(共産党政権維持)*共同富裕→〝経済〟は最重要視するが、共産党と並ぶような経済のグループが出来るのは全力で潰す』)

ちなみに、中国とは中華人民共和国で、〝中華〟とは世界の中心の国、という意味だ。

 独裁主義⇔民主主義。

 共産主義(財産を全員で共有する)。社会主義(儲けたお金はすべて国が管理する。みんな平等)だが、共産主義など悪平等な、とんでもない制度である。

 働いても働かなくても給料は同じなら誰も真面目に働かない。だからこそ、中国は政治こそ共産主義だが、経済は資本主義になったのだ。

 中国共産党(事実上の一党独裁)→他に8つのアクセサリー的な政党がある(中共支持党)。中国のサイバーポリスも、AIで中共に不利になる問題書き込みを抽出して、削除する。

 (中国は)監視カメラが四億台(世界全体で七億台)。反共の芽を小さいウチに摘もう、と。アカデミー賞受賞の映画『ノマドランド』の中国人クロエ・ジャオ氏(監督)の受賞スピーチも検閲で画面が消えた。彼女が過去に「中国は嘘だらけ」と発言したからだった。

 ここで少し、現在の中国共産党政権のことについて、触れてみたい。中国については〝綺麗事〟だけではなく、〝中国の現状〟もつまびらかに書いておかなければならない。

いわゆる〝嘘つき中国共産党政権〟のことだ。

 我々が中国を見るとき、「日中友好」とか「経済大国中国とのコミットメント」とかの〝お題目〟だけで中国人というより中国共産党政権の中南海(中国の国会)だけを見ている。

確かに、中国経済は勢いがあるし、わたしが中国の正体をことさらに書けば、わたしは今の習近平政権の中国に入国も出来なくなり、中国とのビジネスも駄目になるだろう。

だが、わたしは目先の利益ではなく、隣国の中国の将来を見据えて、提言したいのだ。

わたしは中国人民ではないから、逮捕とか殺されるとかはないだろう。だが、命の危険があるのは事実だ。が、それでも書く。中国本土の民主化や民主選挙など、希望があるからだ。

中国では人民が洗脳され、『文化大革命』『大躍進』『天安門事件』も教えられていない。国民が無知のほうが共産党一党独裁がやりやすいからである。

中国は経済発展は著しいが、政治や民主主義の自由はない。

そこで、その中国の独裁の詳細を解説したい。(参考文献は『嘘つき中国共産党』辣椒ラー・ジャオ氏・本名・王立銘氏(新潮社)などからである)

 王さんは亡命中国人であるからこそ、中国の事情に詳しい。では。学びましょう!

 まず、中国では『表現の自由』『言論の自由』がなく、中国でもインターネットがありますが有名ですが〝サイバー警察〟(網絡安全保衛、略して「網警」。「政治警察」は主に三つの組織。①国家安全部、略して「国安」いわゆる外事警察。②国家安全保衛、略して「国保」国内の治安維持を担当。③が「網警」。でも市民はどれも一緒ひとくくりに熊猫(パンダ)と呼ぶ。同音語だからだ)という治安維持組織が監視しています。

 天安門事件や文化大革命、大躍進、チベット侵攻、新疆ウイグル自治区問題、中越戦争(中国とベトナムの戦争)など、検索しても情報は出ません。また、習近平や中国共産党や毛沢東・鄧小平などの悪口や揶揄漫画だけで、逮捕や監禁、刑務所に収監される可能性が高いのです。

 学校では反日教育は学びますが、天安門事件とか毛沢東・鄧小平らの虐殺はまったく学ばない。そのために、中国人の若者はほとんど何も知らない、といいます。

 マインドコントロールをかけていて、国内プロパガンダで〝中国共産党〟は〝偉大〟と教えていて、騙されている国民が多いのだとか。

 国内に何億機の監視カメラがあり、国民の行動をハッキングなどでも監視している。

その中国の皇帝が習近平である。

 こう書くと、「今は二十一世紀だぜ!」と笑うひとがいるかも知れないが、監視社会や言論弾圧、反日教育、愚民化政策、洗脳、拷問、汚職……これらは真実なので勉強して欲しい。

 今の中国の小中高校では、『習近平国家主席の人生・偉大性』を教え込まれるという。まるで、ヒトラーユーゲントである。また、経済も〝日本のバブル経済崩壊〟に似てきた。

 最近まで、中国では不動産投機がおきていて、一部の富裕層が億ションなどを買い占めていた。だが、その投機のバブルが弾けて、大手の不動産会社の恒大グループ(集団)が30兆円の大赤字を出して倒産寸前である。

 無論、中国の経済のためには税金を投入して〝国有化〟するしかない。

 だが、それをすると『共同富裕(ともに豊かになろう)』のスローガンに反して、国民から怒りを買ってしまう。だが、経済を安定させるためには国有化しかない。

 恒大グループは「大きすぎて潰せない」からだ。

 まだまだ、中国共産党や習近平国家主席の〝独裁〟は続かざるを得ないようだ。

習近平は国家主席就任のメディア戦略で、「習近平は庶民的」と有名店で肉まんを買った映像から、『習大大(しゅう・だーだー(習パパ))』と呼ばれている。

 だが、〝虎も狐も退治する〟という汚職撲滅運動で、人気だが、一方で、その基盤の中国共産党一党独裁には目に余るところも多々ある。

 汚職撲滅はけっこうなことだが、ほとんど調べもせず、どんどん刑務所に入れている。

 これでは、自分のライバルや敵を追い落とすことにまで使われている、といわれても反論もできまい。習近平氏自体が、国家主席の任期を廃止したので独裁終身皇帝の誕生のようなものだ。

 習近平は、中国の八大元老・習仲勲(元・国務院副首相)の息子。共産党高級幹部の子弟が通う名門校に進学して、何不自由ない生活を送る。

 だが、1962年にその父親が失脚(*反党小説『劉志丹』事件で。1936年に戦死した劉志丹を題材に書かれた小説『劉志丹』が反党文書だとされ、関わった人間が弾圧された事件)――文化大革命で過酷な迫害を受けた。

 習近平の姉は耐え切れず首つり自殺。習近平自身も「反革命分子学級」へ追放――10代後半から七年間も陜西省の農村に下放された。

 文革後、父の習仲勲が党幹部に復帰――帝王学を学び、名門・精華大学に進学、「親の七光り」と馬鹿にされながらも敵を作らず雌伏の日々。鄧小平に国家主席に任命された江沢民(現・故人)は鄧小平に「次は胡錦涛だ」と決められていた。

 当然、鄧小平死後、江沢民と胡錦涛の権力闘争になる。それで勝った江沢民が、習近平を指名したのだった。トップとなった習近平は、自分に権力を集中させる。総書記就任と同時に中央軍事委員会主席。また数多くの「小組」を新設し、自らが直接指揮できる体制にした。(「中央国家安全領尋小組」「中央対台工作領尋小組」「中央財経領尋小組」など多数)

 習近平はなぜ権力集中が出来たか?ひとつは太子党(共産党幹部の子弟グループ)の盤石な支持と、もうひとつは国民の間で絶大な人気があるから。

人気のひとつは容姿(あの顔は中国人の目には誠実そうに見えるらしい。胡錦涛は逆に、無表情で冷たく利己的に見えるとか)、もうひとつは家族だ。父親の習仲勲は苦労人の武骨漢で、庶民の味方。奥さん(二番目)は国民的な歌手・彭麗媛(日本でいえば美空ひばりと都はるみを足したような超人気歌手)。一人娘はハーバード大学に留学した才媛・習明沢。

習近平の腐敗撲滅運動は喝さいを浴びた。だが、毛沢東に憧れて第二の毛になろうと執念を燃やす習近平……。外国の演説で、「中国は約束する。第一に、革命を輸出しない。第二に、貧困飢餓を輸出しない。第三にあなた方に迷惑はかけない」と。これは、国内は別です、ってことですよね?

また、習近平は、周小平氏らなどの若い作家をつかい、若者層へのマインドコントロールにも余念がない。ネットを監視し、2002年に、海外とのネットワークが遮断された。中国国内では、グーグルもフェイスブックも、ユウチューブもツイッターもGmailもインスタグラムも使えない。いわゆる『BATH』(バイドゥ、アリババ、ティンセント、ファーウェイ)だけである。が、若者の好奇心や批判心も、閉鎖的空間で徐々に知性や個性が死んでいくのだ。「バイドゥ(百度)があればいい。グーグルなんかいらねえ」「ウェイボー(微博)で十分。ツイッターなんかいらん」「劣った諸外国より中国の経済。政府のいうとおりにしていれば大丈夫だ」こうなると独裁政権は続くことになる。

最近、反日姿勢が鈍化して、「日本の粉ミルクと紙おむつと化粧品は最高!」「日本の炊飯器は最高」「日本の漫画やアニメは最高!」(『爆買い』で。但し、最近は新型コロナで下火)と親日みたいな感じだ。だが、反日教育は引き続き、行われている。

「日本人が嫌いなのでもなく、我々が嫌っているのは過去の日本の軍国主義だけです。わたしたちは今の日本人を憎んでいません。只、過去の日本の軍国主義を憎んでいるだけです。日本人は親切で優しいから大好きですよ」これが反日ドラマや映画をつくる監督などの中国人の常套句だ。とにかく、反日ドラマは日本人を悪役で、卑劣で汚い鬼のように(日本人の侮蔑には〝日本鬼子〟〝小鬼子〟が使われる)残虐で悪辣に描かれる。

 そんな鬼(日本人)を倒すのは中国人の英雄だ。ナイフを投げて、日本兵の一個師団を全滅させたり、中国人の子供が手に持ったパチンコで、日本軍を全滅させたりする。

 しかも、日本軍を破ったのは中国共産党軍(史実は蒋介石の中国国民党軍が日本軍と戦った)という出鱈目まで。(蒋介石が日本に「戦後賠償はいらない」といったため(何故、蒋介石が「戦後賠償はいらない」と明言したのか? これは蒋介石の国民党が、台湾に逃げてきたとき、その台湾から撤退する日本軍のすべての資産・当時の110億円をすべてぶんどれたからだ。別に蒋介石が義将でも、正義の人だからでもない。現在の価値で数兆円の資産を濡れ手で粟にぶんどれた。だからである))日本が中国に謝罪や戦後賠償をやっていないと勘違いされがちだ。が、侵略などの国家としての謝罪はおわっているし、賠償金としての中国へのODA(政府開発援助)も最近までに総額5兆円も払われた。その莫大な金で、中国は経済発展が出来たのである。

 だが、そうしたことは、中国人は何も教わらない。結局、日本国をスケープゴート(生贄の羊)にしているだけだ。中国人の汚職摘発は、数億円どころか数千億円や一兆円とか、物凄いことになっている。また、軍のトップも、「アメリカが台湾海峡に空母を派遣したら、核戦争も辞さない」とかいう狂人がトップだった。これは世界が驚いた。

 そういえば、毛沢東も狂人だった。「世界と戦いましょう! この戦争で中国は三億人の命を差し出す用意があります!」とスターリンに進言したり(スターリン首相は「三億人? こいつ俺より狂っている」と驚いた)、「核戦争をやりましょう! 中国は半分やられても三億人が残ります。中国の人口は多すぎる。人口を減らすチャンスです! 核戦争による人口抑制が必要!」とフルシチョフにいい、「中国は狂っている。もう付き合いきれない」と馬鹿にされたという。

 鄧小平も、今でこそ、〝総設計者〟〝経済発展の恩人〟とか高評価だ。が、天安門事件で人民を虐殺したのも鄧小平だった。このひとも狂っていた。

 中国の軍隊(人民解放軍)は何処の為の軍隊か? 人民? 中国人? いや、中国の軍隊は中国共産党の軍隊である。デモの鎮圧でも、市民のふりしてルールを守ってデモをする中で火炎瓶を自作自演し、デモを銃砲で鎮圧する。どこまでも卑劣なのだ。

 中国のすべての指導者が考えるのは〝面子〟だけ……。

 毛沢東は自分の面子の為だけに『大躍進』『文化大革命』で国民の数千万人を餓死させた。

 鄧小平も〝面子〟のためだけに『天安門事件』で、数万人(中国の発表では死者数百人)を虐殺した。

 中国は今は経済発展が著しいから大金があり、治安維持費も賄える。だが、金がなくなれば中国共産党一党独裁も、おわりだ。悲惨なのはその時に、民主主義政権が擁立される可能性が限りなくゼロに近いことだ。省のトップなど経済に詳しい正義のひともいるが、そのひとたちは少数派である。ノーベル平和賞の劉暁波さんも病没してしまったし、いったい誰がこの面倒で、独裁の中国をなんとかするというのか? このままでは習近平の中国共産党一党独裁は永遠に続いてしまう。それはとても不幸なことなんだよ。

なおここでは香港の民主化運動はなぜ起きたか? 学んでいきましょう。

2019年、香港の大規模な抗議活動がニュースになった。少し前にも「雨傘運動」というデモ運動が報じられていたけど、香港の人達は何に怒っていたのか?

アヘン戦争でイギリス支配下となった香港

中国は清という国だった時代の1840年、清国とイギリスの間でアヘン戦争をしました。もともとイギリスは、清との貿易で、陶磁器やお茶などを輸入し、貿易赤字を抱えていました。そこで、イギリスは赤字を解消するために、植民地のインドで麻薬のアヘンを作り、アヘンを清国に売りつけるようになります。アヘン中毒者の激増に業を煮やした清国は、アヘンを廃棄し、アヘン貿易を禁止。すると、これに怒ったイギリスが戦争を仕掛けたのです。

戦争に勝ったイギリスは、香港を植民地支配し、その後、新界とランタオ島を99年間、借り上げてしまいました。

イギリスの支配のもと、香港は自由の権限や経済活動が認められ、大いに発展します。さらに、中国大陸から共産党の支配を嫌った人たちが香港に移り住み、経済も成長します。

特に、お金持ちがお抱え料理人を連れて香港に渡って来たので、香港では中国のおいしい料理が食べられるようになりました。

反対運動がヒートアップ

1997年に、新界とランタオ島の返還時期がやってきます。イギリスは、香港島まで返す義務はなかったのですが、中国との話し合いで全部を返還することになりました。

ただ、中国共産党から逃げてきた人達は、自由が奪われることを心配します。

そこで、「一国二制度」で返還から、50年は自治制度や形成を、それまで維持できる制度を約束しました。そして香港の住民が選挙でリーダー(行政長官)を選べるようにするという話しになっていました。

ところが、実際には中国寄りの人物だけが行政長官に立候補できる制度が導入されることになっていました。それに怒った若者たちはデモに訴えます。これが2010年の「雨傘運動」でした。

そして、2019年には中国への犯人引き渡し条例を奨励。条例改正案に対する大規模な抗議活動が行われました。香港で、デモで中国共産党のことを批判した人物を、中国政権に引き渡す可能性がある。これを、デモの運動者たちは、歴史に逆行する事と訴え始めたのです。この運動の中心的人物になっていた「雨傘運動」の周庭氏などは刑務所に収監されました。

結果、防犯条例改正案は撤回されましたが、国家の安全にかかわる犯罪を禁止する「国家安全維持法」の導入が、認められました。

そして、国家安全維持法で、民主化の活動家が次次と逮捕され弾圧が始まってしまいました。一国二制度も守られなくなり、香港と中国の経済格差が縮まるにつれ、香港の中国化が急速に進んでいます。

天安門事件がよくわからない

「中国には言論の自由がない」「中国は民主化していない」とよく言われる。その背景には民主化を求める市民を弾圧した悲惨な歴史があった。

改革開放と民主化運動の始まり

天安門事件とは、1989年6月4日に、中国共産党の軍の「人民解放軍」が、天安門広場に突入し、民主化を求める学生や市民を排除した事件のこと。

そもそも、中国に民主化運動をもたらすきっかけを作ったのは鄧小平でした。

1979年に、権力を掌握した鄧小平は、個人の商売と外国資本の投資を認める改革開放政策をおこない、中国経済発展の道筋を作りました。

経済の自由化が進むと、情報を入手して、自由な言論や民主主義に触れる人も増えていきます。中国でも、知識人や学生が、民主化を求める運動を開始し、北京の街灯に、民主化を求める壁新聞が張られるようになりました。

鄧小平は、壁新聞が毛沢東批判を行っている間は放置していました。が、鄧小平自身を批判する文章が出るようになると、一転して弾圧を始めました。

1981年、鄧小平の弟子だった胡耀邦が、中国共産党主席(過去。その後、総書記の名称に変更になります)で、鄧小平は最高権力者として政治にかかわるようになったのです。

胡耀邦の死がきっかけに

その後も、自由や民主主義の運動は断続的に発生しました。が、胡耀邦総書記は黙って見守る方針をとりました。これに、危機感を抱いた中国共産党の保守派に、鄧小平も同調し、1987年胡耀邦は総書記辞任に追い込まれます。

後任として総書記にのぼりつめたのは、やはり鄧小平の弟子である趙紫陽でした。

1989年、胡耀邦が失意のうちに死去すると、その死を悼む学生たちのデモが発生しました。胡耀邦が、民主化を求める学生たちに同情的だったことで、地位をおわれたことも学生たちは知っていたので、胡耀邦の批判はその体制批判を意味していました。

天安門広場では、次々と学生や市民がつのり民主化を求める運動に発展しました。

各地の大学で、自由を求めるデモが頻発すると、中国共産党の保守派はこれを「動乱」と決めつけ、中国共産党への挑戦と受け止めました。

人民解放軍が市民に発砲

しかし、共産党のトップである趙紫陽は、胡耀邦と同じように運動を黙認しました。

趙紫陽は、訪日したソ連のゴルバチョフを前に、引退した鄧小平が裏で権限を握っていると暴露したこともあり解任されました。鄧小平は戒厳令の発言を決定し、人民解放軍によって、民主化運動弾圧の方針を固めました。

そして6月4日、装甲車、戦車と兵士が、天安門広場に突入し、広場の周辺で、群衆に向けて射撃を始めました。中国政府は、死亡死者319人、負傷者9000と発表しましたが、実際には、被害者はもっと多かったものとみられます。

それにしても中国がここまで発展してきたのはどうしてなのでしょうか。

そこには建国の父とよばれる毛沢東が、無茶苦茶にしてしまった国を立て直した、鄧小平という人物がいたからです。

大抵の中国人はとかく反日発言をしますが、台湾の人達は日本が大好き。どうしてそんな違いが生まれたのか? 歴史を知ると理解できるのです。

台湾では、民主化のデモ「ひまわり革命」の政治運動が成功しました。それが、その後の、台湾の政権交代につながりました。

一方、その運動に影響された香港の若者たちの「雨傘革命」は挫折を余儀なくされました。どうして違いが生じたのでしょうか。

そこには、台湾と香港の立場の違いによります。香港の若者たちの焦燥感は、日本の若者たちにピンとこないかもしませんが、この思いはやがて香港の政治運動に広がっていくはずです。

急激な経済成長を遂げてきた中国は、ここにきて成長にブレーキがかかって不景気に苦しんでいます。急激に成長すると、まるで階段などの踊り場で停滞し、上に進めなくなる段階を迎える。これが「中進国の罠」とよばれる現象です。中国は今まさに、この罠に陥っています。これもかつて日本が経験したことでした。

日本の歴史も、中国を抜きにして語ることはできません。例えば私たちが使っている漢字。今使っている文字。日本には中国から漢字が伝わってくるまで、文字がありませんでした。「大和言葉」と呼ばれる言葉を、文字にして記録することができるようになったのは中国から来た漢字の影響なのです。

日本は漢字をもとに、平仮名や片仮名をも編み出しました。

仏教も中国を通して、日本に伝来しました。仏教は、紀元前5世紀頃、古代インド(現代のネパールあたり)で生まれました。その仏教が中国に渡ることで、すっかり中国風の仏教に代わり、朝鮮半島を渡って日本に伝来したのです。

たとえば、仏教は墓を造りません。墓を作ったり、ご先祖を奉ったりするようになったのは中国に伝わってからで、日本もそうなりました。さらに、日本ではお坊さんが結婚してもいい、ことになりました。その話をチベットや東南アジアの仏教徒にすると、とても驚きます。お坊さんは仏に仕える身。生涯独身を貫きます。

中国の人口は現在世界一で約14億人7千万人だと言われています。実際は、もっと多いのではないかという説もありますか(笑)。(2022年にインドが中国の人口を抜いて、世界一の人口になりました。2027年には日本を抜いて、GDPで世界三位になると予想されていますね)

中国にはいろいろな民族がいます。中国では漢民族が90パーセントを占めています。が、それ以外に55もの民族が住んでいるんです。一つの国に56もの民族が一緒に住んでいる。 

民族紛争も起きやすい、ということです。また一人っ子政策がすごい。

権力を持っています。今は中国では一人っ子政策は廃止されましたが。

一人っ子政策のところで今、中国では日本以上の少子高齢化時代がきています。

「省」「市」などの都市について説明しましょう。中国の「省」は日本の都道府県に当たります。そして、「市」は日本でいう政令指定都市のようなものです。

例えば、横浜市や川崎市が指定政令指定都市です。いずれも神奈川県の中にある市ですが、都道府県と同じくらいの権限が与えられています。北京市、天津市、上海市、重慶市の四つは政府の直轄市として特別に重要な都市として位置づけられています。

では自治区ってなんだろう。現在、中国には、新疆ウイグル自治区、チベット自治区、寧夏回族自治区、広西チワン族自治区、内モンゴル自治区、合計五つの自治区があります。

では、台湾、香港、マカオを見てください。

日本の外務省のホームページを見ると、台湾、香港、マカオは、北朝鮮やパレスチナ自治区、南極、北極と並んで、その他、の地域に区分されています。

その他の地域とは、実は、公式には日本が国として認めていないという地域なのです。台湾や香港は、観光やビジネスでなじみの深い場所なのに、と不思議に思うかもしれません。

台湾と香港は、オリンピックに独自選手を出しています。台湾選手が掲げるプラカードの名称は「チャイニーズ・タイペイ」。チャイナではありません。何故、チャイナではなくチャイニーズタイペイ? どういう意味なんでしょ。

香港とマカオは「特別行政区」です。中国の一部であるけれど、高度な自治がみとめられている特別な地域。高度な自治とはどんなことかというと「独自の法律」をもち、通過やパスポートの発行が認められています。

台湾は日本が初めて得た植民地だった

台湾は、北部は亜熱帯、南部は熱帯気候です。暑くてじめじめしていて不衛生。いろんな病気も発生する。とても人の住めるようなところではない。つまりに清国が統治するまでもない「僻地」と考えられていたのです。

実際は、台湾にはたくさんの先住民がいたのですが、清にとってはそんな「化外の地」を日本にくれてやっても、全然、痛くも痒くもない。

一方、日本にしてみれば、初めての植民地です。当時は、ヨーロッパ諸国やアメリカが世界中に植民地を獲得し、共同領土を拡大しようとしていた。帝国主義の時代です。

200年以上ついた鎖国の呪縛から、明治時代に解け、明治維新が起こり、ようやく世界に打って出たばかりの日本にしてみれば「ヨーロッパ諸国のように植民地を得たい」と思っているところ、やっと植民地統治することができた。日本が初めて獲得した海外領土だ。

ここを完全に日本化し、発展させようと考えたですね。

余談になりますが、植民地支配。つまり植民地をどのように統治するかその方法はそれぞれの国によって随分差がありました。

イギリスは、本土からエリート人材を派遣して統治するのではなく、植民地の中で優秀な人材を育てようと考えました。それで植民地にしっかりとした高等教育機関つまり大学を作り、卒業生をエリート官僚として育て、植民地を治めようとしたのです。

イギリスの植民地だったケニアにはナイロビ大学、イラクにはバクダッド大学、スーダンにはハルツーム大学など、現在まで続く優秀な大学がいます。

ではフランスはどうだったか? フランスは植民地に大学を作りませんでした。

その国の優秀な人材をフランスに連れて来て、フランスの大学で教育を行いすっかりフランス人にしてから植民地に戻すということをしていました。

フランスから独立したアルジェリア、チュニジア、マリなどには、植民地時代にフランスで教育を受けた優秀な人材が残っていました。

ですが、独立後は、大学がなかったので、国を動かす人材を育てるのに大変に苦労しました。

植民地政策で、最も酷かったのがポルトガルです。アフリカではアンゴラとモザンビーク、東南アジアではインドネシアなどのすぐ東側の東ティモール。そして、ブラジルなどがポルトガルの植民地でした。

ポルトガルは植民地から様々な資源を収奪していくだけで、そういう人材育成をしようとはしなかったのです。

やがて、ポルトガル本国で社会主義革命が起こり、植民地をすべて放棄しました。

日本は超一流の人材を送り込んだ

でも、台湾の人たちは日本人にとても友好的です。年配者の方の中には、日本語で話しかけてくる人もいます。

恨まれても仕方がない歴史があるのになぜ? そのヒントにひとつを台湾の高校の教科書中に発見しました。そこには、日本に統治されていた時代の出来事が客観的にそして、冷静に記述されています。日本が台湾に人々に関しおこなった残虐な事実はもちろんですが、日本に統治されてよかったこともちゃんと書かれています。

当時、台湾には目ぼしい産業は何ひとつありませんでした。熱帯のじっとりまとわりつくような気候と、決して清潔とは言えない環境のせいで、病気も蔓延していました。

初の植民地支配を成功させて、大国と肩を並べたい。

日本政府は、台湾を文明化しようと総督を作り植民地支配に乗り出します。

のちに東京市長になる後藤新平(1850~1920)長官や新渡戸稲造(1862~1933)を始め、超一流の人材を台湾総督府に送り込んだのです。

それまで読み書きのできなかった台湾の人たちに、徹底した日本語教育を行いました。

台湾の人たちは、日本語を学ぶことで、世界の大国に対しての知識を身につけることができるようになりました。

台湾帝国大学を作り、教育レベルの向上に努め、人材の育成にも力を入れました。

中でも八田與一(1886~1940)は台湾を救った日本人として、教科書の中に大きく紹介されています。水利技術者だった八田與一は農業の生産性を高めるため、灌漑事業や水力発電のダムの建設を進めました。

第二次世界大戦が台湾の運命を描いた

清の時代に中国はどんな国だったのでしょう?

台湾で現地人たちは日本の教育によって、日本語を話すことができるようになっていました。日本語はすぐに理解できるが、あなたも味方と安心できるわけです。中国国民党による忌まわしい事件の影響もあって、台湾人の中に、日本語に対する愛着が生まれたのでしょう。

台湾の人たちにしてみれば、植民地時代の日本に対する憎しみも当然ありました。が、その後にやってきた国民党軍人たちがあまりにも酷かった。それが結果的に、「日本統治は良かった」という郷愁に繋がったのです。

当地の台湾の人たちは「犬が去って、豚が来た」と評しました。

犬。つまり日本軍は、こまかいことに口を出す。くわえて「うるさい」と。いやだけど、少なくとも「番犬」の役割は果たした。自分たちを守ってくれた。しかし、その後にやってきた豚国民党軍はただむさぼるだけで何もしてくれない。

中国国民党のルーツを持つ人を「本省人」それ以外に人のこと「外省人」といいますが、「本省人」の中にも李登輝のような優秀な人材も出てきます。2020年に亡くなってしまいましたが、日本の教育を受け、京都大学で学んだ李登輝は民主化運動に、台湾発展に非常に尽くしました。

香港の自治は今も「一国二制度」となっていますが、中国が香港の「一国二制度」を骨抜きにした訳は、経済格差がほとんどなくなり、香港が「金をうむ卵」ではなくなったからだと言われています。

国家安全維持法で、デモが弾圧、民主化運動家の周庭氏らも刑務所に送られてしまいました。これから香港、マカオ、台湾など、悲惨な未来が待っているのでしょうか?

事実上の一党独裁という意味でしょうか。中国の中にもまだ国民党の人々が残っているけれどほとんど力がないから共産党の言いなりになっている? それは違います。

実は中国には、中国共産党以外に八つの政党がアクセサリー的に存在しています。ところが、その八つの政党は、どの政党も「中国共産党の指導に従う」という党の規制規則がのべられています。

共産党の指導に従うことを獲得した政党なのか。そんなわけありません。また共産党は憲法の上に中国共産党が存在しています。

つまり事実上中国共産党の一党独裁の訳です。

日本では「司法・立法・行政」の三権分立になっている。そして国家公務員は、必ず憲法を守らなければならないと、それも憲法に書いてあります。天皇陛下の地位は、日本国憲法に規定されていますし、天皇陛下も憲法を守りますと言っています。ですから、日本の政党もすべて憲法の下で政治活動しているわけですね。これが門主主義の形です。

ところが、中国では、中華人民共和国憲法は中国共産党の指導に従うと定められています。まず中国共産党があって、その下に憲法が存在する。つまり、憲法をどう解釈するかは中国共産党が決めているのです。

14億の舵を取るリーダーは党で選ばれているのか?

中国のリーダーはどうやって決めるのでしょうか?

国民の選挙でないとすると……

中国ではリーダーを決める時に選挙は行われていません

日本でいう選挙がないのです。中国の人たちはほとんど選挙をしたことがないのです。

中央委員の中から、さらに毎月一回開催される中国共産党中央政治局に参加できる政治局員25名が選出されます。

政治局委員は中国共産党の要職に就く幹部たちです。(中国の国民が約14億人。中国共産党員が約9500万人。党大会代表が、約2300人(10年に一度の会議)中央委員が、約200人(1年に一度の会議)政治局委員が、25人(毎月一回の会議)政治局常務委員が、7人(毎日一度の会議)トップが総書記の習近平氏)(何故、常務委員の7人で決めるのか? これは毛沢東の独裁政権時代からの教訓で、独裁を防ぐためです。共産党党員は優秀なエリートで、更に優れたエリートが幹部になり政治経済をリードしている)(習近平は総書記よりも偉い、党主席を目指している。習近平が党主席になったら、完全な独裁体制の出来上がりです。チャイナセブンも習氏のイエスマンばかりですし)(独裁のいいところは即断即決。民主主義なら賛否を決めるために永延と話し合いが必要ですが)

政治局委員の中から、さらに選出された7人が政治局常務委員です。エリート中のエリートです。中国共産党の大幹部であり、国務を担う最高神指導者指導部。日本で言えば政権与党の要職と大臣を兼任してるような権力者です。

中国14億人のかじ取りを、まず7人で担っているのです。7人の集団指導体制で、国家上に関するすべてを決めます。決める方法は多数決です。だから、常務委員は7人という奇数になっているのです。2009年までは、常務委員は9人でした。

中国の国内政治に詳しい遠藤誉さんが、自著の中で「チャイナナイン」と名付けたのですが、人数が減らされて、「チャイナセブン」となりました。

そして、現在政治局常務委員のトップで過去序列1位になっているのが習近平総書記なのです。

全人代は、日本の国会にあたります。ここに集まっている代表は、中国の国民による選挙でえらばれるわけではありません。それぞれ、地区で共産党から指名された代表者が千人集まります。

政治も経済も教育もすべて共産党が主導する

もし共産党に入るのもいやだ、と断ったらどうなるでしょうか。逮捕されることはないにしても、反共産党だというらく印を押されて、生涯、出世の道はなくなるでしょう。

だから誰も断れない。共産党に入らないか? と誘われたら喜んでとなるのです。

中国企業の場合はどうでしょう。大企業の中にも、当然、共産党の組織があって、共産党がイエスと言わなければ何も決まらないという構造になっています。

大企業の社長のデスクには、仕事用の電話と、もう一台、赤い電話が置かれています。この電話は共産党の直通電話で、ホットラインなのです。

もし、赤い電話が鳴ったらたとえ会議をしていても、社長はすぐさまでとって共産党の指示を聞かなければなりません。

意思決定が社長だと思って会議を進めていると、突然、共産党の意向が割り込んでくる、ということがある。中国企業とのビジネスが難しい、といわれる一因です。

中国の若者は、本音では反日ではないといわれています。が、日本との戦争経験者を持つお年寄りもそうなのでしょうか?

お年寄りの中には、日中戦争のときに自分の肉親が日本軍によって殺された経験を持っている人がたくさんいます。本音で反日の人たちも多いでしょう。

ただ中国は広大な国。そもそも日本軍とは全く関係がなく暮らしてきた人たちもいます。

ほとんどの地域の人たちは、老人だからといっても反日ではないともいいます。

しかし、テレビでは反日ドラマが放送されているわけですから、テレビでしか情報が得られないような田舎の高齢者の人たちの中には「日本はひどいところだ」と思っている人たちもかなりいるでしょうね。まあ、中国の反日教育・反日運動というのは中国共産党政権や自分たちの不満をごまかすためのスケープゴートとして、日本が使われているというだけです。

中国はいわゆる「中進国の罠」に陥っています。

なぜ中国の経済成長に急ブレーキがかかったのでしょう?

中国の人件費が高騰したため、世界から中国に進出していた企業が、もっと人件費の安い国に工場をうつしているからだ、という話しを聞きましたが。

ほぼ正解ですが、少し深い理由があるのでそれを話していきましょう。

経済成長著しかった中国は、国全体の人件費が非常に安かった。外国の企業が、中国に工場を持てば、少ない人件費でたくさんの人を雇い、効率よく製品の製作が行えます。

海外からどんどん企業が進出してくることで、中国の経済成長は10パーセントを超える状態がずっと続いていました。

経済成長を遂げたちのちの中国は急速に経済が悪化しています。

GNP(国民総生産)は日本を抜いて世界第二位に。しかし国民一人当たりのGDP(国内総生産)を見れば世界76位です。(マカオ5位、香港18位、日本26位)です。

北京や上海には、世界でも有数の大富豪がいます。その一方で、まだ電気も水道もないようなところで暮らすひとたちもいる。平均するとまだまだ貧しい国なのです。

途上国から先進国の仲間入りをするという過渡期の国を「中進国」と呼びます。

中国はちょうどいま中進国と言えます。

そして、高度経済成長期の直後、急激に経済成長のスピードが落ちることを「中進国の罠」といいます。ます。ブラジルやアルゼンチンそして日本も、経済成長の過程で中進国の罠にはまりました。

中国の場合、北京や上海など沿岸部に工場をつくると、そこに内陸の貧しい農村地域自治体から大勢の人が出稼ぎに来ます。

彼らは、安い給料でも工場で働いてくれます。

「給料を上げて下さい」といってきても、農村部には無尽蔵の労働力がありますから、「不満ならやめて貰ってかまわない」と突っぱねることができます。

ところが人口が14億人にもいるものだから、従業人不足になることはないだろう、とタカをくくっていたら、農村地帯から出稼ぎに来る人が少なくなってきたのです。

国が豊かになってきたことで、内陸の農村部にもいろんな企業ができ始めたのです。そうなると、わざわざ遠くの沿岸部への出稼ぎをするひとは少なくなります。

労働力が不足するということはどうゆうことなのでしょうか? 労働者の方が強くなって給料が高騰するということです。

それまで余っていた労働力が底をつく状態を「ルイスの転換点」、と呼びます。イギリスの経済学者・アーサー・ルイスによって提唱されたからです。

「ルイスの転換点」を迎える中国では、工場労働者の給料が急激に高騰しています。

安くて豊富な労働力に支えられていた経済成長は、急速に停滞しています。中国は今まさに「中進国の罠」に陥っているのです。

日本でも「中進国の罠」から抜け出せたことがあります。時代は映画『ALWAYS三丁目の夕日』のような的に東北の田舎の農家の三男二男四男などや女子学生という人たちが、東京や大阪などに出稼ぎに来て、「金の卵」と呼ばれていた頃です。その時代は、農村部などから日本の発展した都市などへの労働力の移動が、容易に行われていました。

中国でもそうだったのですが、今や、「中進国の罠」から抜け出すことが課題となっています。

イギリスを追い越せの「大躍進政策」。鉄をつくれば大国だ、といって中国中の家に粗末な炉がつけられ、砂や小石まじりの鉄をつくり、何の意味もなかったことがありました。

毛沢東が権力をにぎろうとして始めた、「大躍進」と「文化大革命」で大勢の餓死者が出ました。または、毛沢東が「雀を退治しろ」といって退治したために雀がいなくなり、その結果として、虫が大量に発生して、農業が大打撃を受けたこともありました。

と、その時も数千万人の餓死者が出るんです。

毛沢東が滅茶苦茶にした中国を救ったのが鄧小平でした。毛沢東のもとには、鄧小平という優秀な政治家がいたのです。

鄧小平はプラグマティスト(実利主義者)です。

共産党の幹部ではあったのですが、国を良くするためには国民が豊かにならなければならない、という信念を持っていました。「白猫でも黒猫でも、鼠を捕る猫がいい猫だ」というのが鄧小平の考えでした。

後は、毛沢東の独裁や周恩来の病死、「四人組の逮捕」など詳しいことは、別の中国の小説とか物語の中で語っていますのでここではあえて解説しません。

「大躍進政策」「百花斉放」さらには「文化大革命」を通して、中国人たちは学習をしました。政府の指示に従って、言われるとおりのことをやると、あとで方針が変わったとき犯罪者にされてしまう。政府の言うことは一切聞かないのが一番、ルールなど守る必要はない。このようにして、中国の中国人がルールを守らない性格が生まれました。

また、中国の都市は、ごみが散乱していてきたないです。が、日本も東京をオリンピックがある前までは、列車や公園にごみが散乱していました。

「文化大革命」で中国人の道徳感が破壊されたのです。

毛沢東が指名した国家主席が劉少奇でした。(劉少奇の妻は王光美(おうこうび、ワン・クァンメィ(1921年9月25日―2006年10月13日))元・大学教授で、英語・フランス語など堪能。子供の面倒見の良い良妻賢母の妻で、国際的な人気があった。しかし、毛沢東の四番目の妻・江青が嫉妬して、王光美と劉少奇を〝文革〟で失脚させた)劉少奇は毛沢東自らが指名した国家主席でした。表立って、劉少奇を批判し引きずりおろすことはできません。そこで毛沢東どうしたのか。「社会主義は共産主義へといたる過程にすぎず、一層の共産主義社会を誕生させるためには、継続的な革命が必要だ」という独自の持論を展開したのです。

そして、今の国家体制は停滞している。革命を起こして新しい国をつくるべきだ。

その考えから「文化大革命」「大躍進」などが生まれました。それによって中国は大破壊されたのです。それを救ったのが鄧小平でした。

中国の「一人っ子政策」において日本以上の少子高齢化になっているが中国です。

インドのような「人口ボーナス」もなくひたすら少子高齢化になっています

中国ではジャスミン革命が起こらなかったのです。

(蔣介石の妻は、宋家三姉妹と呼ばれた大富豪の娘たち。三姉妹の三女の宋美齢(そうびれい(1898-2003))国民党の指導者・蔣介石の妻であり、パートナー。(国民党を支援)英語が堪能。晩年はアメリカで暮らした。台湾人女性などの米国留学を支援し、その中にはのちの台湾総統・蔡英文氏(2024年1月の台湾総裁選で、民進党の頼清徳さんが、国民党の候友宜候補と第三党の柯文哲候補をやぶって当選。新しい台湾総統に就任)も)(宋家三姉妹のうちの長女が宋靄齢(そうあれい(1889-1973)であり、中国で最も裕福で財務大臣の孔祥熙と結婚した。(国民党を支援))次女の宋慶齢(そうけいれい(1893-1981)は、孫文夫人・未亡人であり、中国共産党を支援した。文革で江青に攻撃され、四人組逮捕後、名誉回復。死後、中華人民共和国名誉主席に任命された))

(また、ここでは独裁者の死因のトリビアである。毛沢東に関しては、適切な衛生状態を保つのが困難だった(キャサリン・ゲイの伝記『毛沢東の中国』より)。入浴も歯磨きもせず、代わりに熱いタオルを好み、お茶を飲んでいた。それで膿瘍や虫歯が。晩年は何度も心臓発作に見舞われた。若い頃は気管支炎を繰り返し、結核にもかかった。最終的に、1974年に筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断された。筋力低下は、徐々に悪化し、最終的にはコミュニケーション能力も失われ、2年後に他界した。

 蔣介石は、70歳を過ぎたころに、排尿障害に見舞われた。手術をしたが、治らず、彼は失禁し、膀胱をコントロールできなくなった。「蒋介石はひどい失禁症で、〝会議のおわりには、側近をのぞいて全員が退席するまで着席しているのが日課だった〟(尿まみれのズボンが目撃されるのを防ぐため)」(ジョイ・テイラー伝記『蒋介石と現代中国の闘争』より)(インターネット上の記事参照引用))

(*周囲の国が貢ぎ物を持って来る朝貢、その国を属国として認める「冊封体制」が中華思想であった。*習近平総書記は、アヘン戦争以後、中国は内憂外患の暗黒時代を迎えたと言う。1840年に起きたアヘン戦争以後の百年間が、中国にとっては恥だと考えているからだ。*中国は「九断線」という破線を引き、南シナ海を自国の領海だと主張している。明の時代の鄭和の南海遠征を、その論拠としている。*毛沢東でも実現できなかったことが台湾の奪還。習近平の野望はそこにある。『世界情勢のきほん』池上彰著作(ポプラ社)92ページより引用)(GDPでの経済大国では現在、一位がアメリカ、二位が中国、三位がドイツ(2023年に抜かれた)四位日本、五位インド(2026年に日本を抜く予定))

中東のジャスミン革命はSNSだけで「改革」が行われたように思われますが、実は違います。中東にはアラブ諸国にのみ放送をする「アルジャジーラ」があったので、革命を起きたのです。が、中国にはアルジャジーラらがありません。その結果、革命は起こらず、香港の「雨傘革命」も弾圧されたのです。

中国政府と台湾、香港、マカオ、米中関係、北朝鮮……なんにせよこれからが「動乱」の時期である。この中国の情勢は我々と無縁ではない。そのこともまた事実なのだ。

 また、今、中国にはかつての毛沢東のように、習近平の肖像画や銅像などが中国国内で溢れているのだとか。毛沢東の文革や大躍進ほどではないものの二の舞の体を見せているのだとか。毛沢東以来の独裁者の誕生ですね。任期十年の主席ポストも任期を廃止して、永遠にトップでいられるようにまでしましたし。我々は、ほんの隣の国で、毛沢東に匹敵するような〝独裁者誕生〟を目撃している。まさに、皇帝、の誕生なのです。恐ろしいですね。

                     (池上彰氏著作より引用)


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 イヤーオブドラゴンとなる24年は、台湾総統選をはじめ、アジア情勢が急変する可能性をはらんでいる。激動の時代のナビゲーターに池上彰氏を迎えてのスペシャル講義の後編は、台湾、中国、そして日本はどうなるのか? 緊迫のアジア情勢を熱血ストレート解説する!


ーー東アジア情勢をお願いします。

池上 はい、まず何より1月13日は、台湾総統選挙が控えています。民進党、国民党と、民衆党の三つ巴の戦いになっていますが、台湾の世論も割れているんですよ。今の民進党政権によって、例えば熊本県に工場ができた半導体のTSMCのようなIT部門で働いている人は、高給取りになったわけですが、それとは無縁の人たちは、非常に生活が苦しく、格差が広がっているんです。つまり、民進党のおかげで豊かになった人たちは、中国に飲み込まれるのは嫌だ。反対に民進党の政権の下で、生活が苦しくなってしまった人たちは、中国でもどこでも、自分たちの暮らしがよくなることを望んでいるわけです。

ーーここに中国が影を落としているわけですね。

池上 そうなんです。今、中国は民進党に対し様々な嫌がらせをしています。中国大陸から民進党がいかにひどいかという、フェイクニュースが大量に出てきています。あるいは、中国軍によって、戦闘機や爆撃機が台湾ギリギリまで飛んできている。台湾の軍隊は毎日のようにスクランブル発進しなければならず、すっかり疲弊しています。そうすると台湾の国民も、民進党だからこんなに怖い思いをするんだと脅威に感じるわけです。

ーーひたすら恐怖心を煽るわけですね。

池上 反対に国民党は、中国と仲よくやりましょうという政策ですので、中国は「国民党だったらこんなに怖い思いをしなくてもいいよね」と台湾の世論を動かして国民党を勝たせようとしている。国民党に勝たせることができれば、台湾をまるごと中国寄りにしてしまえるという戦略なわけです。これぞ、戦わずして勝つ、「孫子の兵法」なんですね。

ーー台湾有事が心配です。

池上 中国は2027年までに、台湾を軍事的に占領できるだけの力をつけろと習近平は言ってますから。だから、ここ1~2年で戦争することはないでしょう。アメリカは台湾関係法で台湾を守ると言っているので、もし中国が台湾を攻撃した時には、アメリカ軍が台湾に救援に来ます。今の中国軍では、アメリカ軍が台湾を助けに来る際、アメリカ軍を途中で止めることはできません。だけど、2027年までにはもっと空母を造るなどして、中国はアメリカが東シナ海や南シナ海に入れないような力をつける。こうすれば悠々と台湾を占領できるわけです。2027年といえば、習近平の3期目の終わり。つまり、これがうまくいけば4期目が見えてくるわけですね。

ーーそして、習一強の独裁政治が続くことに‥‥。

池上 その一方で、中国は住宅バブルが弾けてしまったので30年前の日本のような状態になっていますね。これを「中国のジャパナイゼーション」、日本化と言います。

ーー日本人としては複雑な気持ちです。

池上 ハハハ。でも、思い出してください。日本のバブルがなぜ弾けたかと言えば、バブルの時に土地の値段がどんどん上がったでしょ。その結果、普通のサラリーマンがマイホームを持てないと悲鳴を上げたわけです。そこで、当時の大蔵省は、金融機関に対し、不動産購入にお金をあまり貸さないよう指導したわけです。これが「不動産融資総量規制」です。これにより、金融機関は不動産売買にお金を貸してはいけないという意味だと忖度し、その結果、住宅が暴落し、バブルが弾けたわけです。中国も住宅バブルでどんどん金持ちとそうでない人の格差が大きく広がってきた。そこで、習近平は「共同富裕」、みんなで豊かになりましょうという方針を掲げ、マンションバブルに乗じている人だけが金持ちになるのはダメだよという方針を打ち出し「金融機関に不動産を買う時にそんなに金貸すな」と指導したわけなんですね。

ーー確かに日本と同じ構造ですね。


池上彰が「危ない中国」をズバリ解説(2)失業率20%超!大学卒業しても働き口なし…増える「専業子供」


池上 中国経済は非常に深刻な状態になっています。とりわけ、若い人は4人に1人が大学を出て、4人に1人は就職できない。失業率がもう20%を超えています。あまりに失業率が高いので数字を発表しなくなったほどです。

ーーそれはヒドい。今後、習近平体制への批判は高まるのでしょうか?

池上 いえいえ。批判すると捕まりますから。もちろん不満は持っています。中国は経済発展する中で、大学をたくさん作りました。その結果、大学卒業生が大量に生まれたのに、その学歴に見合う様々な産業が育っていません。結果的に大学を卒業しても望む就職ができないわけです。高卒で就職するのと同じようなところにしか行けない。今、中国の流行語が「専業子供」。就職せずちょっとバイトだけして親の家に居候する若者が増えているのです。

ーー「大学は出たけれど」という邦画がありましたが、中国人は銀座でブランド品を爆買いしているのばかりだと思っていました。

池上 確かに富裕層は日本に来てマンションなどを買い漁っています。でも、本当の金持ちはヨーロッパやアメリカに行っています。だから、洗練されてる金持ちの中国人は欧米に行くわけで、やっと生まれて初めて海外旅行に行くよう人たちが手近な日本に来たりするので、マナーが悪いわけですよ。ほら、1970年代に、日本の農家の人たちが土地を売って金が入って、生まれて初めての海外旅行でヨーロッパに行って、ステテコ姿でホテルの中を歩き回ったりしてたことがありましたよね。あれと同じ状況です。

ーー確かに。中国の日本人化なんですね。

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第六策『インドへの策謀』




 インドが中国と違うのは世界最大の民主主義国家であるということである。

 世界は二大勢力の対立の場にいつもなるが、インドは第三の道を進み、もうひとつの道が世界にはまだあることを示している。

 インドはヒンズー教だけではない。

 仏教もイスラム教もシーク教もジャイナ教もある宗教大国だ。

 今やIT先進国として世界をリードするのがインドである。



  人口世界一に遂に「インドがとまらない」


 人口が14億人を超え、インドは2023年初期に中国を抜いて世界一の人口となった。最近では「グローバルサウス」の盟主のような立場で、さらに世界的に注目されている。

 GDPでは、かつての宗主国イギリスを抜いて世界5位に躍進しましたが、今のままでいくと、2027年には日本を抜いて、さらにドイツを抜いて3位になるかも知れない。

 インドの勢いは止まりません。

 インドは「世界最大の民主主義国家」と自賛しますが、ロシアによるウクライナ戦争では経済制裁に従わず、ロシアの足元を見て、ロシアから天然資源を安く買い占めています。

 ロシアを批判もしていません。これで民主主義国家といえるのでしょうか?

 また、インドは数多くの優秀な人材を世界に輩出しています。

 例えば、現在(2024年後半)では7月5日のイギリス総選挙で野党・労働党が大勝利して、新首相にキア・スターマー氏が選ばれた。十数年ぶりの労働党の大勝利の政権交代であるが、これは完全な敵失―――元首相のトラス氏も落選するほどの与党・保守党の大敗北であった。労働党は数年前にスターマー党首になって、前任者が社会主義的な政策ばかりのひとで「これでは政権交代が出来ない」と、危機感をもってスターマー党首が現実路線を打ち出していた。そして、保守党のここ数年のあまりにも酷い政権運営で、有権者が激怒した。こうして、政権交代が敵失により実現したのである。スターマー首相の前の、前首相(2023年~2024年時)のイギリスの首相はインド系のリシ・スナク氏で、妻のアクシャタはインド第二のIT企業インフォシス創業者ナラヤナ・ムルティの娘で、夫婦の総資産は英国王室の財産を軽く超えたそうです。

 アメリカの副大統領(当時)のカマラ・ハリス氏もインド系です。

 IT業界でも、マイクロソフトCEOのサトヤ・ナデラ、グーグルのサンダー・ピチャイ、IBMのアルビンド・クリシュナ、YouTubeのCEOのニール・モハンなど。

 Twitterの元・CEOもインド系で、イーロン・マスクが買収して解任された。

 スターバックスのCEOや、シャネルのリーナ・ナーイルなどもインド系で枚挙にいとまがありません。人口が多ければそれだけ人材が輩出されるといえばその通りなんですが。

 だが、インドには理想的な教育システムが国中にある訳でもないのに、何故、これほどの人材が輩出できるのか?

 まずは、インドの国柄にその秘密があります。

 何といっても強みなのは英語が話せるということ。インドは元・英国の植民地ですので、ヒンズー語とともに英語が公用語です。流暢というのではないですが英語ペラペラな訳だ。

 それに、インドでは数学を一生懸命に教えていることもあります。

 また、そのインドの世界での位置づけ、ですね。

 インドはちょうどアメリカやイギリスの地球の裏側です。つまり時差ですね。

 例えば、ビジネスでアメリカで仕事をして、帰宅時間にインドの会社にプログラムを注文する。アメリカの帰宅時間はインドの早朝ですから、後はインドで仕事をして、インドの帰宅時にアメリカの会社に送信すれば、米国の早朝で注文が届いている――――という理想的な仕事が出来る。

 だから、インドには世界的なコールセンターまであるのです。

 さらにいえば、インドにはカースト制度があります。

 いまだに根強く階層の身分が存在します。

 最下層の人たちはどこにいっても最下層―――――――

 そこで、ITな訳です。

 インドでなくてもIT技術者であれば、米国でインドの給料の数十倍で稼ぐこともできる。

 それこそアメリカンドリームというより、インドドリームな訳です。

 2000年問題というのもコンピュータであったと思うんですが、00で、2000年ではなく1900年にパソコンが誤作動するのではないか――――という。

 その時も、ほとんどの対応はインド人IT技術者が対応したんですね。

 困ったときはインド人、という訳だ。

 ちなみにカースト制度ですが、一応、説明しますとピラミッド状態の上から「バラモン(司祭・僧侶)」、「クシャトリヤ(王族・貴族)」、「ヴァイシャ(商人・市民)」、「シュードラ(被差別民)」、「「指定カースト」(不可触賤民)」となります。

 これに対し「ジャーティ」は「家柄」による職業の世襲です。

 大工の子は大工、靴職人の子は靴職人……とか約三千種類あるのだとか。

 ちなみに、インド人が頭にターバンを巻いている、というイメージは、あれはインド人でもシーク教徒です。インドが植民地の時代に、英国人がインド人の召使を遣うときに、ヒンズー教徒でもイスラム教徒でもなく、シーク教徒を連れて世界各地に行ったのでそういうイメージがついたのだそうです。

 インドがイギリスから独立したのが1947年です。

 その独立の時に、イスラム教徒が多かったパキスタンは分離し、別の国・パキスタンとして独立して、インドと紛争になりました。

 戦争もやっているのです。

 インド独立の父といえば、皆さんご存じマハトマ・ガンジー(1869~1948)さん抜きには語れません。

「マハトマ」とは「偉大なる魂」という意味。

 ガンジーの『非暴力主義』、学校で習ったと思いますが。

 インドのグジャラート州で生まれ、宗主国イギリスのロンドン大学(ちなみに伊藤博文や井上毅(こわし)や森有礼(ありのり)や夏目漱石もこの大学で学んだ)に学び、イギリス紳士として南アフリカで弁護士になった。

 だが、そこで人種差別にあって、ガンジーさんはインド人としてのアイデンティティを強くして帰国。その後、インド独立のために邁進するようになる。

 イギリス製品の不買運動やインド人に独立精神を説いて回る。だが、邪魔に思った英国により何度か投獄までされるのです。

 釈放されたガンジーさんは武装蜂起……などではなく『非暴力主義』で、独立を目指した。

 簡単に『非暴力主義』といってもそれを行動するのは大変です。銃を持った英国兵士の前に非武装で向かうのです。当然、それらのインド人は撃たれたり殴られたりして死んでいく。

 それでもガンジーは『非暴力主義』を訴え続けます。

 第二次世界大戦をはさんで、1947年にインドは悲願の独立を果たしましたが、翌年、1948年にガンジーさんは暴徒に銃で撃たれて暗殺されました。享年78歳。

 また、インドとパキスタンの国境に、カシミール地方というのがあり、世界地図では真っ白だと思いますが、これは「どちらの領土でもない」という国境が確定していないことを示しています。

 カシミアというとセーターですが、ここでのカシミア山羊の毛での製品だからカシミアと呼ばれている。

 この地帯では両国との紛争で、戦争があって、死者も出ていたりします(今まで三回戦争になり、そのたびにインドが勝利している)。

 インドは中国とも戦争(『中印戦争』1962年)をしましたので、インドと中国の間はほんとうに仲が悪い。

 ガンジーとともに独立運動をしていたジャワハルラール・ネールは、「非同盟主義」を唱え初代インド首相になりました。

 戦後すぐの日本で、当時の子供たちが「象が見たい」と思ったときにその日本の動物園に象を送ってくれたのがネールさんで、象に娘の名前「インディラ」を名付けました。

 象の名前となった娘のインディラ・ガンディー(独立運動をしたガンディー(ガンジー)とは無関係)は第5代と第8代の首相となり、孫息子のラジーヴ・ガンディーは第9代首相となった。こうしたことから、ネール一族は「ネール・ガンディー王朝」と揶揄されることもあるそうなんだとか。

 インドの東西にそれぞれイスラム教の地帯があり、東パキスタンと西パキスタンと呼ばれていました。が、領土は分かれていましたが一つの国として独立しました。1971年に独立戦争の末、東パキスタンが民族の違いから独立してバングラデシュという国が誕生しました。「ベンガル人の国」という意味だそうだ。

 アメリカ、オーストラリア、日本、インドの四か国で「QUAD(クアッド)」を結成し、中国包囲網として戦略を示した。これは「日米豪印戦略対話」と呼ばれているもので、インド太平洋の平和のために協力していこうという多国間の取り組みである。

 日米は経済でもインドを取り組みたい。

 だが、日本は中国ともビジネスはやぶさかではない。

 日本の貿易相手国は、確かに一位はアメリカであるが、二位は中国だ。

 日本とアメリカの関係はせいぜい百七十年ほどでしかないが、日本と中国の関係は二千年。もとより年期が違う。中国は大事にしなければならないから、日本としては笑顔で握手はしないが、挨拶はする、という関係性が理想だ。

 中国では経済発展での公害や環境汚染が深刻だから、先に問題を解決してきた日本人はアドバイスができる。そうやって関係を親密にしていくのだ。米国との経済摩擦(本当は経済戦争)の経験からのアドバイスも、日本は中国にできる。

アメリカは中国と仲が悪い。インドは(ダライ・ラマ14世の亡命を受け入れたことや過去の戦争でのこともあり)中国とは仲が悪い。敵の敵は味方、という戦法である。

 インドはTPP(環太平洋経済連携協定)にもRCEP(地域的な包括的経済連携協定)にも加盟していないが、バイデン大統領(当時)が打ち出したIPEF(インド太平洋経済枠組み)という枠組みには加盟した。これにより、IPEFは発足し、13カ国(現在は14か国)でスタートした。

 「枠組み」というと抽象的ですが、協定のような縛りがなく、関税を引き下げなくてもいいという自由な枠組みということ。

 「インド太平洋」つまり、中国包囲網。そこまでしてでもインドを取り込みたいということなのです。




 第七策『中東への策謀』



    中東情勢『世界情勢2024』~中東のすべてを括目せよ!~中東の歴史

 ここで少し、中東の歴史について触れてみたい。

 中東といえば反ユダヤ。ユダヤvsパレスチナ・アラブ人…という構図が誰でも思いつく。 そこで、ユダヤ人国家・イスラエルとパレスチナ・アラブ人、中東の歴史について触れてみたい。

 ヨム・キップル(しょく罪の日・9月下旬から10月上旬にかけて)から始まる一連のユダヤ教の祭。その期間中はお祭りの真っ最中であり、10月8日は、ユダヤの祭『スーコット』である。スーコットの日は、家族の元にユダヤ人兵士のほとんどは戻り、警備は手薄になる。治安警察に残るのはベドウィンや、ドゥルーズ教徒たちが大半だという。

 その頃、パレスチナ人たちによるインティファーダ(民衆蜂起)が多く起こる。大勢がデモで奇声をあげ、ユダヤ人たちに大きな石を山ほど投石する。そして、ユダヤ人を殺そうとする。ユダヤ人兵士も催涙弾や警棒で応戦する……。という、いつもの光景である。

 テンプル・マウントという聖地の生い立ちを知らなければデモの狙いを理解できない。

 ユダヤ人によるダビデ王国建設は、紀元前10世紀にさかのぼる。ダビデ王国の領土はヨルダン側両岸にわたったが、その歴史は古代アッシリア、バビロニア、ペルシャ、さらにはローマと、絶えず他国の侵略を受ける苦難の連続であった。

 ローマ軍に侵攻されて紀元70年、ソロモンの宮殿を死守すべく、エルサレムに追い詰められたユダヤ兵士はそこで戦闘を展開した。

 やがて神殿は炎上。王宮も占領されてダビデ王国は消滅した。以来、かつてダビデ王国のあったその土地にイスラエル国家を建設するまで、2000年にわたってユダヤの民は流浪を続けることになった。

 テンプル・マウントは、かつてソロモンが建立し紀元前6世紀にバビロニア人によって崩壊させられた第一宮殿、およびローマ人によって破壊された第二宮殿のあった場所だ。 わずか一枚遺された第二宮殿のただひとつの遺構で文字通り、「嘆きの壁」であるという。ユダヤ人たちはこの壁に頭をうちつけ、敬けんな祈りを捧げてきた。

 ユダヤ教の聖典である「トーラ」(律法書)には、「この地に第三宮殿をつくることがユダヤ教徒の任務である」……と記されてもいる。が、壁の向こうへ足を踏み入れることはユダヤ人は絶対にしない。

 壁の向こうには、イスラム教の開祖モハメッドが昇天した地といわれる聖所ハラム・アッシャリフがあり、岩のドームとアール・アクサ・モスクが立っているから。

イスラム教徒たちがローマ帝国からエルサレムを奪いとったのは637年のことだ。

 しかし、ユダヤ教原理主義者からみれば、つい昨日、イスラム教徒たちがモスクを建立したのでしかない。しかし、そこに足を踏み入れればイスラムの聖地を汚したことになる。それで、ユダヤ人達や異教徒は絶対に岩のドームにはいかないのだ。

 これまで宗教戦争をイスラエルもアラブもしていない。イスラエルの「宗教を政治にもちこまない」という政策のため、ビンラディンのようなテロリストが「ジハード(イスラム教徒による聖戦)!」をいくら叫ぼうと宗教戦争にはならない。(イスラム過激派たちはデモや自爆テロなどをやるだろうが…)

 もし、イスラエルが宗教を持ち出せば、対立は泥沼化するだけだ。だから、考古学者たちが「テンプル・マウントの丘を掘りたい…」といってきてもイスラエル政府は断固として拒否してきた。しかし、ユダヤ教原理主義者たちが組織する「神殿の丘忠誠団」はそこでデモをするという。それをアラブ過激派は利用しようとしている。

 ユダヤ対アラブの対立の絶えない和平は、もはや地に沈んでしまった。そして、ビンラディンやISによるテロその後のイスラエルVS.ハマスのガザでの紛争…。悲惨な時代だ。ビンラディンは殺害して、ISもほとんど殺したが、トランプ米国大統領(当時)が「エルサレムに米国大使館をおく」と馬鹿なことを決断したため中東和平はもうめちゃくちゃだ。さらに内戦中のシリアも泥沼化、トランプ大統領は米軍をシリアから撤退させるという。本当に撤退したらどうしようもなくなりますね。


 そして、ふたたび中東の歴史に触れよう。

 まず、スエズ動乱の主役・ナセルからその後についての歴史…。

 サダム・フセインの野望はハッキリしていた。彼はかつてのエジプトの伝説的英雄、ガマル・アブデル・ナセル以来、ずっと空席となっていたアラブの盟主の座を狙ったのであった。オサマ・ビンラディンもまた〝アラブの盟主〟に憧れていたという。

 かつてナセルは盟主の座を維持するため、自分と肩を並べようと台頭してくるアラブの指導者たちを次々と暗殺していった。また、殺すことはできなかったが、サウジのサウド国王やイラクのカセム、ヨルダンのフセインさえも狙っていたという。

 ナセルの死後、後をついだサダトこそ、真にアラブの盟主たる資質に有する大政治家であったが、リビアのカダフィとビンラディンの操るイスラム原理主義者(エジプトの「ジハード団」)によって暗殺されてしまう。

(アンクル・エル・サダト。1970年、ナセルの死に伴って大統領に選出されたエジプトの第二代大統領。73年10月の第四次中東戦争でアラブの英雄となる。1977年11月、電撃的なエルサレム訪問後、アメリカ大統領ジミー・カーターの仲介のもとで、イスラエル首相ベギンとの間で単独の平和条約(エジプト・イスラエル中東平和条約)を結び、78年のノーベル平和賞を受賞。だが、81年10月6日、これに反対するイスラム原理主義者の手により暗殺された)

 リビアのカダフィはナセルの後釜を狙っていた。しかし、いかんせんリビアは小国であり彼に政治力も軍事力もない。カダフィは野望を達成できなかった。

 そこで名乗りをあげたのがサダム・フセインであったのだ。

 そして、ビンラディンも2011年5月銃殺された。カダフィ大佐も核放棄後、内戦で殺害された。いわゆる「アラブの春」での内戦で抹殺された。


 サダム・フセインがクウェートに侵攻したときも、オサマ・ビンラディンがNYのビルに旅客機を突っ込ませたときも、アラブの民衆は狂喜乱舞した。

「アメリカに死を!」

 と、町中で歓迎ムードであった。

 こうしたメンタリティを知るには、何世紀にも渡って異民族に支配されてきたアラブの歴史を知らなければならない。

 六三二年の建国のサラセン帝国は、イスラム教徒のアラブ人によって建国された。とくにムハンマド(マホメット)の死後続いたカリフ(ムハンマドの代理者。後継者の意)制の時代をいい、正統カリフ時代…ウマイヤ朝…アッバース朝と続く。サラセンとは、ローマ人、ギリシヤ人がアラブ人を指した名で、中世以降はイスラム教徒の総称となった。 が、一二九九年から第一次大戦終結後の一九二二年までの六〇〇年以上にもわたって、アラブ人は中央アジアからやってきた異民族トルコ人に制圧されてオスマン・トルコ帝国の支配に甘んじた。

 第一次大戦後、オスマン・トルコ帝国にとって代わり、アラブを支配したのは欧米列強。今後、アラブの何者かがアラブ統一を成就できれば、サラセン帝国以来、実に七〇〇年ぶりの悲願達成となる。

 サダム・フセインが、自らをアラブの盟主としてアピールするため、七〇〇年もさかのぼってアラブの伝説的英雄サラディンを引っ張りだしたのにはそういう理由であった。長い異民族支配のよるアラブのコンプレックスを利用しようとした訳だ。

ISやシリアのアサド大統領もハマスも同じようなことを言っていた。

 アラブにとって、アメリカもユダヤ人国家イスラエルも〝異民族〟であり、〝敵〟である。だから、その国家の抹殺のためなら、アラブは積年の恨みを全身にかき集めて一丸となって理屈抜きで戦う。たとえ昨日まで敵同士であってもだ。

 アラブにとって、アメリカもユダヤ人国家イスラエルもサラディンが打ち負かした十字軍の再来であり、七〇〇年近くにわたって屈辱をなめさせられてきた異民族支配のシンボルである。オイル・メジャーに蹂躙された屈辱を晴らすため、栄光を取り戻すため、アラブはそれらの国を破壊することに執念を燃やす。

 03年の「イラク戦争」でハグダッド陥落のとき、イラク人たちは喜んだが、アメリカを歓迎した訳ではない。ただ、独裁体制崩壊を喜んだだけだ。そして、テロ続発……

 オサマ・ビンラディンが、アラブ国民に「十字軍気取りのアメリカなどにジハード(聖戦)せよ!」と、アルジャジーラTV(中東のCNN)で訴えた理由もここにある。


 

  ふたたび、中東の歴史について述べたい。


 現在、世界の原油確認埋蔵量は、一兆バレル。七十パーセントが中東に集中している。なかでも湾岸五ケ国に集中し、サウジは世界の二十六パーセント、イラクや、UAE(アラブ首長国連邦)、クウェート、イランはそれぞれ十パーセントほど埋蔵量がある。

 湾岸では、少し砂漠をボーリングするだけで、アッラーの恵みの石油が勢いよく噴き出す。世界の七十パーセントの石油は、まちがいなく我々先進国にとって生命線である。

 いまの流行りのEVシフト、脱炭素化とはいえ、すぐに石油がいらなくなる訳でもない。

近代文明は間違いなく中東の石油に握られている。しかし、シェイルオイル燃料で束縛から逃がれよ(だが、OPECは米国などのシェイルオイルより石油価格を下げて戦略でシェイルオイル業界をつぶした)。太陽光発電だの風力発電だのまだまだこれからの発電であり、原子力発電所も危ないと皆思っている。これまでも、中東の石油を握った者が世界の覇者であった。石油メジャーや欧米列強に蹂躙されたアラブの悲劇がここにある。

 1990年、イラクのサダム・フセインがクウェートに侵攻し占領した際、「クウェートは歴史的にもイラクの一部である。それを取り戻したまでだ」と宣言した。

 この主張を理解するためには、歴史を知らなければならない。

 現在のクウェートの歴史は250年前にさかのぼる。18世紀なかばにクウェートで貿易、漁業、造船、真珠採取を営んでいたバニ・ウトバ族は有力者会議を開いた結果、サバハ家の家長サババを首長に選んだという。クウェートとは、アラビア語で小さい城の意味である。

 19世紀に入るとクウェートはオスマン・トルコ帝国の支配化におかれるが、その後1888年にイギリスの保護下に入った。この当時、まだ石油は出てなかったが、英国にとってペルシャ湾の奥地を占めるクウェートは戦略的価値があった。

 翌年1889年2月、第七代首長のムバラクが英国と独占条約を結び、シークダム(土候国)の安全をイギリスに委ねた。その後、クウェートの石油が発見され、1938年から石油によって豊かな国となった。(本格的な採掘は第二次世界大戦後)

 クウェートは1961年、英国の統治から正式に独立する。そのとき、イラクのカセム首相は「クウェートはオスマン・トルコ帝国の支配地であったのだから、オスマン・トルコのバスラ州に属していたクウェートはイラクに帰属すべぎだ」とイチャモンをつけた。

 だが、イラクという国が1920年に地図の上に登場するまでは、そこはメソポタミアと呼ばれていた境界のあいまいな地域であった。しかし、そのころからクウェートはすでにシークダム(土候国)として国の体をなしていたのだ。

 イラクが正式国家となって独立するのは1932年の第一次世界大戦後である。

 第一次世界大戦後、オスマン・トルコ帝国崩壊のあとに、アラビアのロレンスとともにダマスカスに入ったハシム家の三男ファイサル(二男はヨルダンの支配者となったアブドラ)が、シリアを追い出されて与えられたのがイラクだった。その歴史でみれば、フセイン(サダム・フセイン。イラク戦争で捕らえられ処刑)のいった「クウェートはイラクの領土」という主張は通らないのである。

 そもそもイラクの国境というよりアラブ全体がそうだが、そのほとんどが歴史や地理とは無関係にきめられたものだ。250年前からペルシャ(現イラン)とオスマン・トルコ帝国との国境だったイランとの国境を除き、国境はすべて列強により人為的、ご都合的に作られた。

 南のクウェートやサウジアラビアとの国境、西のヨルダンやシリアとの国境も勝手にイギリスとフランスが砂の上に真っ直ぐ線を引いて決めたものだった。

 トルコとの国境も、人為的という点ではかわりない。

 なぜ列強は中東に執着したのか?

 二つの理由があった。

 まず、戦略的重要性。中東にプレゼンスを確率できればロシア、ペルシャ、アジア、アフリカへのアクセスが得られる。イギリスやカイゼルのドイツがオスマン・トルコ帝国に対して、鉄道建設や企業設立をもってアプローチした理由はここにあるという。

 しかし、19世紀から20世紀初頭にかけて、重要性は増す。

 いうまでもなく石油である。

 第一次世界大戦のとき、戦略物資として石油の重要性は確認された(それまでは石炭を使っていた)。

 こうした理由で、列強は中東の土地の分捕り合戦を、国際会議の名のもとくりひろげてきた。たとえば〝サイクス・ピコ協定〟。これは当時のイギリス外務大臣マーク・サイクスとフランスの外相ジョルジュ・ピコとの間で秘密裏に交わされた協定で、戦後はフランスがシリア、レバノンを統治下に置き、イギリスがメソポタミア(現イラク)とパレスチナを統治下に置くというものだった。

 第一次世界大戦のとき、イギリスは戦況を有利にするためアラブ人の協力を必要としていた。ドイツと組むオスマン・トルコ帝国を撃破しなければならなかったからだ。

 そのためイギリスは、イスラムの聖地メッカを治めていたハシム家のフセインに協力を求める。協力の見返りとしてイギリスは、戦後アラビア半島と東アラブ全域にわたって”アラブ王国”を建設させることを約束した。

 フセインはこれを信じ、兵を率いてオスマン・トルコにたいして反乱をおこす。

 このフセインにつかえたのが英国情報部の軍事顧問、T・E・ロレンス…つまり、アラビアのロレンスであった。(トーマス・エドワード・ロレンス。イギリスの考古学者というカバーでアラブに入った英国情報部員。1916年からアラブ独立運動のゲリラ戦を指導した)

 が、戦後のサン・レモ会議でイギリスは自国の勢力圏に入った南アラブを分割した。

フセインに対する約束を反古にしてしまう。これにより生まれたのがヨルダンとイラクだった。ここでもまたアラブは裏切られたのである。

 そして、悪名高き〝赤線協定〟…。

 イギリス、フランス、アメリカ各政府およびロイヤル・ダッチ・シェルなどの石油会社で1928年に結ばれたその協定は、旧オスマン・トルコ帝国の石油開発についての同意をうたってものだった。

 出席者のエゴむき出しの会議となり、協定は決裂しそうになった。しかし、ある男の執念により協定は実る。

 男の名は、カルーステ・サルキス・ガルベンキヤン。一匹狼のアルメニア人のプロモータ兼ネゴシェーター兼ブローカー。彼が執念を燃やしたのは、協定が成れば今後、この地域の石油の5パーセントもの権益が得られるようになっていたからだという。

 だが、出席者の誰も旧オスマン・トルコ帝国の境界線がわからなかった。なにせ、600年ものあいだアフリカやペルシャ、インドあたりまで拡張につぐ拡張をしてきた巨大帝国なのである。

 あわや会議が決裂かにみえたとき、ガルベンキヤンが出席者全員の前に中東の地図を広げ、持っていた赤鉛筆で一気に線を引いた。そして、悠然と自信満々な顔でこういった。

「これが1912年当時、私の知っていたオスマン・トルコ帝国だ。私にはちゃんとわかっている。なぜなら、私はここで生まれ、育ち、ここの政府に仕えてきたのだから」

 あまりに自信満々な態度に、誰も文句はいえなかった。

 こうして〝赤線協定〟は成立してしまう。ガルベンキヤンはおかげで途方もないほどの富を得、以来〝ミスター・ファイブ・パーセント(ミスター5%)〟と呼ばれることになったという。

 このときもアラブ側には何の相談もなかった。

「帝国主義者によって勝手に引かれた国境線を正しく引き直す!」

 湾岸戦争のおり、アラブ民衆がサダム・フセインを支持した理由はここにある。


 米国がサウジに軍(女性兵士やユダヤ系兵士が大勢いた。アラブにとってはタブー)を駐屯させたとき、サダムやビンラディンは激怒した。アラブのタブーを犯したことで、民族主義とイスラム原理主義が一致してしまったのだ。

 ところで、サダム・フセインが口にした「アラブの大儀」やビンラディンやISやアサド大統領の「ジハード」とは何なのか?なにしろカダフイがアラブの盟主を狙ってきたかと思うと、今度はフセイン、そしてビンラディン、アサド、ハマス…と野望を抱く。彼らは強硬なスローガンを叫びつづけるうちにそれに酔ってしまい本当にそう信じ込む。そして、自分は神のような存在と思いこみ、民衆を地獄の底へと道ずれにしてしまう。それでも彼らが自分たちだけで争っているうちはいい。危険なのは彼らのメンタリティに西側ハイテク兵器がくわわったときだ。

 馬鹿になんとか……というが、これほど怖いものはない。

 こうしたメンタリティの中で、指導者はサラディン願望をもち、そのレトリックのひとつがサダムが口にした「アラブの大儀」やビンラディンやハマスの「ジハード」となる。

 サダムが死んでも、ビンラディンが死んでも、第二、第三のサダムやビンラディンがでてくるだけだ。まるでモグラ叩きのように……。IS(イスラム国・イスラミックステート)やタリバンやアルカイダやハマスみたいなのが…。



         アラブの歴史~part2




 ここからはユダヤ、PLO関連の歴史について触れていきたい。

 イスラエルのユダヤ人兵士たちは、休日でも肩にM16かウッズィ機関銃を携帯している。また一般市民も懐に銃を忍ばせている。だが、それは法律で定められた彼らの義務だ。

彼ら彼女らは、一大事がおこればすぐに基地に駆けつけなければならない。

 また、イスラエルには核シェルターや猛毒ガス用のシェルターがいたるところにある。これも、耐えず戦争ととなりあわせのイスラエルの現実である。

 なぜこれほどまでに、イスラエルのユダヤ人たちは国家防衛につとめ、必死になるのか?それを知るためには歴史を知らなければならない。

 エルサレムにヤッド・ヴァーシムと呼ばれる建物がある。ナチス・ドイツのヒットラーたちによって虐殺されたユダヤ人たちの追悼のための記念館である。

 ホロコーストによって殺されたユダヤ人たちのため、アメリカに住むユダヤ人実業家の寄付によって建てられた記念館には、惨たらしい写真や遺品が並ぶという。

 ……日本の広島長崎原爆追悼記念館みたいなものだ。

 ユダヤ人は家族を大切にする。

 当然だ。なにせ2000年におよぶ流浪の民なのだ。頼れるのは家族と金だけだ。……シェークスピアの『ベニスの商人』などで、主人公のシャイロックというユダヤ人の主人公は金に汚い人物として描かれている。当時のユダヤ人観だ。

 だが、国をもたない彼等にとって頼れるのは家族と金だけだ。それが現実ってもんだろう。国をもたない以上、金や宝石にたよらなければならないのだ。何かあれば、それをもって逃げる。お札は論外。紙クズにかわる恐れがある。金は重くて持ち運べない。なら、宝石だ。何万ドル、何百万ドルの宝石が何個かあれば、それで命が助かる。

 いくら高価な宝石をもっていても、死んでしまったら何の意味もない。だから、ナチスから匿ってもらうために宝石を何個も使ったというユダヤ人もいっぱいいる。宝石がなければアウシュビィッツ行き……。宝石で命が助かるなら悪くない。

 ともあれナチス・ドイツの迫害と世界的差別を物語るエピソードがある。それは、セントルイス号がたどった”絶望の航海”だという。

 一隻のドイツ客船が1939年5月13日、ハンブルクを出港した。乗客は九百七十三人のユダヤ人たち。二度とドイツに戻らないという約束で出港したのだ。

 やがて、かねてから約束していたキューバへ船が着く。しかし、キューバ側は入国を拒否した。仕方なく船はアメリカへ向かう。しかし、当時のルーズベルト大統領は「船が港に近付いたら砲撃する」と、入国を拒否。どこにいっても拒否され続けた。(これはナチスの画策で、どの国も受け入れないユダヤ人を虐殺してもいいというOKサインがほしかったからである)

 結局、船はハンブルグへと帰港する。彼等にまっていたのはアウシュビィッツやダッハウなどの収容所であり、最終的にはガス室であった。今先進国と呼ばれている国は、ユダヤ人が国をもたないという理由で、ナチスの虐殺を黙認したのだ。

 だから、1947年11月の国連決議で、わずか一万マイルの不毛なパレスチナの地を提示されると、ユダヤ人たちはすぐに受け入れた。いや、しがみついたのだ。

 パレスチナには、ユダヤ教の四大聖地があるという。ガレリア湖のほとりにあるタイベリアス、今はアラブの町になっているヘブロン、そして、サーファエット。もうひとつがエルサレムである。旧約聖書のシオンの丘は、エルサレムにある。

 彼等がパレスチナに祖国を建設してから、おびただしい血が流れたという。

 彼らの頭の中には、自分たちを守れるのは自分たちの祖国しかないという観念がある。「ホロコースト・コンプレックス」である。


 彼らは長い歴史を通して常に厳しい現実に直面してきた。

 六百万人の同胞が殺されたホロコーストであり、イスラエル国家を抹殺しようという敵に囲まれていることであり、建国後、戦った五つの戦争であるという。

 負ければ、イスラエルという国家は地図上から消え、またユダヤ人は流浪しなければならなくなる。そういう戦争を建国以来、五度戦い、五度勝った。数千年も流浪を続けた彼らの「もう国を失いたくない」という激しい決意の結果であった。

 その気持ちは、もうひとつのコンプレックス「マサダ・コンプレックス」に裏打ちされる。ローマ軍に侵攻されたエルサレムに追い詰められたユダヤ兵は、ソロモンの神殿を死守すべく2000年前、紀元70年、ローマ軍を相手に1ケ月にわたる死闘を展開した。しかし、その年の8月29日、神殿は炎上。王宮も占領され、ダビデ王国は消滅…。

 だが、戦いは終わらなかった。ユダヤ軍の残党は家族とともに死海沿岸に築いたマサダの砦に立て籠もり、三年にわたってこの要塞で最後の抵抗をこころみた。ついに弓矢尽きたとき、自らの髪を切り、それで弓をしつらえた……と史書にはあるという。

 そして、兵糧が尽きた日、クジ引きによって十人が選ばれた。彼らに与えられた任務は、降伏を拒絶して自らの死を選んだ仲間たちの首をはねることだった。生き残った十人は首をはねおわった後、再びクジを引いてひとりを選んだ。このひとりは、九人の首をはねたあと、自ら自決して果てたという。

 ローマ軍が入城してみると、女子供をふくめ九百六十人の死体があったという。かくして、マサダの砦の壮絶な戦闘と自決を胸に刻み付け、ユダヤの民は世界を流浪することとなる。

(紀元前数世紀に、ユダヤ人はローマから予言者モーゼとともに約束の地カナン(エルサレム)に逃げた。その際、モーゼが海をまっぷたつにさいて逃げ道をつくった…という有名な神話がある。モーゼは十戒を示した。「神はひとつである、偶像を崇拝してはならない、神の名はみだりにつかってはならない、安息日を守れ、父母を敬愛せよ、ひとを殺してはならない、姦淫するな、盗むな、偽証するな、貪欲になるな」…ユダヤ教の誕生である。そして、数千年後、ローマに占領される。そこでユダヤ人の中からひとりの男が現れる。イエス・キリストである。しかしユダヤ人にとって「神はすべてに平等で、民はすべて平等」という宣教は〝反ユダヤ主義〟と映る。そこでローマ軍に密告し、キリストを殺させる。以来、ユダヤ人は流浪をつづけ「キリストを殺した民」として迫害を受けることになる。

 ユダヤ人は、キリスト教国のヨーロッパで迫害を受け続けた。職業の自由さえあたえられず、ゲットー(ユダヤ人移住区)に隔離され、なれるのは「金貸し」だけだった。

 しかし、ユタヤ人たちは次第に財産を設けて、発言力を強めていく。

 そして、1789年のフランス革命によって、ユダヤ人差別やゲットーや職業の自由が保証され、ユダヤ人たちは頭角を現す。…詩人ハイネ、作家プルースト、経済学マルクス、精神医学フロイト、音楽家メンデルスゾーンとビゼー…。)


 そのユダヤの流浪の歴史は、迫害と差別に苦しめられた歴史だった。

 ユダヤ人たちに対する迫害がとりわけ過酷だったのは、ロシア、フランス、東欧だった。そのなかから、祖国の回帰が叫ばれはじめる。「シオンへ帰れ」………シオニズムである。当時は、「シオンに導いてくれるのはメシア(救世主)だ」と流浪するユダヤ人たちは考えていた。シオニストはその役目を神から、ユダヤ人の肩にのせたのだ。(シオンとは聖地シオンの丘のことで、その地域に国を創ることをさす。ちなみにエルサレムとはイエル・シャラーム……「平和」という意味である)

 1903年、当時超大国だった大英帝国は、世界シオニスト組織に対して、最初にシベリアはどうか?と話をふった。もちろん、そんなところに国家をつくるためのシオニズムではない。次にアフリカのウガンダはどうか?とオファーされた。もちろんこれも拒否。 この頃から、バルファ宣言にもとづきユダヤ人たちのパレスチナ移住が始まる。

 ユダヤ難民の多くは「自由の国アメリカ」へ向かった。その数300万人。(現在、ユダヤ人はアメリカに580万人、イスラエルに420万人、全世界には1400万人いるという)アメリカに渡ったユダヤ人たちはそこで出世していく。銀行家ジャコブ・シフ、先物取引考案者で銀行王レオン・メラメド、通販会社シアーズ創始者ジュリアス・ローゼンウォルド、ジーンズの生みの親リーブァイ・ストラウス、新聞王ジョセフ・ピューリッツア、CBS創始者ウィリアム・ベイリー、NBC創始者デビッド・サーノフ、パラマウントのアドルフ・ズッカー、MGMのルイス・メイヤー、20世紀FOXのウィリアム・フォックス……。また、世界的映画監督のスピルバーグ。ジョージ・ルーカス。


 やがて、第二次世界大戦が始まり、ナチスが迫害や殺戮を始めると、英国はユダヤ人のパレスチナ移住を5年間、一万五千人に定める。これはユダヤ人にとって到底飲める話しではなかった。なぜなら、ナチスの手から逃れるユダヤ人を見殺しにするようなものだからだ。そして、1948年5月14日、パレスチナの英国統治が終り、事実上、ユダヤ人国家イスラエルが国連決議62号にそって建国された。


 国連決議を拒否したアラブ諸国は、イスラエルの建国の翌日、一丸となってパレスチナ・アラブをバックアップし、イスラエルに挑みかかった。これがイスラエル独立戦争であり、第一次中東戦争だった。

 エジプト、シリア、トランス・ヨルダン(現ヨルダン)、サウジアラビア、イラク、レバノンの軍隊がイスラエルに侵攻。目的はイスラエル国家の全面崩壊のただひとつ。しかし、武器とマンパワーを誇ったアラブは勝つことは出来なかった。

 1948年に勃発した第一次中等戦争は、1949年に終結。イスラエルは七千人もの犠牲を強いられた。当時のイスラエルの人口からみれば、アメリカ軍の三十万人に匹敵するものだという。この戦争で、エジプトはガザ地区、ヨルダンはウエスト・バンクを占領した。

(ちなみに、イスラエルの情報機関の存在は戦争勝利の要点として大きいので簡単に説明したい。イスラエルが独立したとき、イスラエルの情報機関は五つあった。まずシャイ。これはハガナ(パレスチナ移住のときの防衛組織)の情報機関で、ハガナが軍に吸収されたため独立した。そして、アリア・べット(アラブ諸国から逃げてくるユダヤ人の救出機関)。そして、シン・ベット(国内情報をあつかい、イスラエル国内の反乱分子を調査)。そして、モサド。設立されたのが1951年であり、イスラエルの情報機関の中で一番有名である。現在は、モサド、つぎにアンマン(軍情報部)、国内治安をうけもつシン・ベット、警察、外務省情報部が主だ)

 1956年10月のスエズ動乱とともに始まったこの戦争、第二次中東戦争のきっかけは、エジプトによるイスラエルの唯一のアジア、アフリカへの海路、アカバ湾に封鎖であった。同月29日、イギリス、フランスとともにイスラエルは参戦し、ガザ、シナイ半島に侵攻。シナイ半島の大部分を占領した。国連決議により、4ケ月後イスラエル軍は撤退、国連軍が派遣された。

 そして、第三次中東戦争…。

 1967年5月、エジプト軍は国連軍に撤退を要請した後、シナイ半島に進み、同時にシリア、イラク、ヨルダン、サウジアラビアの軍隊がイスラエル国境に迫った。イスラエルはアメリカに先制攻撃の承認をうけたうえで、6月5日未明、エジプト空軍基地を攻撃。この戦争で、モサドからの忠告を無視して闘ったヨルダンのフセイン国王(当時)はウエスト・バンクと東エルサレムを失い、シリアはゴラン高原、エジプトはシナイ半島とガザ地区を失った。

 そして、第四次中東戦争…。

 当時のイスラエル女性首相、ゴルダ・メイヤーはモサドから寄せられた戦争情報を無視し、アンマン(軍情報部)の〝戦争はない〟という情報を信じたため、緒戦の敗退をまねいた。1973年10月6日午後のことだ、エジプトとシリアがイスラエルを攻撃したのだ。イスラエルでは最大の祭り(ヨム・キップル)の真っ最中であり、アラブはラマダン(断食月)だった。この奇襲で、イスラエルは当初大敗を喫した。

 エジプトとシリア軍に国内を蹂躙されたメイヤー首相は自殺まで考えたという。しかし、思い直すと、ただちに首相は核爆弾による報復を決定。ジェリコ・ミサイルを積んだトラックがネゲブ砂漠にあるイスラエルの原子力研究センターへ向かう。

 だが、この核使用を断念させたのは、フロリダから飛来してこのトラックの映像をとらえたアメリカの超高速戦略偵察機SR71Aから報告をうけたニクソン大統領、それにソ連首相ブレジネフだった。ユダヤ人はいざとなればトコトンやる。ふたりは驚愕したという。

 しかし、10日25日、戦争に勝ち、ハルマゲドン(世界の破滅)は回避された。

 話は違うが、あのアブ・ニダル(アブ・ニダル…本名サブリ・アルバンナ。1937年、現在のイスラエル・テルアビブ近郊の裕福な仮定に生まれ。パレスチナ解放機構(PLO)主流派ファハタに加わったが、同組織の穏健路線を批判して脱退。74年にイラクの支援を受けてバグダッドで過激組織「ファハタ革命評議会(通称、アブ・ニダル・グループ)」を設立した。70年から80年にかけてイラクを拠点にハイジャック、イスラエル人暗殺事件など計約100件にのぼるテロを起こして約900人を死傷させた。80年代にアメリカと手を組んだイラクを批判し、追放。その後、リビアにかくまわれたが、やがて追放されイラクに戻る。享年65)はイラクによって02年8月16日、暗殺された。イラクは自殺だとしている。また、08年末から09年や2023年におけるガザ紛争はハマスが悪いのだ。

 最近はイスラエルとUAEやクェートなどが国交を結んでいる。

 アメリカのトランプ大統領がイスラエルの支持をして、なびいた形だ。

 だが、シリアは今も内戦が続く。少しは停戦出来ればいいが。


 ここで少し、イスラム教について触れたい。

 イスラム教は、紀元7世紀に予言者ムハマンド(モホメッド)により創造された。その当時アラブはバラバラの宗教を唱えていて、そのことに嘆いていたムハマンドは洞窟で修行していたという。そのとき大天使ジブリーヌ(ガブリエル)がやってきて、「アッラーの神の声を広めよ」といった。そこで彼は神からの使者として、また予言者としてイスラム教を作ったのだという。

 コーランはそのマハマンドのいった言葉がかかれた聖書で、コーランとは、アル・クルアーン「読誦されるもの」の意味である。

 イスラム教徒は世界で12~16億人ともいわれる。世界の5人にひとりはイスラム教徒だ。

 ここで、PLOについて触れてみたい。

 パレスチナ・アラブ人がナショナリズムに目覚めたのは、1950年代だという。当時、アラブ諸国で冷戦が極限に達していた。エジプトやイラクはパレスチナ人問題の主導権を握ろうとしていた。そして、パレスチナ人が大半を占めるヨルダンでは、あらゆるパレスチナ・アラブ人に対して市民権を与えた。これがパレスチナ人のナショナリズムに火をつける結果になる。

 PLOが結成されたのもこの頃だという。1958年、クウェートとカタールにおいてアル・ファタハが組織され、4年後の1962年にはアルジェで事務所が設立された。

 その結果生まれたのが、PNV(パレスチナ民族評議会)とPLO(パレスチナ解放機構)だった。1965年、PLOはエジプトの支援によってパレスチナ解放軍(PLA)を組織。さらにパレスチナ解放人民戦線(PFLP)が、そしてそれがパレスチナ解放戦線(PLF)と結ばれる。が、長続きはせず、PFLPは真っ二つに割れてしまう。

 シリアの支援でできたのが、パレスチナ人民解放戦線総司令部(PFLP=GC)。

 1969年に、PFLPは再度分裂し、イラクのバース党支援で、パレスチナ解放人民民主戦線(PDFLP)とアラブ解放戦線(ALF)が生まれる。そして、人民闘争戦線(PS=ポピュラー・ストラグル)が生まれる。

 だが、けしてPLO組織は一枚岩でもなく、PLOがパレスチナ・アラブ人の意見を代表している訳でもない。

 93年オスロ合意で、イスラエルのラビン首相(当時・故人、95年11月5日暗殺)とPLOのアラファト議長(故人)がラビンが何秒かためらってから血に染まったアラファトと握手し、パレスチナ暫定自治合意が成った。ラビンの狙いはアラブを分裂させイスラエルの安全を守ることだった。アラファトがガザとエリコを欲しがっているのを狙ってのものだった。彼が浮き草と化して、PLO指示が揺らいでいた。結論は只ひとつ。アラファトに権力と富を約束し、不屈の英雄という名誉を与えればいいだけだった。イスラエルにとってテロの温床地区と化していたエリコとガザを暗い顔で握手提供するという老獪なユダヤ外交を見せた。〝身を切られる思い〟という演技で。世界も識者さえも騙された。ラビンにはもっと知恵があったろう。が、その後、ラビンがユダヤ人同胞に暗殺され、ふたたびイスラエルとパレスチナの戦闘が続いている。アラファトも死んだ。これがなによりの中東世界である。ISやPLOやハマスやジハード団という武装組織との訣別までパレスチナには金を与えないことだ。

 アラファトはパレスチナを代表してなかった。単なるテロリストだったのである。

 しかも、エイズか何かで04年11月11日にパリの病院で病死した。享年75歳。……

 そして、PLOはただのルーザー(負け犬)である。

 中東和平が混沌化している。

 イスラエルではイスラム原理主義集団による爆破テロが続く。ハッキリいうとアラファト(故人)はPLOを代表してなかった。なぜアラファトがPLOを代表できていたのかといえば、金庫をしっかり握っていたからだった。パレスチナ援助金で本来組織のものであるカネを私物化して、部下たちを手なずける道具にしていた。PLOでは今まで内部分裂闘争が絶えなかった。しかし、カネの力で抑えていたのだ。

  だが、カイロでサインしてしまい、ウエストバンクでこれまでアラファトを支持していた穏健派グループも愛想を尽かし、公然とアラファトを非難するようになった。ガザではイスラエルに魂を売り渡した人間として憎悪の的になった。彼はテロを抑えられなかった。反発され殺されるだけだったからだ。

 イスラエルはアラファト議長を交渉相手失格として攻撃を加えた。こうして、歴史的なオスロ合意は水の泡となったのである。米国も、ハマスやPLOの自爆テロの続発でアラファトをリーダー失格として、アッバス首相をPLOから選出させた。それで、中東新和平案(ロード・マップ)を提出し、シャロンとアッバスは『パレスチナ国家樹立』を合意。しかし、テロはおさまらず、暗礁に乗り上げている。現在は壊滅状態のISやハマスの影響下でのテロだ。2023年のイスラエルの『ガザ侵攻』については後述する。

 中東での暴力の応酬・連鎖に歯止めがかからない。パレスチナ・イスラム原理主義者によるテロとイスラエル軍の報復軍事行動…。オスロ合意からラビン暗殺以後、中東は地滑り的にケイオス(混沌)へ陥ちた。しかし、日本にとって中東情勢は〝他人事〟ではけしてない。

中東の石油に七割も依存するわが国は誰よりもこの地域の安定が大事なのだ。

 万が一、第六次中東戦争が始まり、例えばイランと衝突するようなことになればイスラエルはただちに、ホルムズ海峡を封鎖するだろう。ホルムズ海峡は底が浅いから大型タンカーを横に沈めるだけで簡単に封鎖できてしまう。現在のような世界不況の中、石油がストップすれば世界経済は大打撃をうけることは間違いない。だが、日本の政治家のようなレヴェルの人々に中東和平など出来る訳がない。だが、米国政府と連環し、両者に「和平交渉のテーブルにつかなければ援助金をゼロにする」というべきだ。

 また、今の政治力が落ちたアメリカなんかに発展途上国の復興はできない。中南米やフィリピンの例をみてもわかる通り、アメリカという国は復興が出来ない。早めにイラクの武装勢力というよりテロリストを駆逐して、軍はいいが民間人は撤退することだ。アメリカがコミットして復興したのは日本だけ。日本の繁栄は「アジアの奇跡」というより「アメリカの奇跡」なのだ。

 米国がイラクやアフガンから出ていって、イラクやアフガニスタンは第二のフィリピンになった。そういうことである。

 アメリカは中東へも欧州へも関与すべきでない。フィリピンみたいな国(実態は国民の生産性や勤務性が高いが汚職や麻薬が蔓延している)がバッコするだけだ。

 アメリカはおせっかいな癌みたいな国だ。だが、私はこの日本という国も癌だと思う。経済は確かに優れており、国民の学力(ここのところ低下の一方だが)や知識もそうとうのものをもっている。その経済力は落ちたとはいえ技術力は米国さえ恐れさせている。

日本人は政治家や官僚が悪いから生活がよくならないと思っているが、現実は違う。他人のせいにしているだけだ。

官僚や政治家の汚職は今に始まったことではない。が、いっぽうでここのところその自慢の経済力もペテンではないか? と世界から訝しがられている。

大手証券会社による株の損失補填、高級官僚と大手商社との五〇年にもおよぶ共謀談合、大手メディアの不祥事、日本企業のペテン人事、ニッサンという会社がカルロス・ゴーンなる外国人にでしか改革できなかった事実、そしてゴーンの亡命、外国人に「投資してほしい」などといいながら、結局は金儲けしか考えてないくせに、どいつもこいつも安っぽい正義だけはふりかざす。

安っぽい日本のテレビやコメンテーターの意見をきいても怒りを覚えない国民……(そもそもそんな常識があるなら、安っぽい番組に感動したり真剣に視聴したりしない)ハッキリいって日本より中国に投資すべきだ。

 また中東アラブや東欧〝反体制〟メディアが、ステレオタイプのオーソドックスなプロパガンダをここのところ流しつづけている。ハッキリと私には典型的な『憎悪プロパガンダ』だとわかる。戦争で手を失った少年、目がみえなくなった少女……虐殺現場……

 だが、このプロパガンダを分析できるものは少ない。よほどの分析力と世界観をもってないとわからない。だからアメリカでも主婦が「自分の息子が戦死した。イラク戦争は間違いだったのよ」などと煽られて一大ムーブメントを起こす有様だし、イギリスの選挙でも馬鹿な女性が首相に「あなたは嘘つきよ」などと迫った。

 はっきりとこのプロパガンダの意味している『目的』は、まさにそういう行動をとらせて、西欧(とくに超大国アメリカ)の世論をズタズタに分裂させることなのだ。が、無知で感情にもろいひとたちには『憎悪プロパガンダ』は効果を上げ続ける。

 国民の世界観や世界を見る能力が高いといわれている欧米人でさえこの有様なのだから、日本人などプロパガンダなのだということさえわからない。

 世界に冠たるピンボケ日本マスコミは「かわいそうに…」と報道し、わざわざ『60%』なる数字まであげて、「イラクでこれだけの数の罪のない子供が被害にあっていまも苦しんでます。私たち取材スタッフはこの映画(プロパガンダなのだが)のスタッフに出演者を探すのは大変だったんじゃないですか? ときいたんです。そしたらイラクには傷ついた子供たちがうようよいるっていうんですよ」とぬかす。

 ハッキリいってプロパガンダに踊らされているし、積極的に陰謀に手をかしているだけなのだが、ピンボケなので分析できない。そもそもインテリだと自負している日本の高級官僚自体が何もわかってないし、ピンボケだ。

元・外務官僚(しかも中東専門家)が馬鹿みたいに「イラク戦争は間違いだ!」などとぬかし、外務省を辞めて野に下り、本を出す。そして、そのピンボケメンタリティのまま、選挙に出て落選… 

日本人同様に世界がみえてないし、みようともしない。「イラク戦争は間違いだ!」という意見とアクションは、調べでは私が朝日新聞に投書した『イラクの〝大量破壊兵器がないという主張〟を米国が否定して戦争準備している態度は、トンキン湾事件と酷似している』という趣旨の指摘を受けてらしい。

 私は米国が「悪魔だ」などと主張したい訳でも、「ペテンだ!」などということをいいたかった訳でもない。現実として戦争は間違いなく起こるし、それは軍産複合体の利益のためである……という現実をいったまで、である。

 だが、誰もわからない。戦略とは常に最悪を想定してたてるものだ。

だが、日本人はそんな現実など知らないし、知ろうともしない。それが今だに、騙され、プロパガンダだと分析もせずに報道しつづける〝無能〟ということだ。

最近では安倍晋三(2022年暗殺)と森友学園・加計学園の桜を見る会への官僚の忖度(そんたく)と安倍昭恵夫人の政治的関与………まさに阿呆国家だ。

なお、これまでのアフガニスタン戦争、湾岸戦争などからビンラディンの9・11テロやアフガン戦争、イラク戦争、ビンラディン殺害、米国欧米軍のアフガン撤退、タリバン復権――などを教科書的にざっくりとまとめてみよう。

まず、東西冷戦当時、国交沿いに緩衝地帯を望んだソ連が、隣国のアフガニスタンに南下し、侵攻、ソ連・アフガニスタン戦争へと発展しました。その中で、敵の敵は味方…の論法で、米国はアフガニスタンを支援し、最新の武器や資金を援助、その結果、ソ連は戦争に負けて、ソ連国内に引き上げていきました。その中で、アフガン戦争で、ビンラディンという鬼っ子が歴史上に登場してしまいました。

その後、イラクのサダム・フセイン大統領(当時)が、隣国のクウェートに侵攻した。そこで、米国のブッシュ大統領(父親の方)は多国籍軍(国連軍+アラブ諸国軍)で、イラク軍を叩き潰し、湾岸戦争は終結した。

湾岸戦争をきっかけに、オサマ・ビンラディンはアルカイダを使って、米国に無差別テロをしかけた。そして、2001年に『9・11テロ』が起こる。ハイジャックされた米国航空機がニューヨークのワールドトレードセンタービルや国防省などに突っ込む自爆テロでした。

これに怒ったブッシュ大統領(息子の方)のアメリカは、アルカイダのいるアフガニスタンを攻撃、更に、「大量破壊兵器を隠している」として今度はイラクを攻撃した。

ビンラディンを殺害するのに成功したものの、アメリカのいい加減な統治で、アフガン戦争とイラク戦争は失敗―――アフガンもイラクも大混乱して内戦状態になり、米国などの軍隊は完全撤退した。その後、イスラム国などのテロ組織まで生まれ、世界中でテロをした。



2023年10月7日の早朝、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム武装勢力ハマスが、イスラエルに大規模な無差別攻撃を仕掛けた。ガザ地区から大量のロケット弾で攻撃。ロケット弾の数は、二○○~五○○○発以上ともいわれており、イスラエルの持つ強力な防空迎撃システム・アイアンドームの能力を優に超えていたようだ。

その日、ハマスの戦闘員がガザを取り囲んでいる壁を越えて、イスラエルに侵入。目につく人々を無差別に銃撃し、殺害し、人質を取った。

イスラエルとガザ地区の境界には、高さ八メートルのコンクリート壁と約六○○メートルの緩衝地帯がある。無許可でイスラエルに近づくことはできない。

だが、イスラエルはその日、一週間にわたるユダヤ教の祭りが終わった後の安息日で、兵士も警察官も多くは自宅で過ごしていた。その隙を突いた攻撃だったのだ。

今、イスラエルがガザ地区を攻撃し、ハマスの殲滅作戦をやっている。確かに、罪もない子供や女性や老人が大勢、犠牲になっているのは心が痛む。

だが、ハマスはイスラム教徒テロ組織だ。イスラエル軍は民間人を狙っている訳ではない。

ハマスが民間人を〝人間の盾〟〝人質〟としてハマスの武器庫や基地の近くに民間人を配置しているからこそ、無辜の民間人が大勢犠牲になっている。

 悪いのはハマスなのだ。

『憎悪プロパガンダ』で、心が痛むのはわかるが、(イスラエル軍の誤爆もあるかも知れないが)イスラエル軍は「民間人を攻撃」しているのではない。

 ターゲットはあくまでハマスであり、ハマス組織の壊滅だ。

 紛争に反対するなら、そういうことをきちんと考えることだ。

 ただの感情論では何も動かない。

そういう認識をきちんともった上での言動をしていくことが重要だ。

むろん、人道や人命がなによりも大事である。

なら、イスラエル軍の攻撃より、ハマスの〝人間の盾作戦〟こそ、憎むべきで、あろう。






第八策『世界国内経済への策謀』



      経済への策謀


だが、それにしても―――である。

 日本の給料では、海外生活はキツイ。例えば、アメリカに旅行に行き、現地で豚骨ラーメンと餃子を食べ、店員にチップを払えばしめて五千四百円なのだ。

 だが、しかし、アメリカが極端に高いのではなく、(まあ、円安もあるのだが)日本が三十年前から安いままだ、ということである。

 ちなみに、さまざまな物価が上昇する。これぞ「インフレ」です。

 バブル経済崩壊後、長期にわたって不況が続き、物価は上がらなくなった。給料も上がらない。これが「デフレ」。いまの若い世代は、物心がついた頃からデフレが常識になっていました。それだけにインフレが始まると、生活の不安が高まってしまいます。

 ですが、その分だけ給料が上がったり、年金の支給額が高くなったりすればいいのです。

 が、そうはならない。給料も年金も上がらないのに物価などだけが高騰する。これが「悪いインフレ」ということ。逆に給料も年金も上がって物価も上がるのを「良いインフレ」といいます。

 確かに、日本は安い国になった。

 だが、それでも日本人は沢山のお金を持っています。

 日本人の個人金融資産は2100兆円。企業の内部留保は560兆円・国富は四○○○兆円くらいです。

 要は、日本人は貯めこむだけで、さっぱり消費・浪費に使わない。

 大前先生は『低欲望社会』と名付けたが、確かに、日本人全体が「将来の不安に備えるために」と、貯め込むだけ貯め込んでいる。

 その結果、亡くなるときにおよそ三千万円ほど残していくのが日本人であるらしい。

 まあ、相続先がなければ全部国庫に納められますけど……。

 僕自身もその「将来の不安に備える」という気持ちは理解できる。

 確かに、お金がなければ老後はどうなるのか? と思う。

 国が運営している限り、「年金が貰えない」等あり得ない。

「年金が払えない」というのは国が滅んだときだけだ。だが、支給額は減るだろう。

 その支給額が〝おこずかい〟程度だったら? という不安である。

 これは本当に切実な心配だと思う。困ったときに役に立つのはお金だ。

 どんな綺麗ごとを言ったところで、お金がなければパン一個も買えない。飢え死にだ。

 2023年の年末辺りから、日本株が高騰している。歴史的な日本株高である。中国株から離れて、日本株を買っている。インフレ→インフレより、デフレ→インフレのほうが利益がすごい。日本株は25%のアロケーション(予算配分や割り当て)だけでなく、すぐ売られる可能性がある。(日本株は素人めいた外国人が買っている。個人投資家が多く、30年間も持っていた日本株を売るひとは少ない。売っているのはニワカ。【日経平均株価(約3万6千円)▲9.99▲0,03%】=『(相場のムード)「PER(株価収益率)15.90倍」』×『(企業の利益)「EPS(一株当たりの収益)2.278倍」』(一年前が77%))マイナス金利解除といっても、-1.2%上がるだけ。マイナス金利がなくなるだけ。(日銀金利上げ→頑張っても年二回)(アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)は年三回ぐらい)(*名目GDPが上がれば円も日本株も上がる)(2024年からの一年間での日本株予想。36000円→42000円(ドル円 予想レンジ 150~110円))*円、今(2024年1月24日)148円→90年の148円は割高でけっこう買えた。今、(2024年)は同じ148円でも割安(安くなった)。

 『日銀 政策変更なら 注目セクターは?』(円安の恩恵)【*自動車*海運*商社など】→(政策変更*主役交代)→(円安に強い)【*銀行*食品*小売り】

(変わらず好調)【*半導体*キャッシュリッチ企業(キーエンス・ファナック・東京エレクトーンなど)】

世界はインフレーションの旋風が吹き荒れている。

(*東京メトロは24年度の上場になった。(上半期は400億円の儲け)上場で、時価総額は1兆円か?(【首都圏の鉄道会社の時価総額】*東急 約1.1兆円*小田急 約0.8兆円*東武 約0.8兆円))

(また、株価がまた下がって暴落の呈を微妙に示し始めた。【日経平均株価下落の背景】は①年初からの急騰の反動②中国株安と円安の一服③半導体の下落④企業業績への警戒)

(【物流(海運セクター)】は紅海のフーシ派の船攻撃(テロ)で、船はスエズ運河ではなく、喜望峰廻りで運賃は通常の二倍上昇(コスト高)。【物流(陸運セクター)】(陸上トラック・国内)では、2024年問題からの株安。大暴落。(人手不足(トラック運転手)で価格転嫁))

(今、シチューをカレーのようにかけて食べる若者(51%)によって、ハウス食品はかける用のシチュー『カルボシチュー』を発売。ヒットになっている。20代~60代わける派最多)

(FRBの12月(2023年)消費支出物価+2.6%(個人消費支出(PCE)・物価指数も好調)。FRBの2024年(5.00-5.55)利上げ(6回予定)*(5月▼0.25)(6月▼0.25)(7月▼0.25)(9月▼0.25)(11月▼0.25)(12月▼0.25)→(3.75-4.00))

(〇海外投資家 なぜ日本株を買う?→(*東証の改革(PBR1倍割れの解消)→(【改革でPBR1倍割れは解消】(PBR(株価純資産倍率)=株価/1株当たりの会社資産)→1倍割れは資産を処分し解散した方がマシ))その他も(*最低投資単位引き下げ)(*プライム上場企業に重要情報の英文開示義務)これらは日本取引グループ山道裕己CEOの改革だ)

(*日本株は名目GDP(+TOPIX)と連動していて、物価とは連動していないから名目GDPが上昇して日本株の評価が上がった(これから賃金上昇・業績改善?)(海外投資家からしたら岸田政権(2024年初期当時)の〝改革策謀〟は関係ない)目標(賃金▲生産性▲)(中国に負けない輸出競争力))

米国発の金融恐慌とはならなかったが、欧米系の銀行がバタバタと潰れた。大量の失業者と倒産という訳ではないけど世界はインフレ一色、日本のゼロ金利と派遣切り……そのリーマンショックから数十年、新型コロナから数年、今の世界はトランプ米国大統領(当時)に代表される『自国第一主義』である。自己中女の如く「わたし(の国)が! わたし(の国)が!」……そして、トランプ氏が再び大統領になる可能性が高くなった。

 米中関係は貿易摩擦というより貿易戦争、貿易冷戦、と言う具合に報復関税のやり合い。節度がない。だが、日本はアメリカとはたった百六十年の付き合いでしかないが、中国とは千年もの付き合いがある。

 日本は米国との貿易摩擦というより貿易戦争の経験があるのだ。

 なら、その経験やスキルを中国に提供する外交があってもいい。

 問題は、国内のことしかわからぬ財務官僚や傘下の銀行、証券、はたまた傘下でもない天下り先の会社や企業を守るため、かくも長く預金者を地獄の道連れにすることである。政治資金やパーティ券や融資だの公的資金だのと、いいかげんな言葉を使って、税金や年金、庶民や選挙民から金を盗み取り、PKO(株価維持策)や日本の金融機関救済のために「使い込み」、大量にスッている財務省や政治家のメンタリティや態度が問題だ。

 融資だの公的資金だのと、結局、国民の血税ではないか! それを、こっそり国民のポケットに手をつっこんで抜き取り、日本の金融機関救済のために「使い込み」、大量にスッている財務省の官僚や日本の政治家たちのモラルが問われているのである。スリまがいのことをして、時には金融機関にタカり、官邸や政治家の悪事をかばい忖度(そんたく)する官僚。いい気になっていた官僚。何の役にもたたないのに、天下って何億円もの給料をもらう官僚……。こいつらはいったいなんなのか? 本当に人間としての道徳や常識があるのか? 安倍派の政治家が大勢逮捕などになる事件もあったが、所詮は『トカゲのしっぽ切り』でしかない。派閥をなくしても、ほとぼりが冷めたら復活するんだろ?

 今まで、不況対策などと称して百兆円以上スッたが、財務省や日銀や政治家はその金を納税者に返してくれるのだろうか? まさかスッとぼける訳ではあるまい?

 だいたい、政治家がだらしがない。

 金融危機を招いたのは日銀や財務省の官僚たちである。それを知っていながら彼らの解決策を作らせ、法案を成立させるやり方は、なにやらヤケっぱちのようにも見える。いかに、当事者能力がないかを現してもいる。かぎりなく不様、だ。

 財務省は基本的な分析や対策をたてないで何をやってきたかといえば、自分たちの裁量でどうにでもなる融資などの金を株や為替相場にツッこんでみたり、つぶすべき企業や金融機関を史上最低の超低金利で手厚く守り、預金者を犠牲にしてきた。「日本の個人金融資産が2100兆円あるから安心して使え」……などといっても将来に不安があって、史上最低の超低金利であり続ける限り、2100兆円は動かない。動いても外資にだろう。ポート・フォリオで考えても外資の金融商品や為替のほうが魅力があるからだ。円安だし。

 財務省や政治家のバカ殿様たちの「ご乱行」はそれだけではない。

 流動性危機から米国債の投げ売りを恐れるアメリカ政府とつるんで、景気対策と内需拡大と称して、六十兆円も使い込み、またまたアメリカの財務長官や通商代表らに規制緩和や公的資金導入、構造改革などの注文をつきつけられてもいる。これじゃあ、どっちが本当の日本国政府かわからない。さらに、投機家というよりバクチ家を呼んできて、東京市場をはやしたてたり、「ご乱行」の限りをしたり財務省や日本の政治家たちはやってきた。

 やるべきことがいっぱいあるのに、それを知っていながら、対策や処置方法も知っていながら、何もやらず、自らの天下り先と規制利権を守ってきただけだったのだ。その意味で、財務省や日本の政治家たちの罪は極めて重い、といわざるをえない。

(『週刊東洋経済(2023年12月23-30日号)【2024大予測】』)(内容を省略してほぼ題目だけ紹介いたします)【002グローバルポリティックス】世界は20世紀に回帰した。権威主義に最も近いのは米国(『もしトラ』トランプが米国大統領ほぼ再選確実)【003グローバルリスク】『殲滅戦』が再生産する抵抗勢力思想に対する戦争はできない(ロシアのウクライナ侵攻・イスラエルのハマス攻撃)【004Z世代マネジメント】上司も成長したいと思えば、部下の意見に感謝できる【005障碍者雇用】障碍者雇用はまるで『隔離政策』【006女性活躍】自民党の〝女性活躍〟は人権軽視。女が媚びず、男化せず生きられる世に【009中国】不動産不況が成長の重荷に。新しい成長モデルの転換が急務【019トランプ】二期目のトランプはさらに危険。立憲制そのものの弱体化も【020世界経済】景気は緩く減速、物価高騰は終結。金利高止まりが続けば危機も【025日本経済・政治】「正常化」が試される一年に【026物価・賃金】焦点は物価上昇率の下がり幅【027為替】円高でも130円、160円超も【032税金・年金】所得減税+給付金はいつ来る?世帯によってばらつく影響【033日本の研究力】止まらない研究力の低下。検証なく進む「選択と集中」【040 2024年問題病院】「医師の働き方改革」に抜け穴。長期的には医師不足招く懸念【042医療制度】診療・介護報酬ダブル改定。薬不足で薬価改定に限界【050 2024年に日本を動かす】①マルチモーダル生成AI②SNSのマッチングアプリ化③ペロブスカイト太陽電池(ガラス窓型太陽光発電システム)④冷凍おにぎり⑤サワーの素⑤英才教育スクール【051銀行】悲願の金利上昇も。「預金争奪戦」の可能性も【056証券】手数料ゼロ円開始。収益モデルを模索【060トヨタ自動車】成長のカギは虎の子HV。「クルマ屋」からの変革急ぐ(EV化への遅れ)【065半導体】熊本TSMCがついに稼働。半導体市況は本格好転【070LINEヤフー】ライドシュアの解禁を。シュアエコ化の一里塚に。【076総合商社】好業績で株価割安も脱却。だが世界経済悪化が懸念【092百貨店095ホテル・航空会社・JR】戻ってきた訪日客。インバウンド需要好調


         二十一世紀の日本は……


  経済危機から脱しただけでは、二十一世紀の日本の将来は暗い。

 昔、ジャパン・アズ・ナンバーワン……などという言葉がいわれたが、今きくと笑ってしまう。世界第4位の経済大国とはいえ、儲かるのは一部の大企業や資産家だけ。個人金融資産(プライベート・キャピタル)が2100兆円ある…などといっても年金や老後や医療保険に不安があり動かない。「いま買うべきではない」と皆思っている。企業の内部留保は560兆円だ。

 政治は茶番、学歴社会の排除もリップ・サービスで、どこまでも「学歴」で判断する日本の企業人事担当者……。負債は何十兆円以上にもなり、特に、国家債務が一千兆円よりまた増えてひどい経済状況だ。以前のリーマンショックでの金融恐慌で何百万人もの失業者が路頭に彷徨った。

 リストラ、トヨタも赤字……

 どうしてもいっておきたいのは、この国のいい加減なエコノミストにだ。

 なんとか総研とか官僚の傘下のようなエコノミストやジャーナリストや財界人たちは、不況が深刻になると必ず口裏をあわせたように「日本の金融機関への公的資金導入やむなし」とか「大規模減税!」「公共投資で景気対策を」「法人税の減税」などといい加減な考えで発言してきた。この人達は恥を知るべきだ。

 彼らは毎年暮れになると、「来年の春頃には景気は上向く」とか「秋頃には景気回復もありえる。経済成長率は大幅に上向く…」などと数十年間もいい続けてきた。もちろん勘でいっているだけで、真実ではない。性懲りもなく何年間もそんな嘘っぱちを口走り、ハズレつづけてきた。その結果、税金を大量にスッて足りなければ60年先から赤字国債という形で借りてきてムダなものに使ってしまう。…状況は最悪だ!

 また、歴代の大臣も、銀行がつぶれるたびに「もうない」などと、あやふやに言ってきた。そういいながら十数行もつぶれれば誰も信用しなくなるのは当然だ。

 とにかく、今、日本がやらなければならないのは明治維新のときの廃藩置県ではなく、廃県置藩というものだ。道州制にして、税金も地方で集めてその地方で使わせる。

 財源だけでなく、徴税権も与え、地方の自立を促すべきである。

 安い日本で、もうもう一度の高度経済成長は無理だ。

 日本人の平均年齢は48歳くらい。もう若い世代の増加や消費――これを人口ボーナスというが、インドならそうだが。日本の場合は少子高齢化の成熟社会だ。

 ここまで安い国になれば、逆に安さを活かしてのインバウンド需要による『観光立国』でのビジネスと、金利を上げての所得倍増しかない。

『羽田空港のハブ空港化』ももっとやる必要がある。成田は千葉県で首都から遠い。羽田空港を拡張して国際化し、24時間ノン・ストップで、低料金でやらねば駄目だ。羽田プランはいい策である。それでいい。

 だが、今は午後9時で閉まってしまう。日本の顔が『シャッター通り』になっている。

 ムダである。シンガポール並みの金融と観光と経済のセンターに日本はなれる。せっかくの世界一の技術力を活かすべきである!

 なぜ、資本主義の原則である「競争原理」を導入しないのか? 同じ値段になったとき、まずいカリフォルニア米やベトナム米を買うか、それともおいしいつや姫やあきたこまち、ひとめぼれ、はえぬきなどを買うのか、消費者に判断させたらいいではないか。

 農協は世界のことを何ひとつ知らぬ農家の恐怖心ばかり煽っている。実際には自由競争になったら、つや姫や秋田こまちなどは外米よりはるかに美味しいから負ける訳がない。むしろ外国人も買うだろう。現に日本のナシやリンゴは外国では高級フルーツと呼ばれ珍重されているという。

 農協が農家の恐怖心だけを煽ってはダメだ。農業にも競争原理を導入すべきだ。

 攻めの農業政策で「サクランボ」「コメ」などを海外進出して儲けよう。

 派遣切りとか内定取消し…と暗い話が多かった。

 しかし、企業が雇用見合わせや不必要人員を削減するのは犯罪ではない。というより、企業としてまた利益追求団体として当たり前である。但し、クビを切られて職や住宅を失ったひとたちには是非救済の手を伸ばすのが政府として、当たり前の政策であろう。

 その上でのリスキリング(学び直し)である。具体的には英会話、IT技術、プログラミング、DX、AI開発――――――

 なぜ就業者の3分の1が派遣社員か? の答えは、05年の『改正労働者派遣法』である。この法律で、安くてすぐにクビ切りもできる『派遣社員』が生まれた。そして、米国発の金融恐慌で、コストカットという意味での派遣切り、リストラの嵐……という訳だった。

 現在は政権のおかげではないが、景気回復と人手不足による雇用拡大と賃金上昇。好景気ではないがやはり少し好景気の〝きざし〟くらいは見えてきたのか……。

 年金の運用利回り、融資、埋蔵金…いろいろな財源がある筈である。また、雇用対策には思いきった公共事業も欠かせない。

 一番悪いのは、何もせぬことだ。頭を抱えて縮こまるだけでは、不況は回復しないのだ。

 また、財界も何もわかっちゃいない。

 景気対策、ゼロ金利、円安誘導、減税……すべてがいきあたりばったりで、あげくの果てに「法人税の減税」などと馬鹿なことをいいだす。状況がわかっていれば絶対にやらないことをやり、状況がわかっていれば絶対にいわないことを言い出して、状況は益々悪くなっていた。

 いまいっせいに起こっている「法人税の減税」「10兆円所得税」「金融やゼネコンへの公的資金導入」などの考えよりもっといい提案をしたい。まず不況対策には、2100兆円の個人資産の金利(利息でなく利回り)の引上げ、インバウンド需要による『観光立国』ビジネス、非収益資産の現金化…などだ。

 特に、『観光立国』ビジネスは、役にたつと思う。そしてDX投資。生成AI投資。

 景気をよくしながら、同時に、二十一世紀の情報化社会に対応できるような人材を育てようという、投資だ。これなら景気もよくなって、と同時に今いっぱいいるような、暗記だけの「学歴エリート」、自分の頭で考えられない「偏差値エリート」も駆逐できる。

 危機から脱し、それと同時に人材も育ち、教育の失敗から生まれた酒鬼薔薇や仙台元・幸町中学生たち(罪もない社会人に対して数年に渡り罵声投石嘲笑した)とかの「鬼畜」も駆逐できる。もちろん教育には私も考えた「ボランティア研修、授業」も必要だが、特に、『観光立国』ビジネスやDX・AI減税は、役にたつと思う。

 将来へのビジョンも描けると思う。

 政府はこの10年間くらいで、景気対策と称して六十兆円くらいスッている。国民の消費が動かないのは将来に不安があるからである。国のヴィジョンがまったく見えないからだ。目につくのはリストラ、倒産、大気汚染、青少年犯罪、官僚や政治家らのモラルの低下…。2100兆円は将来に不安があるかぎり動かない。住宅は、地価が外国に比べて何倍も安くなったのだから、下がったから後は買うだけという話だろう。だが、不動産は株と違って、下がっても「買い」が入らない。住宅需要も今はいいが、これから先の団塊ジュニアの世代の投資が終われば、これからはあまり期待薄だ。東京五輪後の不安……

 今、「団塊ジュニア」の世代が住宅の買い、改築、が終われば住宅需要は「冬の時代」を迎える。エチレン・サイクルや半導体サイクルのように、住宅・不動産需要にもサイクルがあって、それはエチレン・サイクルや半導体サイクルよりもずっと長いサイクルなのだ。値段が安くなっても「買い」がこないのが商業不動産や住宅の特徴だ。それがなんにもわかっちゃいない。

 財界人も何もわかっちゃいない。

「景気対策のために法人税を下げろ!」などと言っているのだ。

 これなど、いかに経済がわかってないか、の証拠のようなものだ。きっと財界のお偉いさんの老人たちは自分で会計とか経理とか財務処理とかしたこともないのだろう。親の七光りやコネ、偶然か学歴だけで「社長」や「会長」になっただけの人達なのだろう。

 今、日本は史上最低の低金利だ。この低金利で、投資をしないのは「投資するアイデア」がないか、将来への不安、かのいずれかだろう。いまほど投資しやすい時はない。低金利で、土地もひとも金も、物資も、商品素材、原料も、安く、また余っているからだ。

 だから法人税など関係ないのである。大体、日本の法人の六割は法人税を払ってないではないか。

 企業の投資が動かないのも、また、将来への不安、からだ。

 だから、いま必要なのは、「加速償却」という方法だと思う。つまり、「加速償却」という方法でDX/AI減税を……という訳である。これは必要だと思う。例えば、七〇年代、日本はロボット王国となった。それに一番効果があったのは、「加速償却」という通産省の特別税制優遇処置だった。普通、5~8年かかっていた機械の償却を2年でやってくれた。わかりやすく言えば、100万円の機械を買うと、工場のオーナーに50万円戻してくれたのである。これは効いた。

 こうした「加速償却」が今、できないものか?できるのではないか?

 そのように私は思ってしまうのだが、なぜやらないのか?…疑問が残るばかりだ。

 ……長い旅になる。しかし、日本の経済や金融を知るための旅だ。

 そして、「マネー革命」の真実を浮き彫りにするのだ。


  日本国の今後は『観光立国』ビジネス。インバウンド需要による救国の策を体感せよ!


  日本国は安すぎる国になった。だが、まだまだ希望はある。

 昔からいわれているように日本は治安が良い。安全だし、食も安全、地方にも観光資源が豊富である。日本人のネックは英会話力の欠如であるが、これも対策はある。

 まずは『観光立国』ビジネスで日本国の復活を策謀するしかない。

 温泉やスキーに春のお花見、沖縄や北海道などの風光明媚な地域、美味しい日本食―――

 よく日本人は意地悪、ともいわれるが相対的なことで、親切な人も多い。

 よく、海外からの観光に携わる人材で、「日本語を話せること」という条件があると思うが、日本語はわかるに越したことはないが逆に、英語や中国語やアラビア語・韓国語、などが流暢な人材であれば日本人の「英語苦手」をカバーできる。

 そして、インフルエンサーに日本のことを紹介してもらうのだ。

日本の観光目標として年三〇〇〇万人……というのがあるが。要は宿泊所とタクシーなどの移動手段の確保である。それが問題点である。

 だが、移動手段はライドシュアやオンデマンドタクシーや自動運転タクシーなど幾らでも可決手段がある。宿泊も、ホテルの拡充だけでなく民泊や、空き家や公共施設などの宿泊場の改革――――まずは頭を使うことだ。

 観光大国のフランスやイタリアは観光客が年間四○○〇~六○○〇万人であるから、日本もそれくらいを目標にしないと。オーバーツーリズムも問題だが。

 それ故に、観光庁ではなく、観光省という組織が必要だ。

 日本が安い国になったからこそ、「値段の安さ」「安全」「観光資源」「日本食」「安い日本製品」「移動手段の正確さ」という資源が日本国の新たなバーゲニングパワー(国の売り)となる。

 これからはインバウンド(訪日外国人)需要による『観光立国』ビジネスがメインとなる。

「漫画」「アニメ」なども日本の強みであるが。これからは日本でなく中国になるかも知れない。どんどん中国に好待遇で日本のアニメクリエイターが引き抜かれている。

 日本のアニメーターは安い給料で、中国の十分の一の賃金でしかない。

 これでは、いずれ、日本のアニメーターは(中国の)〝下請け〟にならざるを得ない。

 もう、少子高齢化で、新たな高度経済成長は見込めない。

 なら、観光こそ、これからの日本国の一大産業だ。

 逆に言うなら、もうこれしかない。

 また、ここでは日本の労働と賃金体系や労働組合などについて、考えてみたい。

 今年(2024年)初頭のニュースにUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)がワーキングホリデー(一定期間、就労も可能なビザを利用できる制度)での外国人200人就労を目指すという。つまり、「韓国」「台湾」→「人材派遣会社」→USJ、ということだ。

 まあ、問題は時給千円という安さ。だが、USJなら魅力会社だからそれでも来るだろう。だが、他の地方企業なら来ない(円安も問題)。

(『賃上げ変動ない企業』【労務費の上昇分をどれだけ価格転嫁できたか?】「10割3.3%」「7~9割12.9%」「4~6割18.5%」「1~3割32.7%」「転嫁できず26.7%」)

 最近の賃上げと景気好調というのはあくまで大企業でのベースであり、中小企業で、ではない。だから、大企業に勤めたこともない、経済のことを何も知らないプア日本人らが「景気回復ってどこが? 賃金など上がっていない」とSNSで書き込む理由なのだ。だが、今、デジタル人材は給料が上がっていて「取り合い」になっている。

給料の伸びに賃金上昇が追い付かない。今、コスト・プッシュ(費用を押し上げる)のインフレ。ディマンド・プル(需要を引っ張る)のインフレこそがいいのだ。(『消費者物価指数(23年12月)3.0%』『名目賃金(23年11月)0.7%』『実質賃金(23年11月)-2.5%』)

*『労働組合』は企業ごとの終身雇用での話。中小や若い人は組合も終身雇用も信じていない。春闘も賃上げも大企業での話。社員が、キャリアアップの為に転職して、流動性があり(+リカネント学習)がよい。

(中小企業の6割超が赤字(2021年)→【従業員の勤務先】『大企業31%』『中小企業69%』【中小企業の業績】『赤字62%』『黒字38%』)

*ゾンビ毎年赤字企業は潰れるか、大企業にM&Aとかで吸収され、流動性が増すほうがいい。企業や勤務労働者の新陳代謝が活発になり、潰れるところは潰れ、別なところで新しい産業が興るのが資本主義のダイナミズムだ。

(『人材不足倒産』過去最多(23年)→158件(人件費高騰59%)(従業員退職11%)(求人難58%))

*『自動車輸出(での儲け)』→100兆円に!(2023年)

*『中国の景気環境は?』ニデック永守会長「悪い。成長感は止まっている」。

*日銀は「長期金利が上がり」、今年(2024年)マイナス金利をやめるだろう(大半のエコノミスト予想では)。

*東京23区の新築マンション初の1億円超*初診料の窓口負担(数円~数十円上乗せ(厚労省))

*『イオングループ→『ツルハ』(ドラッグストア2位大手)をTOBで買収か』ドラッグストア大手の売上高(23年度)のうち一位はウエルシアHDで1兆1442億円(イオングループ傘下)。そのイオンが業界2位のツルハHD(9700億円)を買収し2つの買収会社で売上高2兆円を目指すのだという。ちなみに3位はマツキヨココカラ&カンパニー(マツキヨとココカラが統合した)の9512億円。4位はコスモス薬品(8276億円)5位はサンドラッグ(6904億円)6位スギHD(6676億円)7位クリエイトSDHD(3809億円)8位クスリのアオキHD(3788億円)*セブンアンドアイなどのコンビニ大手は、ドラッグストアを買収するよりコンビニで(規制緩和で)薬を売りたいだけだから、ドラッグストアの買収はやらない。

*日野・ダイハツ・豊田織機のグループの不正を受けてトヨタ社長は謝罪した。この問題は、ビッグモーターのような悪質性があり、影響は深刻だ。

*米国のFRB(の総資産)はQT(量的引き締め=お金の引き締め)を実施中だ。(まだ8兆ドル以上の総資産がある。余裕である)

*日立・ソニー副業人材を相互副業受け入れ(対象・AIや半導体など最先端。期間・2024年1月~(3か月)人数・数人規模)*副業の主な種類①個人で副業②社内副業③相互副業

*インバウンド(訪日外国人)(23年11月から消費(日本国内で)失速気味)

*中国の自動車輸出が、日本の自動車輸出を抜きナンバーワンへ(2007年ぶり)。EVシフトや中国車の競争力強化が要因か。

*個人消費とともに設備投資は景気のバロメーター。しかし、人手不足が影響で、設備投資も滞っている。日本の企業の設備投資はどんづまり。〝人材〟がいない。〝英会話〟や〝ITスキル〟がない。

*FRB(米国連邦準備制度理事会)は(2%のインフレターゲットまで)自信がつくまで利下げをしない。米国のインフレは収まってきた(2025年より普通に戻るだろう)。

 米国の政策金利は3.07%でもバランスシートはOK。金利を3.3%に上げても米国経済は好調を維持している。(賃金よし・株価よし・住宅重要よし)(*ただし、米国製造業は22年ぶりの長期低迷)→「金利はそんなに下げられないだろう、と。債務や米国株など下がっているがでもドル高でもある」(S&P500のPER((株価収益率)×1株当たり利益=株価)2020年で金利を上げて米国株価は上昇し、その後、下落。そして、金利下げで持ち直し(20.2倍))

(*1番のサプライズは〝利下げなし〟。ないとは思うが。リスクは米国VS.イランのホットウォー(戦争)。この戦争でイランの石油が入らなくなり困るのは日本(米国にはシェールガス・シェールオイルがあるから))


「日本凋落の根本原因」


 その前に、「まちづくりの課題 人口減少時代の再構築」というテーマについて、少し触れてみたい。東京秋葉原などで、古い雑居ビルを壊して、そこに高層ビルを建てて再開発をする、というようなプランがいろいろな地方の主要都市の駅前とかでも進められている。

 その事業の是非云々は触れないが、建築コストは爆上がりなのに、オフィス需要は減少している。まあ、少子高齢化とリモート化と人口減少時代、ということである。

 地方で、東京と同じことをすれば確実に失敗する。だが、そういう地方の為政者や役人は、どこかの地方でうまくいった施策をひたすら猿真似するだけである。

 雑居ビルを潰して、高層ビルを建てるとか以前に、もっと〝面〟で考えねばならない。

 地方で子育て世代を呼び込みたいなら、空き家をリノベーションして安く貸し出し、保育園や学校を増やして、教育システムを魅力的にするとか。老後の富裕層のひとを呼び込むなら、病院を増やし、ライドシュアやオンデマンドバスなどで交通を四方八方に結びつけ、移動を自由にさせる、とか。

 馬鹿程、『ハコもの施設』を新しくつくれば人が呼べて、経済が活性化すると思い込む。

 米沢市の前の市長は、まさにそれで、貴重な市の積立金をすべて無駄遣いし、市立図書館、市立病院、市役所、と無駄に新しくした。その結果、人口が増えた訳でもないし、馬鹿みたいに施設の建築をしたので地元のゼネコンに仕事が出来た――――程度である。

 そのようなことで市がよくなるわけはないのに、馬鹿だからわからない。

 結局、米沢市は財政危機自治体になっただけ。

 馬鹿は死なねば治らない、でしかない。


日本が経済的に凋落した根本原因は何か?



 それは2つあって、ひとつは日本の人口が一億数千万人ということ。つまり、国内だけでの商売でも十分に成り立つマーケットであったが故に、国内だけで世界に通用するような国際市場でも通用する商品や商売にコミット(関与)してこなかったこと。その為に、日本は国際競争力を失ってしまった。

 もうひとつが、ITの巨大企業GAFA(Google、Apple、Facebook(現・Meta)、Amazon)のような規模の企業が、日本国にはこの三十年出てこなかったということ。

 その結果として、日本企業は国際競争力を失ってしまった。

 今は答えのない時代である。

 昔の工業化社会なら、商品は、値段が安いけども、より高性能に、より小さく、より薄く、より軽く、より便利に、よりデザインがかっこよく、すれば売れた。

 だが、今はそんな時代じゃない。

〝見えない大陸〟であり、ニッチなニーズを拾い、賢く動いて売らなければ売れないのだ。

 例えば、日本の電子レンジは高性能で、様々な機能がついている。だが、韓国の電子レンジはボタンが二個だけ。そんなにいろいろな機能はついていない。

 だが、それでも韓国の電子レンジは売れる。

 何故か? 機能が少ない分、安価で買えるから。

 そういうニーズを拾う努力をしなければ売れない時代なのだ。

 また、中国で、日本の洗濯機が「すぐに壊れる」とクレームが続出した。よくよく調べてみると、中国の農村部では洗濯機でジャガイモを洗っていたことがわかった。

「そりゃ壊れるよ」と日本人は苦笑するかも知れない。が、そこがニーズである。

 クレームの裏にニーズがある。

したり顔で、「クレームだけなら誰にでも言えるんですよね」といきがっている場合じゃない。クレームの裏がニーズだ。

案の定、日本メーカーが手をこまねいている間に、中国の家電大手のハイアール社がじゃがいもを洗う専用の洗濯機を発売した。メガヒットになったという。

何でも、戦略次第である。

頭を使えないくせに、したり顔だけの人間では駄目なのだ。

「日本人の給料が下がり続ける根本原因」も、今までデフレスパイラルであったことに加えて、そういう戦略的な人間が日本人にはかなり少ない、という人材不足がある。

 確かに、高学歴なだけなら、英会話マシーンとか、そういう人間ならいるが。

 人間は学歴じゃなく、学力であるということ。

 高学歴なら何でもできる訳ではない。

 小説とかビジネスとか改革案とかスピーチとかアイディアとか、高学歴など関係ない。

 もう少し、日本人にも戦略とはどういうものか? 理解してほしい。

 だが、高学歴を至宝のように大事に考えている以上、そういう理解は無理難題というものだ。今風に言えば、無理ゲー、でしかない。



N「日本の政治家は『財政投融資(財投)』のアメをなめまくって現状維持しようとしているということをきいたことがあるんですが」

N「それはかなりの昔の話ですよね。小泉改革の郵政民営化とか、その時代の経済の話ですよ。小泉純一郎首相(当時)とか、竹中平蔵、みたいな(笑)……『財投』というのは財政投融債のことで、全体で340兆円以上。この預金はすべて財務省に集められ、財務から赤字続きの国鉄清算…や国有林野や住都、道路公団…などといった公団にまわされていた。この公団は官僚の天下り先でした。それが温存されていた。行革は骨抜きにされたのでした。まあ、郵政民営化で郵政の資産(財投)は民間に流れたのですが。と、同時に米国の保険会社がきた(笑)

 国際経済や経済も非常に目まぐるしく変わった。ビックバンや規制撤廃の後に10年と苦しんだアメリカやイギリスなどは経済が非常にうまくいった。日本は不景気で苦しんでいた。そしてGoogleやAppleやAmazonやフェイスブックなどの世界企業が活躍し、今はAIやIOTやDXや自動運転とか、スマホのアプリとか綺麗ごとのSDGsとか………なんかすごいことになっています。

インターネット・オブ・シングスというすべてがインターネットにつながる社会になった。でも、二十数年前のインターネットなんて動画とか表示するのに一件四分もかかっていました。今は一秒です。携帯電話もすべてスマートフォンです。ガラケーなどもう古い(笑)

 だが、教育の失敗に代表される「闇バイト・青少年による殺人事件」「おやじ狩り(強盗)」「パパ活・援助交際(売春)」「テロ」…「東京市場空洞化」「少子化」「高齢化」「IT(情報通信技術)やDX対応への遅れ」「いじめ自殺」…。日本はこのままでは沈む一方です。」

N「日本は、本当に魅力のない国になった?」

A「いいえ。日本から外国にいった旅行者は1670万人。しかし、日本にくる旅行者は2000万人。観光地としては人気です。ただ、留学地としても魅力がない。留学生らは日本にはめったにこず、アメリカやヨーロッパなどにいく。日本で学んでも何の役にもたたないし、物価は安いしコストもかかりませんが役に立たない、いいことがひとつもないからです。外国の資産家が日本に別荘を……などというのもまったくない。日本で働き発展途上国に仕送り……というのはありますけどね。世界第四位の隠れ移民大国・日本です。航空や船舶の寄港数も年々減少している。前述した通り、コストはかからないが、役に立たないので割に合わないからです。また、日本は情報発信能力にも欠ける。例えば、ファッション・ショーを東京で開いても、世界には伝わらない。しかし、一端パリで開けば、世界中のファッション雑誌に載る。音楽でも学者論文でも絵でも、日本で発表しても世界にはまったく伝わらない。やるだけムダなのです。

 日本の経済の実体はデュアル・エコノミー(二重経済)。つまり、一〇%ほどの世界的に通用する産業(トヨタやソニー、松下など。それから技術のある中小優良企業)と九〇%にもおよぶ何ひとつ世界に通用しない林業に代表されるような産業…補助金づけで甘やかされてきた産業(農林水産や証券や金融、ゼネコン、サービスなど)の二重構造…これが日本経済の実体だ。六〇年から九〇年とまったく変わってない。

 バブル経済のときは日本企業は世界一であった。だが、「失われた三十年」で、安い国・安すぎる国になった。給料も上がらず、物価も最近は上昇だが、今まではデフレで安いまま。外国では昼のランチ代が三千~四千円くらいだが、日本では八百~千円程度。

 ひたすら安い国になった。

だから、一気に規制を撤廃とか大幅緩和してしまうと九〇%の弱い弱い産業はどんどんツぶれていき、失業率もうなぎ登りになるに違いない。だが、もちろん規制緩和や構造改革は必要で、我慢しなくてはならないのですが…。」

N「だが、そうしたことには必ず反発が起こるものです。失業率が5%からふた桁にいく時、どんなパラダイム・シフトが日本にやってくるか……恐ろしい限り。おそらく、犯罪率激増、ホームレスのバッコ、青少年犯罪……などなどもっと増えるのは間違いない。

 先の金融恐慌リーマンショックでも失業者が何十万人も首を切られて路頭を彷徨った。

 また、この国は世界でも希な「高齢化」「少子化」社会を迎えようとしている。

 高齢化は高齢者が増えて、高齢者需要がふえることを意味する。しかし、「少子化」とは子供が減り、若者が減り、生産人口が激減することをいう。一般的に出生率が二・〇八%ぐらいなければ人口の長期的維持は難しいという。それが日本の出生率は一・数%だ。

これは恐ろしい数字である。俗に「林業七〇歳、農業六〇歳、小売り五〇、工場四〇、OL三〇、フリーター二〇…」という訳で、それに生産人口減少で人口が増えず、それらに10才ずつ足すと、憂欝なことになる。」

A「「高齢化や少子化の対策として女性をもっと雇うべきだ!」などという意見もある。これなどは一見もっともらしいが、まったく違う。日本の女性の有職率は52%と、世界で最も高い。これ以上「女性を雇え!」となったら、考えられるのはただひとつ。出産後の四〇才前後のパートタイマーをフルタイムで…ということだけだ。それに最近の晩婚化、出産後の勤務継続を考えると、非常に憂欝なことになりそうだ。」

N「また、日本にはちゃんとしたアントレプレナー(起業家)もでてこない?」

A「いえ。それは違う。日本の若者にはひどいのもいっぱいいるけど、優秀な人物も多いのです。楽天とかZOZO(2019年9月12日、ヤフーが4000億円でZOZOを買収・前澤友作社長は退任)とかメルカリとかソフトバンクとかサイバーエージェンシーとか……しかし、そうしたひとが会社に入ると日本では潰される」

N「若いな、君はなにもわかってないよ、って(笑)」

A「そう。個性や創造性を潰される。わかってないのはお前じゃないのか?!

 ホリエモンみたいなやつもいるけど……。ZOZOの前澤社長は今太閤というか……現在の豊臣秀吉というか…猿面冠者で(笑)

 なぜ世界が「シン・マネー革命・経済サヴァイバル」モードになったのかを考えていくと、割と単純だ。90年までの世界では、世界的に競争している資本主義経済の中にいる人というのはだいたい二七億人だった。あとのひとは壁の向うにいた訳だ。もちろんソ連も向こう側だった。ところが冷戦構造が終わった。軍事的に…というよりもその人たちが同じマーケットにはいってきた。ソ連がロシアになって市場経済になり、東欧も市場経済になる。アジアでも13億人の中国やベトナムが入ってきた。そして、今、地球の市場経済人口は六十億人までなった。二倍以上増えた訳だ。これはチャンスなんです。マーケットが広がった訳だから。で、世界中で競争が激化して、「経済サヴァイバル」モードになった。

 人口が二倍になってマーケットも増えたということは、それだけ競争も激しくなる。それを我々は避けては生きられない。じゃあ、我々のコミュニティ、共同体のあり方を考えるうえで、今まで日本は競争をしてきたのか?という自問自答をしなければならない。

 日本は間違いなく市場経済の国であり、民主主義の国であるから、プルラリズム(多元主義)の国だったはずなんだけど、一部そうではないところがあった。」

N「コメなどの農作物と金融ですね?」

A「そう。日本金融は、いわゆる護送船団方式でプルラリズムじゃなかった。

 銀行員はいまでも多額のサラリーをもらい、多額のボーナスをもらっている。競争といえば、いかに待ち時間を短くするかだけだった(笑)…。でも、ロボットやAIやキャッシュレス社会やDX・仮想通貨やらで、窓口業務もリストラする銀行もでてきた。いっぽう、政府の規制がなくて自助努力だけでやっているところはいいものが出てくる。自動車産業などだった。

 英語で「コンペティティブ(競争的な)」と「コンピタント(有能な)」というのがあって、コンペティティブとは一歩抜け出すということ。一方、コンピタントというのが自分の力でやっていくということでこれが求められるのです。

 一九世紀の資本主義というのは徹底的に競争した結果すごく貧富の差が拡大して、その反動としてまた労働組合運動が過激化するという失敗を招いている。二十世紀に入って一九二〇年までを「変革の時代」というように、その期間に「独占禁止法」ができ、労働組合の権利が認められるようになった。」

N「そして、二十一世紀…新たな問題が持ち上がっている。その典型が、デジタル通貨です。昔でいうなら、アジアの資本移動ですね。外国の資本が自由にタイに流れ、インドネシアに流れ、マレーシアに流れたから八〇年代以降のアジアの奇跡が起こった。ところが一端ダメになるとその反動はすごい。すごい勢いでそれらの国から資本が逃げ出すんです。その逃げ足はすごく早い。」

A「その制度をなんとかしようといった人がいます。ノーベル賞をとったトービン(故人)です。このエール大学教授は、「トービン・タックス」と称して、国際的な取り引きには税金をかけたうえで自由にやらせたらいいんだ、と言ったのです。そうすれば逃げ足も鈍るだろうと。

 チリとタイでも同じ事をやったのです。たとえば外国人がバンコクの銀行にお金を預けようとすると、ふつうより高い率の準備預金というものを積まなきゃいけない。その積んでおく比率を高くした。預金の一部をリザーブしておかなければならないのです。こういう形で、外国人がバンコクでバーツ建ての通貨を持とうというとき、少し余分にお金がかかるシステムにしたのです」

N「そういうのは普通は国際的にいっせいにやらなきゃならない。しかし、案は日本からは出てこないんですよね。いつも出てくるのはアメリカか欧州で、日本は賛成か反対かいうだけ。

 ガット・ウルグアイラウンド(現・WTO)が始まったのは八六年。九三年にコメ輸入自由化で合意した。その間、貿易のシステムをどうするか?という案がアメリカからは一〇〇も二〇〇も出ている。欧州からも五〇でている。しかし、日本からはゼロなんです。ゼロ。また世界の富はわずか1%のひとに集中しています。世界の富豪の8人の資産と世界の24億人の資産が天秤で同じなんです。」

A「アメリカは学者が政府の中に入っているから案もでてくる。しかし、日本の場合は役人の利害関係で調整されるだけなんです。結局、政治なんですよ。

 日本には国際会議で(官僚の作文棒読みでなく)まともに議論できる大物政治家はいない。本当に残念なことです。」

N「その通り。今は、それ以上の流動性のあるデジタル通貨ですよ。スマホ決済とかデジタル通貨で、国境も時間も空間もすべて超えてくる」

A「今の日本国民の所得は、バヴルのピークの頃にくらべて一〇%上がっている。GDPにして五〇〇兆円、1000兆円の資産を失った国の所得水準があがっているのです。

 不況だったのが問題ではなく、何もしないのが問題だった。韓国でもタイでもインドネシアでも危機の時は所得水準が二割くらい下げている。しかし、日本は上がっている。これだけ資産を失っても所得水準があがるのは珍しいことです。言い換えれば、それだけ経済力がある。体力がある…ということです。不況でも、お金も人材もある。

 何もしてないから、資産デフレになった、ということです。ちがいますか?」

N「そう。…不況、不況、とはいえ餓死者がでる訳ではなかった。一部で、最近は餓死とか女性の貧困とか出てきているけど。それは不幸だが、何もしないことが問題だったのです。とにもかくにも、日本人は経済や国際情勢を知らな過ぎる。知らないから勉強しようとする人間もいるが、くだらんマンガをむさぼり読んで終ってしまう。

 それではいけない!

 日本は規制緩和を急ぎ、アジアの牽引車にならなくてはならない。…日本の経済低迷を、一種のシャーデン・フロイデ(敵の没落を喜ぶ心理)で見ていた欧米も、「やっぱり日本に頑張ってもらわないとアジアはダメだ!」と言っている。

 確かに、日本がこのまま経済的に沈めば、世界へのダメージは計り知れない。今の日本の経済は思わしくないが、是非とも政治家や官僚には頑張ってほしいと思います」

A「まったくその通りですあなたは若いのによくわかってらっしゃる」

N「いいえ。勉強したことを喋っているだけです…」

A「ご謙遜を」

N「…ところで、日本の景気についてどう思われますか? 金融恐慌後に好景気になった、安倍さんのおかげだ、といわれていますが? 安倍さんは殺されてしまいましたが」

A「市場原理にまかせる、ということと政治家のリーダーシップでしょう」

N「……では、今、日本の政治家に求められていることはなんですか?」

A「まず、「対立軸」の明確化ということです。混迷の日本国社会をどのような社会にしていくかの基本論こそ必要だ」

N「対立軸とはどのような?」

A「第一は「大きな政府かちいさな政府か」、という対立であり、第二は「成長志向か環境志向か」ということである。第一は「高福祉・高負担か、低福祉・低負担か」ということ。要するに「富」の分配と、社会制度の改革である。第二は成長しつづけて国土をコンクリートだらけにするか、それとも環境を考えて「ゼロ成長でもいいから」環境にコミットしていくということです」

N「そのふたつの案は日本政府から出てきませんよね?」

A「そう。まったく出てこない。ただ、成長しよう成長しようといっているだけです」

N「改革なくして景気回復なし! とか(笑)アベノミクス! とか(笑)新しい資本主義とか。抵抗勢力は…公共事業で景気を回復させようとしている」

A「まったく、その通り。ケインズの景気対策(公共投資、財投、民間需要)を今でも通用すると思っている。ばからしい」

N「景気対策を追及するか、それとも消費拡大には限界があるとして「財政再建」という目標を優先するかの選択でしょ? 要は」

A「そう。さらなる成長志向は未来へのツケを累積させるばかりで、問題の先送りでしかない。景気が回復しても赤字が解消する訳ではない。消費回復には、将来への不安を解消しなければ2100兆円は動かない」

N「景気が最悪期ですが、生産や設備投資はまだまだですね。政府はAI(人工知能)やIT・DX・BtoC・BtoB(情報技術)が持続的に発展し、雇用をつくりだす…などといっていますが」

A「ITで雇用が生まれるのは事実です。景気はよくなりつつありますよ。歴史的な円安で、日本の輸出企業は大儲けしていますから。現に、AT&Tが大量にリストラをした時、デル・コンピュータがその失業した「優秀な人材」を20万人も獲得できた」

N「しかし、日本ではまだそうした大きな受け皿がない」

A「その通り。ミス・マッチも影響してくるのですが、とにかく受け皿がない。政府は不確実な将来については何もいわず、希望を持て! などといっているだけです。AIやロボット時代だって受け皿はあるんですね」

N「ミス・マッチってなんのことですか?」

A「これは雇用における「供給と需要」のミス・マッチのことです。今、失業者がいますが、求人はあるんです。特にコンピュータ関連などで。でも、コンピュータを扱える失業者が少ない。そこで会社側の需要と失業者の供給にミス・マッチがある…ということです。だから、ITバウチャー(切符)などを発行して〝お金のないひとでも〟パソコンの技術を習得できる社会を作っていかないといけない、と、そういうことです」

N「なるほど」




        アベクロ路線からの脱却

        普通の少子高齢化対策で十分効果はある


 長い間、日本銀行(日銀)の総裁として、故・安倍晋三元首相とともに低金利政策を指導してきたクロトンこと黒田東彦総裁が退任し、経済学者としての新総裁である植田氏が就任した。実務派というではなく、学者で、実体経済を知らず、学問としての知識しかない。

 それで大丈夫か? という気もするが、多分、大丈夫だろう。

 まずは、今までのお金じゃぶじゃぶのアベノミクスからの脱却、であろう。

 実際に、アベノミクスは何もうまくいかなかった。

 お金じゃぶじゃぶにして、低金利にしても、大前先生が『低欲望社会』という通りに、欲望もなく、「将来が不安だ」と日本人はひたすら貯蓄に励むだけだ。

 その結果が、日本人の個人金融資産が2100兆円。企業の内部留保が560兆円――――

 ということなのだ。

 日本人は「備えあれば憂いなし」「石橋を叩いて渡る」ということなのだ。

 だが、それも否定できない生き方だ。

 リーマンショックのときやコロナのとき、蓄えや企業の内部留保があったので、助かったひとや企業が続出した。困っても、誰も助けてはくれない。

 例えば、ボランティアでユニセフに寄付しても、自分が困窮した時にユニセフが救済してくれる訳ではない。ユニセフはもらうだけ。最後は自分次第なのである。

 天は自ら助くる者を助く、ということだ。

 自分しかあてにならない。

 だから、貯蓄だけではなく投資や浪費などで経済を回せ、といったところで無駄だ。

 誰も無駄遣いなどしないものだ。

 だが、策はある。

 そして、それは中学生レベルの簡単な策謀でもある。

 金利を上げるのだ。

 誰も投資や消費に使わないなら、金利を上げればいい。

 一パーセント上げただけで、個人金融資産が2100兆円なら約21兆円が国民に渡ることになる。その分なら、投資や消費に回すひとも出てくるに違いないのだ。

 まさにあぶく銭でも21兆円―――――これが消費や投資に回る。これで景気回復どころか好景気モードに驀進である。

 何でも戦略次第である。

 このような策こそ、大事であり、植田日銀総裁はこれで「黒田路線からの脱却」を完成できる。まさに、これこそ景気対策だ。

但し、むろん、金利を上げれば潰れる企業も出てくる。しかし、それは致し方がない。

 資本主義とは、退場するべき企業には退場・潰れてもらって、新陳代謝で、その分を新しい企業に受け継ぐ……そういう倒産と起業のシーソーゲームこそが、資本主義のダイナミズムというものだ。潰れるところは潰し、新しく生まれる企業はそれも自由にやらせる。

 そうでなくて、何が資本主義なのか?

 本来潰れるべき企業を守るのは間違っている。

少子化対策だって、多くの有識者や政治家や官僚は、「普通の少子化対策」では役に立たない、という。だが、そんなことはない。フランスやデンマークやスウェーデンでの『少子化対策』が日本国内でもきちんとすれば役に立つ。

特別な戦略やスキーム(枠組み)などいらない。

極普通の少子化対策で、いいはずなのだ。どこでも子供を作るのや、子育てだったり、シングルマザー問題だったりや女性の貧困―――――その問題に国境はない。

同じ女性の問題、同じ子供の問題、同じ家庭の問題、である。

詳しくは後述するので、策謀は参照してもらいたい。

なにも「異次元の少子化対策」とかいう意味不明の戦略でなくとも、「普通の少子化対策」であれば欧米での策を日本版にすればいいだけだ。

 気負うな。冷静になれ。少子化に〝特殊性〟はいらない。



 護送船団方式の日本の金融行政では、個人とか、一企業とかの問題でないことが多い。住専や外務省・財務省汚職、日銀汚職や「森友加計学園問題」の官僚の忖度などがそうであったように「全体が腐っている」のだ。長銀問題の瑕疵担保特約や損失補填でも明らかになったように、森友学園・加計学園の不祥事は氷山の一角だ。

 アベノミクスの失敗の安倍晋三元首相も2022年7月に暗殺されてしまうし。それがいいことだとは思わないが、殺されるということはそれだけ恨みが深かったということだ。

 その後、三十年ぶりに旧・統一教会の問題がクローズアップされた。また2023年暮れには旧・安倍派の政治家の金銭不祥事まで明るみになった。

 そこでもまた政治家の腐敗が問題視となった。

O「財務省や日銀の連中や、TVで偉そうにコメントする国際エコノミストと称する連中は、本当の意味での「国際経済」を知らない。

 特に、日本金融機関のひとびとは国外のことを何も知らなかった。

 彼らは、「サラリーマン」しか雇ったことがないのだ。アメリカなどにいる「プロフェッショナル」というものを雇ったことがない。彼らが、出来高制、歩合制で失態を隠してでも実績をあげて給料を稼ごうとすることなど何も知らない。結果として、ソニーは何億ドルもアメリカ人社長にタカられたり、どっかの商社はデリバティヴ(金融派生商品)で何億ドルもタカられた。日産とルノーでの大改革者の筈だったカルロス・ゴーン氏も犯罪者になり、国外逃亡までした。結局、ゴーンも金の亡者なだけだった」

N「デリバティヴっていうと金融派生商品のことですよね?」

O「そうです」

N「具体的にはどういうのがデリバティヴなんですか?」

O「そうですね。デリバティヴ取り引きをするには高度な金融工学(ファイナンシャル・エンジニアリング高等数学と物理学をまとめたもの)の知識が必要なんです。だから、普通のIQのひとにはできません。私もできません」

N「ご謙遜を」

O「デリバティヴをわかりやすくいうと、「先物取引」「オプション」「スワップ」などに分けられます。日本の大手銀行のデリバティブ取引額は2003兆円といわれています」

N「2003兆円ですか?!」

O「そうです。で、デリバティヴは元々どこで発明されたと思いますか?」

N「う~ん。やっぱりアメリカですか?」

O「いえ。日本なんです」

N「日本ですか?」

O「はい。日本の江戸時代。米取引でつかわれた(先物取引)のです。デリバティブの目的っていうのは(1)リスク回避(2)投機(3)損失隠し…などで、デリバティヴ自体が「悪」って訳ではないんです」

N「そうですか。われわれ一般人が「株」とか「デリバティブ」などときくとすぐにギャンブル…などと考えがちなのですが違うんですね?」

O「そうですね。なぜ皆が株にとらわれるかというと、会社の純利益より「株での儲け」の方が何百倍も金が入ってくるからなんです。じゃあ、デリバティヴって簡単に説明します。まず、たとえばa会社の株があるとします。これは千円です。そこで千円で買わずにその株の売買権(オプション)を50円で買うのです。で、3ケ月後、a会社の株が二千円に上がったら950円の得になりますよね?」

N「はい。でも下がったら?」

O「もし3ケ月後にa会社の株が800円に下がったとします。その時はオプションだけ放棄するんです。そうすると50円の損にしかならない。もし、先物取引してなければ750円損していたところをです。また、権利だけ取引するのをオプション取引といいます」

N「でも、リスク(損失を受ける可能性)が高いのでは?」

O「そうですね。でも、リスクをとらないで利益は得られないんです。リスクがなくて絶対儲かる…などと謳っているのは「悪徳業者」だけです。マルチ(ネズミ講)とか…」

N「私の馬鹿兄貴は、昔、ネズミ講にひっかかりました(笑)」

O「金融ビジネスにはリスク感覚がないとダメなんです。たとえば英国のベアリング銀行はニック・リーソンというひとりのトレーダーがデリバティヴで5000万ポンド(約800億円)損失を出して倒産しました。(ベアリングはオランダのINGに売却された) これなどリスク管理がいかに大事か…という見本です。また、カリフォルニアのオレンジ群ではひとりのトレーダーが210億ドル(2兆1000億円)損失を出しました。

 ロシアや東南アジアも一時期ひどいことになった。日本の大和銀行でも日本人トレーダーが莫大な損失を出した。いかにリスク管理が大事か…?ということの見本です。今話題の仮想通貨にしても数百億ドル規模のハッキングで盗難に遭った」

N「専門家がもっと必要で、リスク認識が大事ってことですね?」

O「そう。少なくとも、80年代には、彼らはその手の「プロフェッショナル」の実態をわかっていなかった。だから、どこの企業や金融も、数十億から数千億のロスを出しているハズ。アメリカやヨーロッパの金融ならわかっていたイロハもわからなかったのです。

 海外進出には、誰もが高い授業料を払うもの。

 問題なのは、その損失を隠そう、隠蔽しよう、書類を焼却してしまおう……などといって証拠湮滅を計ったり、子会社やグループ企業に損失を転嫁したりして「処理」しようとする行為とメンタリティです。財務省や日銀がそうであったように、日本の企業や金融機関らはモラルハザードに陥っている。その頭の中には、自分の企業や組織さえよければいい、とか、バレなきゃいい。皆やっているじゃないか、などといったことしかないようにも見える。まさに、モラルハザード(道徳的退廃)です」

O「地方も国も赤字につぐ赤字で、赤字国債総額が一千兆円。地方の衰退は目を覆うばかりなのに、未だに、ゼネコン優遇で、公共投資などといって必要のないものに貴重な税金をツッこみ、大量にスッている。沖縄の離島に橋を架けたり、北海道に高速道路を建設したり、九州や北陸に新幹線を通したり……まったく必要もないものに税金が使われている。赤字になって当たり前!

 なぜこんなバカなことばかりするのか?それは、政治家や官僚の利権のためだ。その利権のため、ツブすべき企業や銀行を手厚く守り、史上最低の超低金利を続けていた。ババを引かされるのはいつも預金者、納税者である国民なのである。

 DTD、低額所得税減税と効果のある公共投資は必要です。

 資本主義の中で経済をやっていく時に守らなけれればならないのは、市場原理を機能させること、情報公開でルールを破らないこと、の2つである。

 そのどちらも日本国財務省政府は破っている。

 利権のために、ツブすべき企業や銀行を手厚く守り、史上最低の超低金利を続けていたことは市場原理をとりいれていない。預金者や年金生活者のことを無視していた。また、1000万円まで預金者の預金は守る、と預金保険機構で決めておきながら都合が悪くなるとルールを勝手に変えてもいる。森友、加計学園桜を見る会問題でもわかったように、財務省も子分の金融機関も、まったく情報開示(ディスクロジャー)をしない。じぶんの銀行や会社の負債などをあやふやにして知らせもせず、ただただ「公的資金(税金)を投入してほしい。でないと大変なことになる」などと泣き言ばかりを述べる。そして政治家への忖度」

N「大変なことになるのはお前だけじゃないのか?!お前の生活が大変なことになるだけじゃないのか?!お前が失業しようと知ったことか!……などといいたくもなる?」

O「資本主義の中で経済をやっていく時に守らなけれればならないのは、市場原理を機能させること、情報公開でルールを破らないこと、の2つである。

 日本の金融危機の原因は、この2原則をやぶったところから発生している。

 バヴル退治と称して、総量規制や窓口規制をした。懲罰的な土地税制規制もした。その結果、土地需要が冷え込み、不動産が暴落してますます不況になった。それで、なるべく取り引きを制限して、高値で留めることを画策した。

 株価も下がってきたので、公的資金を導入して(PKOとして)株価を維持しようとした。円高になると為替にも公的資金を導入して、円を維持しようとした。そして、記録的な円安で、日本は安い国・安すぎる国になった。

 やむえない事情があったのかも知れない。

 だが、資本主義の2原則をやぶっている。

 その日本金融機関のあまりの醜悪さ、執拗さに、アメリカもまた、本気で日本的金融システムの崩壊を恐れるようになった。パニックから米国債を売らないように財務省とつるむようになった。だが、アメリカが狙っているのは、日本人の個人金融資産2100兆円と、日本企業の内部留保550兆円ですね。郵政民営化の時の後での、あのアメリカの保険会社参入の、ような(笑)」

N「政治家もだらしがない。金融危機を解決できるのは官僚ではなく、政治家だ。法案ひとつ成立するのにも時間がかかる始末…。さらに、外圧やアメリカの司法当局にいわれてしぶしぶやるのではあまりにも情ない」






         改革の成果が出るまで十年はかかる



  日本人の賃金が上がらない原因に、以下の四つがあるという。

 ひとつは、生産性の壁。

 日本はブルーカラー労働者(工場などでの生産労働など)の生産性の向上には力を入れてきた。だが、ホワイトカラーでいえば全然ダメだという。

 結論も出ない議論を毎日続け、営業などで留守の部下の代わりに課長が電話対応をする。

 それで、「○○さんから電話があったよ」という。給与の高いマネジャーが誰でもできる電話番をしている国など、日本だけだろう。

 生産性を上げるとは、例えば今まで十人でやっていたことを五人でやれば生産性は50%上がった、ということ。日本というのは工場労働などでは厳しく管理するのに、それがホワイトカラーの場合になると、急に甘くなる。アイディアもないのに、ルールだからと会議を毎朝やってしまう。無駄である。だが、当の本人たちは無駄だ、と思ってもいない。

 次に、DXの問題。日本にはDXに詳しい人材が乏しい。

 IT人材というと、パソコンやスマホが操れる人材と思いがちだが、その程度で〝人材〟とは片腹痛い。じゃあ、最近の若者でスマホやパソコンは操れるが『電話応対が出来ない』のでも〝人材〟なのか? そんな電話対応も出来ないのが入社など「会社が潰れる」(笑)

 文句を言ってないで、電話応対くらい何万回もシュミレーションして出来るようになれ。

 電話も出来ない輩などどこでも使えない。どこでもクビになる。

 コミュ障どころの話じゃない。まったく使えない。〝人材〟どころか〝会社員〟でさえない。電話も繋げられず、どうやって働くのだ? 一生涯、工場労働か?

 IT人材やDX人材というなら、プログラムが組めるだけではなく、その分野の戦略や計画も出来るのを〝人材〟という。スマホやパソコンなど今の時代、ほぼ誰でも操れる。

 次に、英会話の問題。日本人の一番の問題がこれ。

 英会話が出来ない。外国人と英語で話せない。ビジネス英語ではなく、日常会話英語が。

 コールセンターだけでなく、日本人自体が英語が駄目だから、海外市場の開拓どころではない。これでは二十一世紀の仕事にならない。使えない。

次に、雇用契約の問題。つまり、日本の会社ではすぐに解雇することは出来ないのが問題。

 まあ、社内いじめで、精神疾患にして辞めるように仕向ける作戦もあるようだが(笑)

 その手だと、後で、訴えられたり、いじめを苦に自殺したら裁判沙汰になったりする……

 すぐに解雇できない為に、退職者と新入社員の新陳代謝がよくない。

 だが、これも慎重にしないと、日本で大リストラを奨励したら、もっと酷いことになる。

 アメリカで上手くいっているからと、日本で上手くいくか、はまったく別の問題だ。

 小泉・竹中改革路線での『製造業での派遣社員』と同じ状態になる。

 首切りを奨励するということは、派遣切りを奨励することと一緒だ。


     大学十兆円ファンドの無駄遣い


 日本政府が、今度は、日本国内の大学に最大十兆円を投資して経済発展につなげていくのだという。わかりやすく言えば「経済科学立国の夢よ、もう一度」という。

 ノーベル賞を取れるような人材を発掘しよう、というものらしい。

 だが、今どき、ノーベル賞の価値などほとんどない。

 日本人もノーベル賞を取っているが、お金になったのは中村修二氏の青色発光ダイオード(LED)と、本庶佑(ほんじょ・たすく)氏のがん免疫治療薬オプジーボなど数少ない。

 中国はノーベル賞は科学研究では一人だけだが、特許の数は日本の数倍である。

 すでに、ユニコーン企業、デカコーン企業も多数存在している。

 大学に大金を投入するのも策としてはありだが、それよりも外国の一流の教授や匠を招聘したほうがいい。今でもやっているけれど、ギャラが少なすぎる。

 MITやケンブリッジとかの名物教授を、一年で一億円―――それを十人で十年。それで富国の支援になるなら安いものだ。人間は戦略次第だが、教育次第でもある。

 芸は身を助く、学問は身を助く、だ。

 特に、ITやDX人材を育てる教育こそ大事だ。

 この国にどれだけの人材やホワイトハッカーがいるのか? それが答えである。

 そして、教育だけでなく、技術者や起業家と資本家・投資家との『出会い』こそ大事だ。

 その場が、日本国にどれだけあるのか? それも答えだ。



   やらなくていいことをやめられないのは、そこに『利権』があるから。


 すべて『利権』がらみの問題だと思う。

 2025年に大阪の夢洲(ゆめしま)で大阪万博が開催されるが、有識者や研究者が口をそろえるのは「絶対にペイしない。儲からない」ということである。

 今まで、大阪では三回万博が開催された。確かに、1970年の大阪万博は盛り上がった。だが、それはディズニーリゾートさえない時代である。

 1990年には花博と称してまたも大阪で万博が開催されたが、まったく盛り上がらなかった。多分、夢洲での万博が開催されても、日本人はユニバーサルスタジオジャパン(USJ)に行くだけではないか? 明らかに失敗するのが火を見るよりも明らか、である。

 だが、IR(公営カジノの誘致)にしても失敗するのが大体予想できるのに中止にできないのは今が答えのない時代である、と政治家も官僚もわかっていないからだ。

 答えのない時代に、答えを見つけようとすると過去の成功体験に拘ることになる。

 そして、そこには『利権』があり、簡単にやめることが出来ない。

「もう工事を始めているし……」と、損切りもできないし、利権も守りたくなる。

 今の時代、万博もIRも儲からない事業である。

 師の大前先生は、IRが儲からなくなったのは中国のハイローラー(超高額の博打金を賭ける大金持ち)を当時の習近平政権が粛清したからだ、という。

 儲からないのが、失敗するのがわかっていて、やめられないのは利権を守るためである。

 それは『花粉症対策』でも同じことである。

 日本人の花粉症の羅漢率は40%と、物凄いことになっているが、誰も政府も対策を打たない。何故か? そこに利権があるからである。

 花粉症であれば、まずは医者。花粉症での患者という顧客の確保である。そして、製薬メーカー。花粉症の薬の販売の儲け――――――胃腸炎の特効薬はもうあるようだが、花粉症の特効薬はまだない。花粉症で死んだりしないが、患者に大量の薬を処方し、製薬会社と医者のウィンウィンな関係がないと困る、ということ。

 まずは、2025年の大阪万博の開催中止、これが一番望ましい。

 絶対に、夢洲での万博は失敗する。まだそれほど金をかけていない今こそ、〝損切り〟で、開催中止にして馬鹿なことはやめることだ。

 利権があるから、なかなか思うようにいかないかも知れないが、国民が中止を望めばいいのだ。原発に反対するだけでなく、夢洲での万博も反対してほしい。

 それこそが原発停止なんかより大事なことである。




 アメリカや英国、ニュージーランドやスウェーデンなどのアングロサクソン経済が、大規模な規制撤廃、規制緩和で、経済がメチャクチャなに状況になって、その経済が回復して二十一世紀に対応できるような体系になるまで十年かかった。その結果、ユナイテッドや英国航空、アメリカンをはじめ航空は世界一の企業になり、情報通信も、製薬も、大変な競争力をもった。だが、それまで十年かかった。

 だから日本の経済危機の不況の完全回復も同じように改革から十年はかかると思う。

 それまでは、失業率の上昇(今は雇用は増加しているがAIなどの最新技術で失業者も増えるのは確実)、中小企業と金融機関の倒産増加、犯罪率上昇と治安の悪化、デフレーション、ホームレスの増加、民間設備投資の冷え込み、株価低迷、デジタル・デバイド……非常に我慢が必要になる。しかも、日本の場合は、超高齢化、超少子化、などといったものもあり、かなり憂欝なことになりそうだ。

O「そう。…なぜ、アメリカや英国、ニュージーランドやスウェーデンなどのアングロサクソン経済が、大規模な規制撤廃、規制緩和を断行できたか?といえば、ちゃんとしたリーダーがいたからだ。アメリカにはオバマ、レーガンが、イギリスにはサッチャーが、ニュージーランドにはロンギ首相とダグラス蔵相がいた。この数十年間ほど、アングロサクソン経済はどういうものであったか?

一つに、経済が停滞し、失業率も高かった。日本やドイツ、スイスなどが官製の繁栄を桜花している時には、敗北感というより恨みのような感情まであり、あたかも「日本がアメリカを支配する」などといわれたりもした。TVカメラの前で、東芝のステレオやトヨタの車をハンマーでたたき壊す…などといったパフォーマンスは当たり前であった。

 それが今では日本は没落し、世界は日本より経済が進んだ。日本は安すぎる国になった。

二つに、労働組合が強く、政治的なたれ流しがつづいた。

三つに、政府が巨大化し、むしろ北欧や日本、ドイツ、スイスに対して敗北感さえあった。四つに、通貨が他のOECD(経済協力開発機構)諸国より弱くなっていた。

 こうしたことは今でも残っているが、なんといってもアメリカや英国、ニュージーランドやスウェーデンなどのアングロサクソン経済はこの間にドラステックな改革を行った。 

大規模な規制撤廃、規制緩和をなぜ断行できたか?といえば、ちゃんとしたリーダーがいたからだ。アメリカにはレーガンが、イギリスにはサッチャーが、ニュージーランドにはロンギ首相とダグラス蔵相がいた。突如として国家のリストラや規制緩和を行った。結果として、規制緩和には痛みが最初にともなうもので、失業率がウナギのぼりになった。 アメリカでは8%、NZでは11%までいった。世界がキリギリスの日本をほめる一方で大変経済的に苦しかった。そのため不満が爆発し、「改革の父」「改革の母」のレーガンやサッチャー、ロンギらは失脚した。

 アメリカやイギリスの企業は世界に進出していった」

N「まさに寓話『アリとキリギリス』だ(笑)

(アメリカでは、地域によって、金融、航空、通信の企業が大活躍している。北太平洋、北西部、シリコンバレー…などの田舎が発展した)

(イギリスでは知的集約産業(薬品、化学、ソフトウエア)、ロンドン金融機関、情報産業(ロイター、フィナンシャル・タイムズ、エコノミスト)、通信(BT、C&W、マーキュリー)や英国航空(BA)などが世界的な競争力を持った)ロンドンへの一極集中もなくなった。ニュージーランドもアジア地域一発展していた。しかし、トランプ氏の登場で米国はまた滅茶苦茶なことになろうとしている(笑)」

O「また、アイルランドはインターネットによって、アメリカ企業を大量に呼び込み、25万人の雇用をつくり、マイクロソフトの開発部門もダブリンやシャノンに進出したりもした。十年で大活躍だ。それにくらべて、日本はどうであったか?一部、トヨタやソニーや、パナソニック、本田技研工業などは世界にでていっているが、ほとんどの日本企業も金融も世界的な競争力などまったくない。これからもない。教育が失敗しているので、ベンチャーだの、IT革命(ITバヴルは崩壊し、パソコンは家電となりIBMは中国にいった)、などといってもコンテンツ(中身)がダメだから…第二の松下幸之助や本田宗一郎や稲盛和夫は、絶対に生まれない。これからの日本は、ひたすら憂欝なことになりそうだ」


           国際情報  第一弾 おわり




第?策『欧州・南北への策謀』

第?策『中南米アメリカへの策謀』他

 *第?策は第二弾part2へ続く





参考文献



(1)『ウクライナ戦争論』小林よしのり著作(扶桑社)(2)『ウクライナ戦争論②』小林よしのり著作(扶桑社)(3)『日本の論点2018-2019』大前研一著作(プレジデント社)(4)『日本の潮流2019-2020』大前研一著作(プレジデント社)(5)『日本の潮流 2020-2021』大前研一著作(プレジデント社)(6)『日本の潮流 2021-2022』大前研一著作(プレジデント社)(7)『日本の潮流 2022-2023』大前研一著作(プレジデント社)(8)『日本の潮流 2023-2024』大前研一著作(プレジデント社)(9)『日本の論点 2024-2025』大前研一著作(プレジデント社)(10)『世界インフレ日本はこうなる』池上彰著作(SB新書)

(11)『世界情勢のきほん』池上彰著作(ポプラ新書)(12)『第三次世界大戦日本はこうなる』池上彰著作(SB新書)(13)『20代の自分に伝えたい地政学のきほん』(SB新書)(14)『なぜ世界から戦争がなくならないのか?』池上彰著作(15)『池上彰の伝える技術』

(16)『難しいことはわかりませんがお金の増やし方を教えてください』山崎元著作(17)『国富論』アダム・スミス著作(18)『資本論』カール・マルクス著作(19)『君主論』マキャベリ著作(20)『ウクライナ戦争の嘘』斎藤優・手島龍一著作

(21)『問題は日本よりむしろアメリカだ』エマニュエル・トッド+池上彰著作(22)『独裁者プーチンはなぜ暴挙に走ったのか』池上彰著作(23)『我が70年の投資哲学』長谷川慶太郎著作(24)『今世紀は日本が世界を牽引する』長谷川慶太郎著作(25)『2020長谷川慶太郎の大局を読む』長谷川慶太郎著作(26)『今こそ「米中」を呑み込め』長谷川慶太郎著作(27)『中国は民主化する』長谷川慶太郎著作(28)『大局を読む 日本の難題』長谷川慶太郎著作(29)『強い個性の経済学』長谷川慶太郎著作(30)『生き方』稲盛和夫著作

(31)『経営13カ条』稲盛和夫著作(32)『経営』稲盛和夫著作(33)『心』稲盛和夫著作(34)『実学』稲盛和夫著作(35)『考え方』稲盛和夫著作(36)『京セラ フィロソフィ』稲盛和夫著作(37)『成功への情熱』稲盛和夫著作(38)『アメーバ経営』(39)『組織の盛衰』堺屋太一著作(40)『知価革命』堺屋太一著作

(41)『三度目の日本』堺屋太一著作(42)『日本を創った12人』(43)『油断!』(44)『平成維新』大前研一著作(45)『平成維新part2』大前研一著作(46)『第4の波』大前研一著作(47)『新しい消費者』大前研一著作(48)『IT革命』大前研一著作(49)『シニアエコノミー』大前研一著作(50)『企業参謀』大前研一著作

(51)『考える技術』大前研一著作(52)『ビジネスモデルの教科書』大前研一著作(53)『発想力』大前研一著作(54)『低欲望社会』大前研一著作(55)『この国を出よ』大前研一+柳井正著作(56)『50代からの稼ぐ力』大前研一著作(57)『大前研一の新・資本論』大前研一著作(58)『全員一致ならやめてしまえ』竹村健一著作(59)『国家と人生』竹村健一+佐藤優著作(60)『特上の人生』竹村健一著作

(61)『世界一の金持ちになってみろ!』竹村健一+堀江貴文著作(62)『逆転の成功術』竹村健一著作(63)『先見力』竹村健一著作(64)『好きなことをやって成功する法則』竹村健一+中谷彰宏著作(65)『正義と腐敗と文科の時代』渡部昇一著作(66)『決定版 日本史』渡部昇一著作(67)『幸福なる人生 ウォレス伝』渡部昇一著作(68)『知の井戸を掘る』渡部昇一著作(69)『国民の修身』渡部昇一著作(70)『名著で読む世界史』渡部昇一著作

(71)『名著で読む日本史』渡部昇一著作(72)『明朗であれ』渡部昇一著作(73)『終生 知的生活の方法』渡部昇一著作(74)『国際情報』落合信彦著作(75)『大いに語る』エマニュエル・トッド著作(76)『トッド人類史入門』エマニュエル・トッド著作(77)『我々はどこから来て、今どこにいるのか?』エマニュエル・トッド著作(78)『思考地図』エマニュエル・トッド著作(79)『帝国以後』エマニュエル・トッド著作(80)『大分断』エマニュエル・トッド著作

(81)『サピエンス全史』ユヴァル・ノア・ハラリ著作(82)『2030年ジャック・アタリの未来予測』(83)『ニッポン再起動』竹中平蔵著作(84)『新・経済学入門』高橋洋一著作(85)『世界インフレ時代の経済指標』エミン・ユルスズ著作(86)『どうすれば日本経済は復活できるか』野口悠紀雄著作(87)『世界の宗教のことが3時間でざっと学べる』池上彰著作(88)『経済・政治のことが3時間でざっと学べる』池上彰著作(89)『池上彰のやさしい経済本』池上彰著作(90)『お金・経済のきほん』池上彰著作

(91)『脱原発論』小林よしのり著作(92)『国防論』小林よしのり著作(93)『新型コロナウィルス論』小林よしのり著作(94)『天皇論』小林よしのり著作(95)『愛子天皇論』小林よしのり著作(96)『戦争論』小林よしのり著作(97)『戦争論2』小林よしのり著作(98)『戦争論3』小林よしのり著作(99)『世界情勢2024』池上彰著作(100)『日本復興戦略』落合陽一著作

(雑誌)週刊東洋経済 2023年12/23・12/30新春合併特大号(2024大予測)

(映像・番組)番組『日経ニュースプラス9(2024年7月から『日経ニュースNEXT』にタイトル改題)』(BSテレビ東京)

(メール)メール『大前研一〝ニュースの視点〟』(毎週金曜日更新)

(参考文献②+α経済ベストセラー)『半導体戦争』クリス・ミラー著作千葉敏生訳(プレジデント社)『21世紀の財政政策』オリヴィエ・ブランシャール著作田代毅訳(日本経済新聞社)『現代日本の消費分析』宇南山卓著作(慶応義塾大学出版会)『なぜ男女の賃金に格差があるのか』クラウディア・ゴールディン著作鹿田昌美訳(慶応義塾大学出版会)『創造的破壊の力』フィリップ・アギヨン、セリーヌ・アントニン、サイモン・ブネル著作村井章子訳(東洋経済新報社)『私が見てきた日本経済』小峰隆夫著作(日本経済新聞出版)『資本主義とイデオロギー』トマ・ピケティ著作『綿の帝国』スヴェン・ベッカート『「経済成長」の起源』マーク・コヤマ、ジャレド・ルービン『ドキュメント通貨失政』西野智彦『コモンズのガバナンス』エリノア・オストロム                 

                他


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長尾景虎の『シン・船中八策』~元・全国新聞紙投書有名人の僕が、世界的政治経済書のベストセラー100冊を研究して『最強の政治経済改革本』を作りました。 長尾景虎 @garyou999

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