第31話

「王たちが俺をいじめるから悲しんでおられるのでしょう?」




桜土、それはちょっと、飛躍しすぎかな。



「僕には分かります。そのために人間の研究をしているのですから。和子様は僕たちの話に入れなくて戸惑っておられるのです。でしょう?」



私のためなんかで貴重な自分の時間を使う羽水。




「お前らが、変なことを話すからだ。殺すぞ。」



そしてすべてを、私中心に考えてしまう火炉。



「王、それは横暴というものです。」


「そうですよ。僕たちは常に和子様のことを考えています。」


「それはそれで腹が立つな。考えるのをやめろ。」


「そんな理不尽な。」


「考えなければ和子様のお世話はできません!」


「俺がいつお前にそう命じた?羽水。」



ほんとうに、みんな……。




「大好きです。」


「え?」


「和子様。」


「俺もだ。」




思わず口から出た言葉に、桜土が目を見開き、羽水が頬を染めて、火炉が当然のように返答する。




「お前ら図々しいぞ。和子は俺に言ったのだ。」


「そ、そうでしょうとも。」


「……僕宛てに言ったように聞こえましたのに。」



涙が出るほど、この鬼たちのことが大好き。できれはこのまま、この鬼たちと離れたくない。



ああ、できるなら、このまま。




誰も傷つけることなく、みんなといられますように。そう願わずにはいられなかった。

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