第4話
「はぁ、行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
そして結構な頻度で指名されるお客様の大半にも。
うなだれる私を苦笑いで見送る桐子さんの美しい顔を見ても、私のテンションは上がらない。
パーティー会場のあまりものを見て厨房での残りを持って帰れると分かっていても、上がらないの。
だって。
「ふーん?」
「……。」
こうして私を指名するお客様のほとんど。いや、もう100%なんだけど、その人たちの目的は確実に、分かっているから。
「早く、そこに置きなさいよ。」
「申し訳ございません。」
腕を組んで優雅にソファーに座るその人は、優雅に足を組み替える。勝ち誇ったような顔。軽蔑を表す視線。
何より、言葉の端々に棘、棘、棘。もはや棘で武装しているその人からの攻撃を食らう私は、棘だらけだ。
指定されたテーブルの上に、マカロンとかが乗ったハイティースタンドを置いた。美味しそう。私も食べたい。この人嫌な人だから1個くらいかすめ取ってもいいでしょうか?
なんて、そんなことできるはずもないんだけどね。
内心ため息を吐きながら振り返って、カートの上にあるティーポットをテーブルの上に置こうとする。
そこで、ニョキリと出てきた足。
あ、このパターンですか。そう思ってそれを避けた。
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