第28話 ダン活


 2月に入るがとても寒い。

 テレビでは今年は暖冬と言っていたのだがどう言う事だ?

「さっぶ!」

「ね!ダンジョンにでも行きたいわ」

「あぁ、ダンジョンなら一定の温度だからなぁ」

 と帰り道を歩いている。


 ダンジョンの中は外と違う空間なので一定の温度だ。まぁ、フィールド型になったのでそのフィールドにあった気候になるとは思うが、少なくても30階層から下は今の所春の陽気だった。


「うーサブサブ」

 部屋に入ってきた俺はエアコンをつけて暖まるまでコーヒーを淹れてソファーに座る。

「こうなるとコタツが恋しいな」

 だが、そうすると寝てしまうから我慢だな。


 ようやくあったまってきたので上着を脱いでクローゼットにかけておく。

 テレビをつけると腹が減ってきたので、『収集』に入れておいたハンバーガーのセットを取り出して夕食にする。 

 出来立てをそのまま『収集』しておいたので時間経過のない『収集』に入れておいたのだ。

「やっぱりジャンキーな物は美味ぇな」


 食いながらテレビを見てると行方不明になっていた大人2人と未成年者3人が保護されたとニュースでやっていた。

「へぇ、たぶんこれも渡航者なんだろうな」

 そのうちSWSに来るかもな。

 まぁ、こんな感じでみんな忘れて行くんだろうな。


 これもスキルが関係してるならテレビ局もグルなのか?と思ってしまうな。


 3月に入るとまた期末テストの時期になる。

 みんなそれなりに勉強したから今回もいい点数が取れるはず! 

 勉強嫌いの勇者ヒカルも今回は頑張ってたからな。

「はぁ、やっと終わった」

「お疲れ様、今回はいい点取れたんじゃないか?」

「だね!頑張ったからね!」

 自信もあるらしいので良かった。


 赤点を回避したヒカル、俺たちももちろん回避したので休みの計画を立てることに。


 ファミレスに集まったのはクリスマスのメンバー11人。

「やっぱり花見に行くでしょ?」

「行く行く!場所取りは男子ねー」

「やっぱり夜からだよな?俺行ってもいいけど1人は嫌だぞ」

 とハッシーが言うので、

「んじゃ俺行こうか?」

「なんだよ、スズが行くなら俺も行くよ」

「俺もー」

 トウマとナルトがそう言ってくる。

 そんじゃ俺が行く意味…まぁあるのか?

「そんじゃ決まりな!」

「おっし!今度こそプレゼント交換しようぜ!」

「は?まだやるのか?」

「えー?お花見だから別にいらないよ」

「な!なんでだよ!」

「はーい、なしねー」

「く、くそ!」

「「「「あははは」」」」

 ヒカルは可哀想だが花見でプレゼント交換なんてしないだろ?


 帰る前にもう一度ダンジョンに行くことになった。

「おっし、今日は40階層まで行くぞ!」

「おう!スズは分かってるよな?」

「あぁ、危なかったら言ってくれ」

「だね、まぁここら辺なら大丈夫だ」

 と言ってフィールド型のダンジョンを進みながら話していると、

「おっし!オーガだな!」

「いくぞ!『サンダーランス』」

「オラッ!!」

「ウォォオォォ!!」

 アキの魔法が刺さりその場に縛りつけるとヤスが盾でシールドバッシュし、最後にヒカルが斬りつけてオーガはドロップに変わる。


 へぇ。ちゃんと連携してるんだな。

「しゃっ!普通に倒せたな!」

「楽勝だろ?」

「ハハッ!ここら辺は任せるよ」

「おう!」

 と進んでいく、


 32階層、

 オーガの他にもグラスウルフやホブゴブリンなど色んなモンスターがいる。

 ここからは俺も連携して倒して行く。

「スズ」

「あいさ!」

 左腕は換装せずにミスリルソードで斬っていく。

「剣も得意なのか?」

「まぁ、片腕しかない時はこいつに頼ってたからな!」

「そうか!ならそれで行こう!」

「おう!」


 33階層、34階層と似たようなモンスターだが確実に強くなっているな。

 ワイバーンを斬ってドロップに変える。

「また強くなってるな」

「そうだな、群れで来るようになったしな」

「それでもみんな負けてないよ?」

「だな!アキも魔法バンバン使ってくれ!」

「あぁ、前3人が強いからついな」

「まぁな!」


 36階層から少し変わった荒野のようになってブラックオーガやシルバーファングなども出てくる。

「『サンダーランス』」

「『パリィ』『スラッシュ』!」

 と技を使い始める。

 勇者や聖騎士は技があっていいなぁ。

 俺は収集人だから『剣技』はないんだよな。


「『スピードアップ』!」

 アカネがバフをかけると、

「オラァ!へぇ!バフって面白いな!」

「だろ!っと、すげぇ体が楽に動くよな」

「他にも色々あるけど?かける?」

「いいよ!また今度かけてくれ!」

 と言ってドロップを『収集』する。


 37階層でブラキオンが出てきた。

「うぉっ!マジかよ!」

「ここはブラキオンだけみたいだな!」

「やばいな!ちょっとデカすぎるだろ」

「『サンダーランス』クソッ!効いてないっぽいぞ!!」

「悪いな!俺がやる!」

 走ってブラキオンに触ると、

「『焼却』」

 “ボワッ”と燃え広がりドロップに変わる。


「え、えげつない威力だな」

「燃やすことしかできないけどな?」

「それでも凄いよ?」

「触らないと『焼却』出来ないから使い勝手は悪いしなぁ」

「…そうか、それでなんとか切り抜けてきたのか?」

「まぁな!これが俺の奥の手だ!」

「あはは、上手いこと言うね!」

「「「上手くない!」」」

 ヒカルは笑っているが、俺の奥の手はまだまだあるからな!


 38階層。

「ジャイアントアントかよ!」

「数が多い!」

「『タイダルウェイブ』!!」

 アキの極大魔法で蟻どもは流されてドロップに変わる。

「アキ!ナイス!」

「あはは、これ魔力ゴッソリいかれるんだよ」

「それでもドロップがいっぱいよ?」


 ドロップは甲殻や蟻酸などで防具や道具が作れるな。

 まぁ、大量だからそのうち武器屋に売ってもいいしな!


 39階層、ジャイアントトロール。

「あー!まためんどくさいのが出てきたな!」

「だな!こいつは頭を潰さないと死なないからな」

 5メートルはあるトロールだ。しかも治癒能力が高くて斬ってもすぐに傷が塞がる。

「よっと!オラァ!」

 ジャンプして首を落とす。

「また人間離れした動きを…」

「みんなもこれくらい出来るって!」

「出来るか!いって3メートルが限界だ!」

「それも人間離れしてるけどな!」

 ヒカルは3メートルか、でもレベルが上がればまた伸びるだろ!


 

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