第24話 カウントダウン


 俺たちは葛西臨海公園にカウントダウンに来ていた。

 車を出してくれた俺とヒカルの親、あとハッシーの姉ちゃんにナルトの兄ちゃん、みんなではしゃぐ車内は楽しかった。

 到着する前から楽しみで、LUINの無料通話でみんなで話しながらわいわいやって、到着すると隣には夢の国が見える。


 駐車場も広く、人も多すぎず少ないわけでもなくちょうどいい、家族連れなども多く、まぁ渋谷なんかよりはいいだろう!


 歩いて見て回るのはクリスマスのメンバーだ。俺たち11人を運んでくれた親・兄姉に感謝だ。


 大観覧車を見ながら夜景を見て回る。

「いいねいいね!やっぱ年越しって感じがするね!」

「ワクワクすっぞ!」

「あっちは何もなかったからねー」

 異世界では年末なんて特別ではなく、みんな生きるのに必死なだけで年越しなんてものはなかった。

 そう思うと日本はなんて安全なんだとつくづく思う。

「そうそう!ってか年越したのもわかんなかったしね」

「でもこっち帰ってきて良かった!やっぱり綺麗よね!」

「「「ねー!」」」

 とイルミネーションを見ながら楽しそうでなにより、俺もなんかワクワクするのは嫌いじゃない。


 あー今年は色々あったからなぁ。


 やっと帰って来たらすぐにSWTOが来て、あれよあれよでSWSに入学、最後なんて暗殺者だったからな!

 まぁ、その後のクリスマスも楽しかったしな!


 カウントダウンの5分前に大観覧車の灯りが消されると、みんなソワソワし始め、カウントダウンが始まるとみんな一斉にカウントして行く!

「3」

「2」

「1」

 

「0」

「「「「ハッピーニューイヤー」」」」

 と一斉にライトアップして、みんなで手を叩きあって、年が明けたのを祝う!

 夢の国の花火も見れて大満足だ。


 帰りも早めに切り上げて各々帰って行く。


 家に帰り着くと親に感謝してテレビを見ながら寝てしまう。


 親からお年玉を貰ってしまったのでお返しに俺からもお年玉を親に渡す。

 まだいいのにと言いながら嬉しそうにもらう父さんと母さん。


 みんなから『お年玉くれ』とメールがあったが無視してやった。

 

 おせちやお雑煮を食べ、みかんももう要らない。

 三が日を過ぎたらまた学校だ。早めに戻るので母さん達にまた連休に帰ってくると言って別れる。


 そして駅でみんなと合流する。

「はぁ、また学校かぁ」

「おいおい、勇者がそれでどうすんだよ」

 ハッシーに言われるヒカルだが、その通りだと思う。

「餅持たされたよ」

「あはは、いいだろ?俺も持たされたし」

「やっぱどこの親も渡してくるよな!」

 と帰る時より荷物は多く、みかんを持たされたヒカルは皆んなに配るがみんな食べ飽きている。


 宇田先生への土産も買ったし、忘れ物はない。

 1人忘れ物をしたらしいが確信犯だ。

「お前あれだけ持って来いって言っただろ!」

「あんな重いの持って来れるか!!」

「あ、大丈夫!ヒカルの親に言って私が預かってるから!」

「ん?」

「ん?」

「…」

「…くそがぁーー!」


 クリスマスのアレはちゃんと持って来れたようだ。


 ほとんど手ぶらな俺、アカネ、アキ、ナルトは皆に羨ましがられ、一番荷物の多いハッシーなんかはげんなりしていた。

「何が入ってんの?」

「みかんに餅に土産にカイロやらカップ麺などなんやらかんやら」

 ハハッ!持たされるのも辛いわな。


 SWS前駅に着くと、帰って来た感があり、ショッピングモールを通り過ぎて寮まで歩いて行く。

 部屋に入って換気をしながらゆっくりする。

「休みはあっという間に終わったなぁ」

 ソファーに座り、ゆっくりと体を伸ばす。

 明後日は始業式だ。


「よし、出掛けるか」

 部屋にいるのもなんなので外に出る。


 ショッピングモールをブラブラ歩いて行く。

 相変わらず買取屋は閉まってると思ったら開いてる?


「誰かいますか?」

「はい?何か用?」

 とやはり人がいた。

 綺麗なお姉さんだ。

「あれ?サンちゃんさんじゃない?」

「あぁ、兄がお世話になってます。妹のツキです」

「あ、そうなんですね!あ、これお土産なんでお兄さんに渡して下さい」

 とポケットから青い瓶を取り出す。

「フフッ!『星の砂』なんて久しぶりに見たわ」

「あはは、ですよね?俺も久しぶりに見たので買って来ました。あ、お姉さんの分もあげますね」

 とピンクの『星の砂』を置いて、

「それじゃあよろしくお願いします」

「はい、ありがとうございます」

 と買取屋を後にし、またブラブラとショッピングモールを歩く。

 それにしてもあんな妹さんがいるなんてな。

 綺麗な銀髪のロングヘアーで首元にタトゥーが入っていた。

 顔はまぁ、似てた?かな?

 それにしても妹さんには言ったのかな?

 心配されたくなくて言って無さそうだな。

 まぁ、余計なことは言わないほうがいいな。


 

 喫茶・アンツに入ってコーヒーを頼む。

 マスターがカウンターでコポコポとコーヒーを淹れている。

「はぁ、美味しいな」

 と和んでいるとメールが届く。

『いまどこー?』

「ハハッ」

 ヒカルからだ。

『喫茶・アンツ』

 とだけ入力して返信する。


 返信がないところを見るとそのうち来るだろう。


 そしてまた賑やかになって楽しくなるのだ。

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