第14話 先輩
「はぁ、本当に至って普通の授業だな。ペースが早すぎな気もしないでもないが」
担任の宇田先生は数学担当だった。
他の先生達にも会えたし、まぁ、普通の学校と変わらないかな?
体育がない分ダンジョンで体を動かす感じかな?
でも、ついて行くのがやっとだ。
やはり2年に凝縮してる分早く覚えないといけない。
それでも異世界での生活よりは充実しているな。
「早いのはしょうがないな。でも大学進学もできるからそこは頑張らないとな」
「そうそう、頑張るぞ!」
「そうか、アキと早乙女は進学組か」
「まぁね!できれば」
「いやいや、進学するだろ?」
凄いな、でも考えなきゃいけないな。
「あ、授業始まる」
「おう」
異世界にいた頃はこんなに穏やかな日が来るなんて思わなかったな。
「ここテストに出ますよ」
「おっ」
ノートに書き写すとマーカーを使い教科書にも印をつけておく。
18歳の高校生、いやSWSの学生だな。
昼は学食だ。
みんな並んでるがここの学食はビュッフェスタイルで好きなものを取って行く。
「ヤスは取りすぎじゃないか?」
「いや、残しても悪いだろ?」
「いやいや、太るなよ?」
「おう!」
橋本や小日向も話しかけて来てクラスの殆どが一緒に食っていた。
これはこれで楽しいな!
先生達も食べているので今後なにかあれば気軽に声かけできるな!
午後はまた授業だが、夕方6時まである。
その分。部活動はやっていないのだ。
授業も終わり帰宅して今日の飯を考えていると、
“ティロリロリラン”
『ラーメン食いに行かない?』
アカネからだな。
『行く!下にいくよ』
とLUINをしてすぐに下に行くとアキとヤスが待っていた。
「よお!ラーメン屋は何処の?」
「一二三亭ってとこだ」
「へぇ、美味いの?」
「初めてにきまってるだろ?」
そりゃそうか。
「そっか、誰か行ったのかと思った」
「あーね」
エレベーターが止まると出てきたのはヒカルとアカネ。
「行こうか!」
「だな、楽しみだな」
て言うかほんとに何でもあるな。
「ちわー」
「へいらっしゃい!」
「へぇ、カウンターだけなんだな」
カウンターだけの小さな店だ。
俺ら5人が入ると満席になった。
「俺醤油!」
「味噌でしょ?」
「まずはオリジナルだって」
と話してると、
「お、新入生だろ?ここは塩が美味いぞ!」
「そうそう、塩だけは美味しい」
隣の席でラーメンを啜ってる先輩達がそう言って教えてくれた。
「そうなんだ!じゃあ、塩で!」
「俺も」
とりあえず塩ラーメンを四つと、ヤスだけ味噌だ。
「先輩達はここよく来るんですか?」
話ついでに聞いてみる。
「おう!カップ麺も飽きるしな!」
「こいつに付き合ってよく来るよ」
よく来るなら美味いんだな。
1人はマッシュボブで小柄、もう1人は長い髪を結んで目鼻立ちがくっきりした人だ。
「俺は
髪を結んだ桜先輩がそう言う。
「俺からヒカル、アカネ、スズ、アキ、ヤスです」
「「「「よろしくお願いします」」」」
「あはは、年はそんな離れてないだろ?幾つだ?」
「18ですね」
「へぇ!俺らは21になるよ」
「良かったね!早く帰ってこれて」
と笑っている箕輪先輩。
18の頃に異世界に行って、やはり魔王を倒さないと帰れなかったらしく、倒すのに2年かかったらしい。
ラーメンの後も話がしたくて公園でジュースを飲みながら喋る。
「じゃあ、桜先輩が勇者で箕輪先輩が賢者ですか!」
「そうそう、ガラじゃないけどやらなきゃ帰れないしな」
「桜は強かったからいいけど、僕なんてインドアだから大変だったよ?」
箕輪先輩はそんな感じがするな。
それにしてもやっぱり召喚される年齢はバラバラなんだな。
しかし18の頃に召喚なんかされたらたまったもんじゃないな!
「ダンジョンはもう行った?」
「まだですね」
ダンジョンか、ラスボスはなんだろ?
「あ、そりゃそうか、この前入学してたしな」
「2人ともダンジョンはよく行くんですか?」
とアカネが聞くと、
「あぁ、グループで休みの日なんかに行くな。結構ハードだから気をつけてな!」
ハードって、強いモンスターが出て来るのかな?それともダンジョンが広いとか?
だいぶ楽しみになって来たな!
「そう、ハードなんだよね、もっと楽なダンジョンなら良かったのに」
と少し愚痴になってる箕輪先輩。
「もう2人とも進路は決めてるんですか?」
「あぁ!俺は片っ端から敵をぶん殴るSWTOだな!」
「僕も同じだけど内勤狙いだね」
ん?敵をぶん殴る?
「箕輪先輩は分かりますけど、桜先輩のは?」
「ん?犯罪者どもは敵だろ?どんなスキル持ってるか知らないけどな、ぶっ倒す勢いがないとやってけねーだろ?」
「まぁ、そうですね」
あはは、脳筋だ。
「だからダンジョンでもっと鍛えないとな!」
「僕は遠慮したいけどね?」
俺は桜先輩派かな?
それからはLUINを交換して別れて帰る。
「面白い人達だったね」
「な!話も面白かったしね」
と5人で話しながら帰る。
「あ、で?味噌はどうだった?」
「んー、イマイチかな?塩は美味しそうだったね?」
「「「「美味かったよ」」」」
やっぱり先輩の言うことは聞かなきゃな!
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