第5話 魔王

 俺は旅をしている。


 素材集めに夢中になっているが、ダンジョンで皮をよく手に入れるので街の革加工をしているオッチャンに話を聞く。

「俺っちに任せれば良いだろ?」

「それじゃダメだ!自分で出来るようになりたいんだ!」

「っとに!この分からず屋が!!」

 文句を言いながら教えてくれるオッチャン。


 何枚も皮をダメにしたが、なんとかなるもんだな。


 『リサイクル』で皮を革にしてみると、

「けっ!綺麗にできてんじゃねーか!もう教えることなんかねぇな!」

「ハハッ!ありがとうオッチャン!」

 と白金貨を置いて店を出る。

 

 さて、ダンジョンに潜るか!

 ダンジョンコアはダンジョンのラスボスを倒すと現れるのだが、これも素材に出来ないかな?

 と思って取ってみるとダンジョンから外に転移していた。

「え?無くなるの?」

 俺はダンジョンコアを『収集』して直ぐにその場を立ち去る。


 レベル上げの為に魔王のいる魔王国に向かう。

 ダンジョンが途中にあればダンジョンに寄り、攻略して素材集めをする。

 人が少なければダンジョンコアもついでに『収集』する。


 今は魔王国に入る手前の街でダンジョンに入り浸っている。


「ここは掘れば魔鉱石が出てくるな!」

 俺は夢中になり、魔鉱石やその他の素材を集めていた。

 左腕をミスリルのパイルバンカーに換えて魔力を纏わせながらダンジョンの壁を砕いていく。

 ダンジョンの壁は砕いても、そのうち綺麗に元に戻るので不思議なもんだ。


 十分素材が取れたら最下層のボスに挑む。

 ブラックドラゴンだ。

 黒い4枚の羽を広げ、こちらを威嚇する。

『ガアァァアァァァ!!』

 左腕を換装してレッドドラゴンの腕にする。

「よし!来い!」

 突進してくるドラゴンに合わせ、左腕でぶん殴ると、尻尾の反撃をくらい俺も壁に激突する。

「クッ、いてて」

『グオオォォォ!!』

「おう!お前も痛かったか?あはは!」

 頭から血が流れているが、それもすぐに止まる。

「おっし!本気で行くぞ!」

“ギュンッ”

「『竜爪』!」

 と、一っ飛びでドラゴンの眼前に行くと左腕で殴りつけ、壁に頭をめり込ませるドラゴン。

『ゴアッ』

 そのドラゴンにミスリルの大剣に魔力を纏わせながら斬りつける。

『ギャオォォ!!』

「あはは!痛いか?じゃあ終わらせるからな!」

 ミスリルの大剣で首を斬り落とすとブラックドラゴンはドロップに変わる。


 『収集』すると宝箱が出て来た。

 中に入っていたのはアダマンタイトのガントレットだった。

「へぇ!いいのがあるじゃないか!」

 早速『収集』して『分別』し、『リサイクル再生利用』で両手用を片手用に創り変える、『リユース再使用』に組み込み完了だ。


「さて、今回は何回で素材が集まるかな」

 ボス部屋の扉を開けてリポップを待つ。


 それから一年だ。

 一年経ったある日突然俺の足元に光が溢れる。

 ダンジョンの中で俺の笑い声が響く。

「あはは、北王子達がやったんだな」


 やっと帰れるな。



 時間は少し前になる。

 北王子達はようやく魔王の城まで来ていた。

「後はここだけだ」

「そうね、後少し」

「戻るぞ!日本に!!」

「「「「おう!」」」」

 魔王のいる城下町は静まり返っていたので、すんなりと城までこれた。

 あとは城にいるはずの魔王を倒すだけ。

 中に入るとやはり人はおらずただ真っ直ぐ進むだけだった。


 だだっ広い大広間に人が立っていた。


「魔王はお前か?」

「そうだ、民には手を出すなよ?」

 と男は振り返り北王子たちを見る。

「あぁ、そんな無駄なことはしない。お前を倒して俺らは帰るんだ!」

 北王子たちは武器を構える。

「そうか…では、私も最後の悪あがきをさせて貰おう」

「行くぞ!!」


 幾度となく繰り返される攻撃に耐えながら、こちらからも攻撃を仕掛ける。


 再度、魔王は浮かび上がると、

「『ダークサンダー』」

「『バリアウォール』」

 魔王の黒雷魔法を賢者の斉藤が防ぐと聖女の新城が

「『聖なる光』」

 でみんなにバフをかける。

 勇者の北王子と聖騎士の安田が走って行く。

「ウォォオォォ」

「『ダークボム』」

 聖騎士が守りその後ろから勇者が魔王の眼前に飛び上がり聖剣を振り下ろす。

「ウォォ!」

“キン”

 魔王が魔剣でその剣を受ける。

“ドカァン”

 蹴り上げられた勇者が壁に激突し瓦礫に埋もれる。



「『セイントボム』」

「はぁ、はぁ、『ダークボム』」

 賢者の放った魔法をなんとか打ち消す魔王。

「おらぁぁ!」

 聖騎士が剣を片手に魔王を攻撃し、

「ヒカル!『聖なる祈り』

 聖女の回復魔法で勇者が完全回復し、また走り出す。

「グッ!」

 聖騎士は魔剣を盾で受け止めると後ずさるがその上を行き飛び掛かる勇者。

「『ブレイブハート』」

 聖剣にオーラを纏わせて斬る。

 魔王の魔剣に亀裂が入る。

「ウォォオォォ!」

「ク、くぉぉ!こ、こまでか!」

 魔剣ごと魔王を断ち斬ると魔王は光になり巨大な天秤が出現する。


 天秤が並行になり勇者、北王子達は足元から光に包まれる。


「あれは?」

 と北王子が聞くと、

「審判の天秤だ。あれが傾いたから魔王が生まれ、魔王がいなくなった今、天秤は並行になり元に戻る力で俺たちは世界を渡る」

 長々と喋る賢者、斉藤に、

「つまり帰れるってことな?」

「そう言うことだ」

 聖騎士、安田が聞いて帰れることを知る。

「やった!」

「北村先生、五美…」

 北王子は心残りがあった。


 そして一年三組のみんなも光が出て来たことで日本へ戻れると喜びを分かち合っていた。


 そして長かった異世界での旅は終わり舞台は日本へ。

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