第43話

買い物を終えて帰路に着く間、レオはこの辺りの地理を一通り教えてくれた。あたしが元々住んでいた地区と近所には違わない。でも、一人だと絶対に迷う自信がある。


「うわ、やーっべ」


見慣れたコンビニを通り過ぎた頃、エンジンの音に紛れたレオの声が、風に乗って流れてくる。



「エマ、キャップ深く被れ、口元もマフラーで隠しとき」


「無理だよ」


「無理無理言うな!早くやれ!」


「…っ、は、はいっ」


急に怒鳴るような口調に代わったので身震いがする。だけど言われた通りマフラーを鼻まで被り、ヘルメットの鍔を下げた。


それとほぼ同時、後方から似たような爆音が聞こえた。



「後ろ見んな。しっかり掴まれよ」



ミラー越しにレオと目が合うので頷くと、突然、車体は急カーブし、大通りから一本小路に入り込む。街中だけど人気がぐっと少なくなると、レオはスピードを緩めた。


爆音が大きくなるにつれて、違和感に気付く。


とうとうレオは道の真ん中にも関わらず走るのを止めた。



「顔上げんな、背中に付けとけ」



背中越しの低い声に従い、俯く。

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