第30話
◆
リョウは不思議な男だ。
日中は行先も告げずにどこかへふらっと出掛けて、夜になればあたしのご飯を買って帰宅する。
あたしがご飯を食べるとまた直ぐにどこかへ出掛けて……その日の深夜にようやく帰ってくる。
何をしているのか、何も聞けずに三日が経った。
鏡で確認すると顔の腫れは随分引いて、赤黒くなっていた左眼の周りも弱冠目立たなくなっている。
リョウが塗れって言ったこのお薬がよく効くみたいで、いつもなら痣が引くだけで一週間以上はゆうに掛かるのに。……このお薬、欲しいなぁ。
この白い部屋はあたしが借りている部屋以外にも幾つか部屋がある程広いのに、一人暮らしだそうだ。
家族と住んでいるとばかり思っていたから変に意識していたのに、その懸念は杞憂に終わりそう。
何もすることがなく日中手持ち無沙汰のあたしは、床掃除に励んでいるお掃除ロボットを追い掛けたり、昼寝をしてみたり、でもやっぱり時間だけが余るので、お風呂掃除や食器を磨いたりして過ごしている。
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