第14話

月の光を背負う男は、浮世離れした美しさを持つ人だった。


声色からしてもう少し歳上だと思っていたのに、あまり歳が離れていないように思えて、幾分か驚いた。


前髪からようやく見えるその瞳は切れ長で、真っ黒なオブシディアンの色に似た瞳は吸い込まれそうな威力があった。




「…飼って、くれるの?」



風が凪いだら、雪は止んだ。


そもそも雪など降ってはいなかった。




「…あぁ、そうだな」




そこに残ったのはちっぽけなあたしと


真っ黒な服を着た、死神みたいな男だった。







クソみたいな世界で、あたしを救った男だった。

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