第442話

side 弓




気怠い身体を起こせば、秋が珍しく目を閉じて眠っていた。



私の身体をキツく抱きしめる腕は、緩むことがない。



昨夜の彼を思い出す。



まるで自分を刻みつけるかのようで、

彼の不安を感じた。



「選ぶ、か。」



私にきっかけを与えてくれた壮士、


選択を与えてくれた秋、


2人に私は答えなければいけない。



諦めはイコール、逃げだ。



これまではただ逃げていた。



だけど……



秋の寝顔を見て思う。



逃げを選択してきたことのない彼ら。



秋たちの様に私は、



「強く、なりたい。」



強い決心を胸に、秋の顎に口づけを落とす。



「・・・・ん、」



擽ったそうに身じろぎした秋の腕が緩んだ。



「・・・しょっと、」



腕から抜け出して、ベッドから立ち上がる。



あれだけ求め合ったのに、私の足腰はしっかりと機能していて。



思わず苦笑いが漏れる。



リビングへと足を踏み出せば、



「・・・おはようございます。」


「おはよー。」



壮士が、コーヒー片手に微笑んでいた。



「今日、だったね。」


「・・・ええ。」



これから、青峰瑠衣に会う。



強ばる私の表情とは対照的に、壮士の表情は穏やかだ。

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