中毒

第380話

護衛をする上で、大事な事って?



こんな質問に、雅人さんはこう答える。



「【視線】ですね。」



人はどれだけ感情を殺しても、瞳から全て見えてしまう。



さすが、護衛上級者の言うことは違う。



「それと、護衛対象の生活の習慣化は大変危険かと。」



機械のような生活をすれば、先回りされやすいのだという。



人間、特に日本人は、1週間の生活習慣がおおよそ決まっている人が多い。



「え、じゃあ秋たちの護衛って、大変ですね?」



そう言った私に雅人さんは首を振る。



「いいえ、若は勿論、オヤジから姐さんに至るまで、これまでスケジュール通りに動いた事がほとんどありません。」



「・・・・それ、別の意味で大変じゃない?」



私のツッコミに珍しく苦笑を漏らした雅人さんは続けた。



どうやら、大まかなスケジュールを組めば、後は全て時間内で仕事を終わらせてしまう新城家諸君。



「いちいち細かく決めなくとも、120%で仕事をこなしてくださるので。

特にオヤジは空いた時間を全て姐さんに使おうともくろんでらっしゃるので更に動きがめちゃくちゃですね。」



それをフォローしている隼人さんは、やはりかなり優秀な人間といえた。



隼人さんといえば、密人と食事に行ったらしい。



「どうやら、知っていたみたいだ。」



悲しげに瞳を揺らす隼人さんの表情を思い浮かべた。



密人は、実の父親の真実も、隼人さんが葬った事実も、知っていたらしい。



だけど・・・




「俺の親父は、あんただから。」




そう、呟いた密人に、



「いやー、おじさん号泣しちゃってさぁ。」



どうやら号泣してしまい、めんどくさがられたんだって。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る