第36話

side 弓



胸が、震えた。



目の前の彼から伝わるのは、【狂気の愛】



彼に答えたいと、全身が騒いだ。



彼の狂気の目に、微笑む。


「っ、」



息を呑んだ彼に挑戦的な目を向けた。



「本当に、゛愛し抜いて゛くれる?」


「・・・ああ。」


彼は力強く頷く。



「私、もう我慢しないよ?言いたいことは、言う。」


「フッ、上等だ。」



ニヤリと口角を上げた彼。



「゛彼゛を、忘れて、あなたを愛すまで、待ってくれる?」


「ああ、いくらでも、な。」



頷いた彼に、微笑んだ。



「新城さん。」


「秋と呼べ。」


「・・・秋。」


「ん?」



優しい彼の、手を取った。



そして、微笑む。



「・・・あなたに、人生をかけてみる。」


「一生かかるから、覚悟しろ?」



渉が、゛彼゛に。



゛彼゛が、秋に。



渉を、過去にしてみせる。



嬉しそうに私を胸に納めた彼に抱きしめられながら、そう強く思った。

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