第64話
side 万智
「真琴様は、月に一度、゛しょっぽいまんじゅう゛という物を、ご友人のゆいか様へ送ります。」
「分かりました。覚えておきます。」
私の本家での生活も慣れてきて、漸く翠様が大半してくれていた真琴の生活の細部のお世話を、この時間を使って聞いていた。
本家に来てから龍綺様に聞いたことは、翠様はほとんど寝ないことだった。
夏はほぼ寝ず、倒れるまで仕事をする。
無意識に体を酷使する彼が心配だと。
龍綺様にそれを聞いて、少しでも役にたてればと、帰宅されれば直ぐにホットミルクをお出しするようにした。
初めは断られた。
「必要性を、感じません。」
無機質に放たれた言葉に、一度は止めようと思った。
けれど、
毎日の翠様を眺めていると、休憩という言葉を知らないかの様に動いていて、
どうしても諦めきれない私は、毎日それを運ぶようになった。
渋々折れて貰ったのは、1週間後。
それを毎日して、もう3ヶ月。
翠様と2人きりで過ごすこの、穏やかな空間は、私にとってかけがえのないものだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます