西の少年

第2話

バキッ、



ガズッ、



「……ぅ、」



西の繁華街。



最も危険な場所。



その裏路地に私は居ます。



ビルの間に響くは、追い詰められた小動物の呻く声。



私の足が彼の腹にめり込む鈍い音。



「ゆっ、許ひてくへっ!」



割れた顎を駆使して懇願するか弱き彼は、自分の所業など忘れてひたすら自分の命に縋りつく。




ガツッ、「ウグゥ・・・、」



無言で腹に足を沈めた。



人間の肉の感触が、私の足に伝わり、眉が少し不快気に動いた。



「いいですか、」



可哀想な小動物に、自分の行いを教えてあげましょう。




「龍綺(たつき)様を、殺めようとしていましたよね?」



そう、敵に依頼され、秘密裏に動いていた彼。



「誰が仕向けたのかは分かっています。」



男の顔が歪む。


元組長が遺していった闇が次々と仕向ける、【刺客】



この様な輩は、少なくはない。



「最近の私の仕事は・・・」



そばの壁の染みを見つめ、目を細めた。



「そのような方達の処分です。」



「ヒ、ヒイィィィ・・・、」



可哀想な小動物は、私の様なちっぽけな少年によって、無残にも息を止める。



男の最期の悲鳴は、私の無表情な頬に飛び散る鮮血と共に途絶えた。

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