普通

第1話

side ゆいか




高校を卒業して、入籍して、後は大学が始まるのを待つばかり。



「・・・はぁ、」



自然と出てしまうため息の理由はなんだろ…ううん、分かってる?



これは…


「暇。」


というやつ?…多分。




独り、夕闇に支配された屋外を見る窓に映った私の目は、幸せにも退屈の色を濃くしている。



先ほど。ベッドの上、頬杖をついて本を読んでいた私は、ふとした退屈感に苛まれた。



これは、普通は”暇”で片づけるべき事なんだろう。だけど私には、この感情は厄介だ。



だってこの感情がやがて、私を大きな闇へと誘うから。



やがてこの感情に、空虚感や焦燥感が混じり合い、私の感情は混沌とした闇に堕ちる。




きっと、環境の変化に、自分の気持ちが追い付いていないんだと思う。



大学生になって変わること?



沢山ある。



奏と一緒に居れる時間が、前にも増して減って。寂しさに喘ぐこともあるんだろう。



それを乗り越えるのが成長なんだって、分かってるけど…




「やだなぁ…」




私の独り言は、自嘲ぎみに広い寝室に零れ落ちる。



目頭に痛みを覚えて目を閉じれば、シン…とした静寂の闇に包まれた。

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