第2話
月野高校(つきのこうこう)
校訓は勤勉・敬愛・誠実
部活で強いのは、野球と、女子バスケ。全国の常連校だ。
偏差値は58。
進学校とまではいかないが、有名大出身者を毎年出すこの高校は、人気もそこそこだった。
しかし今年。
この学校の入学希望者が急増。
3倍という高確率になった理由は、全国常連の部活動でもなく、去年日本一の大学に受かった優秀な先輩が排出されたからでもない。
「郁!(いく)」
廊下で友人に名前を呼ばれ、振り返ったこの男。
人気の理由の一つは、確実に彼だった。
振り返った彼は、立ち上げバングにしたショートカットを風で揺らし、友人に少しだけ手を上げた。
アッシュブラックのその髪は、太陽光に透けて少し緑がかって見える。
少し眠そうなその黒い目は、すぐに前を向いて歩を進める。
彼の長い足はしなやかで、鞄を肩にかけ直すその仕草にすら、すれ違う女子生徒たちは頬を染めた。
「ちょ、待てって!」
友人が慌てて追いかけている彼。
蓮池 郁(はすいけいく)
彼の名前だ。
この学校には人気者と呼ばれる男が3人いる。
彼はその中でも一際、”モテる”人間だった。
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