前進

第50話

side 頼




信じられません。





[頼、ここでまで質問はやめてね。]




[好きです。]




[告白もやめようか。]




[最近新しくお料理教室を始めました。]




[急にまともな話題。]



[へぇ。どうして?]




[秘密です。]




[楽しみにしてる。]





感激です。




何度画面を見ても、私と黒蜜君のやりとりははっきりと描かれています。


ほとんどが私への悪態な気がしますが、私のバカみたいな返信にも必ず、答えてくれます。


それに最後の所なんか……



「死んでしまうかも、しれません。」


「はいはい。そうですね。」



週末、私の部屋にまた、光里がいます。もはや定位置のそのベッドの上で、私に冷たい視線を送ってきます。



そんな光里に、私は口を尖らせました。



「だって、”友達”ですよ、”友達”。一歩前進です。」


「”友達”だからね。それと”恋人”の間には結構メンドクサイ壁があるからね。」


「へ?」


それは一体、どういう意味でしょうか?


首を傾げる私に、光里は自分の隣をポンポンと叩きます。



それは自分の横に座れという合図なんでしょうが、そのベッドは私のです。


苦笑いを零し、光里の隣に腰かけました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る