第40話

まるで自分の発言が本意じゃないみたいに頼を誘導している黒蜜のその先にあるものは……



私は、どうやらまだまだみたいだ。



「灰島さん、そこは別の誰かに教えてもらってくれない?俺はちょっと、”頼”とこれから用事があるから。」


「は?」



呆然とそう返すだけしかできない灰島をもう見もせず、黒蜜は頼の手をそっと握る。


おい、いきなり呼び捨てかよ。



「行くよ。」


「え?は、ぁ、」



もうこれは頭がショートしちゃってるよね。そんな頼と手を繋いで、黒蜜は教室を出ていく。


それは友達がする行為じゃありませんが。


もはや呆れ返ってしまって、突っ込むのもめんどくさい私の目の温度が下がる。



誰もが口を開けない中、”問題の2人”は教室から姿を消した。




「「「「えええ~~っ!?」」」」





こうなる気持ちは、分からないでもない。

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