第39話

「「「「「「…………。」」」」」」




時間が静止するとはこういうことを言うんだろうか。



「白坂さん?」



そんな中でも、黒蜜と頼の時間だけが動いているらしい。黙って見つめ続ける私たちを他所に、目を見開く頼は、震える口を開いた。



「それは、友達を前提に、こ、恋人同士に発展することも可能、ということでしょうか?」


「ククッ、なんか商談みたいだけど、まぁ、そうだね。」


「友達……」


「いい歳して友達ってのも恥ずかしいんだけどさ、嫌なら、別に、」


「いいいいいいえ!それで!それでいいです!全然!」


「っっ、」



詰め寄る頼に、黒蜜は目を見開いて。次の瞬間、笑った。



「っっ、」


それはもう、意地が悪そうに。



息を呑んだ頼の、机の上の手を取って。更にそれに息を呑んで窒息しそうな頼に笑みを深めた。



「友達って、友達だよ。それでも、いいの?」


試すような猫なで声は甘く響いて、まるで頼を誘惑しているようだった。



大勢に見られているというのに、真っ赤な顔の頼と黒蜜は熱く見つめ合っている。



「が、んばります。」


「うん。」



自分で友達言っただろ。そう突っ込みそうになったのは私だけだろうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る