第2話

side 頼(より)




「振られました。」


「……あんたね、それしか言うことないわけ?」



首を傾げる私に呆れた目を向けるこの子。


口調は荒いけれど確か、私のお友達のはずです。



「毎度毎度、告白される奴も可哀想だわ。」


「でも、黒蜜(くろみつ)くんはいつも、キチンとお返事をくださいます。」



はぁ、と艶めかしいため息を吐いたのは、赤嶺 光里(あかみねひかり)。ベリーショートの栗色の髪、そして両耳には彼女のトレードマークの真っ赤なピアスが付いています。


少し、派手目なメイクをしていますが、彼女はこの学校では清楚な方です。



私立青陵館高等学校(せいりょうかん)


勤勉・創造・敬愛をモットーに、この地帯の私立校の最上位に位置するわが校に通う生徒の中には、お金持ちの家の子も少なくはありません。


「毎度断られてるんだから諦めなさいよ。」



そういう光里も、赤嶺ホテルグループの一人娘。国内だけでなく、海外にも数十店舗を保有する、世界有数のホテルグループの社長の娘なんです。



「だけど……諦められないものは、仕方がないんです。」


「はぁ、」



失礼にも、ため息を吐いた光里に私の口が尖る。

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