支配する者

戻って来た日常

第1話

side 雫




「……これは、なんの真似です?」


「何がだ。」



きちんと服を着て寝ていたはずの私は、体の奥底に疼きを感じて一気に意識が覚醒した。



布団の中で山を作っているのは、私の夫。



この世を支配し、この世の神として君臨している、京極玲(きょうごくれい)その人だった。



真っ白な髪は初めて会った時よりも伸びていて、今は常に後ろで結わえている。この髪が下ろされるのは神としての行事の時だけだというのに、結んだままの髪は傷みを見せることはない。


そして、獰猛な金色の眼は、常に”私”を見ている。



暗い布団の中からでも光って見えるそれは、欲情を強く灯し。



「っっ、」



今まさに、赤く見えたその舌先が私のむき出しの胸元に触れたことで、疼いているその場所がビクリと反応した。



「っ、雫もその気だろう?」



顔を歪めて嬉しそうに言うこの人は、今の状況をどうとも思っていないらしい。



「旭(あさひ)は?」


「今それを聞くか?」



私を刺激しようと、”入り込んでいる”自身をゆっくりと動かす玲は不機嫌そう。だけどこの場にいない自分の子の心配を、しない訳がない。

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